ムコダインの副作用と安全性

アイコン 2016.12.6 ムコダイン

ムコダインは痰の成分を整えたり、気道の粘膜をきれいにすることで痰を出しやすくするお薬です。綺麗にするのは気道の粘膜だけではなく、鼻や耳の中の粘膜も綺麗にするため、副鼻腔炎や中耳炎にも使用されます。

幅広い効果に加えて、ムコダインはほとんど副作用がありません。さらに絶対に使えない病気もありませんし、飲み合わせに注意するお薬がないのもムコダインの特徴的です。

そのためムコダインは、妊婦・授乳中・小児・高齢者など多くの場合に使用されるお薬です。ここではムコダインがどれくらい安全か確認していきましょう。

 

1.ムコダインの副作用は?

ムコダインはほとんど副作用がないお薬です。

ムコダインの総症例11,042例中、100例(0.91%)に副作用が認められました。主な副作用は、

となっています。ムコダインは非常に副作用の少ないお薬です。全体でも1%以下の出現率ですし、最も多い副作用が食思不振や下痢、腹痛などの消化器症状です。

これらの副作用調査は患者さんの症状をみながら医師が報告して調査されるのですが、本当にムコダインの副作用かどうか調べることはしていません。していないというより、できないといったところが正直なところです。これらの消化器症状も、

どちらかはっきりと区別することは医学的に難しいところです。実際に風邪の人は多少なりとも食欲が低下することがほとんどです。

また、喉にいたばい菌がお腹に移行すれば、下痢や軽度の腹痛なども風邪でも起こりえます。ムコダインの作用のせいで食思不振や腹痛になるような作用機序は、現在のところ明らかになっていません。そのため、ムコダインの副作用は過度に心配する必要はありませんし、風邪などの症状が悪化しないか心配した方が現実的かと思います。

 

2.ムコダインに眠気の副作用はないのか?

添付文章でも、ムコダインの副作用に眠気は記載されていません。

ムコダインを内服すると、眠気が生じるとおっしゃる人が度々います。しかしムコダインの添付文章では、副作用に眠気は記載されていません。作用機序的にも、ムコダインは眠気を生じることはありません。

ムコダインを内服中に眠気が生じる理由として、以下の二つが考えられます。

  1. 風邪の症状で眠気が生じる
  2. 他の薬の影響で眠気が生じる

まず①の風邪の症状で眠気が生じる可能性についてです。ムコダインが処方される方は、

などの症状がある方でしょう。痰が胸や喉につっかえたり、鼻水で鼻がつまったりするとかなりの不快感が伴います。これらの不快な症状が、安眠を妨げている可能性があります。

ムコダインは痰や鼻水を出しやすくするお薬ですが、原因となる病気を治す治療ではありません。そのため原因となる病気がある限り、痰や鼻水は出続けます。そのためムコダインを内服している間は、痰や鼻水が出続けていて夜寝れてない人が多いです。

もう一つは、他のお薬の副作用です。風邪症状で最も多く処方されるのは、感冒総合薬のPL配合顆粒かと思います。このPL配合顆粒は、

の4種類の効力があるお薬が配合されています。この中で抗ヒスタミン薬は、副作用として眠気を生じる可能性があるお薬です。抗ヒスタミン薬は、鼻水を抑えるために配合されています。そのため鼻水の症状が中心の人は、PL配合顆粒ではなくポララミンなど抗ヒスタミン薬単剤で処方されている方もいます。

また咳止めであるアスベリンやメジコンも、稀にですが眠気を起こす人もいます。このような原因によって、眠気が出現する可能性が高いです。少なくとも眠気が出現したからといって、ムコダインを中止する必要はありません。

 

3.ムコダインが内服できない人は?

ムコダインが内服できない人は、ムコダインにアレルギーがある人のみです。

ムコダインの添付文章では、禁忌にあたる人はムコダインにアレルギーがある方のみとなっています。これはムコダインに限らず、全ての薬に対していえることです。また、ムコダインで慎重に投与が必要と記載されている方は、

  1. 肝障害のある患者[肝機能障害のある患者に投与した時、肝機能が悪化することがある。]
  2. 心障害のある患者[類薬で心不全のある患者に悪影響を及ぼしたとの報告がある。]

と記載されています。しかし実際の現場では、肝臓や心臓が悪いからといってムコダインの投与を中止することはほとんどありません。もしムコダインが使用できないくらい肝臓や心臓の状態が悪い方は、ほとんどのお薬が使用できないくらい重篤な状態です。

また、ムコダインは一緒に飲んではいけないお薬もなければ、一緒に飲むことで効果が減弱したり強くなったりということもないお薬です。

風邪の時に一緒に処方されることが多いPL配合顆粒などには痰切り成分は含まれていないため、ムコダインと一緒に内服することが多いです。その他の咳止めや解熱剤も、ムコダインとの飲み合わせは問題ないです。

そのためムコダインは、どのような疾患の人にも、そしてどのようなお薬を内服してる人でも、基本的には使用して良いお薬となっています。

 

4.ムコダインはアルコールと一緒に内服して良いの?

ムコダインとアルコールは飲み合わせとしては問題ありません。ただしアルコール自体、風邪には良くないので注意しましょう。

ムコダインは、アルコールと一緒に内服することで効果が減弱したり、副作用が増えたりといったことがないお薬です。ただし問題ないからといって、ムコダインとアルコールを一緒に飲んでよいかはまた別問題です。

特に風邪でムコダインを内服している人は要注意です。ムコダイン以外の風邪薬は、アルコールと一緒に内服すると眠気が強く出てくることがあります。場合によっては、意識が低下してもうろうとしたりします。

また風邪薬は、あくまでも症状を一時的に緩和する対処療法にすぎません。風邪の一番の治療は安静です。そのため、アルコールを飲まずに体を休めることが一番の治療になります。

一方で病気によっては、長期にムコダインを内服している方もいるかもしれません。COPD(肺気腫)などタバコで肺がボロボロになって痰が出続ける人に、ムコダインはよく処方されます。COPDは基本的には治らない病気のため、一生ムコダインを飲み続ける人も多いでしょう。タバコを吸ってる人はお酒が好きな人も多いです。

タバコを頑張って禁煙しているのに、アルコールも一滴も飲んではいけないというのは酷な話かもしれません。そのためムコダインを長期に飲む必要がある人は、節度を守ればアルコールを飲んでも良いとは個人的には思います。ただしその場合も、禁煙のストレスでついついお酒がすすんでしまう人が多いです。あくまでも嗜む程度であって、大量にアルコールを飲んではいけません。

一方で非結核性抗酸菌症などでムコダインを飲み続けている人は、クラリスやリファンピシンなどばい菌をやっつけるお薬を一緒に飲んでることが多いです。これらのばい菌をやっつけるお薬が肝障害を起こす可能性があるため、肝臓を悪くするアルコールは控えなければなりません。

そのため長期にムコダインを内服している方は、アルコールを飲んでも良いか一度処方されている医師に相談してみると良いでしょう。

 

5.ムコダインは高齢者・小児・妊婦・授乳中の方に処方して良いの?

基本的にどの方も禁忌ではありません。妊娠中の方はやや注意が必要です。

ムコダインは高齢者に関しては添付文章では、一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意することと記載されています。

しかしムコダインは安全性が高いお薬です。逆にムコダインを処方するような痰がでている方は、痰を出す力が高齢者の方の場合弱ってることが多いため、若い方より不快感が強くなると思います。そのため実際の医療現場では、高齢者でもほとんどが通常量処方されていると思います。

またムコダインは乳幼児にも処方しやすいお薬です。乳幼児は、ドライシロップなどの剤型で内服することが多いでしょう。ゼーゼーと苦しそうな呼吸をしている赤ちゃんは、痰が絡まっていることが多いです。ムコダインで痰をしっかりと切ってあげましょう。

唯一気を付けるとするならば、妊婦になります。添付文章では、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

と記載されています。実際に妊婦の安全が確立されているお薬はかなり少ないです。他のどの風邪薬も、この一文は記載されています。そのため医療現場では、妊婦の方にも処方していることが多いお薬です。

一方でムコダインは、痰を出しやすくするお薬であり、痰がでる原因を治す治療薬ではありません。そのため軽症な方は、あえてムコダインを内服する必要はないと思います。またムコダインを内服していて症状が軽くなった方も飲み切る必要性が低いお薬です。

授乳している方はムコダインは安全に内服できますし、授乳することも可能です。実際に乳幼児にもムコダインは処方されているお薬です。それくらい安全性が高いお薬のため、授乳中の方も安心してムコダインを内服してください。

 

まとめ

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