エビリファイのアカシジア(そわそわ)と5つの対策

アイコン 2015.12.13 エビリファイ

エビリファイは非定型抗精神病薬として、統合失調症や双極性障害、うつ病などで使われているお薬です。

ドパミンとセロトニン以外にはほとんど作用せず、全体的には副作用が少ないお薬です。しかしながら、アカシジアという副作用は他のお薬と比べてもよく認められます。アカシジアとは、じっとしていると「そわそわ」してしまう症状です。

ここでは、エビリファイで多いアカシジアについて、その対策も含めて詳しくみていきたいと思います。

 

1.アカシジアとは?

アカシジアとは、そわそわして落ち着かなくなり、身体を動かしたい衝動に駆られる副作用です。

アカシジアとはどのような副作用でしょうか?あまり聞きなれない言葉だと思いますので、まずはアカシジアについてご説明していきます。

アカシジアとは、日本語に訳すと着座不能や静座不能とよばれる症状です。落ち着いてじっとしていられなくなってしまう副作用です。

足の裏がムズムズしたり、じっと座っているとジリジリしてきて動かずにはいれられなくなります。このためウロウロと歩き回ってしまったり、身体をゆすったり貧乏ゆすりをしてしまったりします。精神的にも落ち着かなくなり、イライラや不眠、不安や焦りやなどの精神症状がみられます。

直接命に関わるような副作用ではありませんが、自覚症状はつらいものです。このため、見逃されて続いてしまうと、不安や焦りが次第に強くなります。衝動的に自傷行為や希死念慮につながることもありますので、注意が必要です。

このようにアカシジアは、心の落ち着かなさ(内的不穏)と、手足や身体を動かしたいという強い衝動にかられます。実際に身体を動かすことで、苦痛は軽減されるという特徴があります。

 

アカシジアは、統合失調症の治療薬である抗精神病薬の副作用としてよく認められます。こんため、ドパミンを過剰にブロックしてしまうことで生じる錐体外路症状の一種と考えられています。他の錐体外路症状とアカシジアの違いは、運動亢進症状だけでなく精神症状も認められることです。このため、中脳辺縁系や中脳皮質系といった感情に関わる部分でのドパミン遮断作用が原因と考えられています。

その他にも、いろろな原因が考えられています。抗不安薬が効果的なことからGABAの機能低下が原因であるという説、β遮断薬が効果的なことからノルアドレナリンの機能亢進が原因であるという説などがあります。現時点では、はっきりとしたことはわかっていません。

薬の副作用なのか精神症状のひとつなのかが難しいこともあります。精神的な不安や焦燥感がある時とアカシジアを見極めるのは難しいことも多いです。アカシジアを精神症状の悪化と誤解してしまうと、抗精神病薬を増量することになります。すると、副作用であるアカシジアがますます悪化してしまうということがあります。

ですから、アカシジアは常に疑ってかかり、薬の変更によって症状の変化がないかを注意深くみていく必要があります。

 

2.エビリファイでのアカシジア(そわそわ)とは?

エビリファイのアカシジアは、うつ病>双極性障害>統合失調症の順に認められ、少量でも出現します。また、飲み始めてから2か月以内が多いです。

エビリファイではアカシジアの副作用が多いです。エビリファイでのアカシジアの特徴についてみていきましょう。

どの病気でエビリファイを使ったかによっても、アカシジアの頻度は大きく異なります。エビリファイの承認時の臨床試験では、統合失調症11.7%、双極性障害30.2%、うつ病28.1%となっていました。その他の論文などをみてみると、うつ病>双極性障害>統合失調症の順でアカシジアが認められやすいです。これは、臨床的な実感とも一致します。

また、エビリファイの量が多いからといってアカシジアが増えるというわけではありません。3mg~30mgまでの用量では、アカシジアの頻度に大きな差はありません。通常の副作用は、量を増やすほど副作用が増加します。エビリファイではそのようなことはあまり言えません。

アカシジアは、エビリファイを服用して早期に認められることが多いです。発現までの平均日数は59.9日というデータもあり、2~3か月くらいはアカシジアに注意する必要があります。

 

エビリファイの副作用について知りたい方は、
エビリファイの副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

3.エビリファイと他剤でのアカシジアの比較

アカシジアの起こりやすい非定型抗精神病薬は、エビリファイ・リスパダール・ロナセンの3つになります。その中でもエビリファイでは、アカシジアが多いです。

アカシジアの副作用は、古くからあるセレネースなどの定型抗精神病薬では20~40%と報告されています。非定型抗精神病薬ではアカシジアはだいぶ減りましたが、それでもドパミンをブロックしたことによる錐体外路症状としては一番多い副作用になります。

代表的な非定型抗精神病薬でのアカシジアの頻度を比較してみましょう。

非定型抗精神病薬でのアカシジアを比較しました。

緑は薬の承認時でのアカシジアの頻度です。青は市販後調査でのアカシジアの頻度です。いずれも統合失調症の患者さんでの結果を比較したものです。

一般的に、薬の承認時はきっちりと副作用報告を集めるために、副作用は多くなります。市販後調査になると、実際に使ってみてデメリットになるものが報告されるので、一般的に副作用はかなり減ります。承認時の報告ではエビリファイよりもアカシジアの頻度が高いお薬もありますが、市販後調査ではかなり下がっています。

エビリファイに限っては、承認時と市販後の報告が逆転しています。エビリファイでは双極性障害やうつ病でも使われることが多く、双極性障害では30.2%、うつ病では28.1%と、アカシジアが起こりやすいのです。これらも含めたために逆転したのでしょう。エビリファイではアカシジアが起こりやすいといえます。

 

非定型抗精神病薬は、大きくわけて3つのタイプに分けられます。

この3つのタイプで比較すると、DSS>SDA>MARTAの順にアカシジアが多いです。エビリファイは、アカシジアが多いのです。これらのお薬の中では、エビリファイ>リスパダール≒ロナセンといったところでしょうか。

 

4.エビリファイによるアカシジアの対策

エビリファイではアカシジアの副作用が多いです。エビリファイでアカシジアが認められたとしても、急に中止してしまってはいけません。アカシジアは対処ができますので、必ず主治医に相談しましょう。

それではアカシジアが認められたときには、どのように対処すればよいのでしょうか?ここでは、エビリファイによってアカシジアが認められたときの対策を見ていきたいと思います。

 

4-1.様子を見る

ガマンできる範囲でしたら様子を見ましょう。

症状がなんとかガマンできる程度の場合は、しばらく様子を見ると落ち着いてくることがあります。とくにエビリファイを飲み始めてすぐに認められた場合は、1~2週間すると落ち着いてくることもあります。

エビリファイは、低用量では活動的にさせる方向に働きます。このため、薬の作用として行動的になったり、焦燥感や不安が強まることもあります。このようなことを賦活作用といいますが、アカシジアと見分けにくいこともあります。この場合は、しばらくすると薬に身体が慣れて落ち着いていきます。

 

4-2.βブロッカーや抗不安薬を併用する

βブロッカーや抗不安薬などを併用すると、アカシジアが和らぎます。

アカシジアを和らげるお薬として欧米でまず使われるのは、βブロッカーです。βブロッカーとは、血圧を下げたり、心臓の負担を和らげたりする循環器疾患で使われるお薬です。アドレナリン受容体のひとつのβ受容体をブロックすることで、アカシジアの改善効果が認められます。

具体的には、インデラル(プロプラノロール)やアルマール(アロチノロール)などが使われることが多いです。どちらも脂に溶けやすく、脳への移行性がよいです。このため、アカシジアに対して効果が期待できます。

βブロッカで注意するべきこととしては、低血圧、徐脈、めまい、眠気、呼吸苦などがあげられます。循環器系の疾患がある方や喘息の方には使えないことがあります。また、肝臓の酵素であるCYP2D6を阻害するので、他のお薬への影響にも注意が必要です。

 

β遮断薬が上手く使えない時や不安や焦燥感が強い時は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬を使っていきます。抗不安薬は、脳の神経を抑制するGABAの働きを強めて、アカシジアを改善することができます。

具体的には、リボトリール/ランドセン(クロナゼパム)・ワイパックス(ロラゼパム)・セルシン/ホリゾン(ジアゼパム)がよく使われています。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬には依存性があるので、漫然と使っていると離脱症状でやめられなくなってしまいます。できる限り少ない量から、理想をいえば頓服から使っていきます。

 

4-3.抗コリン薬を併用する

どうしてもアカシジアが改善しない時は、抗コリン薬を使います。

抗コリン薬も、アカシジアを改善する効果があります。

アセチルコリンとドパミンは、脳の中ではバランスを取り合っています。ドパミンが足りない時はアセチルコリンが過剰になっているので、抗コリン薬がこれを整えることでドパミンの働きを強くします。

ただ、他の錐体外路症状(EPS)には非常に効果的な抗コリン薬ですが、アカシジアでは効果が劣ってしまいます。アカシジアの原因は、純粋にドパミン遮断作用によるものではないからでしょう。薬剤性パーキンソニズムで80~90%ほど効果がありますが、アカシジアでは50%ほどしか効果がありません。また、遅発性アカシジアとよばれる長期服用後のアカシジアでは、抗コリン薬は無効です。

抗コリン薬としては、アキネトン(ベペリデン)やアーテン(トリヘキシフェニジル)をよく使います。抗コリン薬には副作用が多く、排尿障害・便秘・口渇などの身体症状、せん妄・記憶障害・認知障害などの精神症状が生じることがあります。ですから、できるだけ少ない量で使っていき、漫然と使わないようにする必要があります。

 

4-4.エビリファイを減薬する

エビリファイを減量すると、アカシジアが軽減することがあります。

エビリファイの副作用によるアカシジアは、量を増やすと増えていくものではありません。これは言い換えると、量を少なくすれば軽くなるものでもないのです。ですから、減量したからといって確実にアカシジアが軽減するとは言えません。

そうはいっても減量することによって、アカシジアが軽減することもあります。病状が落ち着いていて減薬ができるときは、少しずつエビリファイを減量していくのもひとつの方法です。

アカシジアの程度があまりにもひどい時は、副作用止めを併用してしまった方がよいです。

 

4-5.他の抗精神病薬に変更する

MARTAやSDAのルーランはアカシジアが少ないです。

アカシジアがどうしても改善できない場合は、他のお薬に変更しなければいけません。

抗精神病薬の中では、

などは、アカシジアが少ないです。お薬の効果も含めて、総合的にアカシジアの少ないお薬を選んでいきます。

 

まとめ

アカシジアとは、そわそわして落ち着かなくなり、身体を動かしたい衝動に駆られる副作用です。

エビリファイのアカシジアは、うつ病>双極性障害>統合失調症の順に認められ、少量でも出現します。また、飲み始めてから2か月以内が多いです。

アカシジアの起こりやすい非定型抗精神病薬は、エビリファイ・リスパダール・ロナセンの3つになります。その中でもエビリファイでは、アカシジアが多いです。

アカシジアの対策としては、以下の5つがあります。