タミフルの副作用と安全性

アイコン 2016.1.28 タミフル

インフルエンザと診断されて、病院でタミフルを処方されたことがある方は多いかと思います。

インフルエンザのシーズン中は医療機関は非常に忙しく、人によっては十分な副作用の説明を受けないままタミフルを処方された人もいるかもしれません。

タミフルにはどんな副作用があって、安全な薬といえるのでしょうか?
また、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか?

ここでは、タミフルの副作用についてまとめたいと思います。

 

1.タミフルの一番問題になる副作用、異常行動とは?

タミフルによる異常行動は、日本でのみ10代の飛び降りが起きたため注意喚起されていますが、はっきりとした原因は分かっていません。薬の副作用以外にも、インフルエンザ脳症でこういった異常行動を認めることがあります。

インフルエンザと診断されて処方されたタミフル。どんな薬だろうと思って何気なく検索してみると、異常行動という怖い文字が出てくるかと思います。タミフルの副作用と安全性を語るうえでは避けては通れない副作用です。

2007年に10代の患者さんが飛び降り自殺したことを契機に、複数の10代患者さんの飛び降りを認めた事が始まりです。これらの原因究明のために様々な研究が行われましたが、はっきりした原因はわかっていません。本当にタミフルで異常行動が起きるかどうかは、未だに結論出されていないのです。

異常行動が生じるのは、タミフル以外にも原因が考えられます。インフルエンザの合併症でインフルエンザ脳症が起こり、それによって異常行動が起こることもあるのです。

タミフルは10代に限って言えば慎重投与という扱いになっていますが、それ以外の世代では幅広くタミフルは処方されております。異常行動ときくと不安になるかもしれませんが、他の薬に変更したから異常行動が起こらないというわけではありません。タミフル服用中に限らず、異常行動がみられることがあることは知っておきましょう。

詳しく知りたい方は、「タミフルで恐れられる異常行動とは?」をお読みください。

 

2.タミフルで多い副作用とは?

タミフルの一番の問題は異常行動でしょう。その他注意しておきたいのは下痢、腹痛、嘔吐などの消化器症状です。

タミフルの承認時の臨床試験では、副作用は309例のうち85例(27.5%)で認められています。主な副作用は、腹痛21件(6.8%)、下痢17件(5.8%)、嘔気12件(3.9%)でした。

つまり消化器症状が出現するのです。しかしながらその副作用の頻度は、そこまで多いものではありません。これに加えて、インフルエンザ自体でも消化器症状を認めることがあり、とくにインフルエンザB型では消化器症状が多いのです。

インフルエンザに限らず、熱が出たときに医師が症状を聞くのは、どこの部位に感染しているのかを予想するためです。インフルエンザは通常、飛沫感染、接触感染によってウイルスが上気道に付着して、そこで増殖されることによって咳や鼻水などの症状が出現します。胃や腸にインフルエンザが感染すると、お腹の症状が出現するのです。

タミフルの副作用なのか、それともインフルエンザの症状なのかを鑑別するのは、医師でも困難なのです。

インフルエンザの症状で下痢や嘔吐を認めるならば、これは身体からウイルスを出そうとする防御反応の結果です。嘔吐は薬で止めることもありますが、下痢は無理に止めると病状が悪化することがあります。副作用だとしてもタミフルは5日間飲みきりのお薬なので、ガマンしていただくことになります。

また、冬の時期に激しい嘔吐、下痢というとインフルエンザBよりノロウイルスを疑います。特に発熱がない場合は、かなりの確率でノロウイルスの事が多いです。

 

3.タミフルの重篤な副作用とは?

タミフルに限らずどんなお薬も、まれに起こる副作用まで含めると非常にたくさんの副作用が挙げられます。本当に10万人に1人という確率で重篤な副作用も起きます。

タミフルの添付文章をみていくと、アナフィラキ―ショック、肺炎、重症肝炎、急性腎不全、皮膚粘膜眼症候群などの重篤な副作用の記載が並んでいます。このような記載をみると、タミフルを飲むのがためらわれてしまうかもしれません。

ただしこの副作用は、薬のアレルギーとしてほぼ全ての薬、さらにいうとサプリメントや食べ物でも認める事がある症状です。タミフルで特別に多いということはありません。

大切なことは、タミフルを服用してこれらのアレルギー症状が出現した時は、もう二度とタミフルは内服しないようにすることです。一度タミフルでアレルギー症状が出た方は、添付文書でも禁忌になっております。必ず医師に伝えてください。

 

タミフルの効果について詳しく知りたい方は、「タミフル(オセルタミビル)の効果と特徴」をお読みください。

 

4.タミフルの市販後調査とその解釈

市販後調査では、タミフルの副作用はほとんど報告されていません。

タミフルに限らず、薬は発売されてからしばらく、副作用の調査が行われます。これを市販後調査といいますが、タミフルの市販後調査4,211例では、副作用は90例(2.1%)に認められました。主な副作用は、下痢22 件(0.5%)、悪心12 件(0.3%)、腹痛11件となっています。

タミフルの市販後調査をみると、タミフルの副作用はとても少なく感じます。これは処方した医師それぞれの判断で報告されます。例えば内服後に下痢の症状が出たと患者さんに言われた時に、タミフルの副作用と判断し報告したらカウントされます。しかしながら、後からインフルエンザの症状が出たと判断されたらカウント されないのです。

適当に感じるかもしれませんが、多くの薬はそのように市販後調査されています。見方をかえると、市販後調査は実際の臨床医の印象が反映される数字なのです。このため、タミフルによる副作用は全体的に少ないというのが、現場での印象です。

 

5.タミフルは妊娠中や授乳中でも使えるの?

タミフルは妊娠中では奇形の報告などはなく、むしろ服用が推奨されています。授乳中は念のため、最後に服用してから2日は授乳を中止することとなっています。

まず妊娠中ですが、タミフルがお腹の赤ちゃんに影響がないのか心配かと思います。現在の産婦人科のガイドラインでは、タミフル投与により、流産率、心形態異常、その他の形態異常、早産、低出生体重児、胎児発育不全児の増加は認められないと報告されています。

むしろ週数が進むごとにインフルエンザが重症化しやすくなると言われていますし、高熱が続く方が赤ちゃんに影響が大きいです。このためインフルエンザと診断されたら、早期にタミフルの内服を推奨しています。

詳しく知りたい方は、「妊婦さんにインフルエンザ予防接種と治療薬は安全?」をお読みください。

 

次に授乳中の方ですが、お母さんがタミフルを内服すること自体は良いのですが、母乳へ微量ながら移行すること(0.5%程度)が報告されています。

後述しますが、乳児にタミフルを服用させたときの安全性は確立していないので、タミフル服用中は授乳を避けることとされています。タミフルの授乳の再開については、最後にタミフルを服用してから2日(48時間)後となっています。

 

1歳未満の小さなお子さんには、タミフルの使用経験が少なく、安全性・有効性が確立していないとされています。こうなると心配になってなかなか飲ませたくないですよね。しかし1歳未満に使用経験が豊富で、安全性が確立してるお薬は非常に少ないのです。ほとんどの薬で安全性が確立していません。

1600人の1歳未満の赤ちゃんがインフルエンザにかかった場合を調べた研究があります。タミフルを処方した群、タミフル以外の抗インフルエンザ薬を処方された群、解熱剤のみの群では、副作用発生率は変わりませんでした。

ですからタミフルの副作用も心配ですが、それ以上にインフルエンザが長引くことの方が赤ちゃんには悪影響ですので、医師が勧めた場合は内服した方が良いと思います。

 

6.タミフルと他剤の飲み合わせとアルコールの影響

タミフルと飲み合わせが悪い薬はありません。どんなお薬を飲んでいても内服は可能です。アルコールは脱水につながるので、避けてください。

添付文書では、タミフルが他のお薬と大きく相互作用を引き起こして、血中濃度が上昇したり低下することはないと報告しております。そのためどんなお薬を飲んでいても影響はないので、安心してタミフルを内服してください。

タミフルとの飲み合わせというよりも、インフルエンザの時は解熱剤の方が注意が必要です。よく解熱剤として出されるロキソニンは、子供ではインフルエンザ脳症との関連が指摘されているため禁忌となっております。

そのためインフルエンザで発熱した時は、カロナール(成分名:アセトアミノフェン)を出すことが一般的です。

 

患者さんの中には、「お酒(アルコール)は飲んでも良いかと?」とおっしゃる方もいらっしゃいます。少量のお酒は身体によいといったりしますが、インフルエンザのときはアルコールはやめてください。

インフルエンザの時は、熱も高くなって汗もたくさんかき、脱水になりやすいです。アルコールには利尿作用があるので、脱水のリスクを高めてしまいます。ただでさえ脱水になりやすい状態ですので、アルコールはやめるようにしてください。

タミフルの副作用はめまいや嘔吐などもありますが、これら副作用がアルコールと一緒に摂取することで起きやすくなるといった報告もあります。

 

まとめ