リレンザ(ザナミビル)の効果と特徴

アイコン 2016.2.7 リレンザ

インフルエンザの治療薬として日本で初めて発売されたのがリレンザ(ザナミビル)です。2000年にリレンザが登場して以来、インフルエンザの治療は劇的に変化しました。

2010年に同じ吸入薬としてイナビルが登場し処方数が減ってはきていますが、今なお第一線で活躍するお薬です。

ここでは、リレンザの効果について、その作用の仕組みから詳しくお伝えしていきます。

 

1.リレンザの作用の仕組み(作用機序)

リレンザの効果を考えていくにあたって、どのようにしてリレンザが効果を発揮するのかを知る必要があります。

インフルエンザウイルスが感染してからどのようにして体内で増殖していくのか、そしてインフルエンザ治療薬がどのようにしてそれを防ぐのか、詳しくみていきましょう。

 

1-1.インフルエンザの増殖機序について

リレンザの効果や副作用を手っ取り早く知りたい方は、2の「リレンザの用量と使い方」から読んでいただければ幸いです。

インフルエンザの増殖は以下の3つの過程を経て増殖します。

  1. インフルエンザが体内への付着
  2. インフルエンザウイルスのRNA・タンパク質の合成
  3. インフルエンザウイルスの放出

インフルエンザウイルスは自分で増殖はできません。ヒトの細胞を使って増殖して、それをばらまくことで周囲の細胞に感染を広げていきます。

インフルエンザウイルスが口や鼻から入ってくると、身体の細胞に侵入してきます。そして人の細胞の中で、ウイルスのRNAという遺伝子やタンパク質を合成していくことで増殖します。そして新しくできたインフルエンザウイルスが、感染細胞から飛び出して周囲の細胞に感染を広げていきます。

①の付着・③の放出という過程で、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれる2つの糖蛋白の働きが必要になります。HAは16種類、NAは9種類あります。

インフルエンザA型では、このHAとNAの組み合わせで変異を起こすため、新型が出現します。自然界では50種類以上の組み合わせが存在するといわれ、予防接種はその中で今年は流行するだろうと予想される何種かを打ちます。そのため予想された以外のウイルスが感染すると、インフルエンザワクチンを摂取したとしてもインフルエンザに罹患してしまうのです。

 

1-2.抗インフルエンザ薬の作用機序と種類

日本で使われている抗インフルエンザ薬は、全てウイルスが感染細胞から放出されるのを阻害する薬剤(ノイラミニダーゼ阻害薬)です。ノイラミニダーゼ阻害薬は4剤あり、リレンザもその中の一つです。

抗インフルエンザ薬の作用の仕組みは、先ほど述べた①~③のいずれかを阻害しています。

インフルエンザ治療薬の作用機序と薬の種類を一覧にしてまとめました。

赤で示した4剤が日本で発売されている薬です。

シンメトレル(アマンダジン)は内服薬であり、日本でもパーキンソン病などに使われる薬ですが、アメリカなどの海外ではインフルエンザにも使用されています。しかしシンメトレルはインフルエンザA型にしか効果がなく、そのA型にも効かないアマンタジン耐性インフルエンザが高率に出現しています。このことからWHOも使用を推奨しておりません。

アビガンは新しい作用機序のインフルエンザ治療薬として注目されており、感染した細胞内でのウイルスの増殖を防ぎます。現在の薬で効果のない新型インフルエンザが流行した場合、厚労省が要請して製造されることになっています。致死性のエボラ出血に対する有効性も認められ、ウイルス性疾患への幅広い効果が注目されています。

細胞からの放出を阻害する薬剤は、ノイラミニダーゼ阻害薬といわれています。ノイラミニターゼ(NA)とはインフルエンザウイルスの表面にある糖蛋白で、細胞から飛び出していく際に必要となります。この働きを邪魔するので、ウイルスが細胞外に出ていけなくなります。

日本で発売されている4種類の薬は、全てこのノイラミニダーゼ阻害薬となります。この中ではリレンザとイナビルが吸入薬、ラピアクタが点滴するお薬で、タミフルは内服薬になります。

この中でリレンザは最も古い薬として長年活躍していました。

 

2.リレンザの用量と使い方

リレンザは1日2回(朝・夕)に吸入を5日間、計10回吸入します。軽症でも重症でも同じ用量なので、自己判断で増量したり、途中でやめないようにしましょう。

リレンザの添付文書では、

通常、成人及び小児には、ザナミビルとして1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日2回、5日間、専用の吸入器を用いて吸入する。

となっております。重要なのは小児でも成人でも、また重症も軽症も同じ用量ということです。細菌をやっつける抗生物質によっては、重症例によっては量を増やすこともありますが、インフルエンザ治療薬は常に同じ用量です。熱がなかなか下がらないからといって、途中で飲む量を増やすことは絶対にしないようにしましょう。

吸入方法は

  1. アルミシート(ディスク)を白いトレーに穴が一致するように、そしてカチッと音が鳴るまで押してセットします。
  2. トレーの蓋を立てて、アルミシートに穴をあけます。
  3. アルミシートに穴が空いてセットが完了したら少し息を吐いてから、吸入口を加えます。そして深く息を吸い込みます。吸入器から口をはずし、2~3秒息を止めたら吐きましょう。
  4. 1回に2ブリスター吸入が必要なお薬です。再度②のトレーの蓋を立てたら自動的に回転してセットされます。そうしたら③の吸入をもう一度しましょう。

ディスク?トレー??どうしても文章だけだとイメージがわき辛いと思います。発売もとであるグラクソ・スミスクライン(GSK)製薬会社が動画でわかりやすく解説しています。

是非一度、確認してから吸入してください。

またリレンザは、予防投与の適応もあります。1日1回のリレンザ吸入を10日間繰り返します。しかし現在では、イナビルを1日1回吸入を2日間するだけで同じ10日間予防効果があることから、ほとんど予防投与しては使われていないです。

 

3.リレンザはできるだけ早くに投与すること!

リレンザに限らず、抗インフルエンザ薬は早期に治療することが大切です。最低でも48時間(2日)以内に受診して治療するようにしましょう。

リレンザの作用機序をもう一度見てほしいのですが、リレンザを含めてノイラミニダーゼ阻害薬は細胞から放出を阻害するものとなっています。つまりインフルエンザを直接やっつけるのではなく、増殖したウイルスが拡大するのを防ぐものです。

そのため、インフルエンザが増殖して広がってしまった後では投与しても意味がありません。早めにインフルエンザ簡易キットで診断するように心掛けましょう。

添付文書でも、

インフルエンザ様症状の発現から2日以内に投与を開始すること(症状発現から48 時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない)。

としっかり記載されています。

つまり、2日たってから症状がスッキリしないからと内服しても、インフルエンザをやっつける薬ではないので意味がありません。

逆に2日経っているけど熱が全然下がらない、辛いという場合は必ず病院を受診してください。インフルエンザシーズンに発熱する病気が全てインフルエンザというわけではありません。しっかりと他の病気も含めて診てもらいましょう。

 

4.リレンザは5日間吸入しきること!

発熱がなくなったからといって、インフルエンザが完全に消滅したわけではありません。5日間治療しきらないとリレンザに耐性を持ったインフルエンザが体内でできてしまい、症状が再発してしまいます。

症状がある程度よくなってくると、「よくなってるのに薬を朝、夕で吸入するのはめんどくさい」と思ってやめてしまいまう人もいます。

咳止めや熱さましの薬は確かによくなればやめてしまってよいのですが、リレンザは絶対に飲まなければいけません。理由としては、熱が下がった=インフルエンザウイルスが完全に消滅したわけではないためです。

熱とは基本的に、インフルエンザや細菌などを退治するための身体の防御反応です。化学の実験と同じで、体温が高くなると免疫反応が高まるのです。つまり熱が下がってきて楽になったのは、防御反応を取らなくてもよいくらいインフルエンザウイルスが少なったということです。しかしインフルエンザウイルスは繁殖力が強いウイルスです。本人が油断するとあっという間に再発してしまいます。

そしてそのインフルエンザウイルスは、リレンザが投与されているにも関わらず残った強いウイルスです。再発するとリレンザに耐性を持ったインフルエンザウイルスが出現することもあります。こうなると、かなり治療が難しくなります。

 

5.リレンザの副作用

リレンザの副作用は主に胃腸障害です。ただしこれらはインフルエンザ自体にも出現しますし、他のタミフルやイナビルでも同様に出現する副作用です。

イナビルの主な副作用は、使用成績調査及び特定使用成績調査5393例中、68例(1.3%)に副作用が報告され、その主なものは下痢13例(0.24%)、発疹7例(0.13%)、悪心・嘔吐7例(0.13%)、嗅覚障害6例(0.11%)となっております。つまり、消化器症状が副作用として出現します。ただし注意が必要ですが、インフルエンザ自体でも消化器症状を認めます。(B型インフルエンザに多い

リレンザの副作用か、はたまたインフルエンザの症状なのか、これを鑑別するのは医師でも困難です。

では、リレンザ発売後の調査ではどうなってるのでしょうか?リレンザが発売されてから市販後調査がされましたが、こちらは処方した個々の医師の判断で報告がされます。

そのため、内服後に下痢の症状が出たと患者さんがいた場合、リレンザの副作用と判断して報告したら副作用にカウントされますし、後からインフルエンザの症状が出たんだなと判断されたらカウントされません。適当だなって感じるかもしれませんが、逆に言うと多くの薬はそのように市販後調査されています。

大切なのは、インフルエンザでも腹部症状が出るということです。

その他重大な副作用がどのように添付文書に記載されているかというと、アナフィラキ―ショック、血圧低下、呼吸困難、咽頭・喉頭浮腫、皮膚粘膜眼症候群など怖い記載が並んでおり、吸入するのがためらわれてしまうかもしれません。

ただしこれらの副作用は、薬のアレルギーとしてほぼ全ての薬、さらにいうとサプリメントや食べ物でも認める事がある症状です。特別リレンザが多いということはありません。

 

6.リレンザと他の抗インフルエンザ薬の比較

同じ吸入タイプで1日で済ませられるイナビルが登場してからリレンザの活躍の場はかなり少なくなりました。一番の特徴は、最も歴史のあるインフルエンザ薬というところでしょうか。

リレンザではどんな人に向いていて、どんな人に向いてないのでしょうか。まずは4剤の比較を見てみましょう。

インフルエンザ治療薬の効果と特徴を比較しました。

2000年代は、タミフルとリレンザの一騎打ちでした。その中でタミフルの10代投与で異常行動が出現したため、10代はリレンザ投与が主流になりました。

また、タミフル耐性インフルエンザに対してリレンザが有効であるという報告から、10代以外にもリレンザを処方されることが多かった時代もあります。

しかし2010年にイナビルが登場してから、吸入薬=イナビルという流れに一気に傾きつつあります。最大の違いは、リレンザは5日間完全に吸わなければならないのに対して、イナビルは1日吸入したら治療が完了するところにあります。2014-2015年の統計を診ていただくと、圧倒的にイナビルが多く使われています。

ただしリレンザの名誉のために記載しますが、効果や副作用はイナビルとリレンザで差がないという論文が多いです。イナビルが1回の吸入で済むのは、速効性があるわけではなく持続性があるからです。そのためリレンザの方がイナビルよりも効果が落ちたり、副作用があるわけではないので心配しないでください。

 

リレンザの唯一のメリットは、イナビルよりも歴史が長いところです。タミフルは発売されてから6年後に10代での飛び降りという異常行動が騒がれました。イナビルも2010年に登場してから特別騒がれていませんが、今後何があるか分かりません。そういった点では、特に小児領域ではリレンザの方が歴史が長いので安心だということで、処方される医師もいらっしゃいます。

リレンザのデメリットしては、吸入であることと、5日間完遂しなければならない点があります。これはイナビルとタミフルの両方組み合わさったようなデメリットです。今後はさらにリレンザの活躍できる場面は少なくなるかもしれません。

 

まとめ

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