クリアナール錠の効果と特徴

アイコン 2017.1.13 クリアナール/スペリア

クリアナール錠(一般名:フドステイン)は、2001年に田辺三菱製薬会社より発売され去痰薬です。

クリアナールは痰の成分を整えたり、痰を産生する坂付き細胞の形成を抑制することで痰を出しやすくするお薬です。

副作用も少なく安全に使用されるお薬のため、痰が絡むときに数多く処方されるお薬です。注意しなければならないのは、クリアナールはあくまでも痰を出しやすくするお薬であり、痰がでる原因の疾患を治すわけではありません。

そのためクリアナールを飲み続けないと痰が出続ける人は、レントゲン等でしっかりと原因を特定する必要があります。ここでは、クリアナールの効果と特徴についてみていきましょう。

 

1.クリアナールのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

クリアナールは痰切りとして最も処方されているお薬です。痰切りの効果としては、

という2つの効果を示します。クリアナールはさらに安全性も高いお薬です。実際に副作用もほとんどないですし、使用できない病気や飲み合わせが悪いお薬もありません。またクリアナールは、内用液として液体の飲み薬が発売されたことで、ご高齢の方まで幅広く使われています。

一方で、デメリットもあります。一番の問題は、クリアナールは痰を調整して外に出しやすくする効果しかないということです。つまりクリアナールは、痰がでる原因自体を治療するお薬ではありません。

クリアナールはあくまでも対処療法にすぎません。そのため原因疾患が特定されないまま使用し続けると、思わぬ病気が隠れていることもあります。

またクリアナールは、さらさらした痰ですと外に出しやすいですが、泥のようになった膿はドロドロしてしまっては非常に出しづらいです。クリアナール含めて膿に対しては、内服薬でコントロールするのは非常に難しいです。

場合によっては、手術などで膿自体を取り除く必要があります。様々な病気に効果があり、副作用も少ないのがクリアナールのメリットです。しかしそれに甘えてクリアナールに頼り続けていると、思わぬ落とし穴に落ちてしまう場合もあるため注意しましょう。

 

2.クリアナールの適応と用量は?

クリアナールは、痰がでる病気に適応があります。クリアナールを1日3回内服することで効果を発揮します。

クリアナールの剤型は、

があります。錠剤だけでなく内用液もあるため、嚥下機能が弱い高齢者の方にも適応があります。ただし小児には安全性のデータが少ないため、適応が現時点ではありません。適応疾患としては、

です。ここで注意が必要なのは、これらの疾患の治療ではないことです。去痰と書かれているように、クリアナールは痰を除去するのみの薬です。風邪なら自然に治るのでクリアナールで様子をみていてよいのですが、

は適切な治療をしたうえでクリアナールを飲む必要があるので、注意しましょう。クリアナールの投与量ですが、

となっています。適宜増減すると添付文章ではありますが、クリアナールが効かないからといって倍量で内服することはほとんどありません。原因にもよりますが、効果が不十分な場合は他の内服薬を追加する場合が多いです。

クリアナールは最高血中濃度は1.17時間です。また半減期は2.7時間と、体内に蓄積されることが少ないお薬です。

 

3.クリアナールの薬価は?

クリアナールはジェネリック医薬品は登場していません。

次にクリアナールの薬価です。クリアナールは先発品のみで、現時点ではジェネリック医薬品は発売されていません。

  剤型 薬価 3割負担
クリアナール錠 200mg 12.4円 3.7円
クリアナール内用液 8% 10.2円 3.1円

※2016年1月5日の薬価です。

となっています。1日3回内服するので、クリアナールの1日薬価は錠剤だと37円、内用液だと31円になります。

 

4.クリアナールが向いてる人は?

<向いてる人>

クリアナールは、主に痰切りに使用するお薬です。

そもそも痰とは、正常な人にも作られています。気管支などにある杯細胞などから粘液物がでてきて、肺の中を綺麗にしています。杯細胞が出した粘液物をゴミとしてまとめたのが痰になります。

実は痰として肺や咽頭で作られたゴミは、少ない場合は食道の方に落ちていきます。食道は胃につながっているため全く問題になりません。ただしこの痰の量が増えて咽頭から口に溜まる場合が、喀痰として症状となって表れます。

喀痰の原因は、

  1. 異物が体に入ってきたのを粘液物で絡めとって外に出す防御反応
  2. 気管支や咽頭のどこかから粘液物が漏れ出ている

このように2つあります。風邪などでばい菌を外に出そうとするのが①になります。ただし①でも、

などが喀痰の原因の場合は、クリアナールを飲み続けても一時的に症状は改善しますが一向に良くなりません。むしろ場合によっては、どんどん悪化してしまいます。また、②の粘液物が漏れ出ている場合は、どこから漏れ出ているのかすぐに確認する必要があります。場合によっては、

などの病気が隠れていることがあります。喀痰について詳しく知りたい方は、「痰はどうして出るのか?喀痰の原因と病気の見分け方」を参照してみてください。

このような背景を踏まえたうえで、クリアナールはどのような人に向いてるのか考えてみましょう。一番良いのは、風邪などで一時的に痰がでている人です。

風邪などは安静に加療していれば、基本的に風邪は良くなります。そのためクリアナールを内服して、痰による不快な症状を取りながら風邪を治すことができます。

また、病気がしっかりと診断されたうえでクリアナールを使うのも安心です。特にCOPDなどの病気では、痰を正常化することで病気の悪化が防げるといったデータもあることから、積極的に使用するように言われています。

ただし病名が分かってクリアナールを内服している人も、痰が増えてきたら注意が必要です。

の2つが考えられます。どちらか知るために、必ずクリアナールを処方してくれた医師に相談しましょう。

 

5.クリアナールの作用機序は?ムコダインと併用して良い?

クリアナールは、痰の性質を改善、杯細胞の抑制をして痰を出しやすくするお薬です。

痰切りの去痰剤などは色々なお薬が処方されています。その中でも色々なタイプがあります。大まかなタイプを下にまとめました。

種類 作用機序 代表薬
気道分泌
促進薬
気道の中のさらさらの痰を増やすことで、
気道を綺麗にする。
ビソルボン
気道粘液
溶解薬
ネバネバの痰をさらさらに変える。 ムコフィリン
気道粘液
修復薬
淡の粘液を整える。 クリアナール
/ムコダイン
気道潤滑薬 気道内のサーファクタントを活発にして、気道を掃除する。 ムコソルバン

この中で、クリアナールは気道粘液修復薬になります。同じ気道粘液修復薬としては、ムコダインがあります。痰の状態を整えて、出しやすくする作用がメインです。さらにクリアナールは、痰だけでなく痰を産生する杯細胞にも作用して痰自体を出しづらくします。それぞれの作用についてみていきましょう。

 

5-1.痰の正常化

まず一つ目のクリアナールの作用ですが、気道に分泌される痰を正常化することで痰を排出しやすくする作用があります。痰の性状は、大部分は水です。その中で1割程度、ムチンという物質が含まれています。このムチンが、痰の粘っこさを出す原因になります。

痰が固くなって粘っこいと、出しづらくなってしまいます。ムチンの構成成分は、

の2つが挙げられます。シアル酸が増えてフコースが減って構成比が崩れると、痰がよりネバネバします。クリアナールはこれらの構成比を正常化させ、ムチンの生成を抑制することで痰の粘度を下げます。

こうすることで痰のネバネバが弱くなり、痰を出しやすくできます。

 

5-2.杯細胞の形成を抑制する

杯細胞は粘液を産生する細胞です。実は気道だけではなく腸などにも存在する細胞です。この杯細胞が先ほど記載したムチンを産生する工場となるのです。クリアナールは工場で作られた痰だけではなく、工場自体にも出荷停止を促す作用があります。

また杯細胞が頑張ってムチンを作るのを抑制したり、細胞数自体が抑制されることで、

などの効果もあります。

ただし重要なのは、杯細胞もムチンも悪者なわけではありません。むしろ、ばい菌などの異物を掃除してくれる良い役割があります。そのため完全に杯細胞を抑制するわけではないですし、杯細胞が頑張らなければいけなくなっている状況を改善するのが大切になります。

 

5-3.クリアナールとムコダインは併用して良いの?

ムコダインは、クリアナールと同じ気道粘液溶解液と同じ種類に属します。ムコダインやクリアナール単体では効かないため、両方が処方されることがあります。添付文章では、ムコダインとクリアナールを併用することで血中濃度が上下したり、副作用が強くなることはないため、併用してダメなお薬ではありません。

一方でムコダインも、クリアナールも主となる効果は痰のムチンの構造を正常化することです。機序的にもムコダインとクリアナールは同じですし、物質的な構造もかなり似ています。そのため二つを併用したからといって、効果も倍増するとは考えづらいです。

一部の効果として、

と重ならない効果もありますが、これらが著明に効果があるとは考えづらいです。そのため、まずはムコダインやクリアナール単体で効果がない場合は上の表であげた

などの違う作用機序の薬を併用してみましょう。しかしこれらのお薬を併用しても痰が切れない場合は、医師側としても中々打つ手がないです。そういった時に少しでも効いてくれたらとの思いで、ムコダインにクリアナールを追加することがあるのも事実です。

ここまで重症な場合は、原疾患のコントロールをしっかりとすることが大切です。特にCOPD(肺気腫)などの病気は、進行したら治らない病気です。痰が出せなくて困る症例の多くは、COPDになってもタバコを吸い続けたりして重度になっている場合が多いです。

ムコダインとクリアナールを併用するような重症例になる前に、禁煙を心がけましょう。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>