ムコダイン錠・シロップ(L-カルボシステイン)の効果と特徴

アイコン 2016.12.5 ムコダイン

ムコダイン錠(一般名:L-カルボシステイン)は1981年に杏林製薬より発売され去痰薬です。

ムコダインは痰の成分を整えたり、気道の粘膜をきれいにすることで痰を出しやすくするお薬です。綺麗にするのは気道の粘膜だけではなく、鼻や耳の中の粘膜も綺麗にするため、副鼻腔炎や中耳炎にも使用されます。

副作用も少なく小児や高齢者にも安全に使用されるお薬のため、痰が絡んだり、鼻水が出るといった人にはまずムコダインを処方する医師も多いです。注意しなければならないのは、ムコダインはあくまでも痰を出しやすくするお薬であり、痰がでる原因の疾患を治すわけではありません。

そのためムコダインを飲み続けないと痰が出続ける人は、レントゲン等でしっかりと原因を特定する必要があります。ここでは、ムコダインの効果と特徴についてみていきましょう。

 

1.ムコダインのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

ムコダインは痰切りとして最も処方されているお薬です。痰切りの効果としては、

という2つの効果を示します。さらにムコダインは気道だけではなく、

など鼻や耳の繊毛の働きも促します。実は鼻、耳は耳管という部位を通してつながってます。また鼻から息を吸えば、喉を通って気管支や肺を通ります。このように、上気道(鼻・耳・口腔)と下気道(気管支・肺)は一つの管でつながっており、どの部位も同じような構造をしています。

そのため気道の繊毛が働くことは、鼻や耳の繊毛も一緒に働くことにつながるのです。このため肺の病気だけじゃなく、副鼻腔炎や中耳炎などの病気にもムコダインは適応になります。

これほど広範囲に効果を示すムコダインですが、安全性も高いお薬です。実際に副作用もほとんどないですし、使用できない病気や飲み合わせが悪いお薬もありません。

そのため、小児からご高齢の方まで幅広く使われているのがムコダインです。一方で、デメリットもあります。一番の問題は、ムコダインは痰を調整して外に出しやすくする効果しかムコダインはないということです。つまりムコダインは、痰がでる原因自体を治療するお薬ではありません。

ムコダインはあくまでも対処療法にすぎません。そのため原因疾患が特定されないまま使用し続けると、思わぬ病気が隠れていることもあります。

またムコダインは、繊毛を動かして掃除をするお薬です。そのため、さらさらした痰や鼻水ですと外に出しやすいですが、泥のようになった膿はドロドロしてしまって繊毛は全く外に出せません。ムコダイン含めて膿に対しては、内服薬でコントロールするのは非常に難しいです。

場合によっては、手術などで膿自体を取り除く必要があります。様々な病気に効果があり、副作用も少ないのがムコダインのメリットです。しかしそれに甘えてムコダインに頼り続けていると、思わぬ落とし穴に落ちてしまう場合もあるため注意しましょう。

 

2.ムコダインの適応と用量は?

ムコダインは肺の病気だけでなく、鼻や耳の病気にも適応があります。ムコダインは1日3回内服することで効果を発揮します。

ムコダインの剤型は

があります。錠剤だけでなくシロップもあるため、小児にも投与しやすいお薬となっています。適応疾患としては、

  1. 上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核の去痰
  2. 慢性副鼻腔炎の排膿
  3. 滲出性中耳炎の排液(小児のみ)

です。ここで注意が必要なのは、これらの疾患の治療ではないことです。①も去痰と書かれているように、ムコダインは痰を除去するのみの薬です。風邪なら自然に治るのでムコダインで様子をみていてよいのですが、

は適切な治療をしたうえでムコダインを飲む必要があるので、注意しましょう。また②・③は、あくまでさらさらした液体の場合のみ適応になります。ネバネバした膿になった場合は効力がありません。医師に何らかの処置をすすめられた場合、ムコダインで様子をみるなどはしないようにしましょう。

特に大人の中耳炎はムコダインは効力が弱く、適応外なので注意しましょう。投与量ですが、

となっています。適宜増減すると添付文章ではありますが、ムコダインが効かないからといって倍量で内服することはほとんどありません。原因にもよりますが、効果が不十分な場合は他の内服薬を追加する場合が多いです。

ムコダインは最高血中濃度は2.2時間です。また半減期は1.6時間と体内に蓄積されることが少ないお薬です。

 

3.ムコダインの薬価は?

ムコダインは古いお薬のためジェネリック医薬品も登場しています。

次にムコダインの薬価です。先発品のムコダインですが、

  剤型 薬価 3割負担
ムコダイン錠 250mg 8.3円 2.5円
ムコダイン錠 500mg 14.7円 4.4円
ムコダインDS 50% 30.6円 9.2円
ムコダインシロップ 5% 6円 1.8円

※2016年11月25日の薬価です。

となっています。ちなみにムコダインは古いお薬のためジェネリック医薬品があります。カルボシステインの薬価ですが、

  剤型 薬価 3割負担
カルボシステイン錠 250mg 5.6円 1.6円
カルボシステイン錠 500mg 6.8円 2.0円
カルボシステインDS 50% 11.4円 3.4円
カルボシステインシロップ 5% 2.6円 0.8円

※2016年11月25日の薬価です。

剤型によって違いはあるものの、半分前後の薬価にジェネリック医薬品は発売されています。またジェネリック医薬品は複数の会社が発売しているため、同じカルボシステインでも掲載価格とは微妙に違う可能性があるので注意してください。

 

4.ムコダインが向いてる人は?

<向いてる人>

ムコダインは、主に痰切りに使用するお薬です。

そもそも痰とは、正常な人にも作られています。気管支などにある杯細胞などから粘液物がでてきて、肺の中を綺麗にしています。杯細胞が出した粘液物をゴミとしてまとめたのが痰になります。

実は痰として肺や咽頭で作られたゴミは、少ない場合は食道の方に落ちていきます。食道は胃につながっているため全く問題になりません。ただしこの痰の量が増えて咽頭から口に溜まる場合が、喀痰として症状となって表れます。

喀痰の原因は、

  1. 異物が体に入ってきたのを粘液物で絡めとって外に出す防御反応
  2. 気管支や咽頭のどこかから粘液物が漏れ出ている

このように2つあります。風邪などでばい菌を外に出そうとするのが①になります。ただし①でも、

などが喀痰の原因の場合は、ムコダインを飲み続けても一時的に症状は改善しますが一向に良くなりません。むしろ場合によっては、どんどん悪化してしまいます。また、②の粘液物が漏れ出ている場合は、どこから漏れ出ているのかすぐに確認する必要があります。場合によっては、

などの病気が隠れていることがあります。喀痰について詳しく知りたい方は、「痰はどうして出るのか?喀痰の原因と病気の見分け方」を参照してみてください。

さらにムコダインは広範囲に効果を発揮するお薬ですが、効力自体は強くありません。イメージとしては、ほうきで埃やチリをお掃除しているものだと思ってください。

ベタベタしたどろ状のものだと、ほうきでは掃くことは難しいですね。このベタベタとどろ状のものが膿です。痰や鼻水もネバネバ程度であればムコダインでも対応できますが、ベタベタとどろ状のものであると効力はあまり発揮できません。

膿までいくと基本的には薬ではどうすることもできないので、

などの侵襲的な処置で取り除く必要が出てきます。手術というと、痛いし嫌だと思う人もいるかもしれません。しかし効力のないムコダインで治療していても意味がないばかりか、どんどん状態が悪化してしまいます。そのためムコダインが効かない人は、すぐに病院を再受診してみてもらうようにしましょう。

このような背景を踏まえたうえで、ムコダインはどのような人に向いてるのか考えてみましょう。一番良いのは、風邪などで一時的に痰がでている人です。

風邪などは安静に加療していれば、基本的に風邪は良くなります。そのためムコダインを内服して、痰による不快な症状を取りながら風邪を治すことができます。

また、病気がしっかりと診断されたうえでムコダインを使うのも安心です。特にCOPDなどの病気では、痰を正常化することで病気の悪化が防げるといったデータもあることから、積極的に使用するように言われています。

ただし病名が分かってムコダインを内服している人も、痰が増えてきたら注意が必要です。

の2つが考えられます。どちらか知るために、必ずムコダインを処方してくれた医師に相談しましょう。

 

5.ムコダインの作用機序は?

ムコダインは気道の状態、痰の性質を改善して痰を出しやすくするお薬です。さらに気道だけではなく、鼻や耳にも効果を示します。

痰切りの去痰剤などは色々なお薬が処方されています。その中でも色々なタイプがあります。大まかなタイプを下にまとめました。

種類 作用機序 代表薬
気道分泌
促進薬
気道の中のさらさらの痰を増やすことで、
気道を綺麗にする。
ビソルボン
気道粘液
溶解薬
ネバネバの痰をさらさらに変える。 ムコフィリン
気道粘液
修復薬
痰の粘液を整えて、
気道の繊毛の動きを活発にする。
ムコダイン
気道潤滑薬 気道内のサーファクタントを活発にして、
気道を掃除する。
ムコソルバン

この中で、ムコダインは気道粘液修復薬になります。痰の状態を整えて出しやすくする上に、外に出す手助けまでしてくれます。さらにムコダインは、気道にとどまらず鼻腔や耳管にも効果を示します。それぞれの細かい作用をみていきましょう。

 

5-1.痰の正常化

まず一つ目のムコダインの作用ですが、気道に分泌される痰を正常化することで痰を排出しやすくする作用があります。痰の性状は、大部分は水です。その中で1割程度、ムチンという物質が含まれています。このムチンが、痰の粘っこさを出す原因になります。

痰が固くなって粘っこいと、出しづらくなってしまいます。ムチンの構成成分は、

の2つが挙げられます。シアル酸が増えてフコースが減って構成比が崩れると、痰がよりネバネバします。ムコダインはこれらの構成比を正常化させ、ムチンの生成を抑制することで痰の粘度を下げます。

こうすることで痰のネバネバが弱くなり、痰を出しやすくできます。

 

5-2.気道の状態を良くする

気道や気管支の壁には、線毛と呼ばれる毛のようなものが付いています。この毛は常に動いており、肺の通り道をお掃除しています。ほうき(繊毛)で道の葉っぱ(痰)を掃くイメージをするとよいかもしれません。

さらにムコダインは、気道粘膜の炎症を抑える作用もあります。これによって、気管壁に存在する線毛の活動性が上がるのです。

ただし繊毛はほうきなので、気道にへばりついた膿みたいのは掃除することができません。

 

5-3.鼻腔・副鼻腔をきれいにする

ムコダインは「去痰剤」というイメージが強く、肺疾患に最も多く使用されます。しかし実は鼻水にも効果があることが分かっています。

気管や鼻腔は、同じ空気の通り道です。そのため、どこかを境にいきなり構造が変わるといったことはなく、鼻腔・副鼻腔と気管は同じような構造をしています。

そのため、先ほどと同じように鼻水もムチンが含まれていますし、鼻の繊毛も気道と同じようにあります。ムコダインを内服すると気管支だけではなく、鼻にも効果を示します。

実際に鼻への効果は気管支同様に、

などの効果によって鼻汁の排泄を促したり、鼻閉を改善させます。特に、

などのばい菌による鼻水は適応できる薬が少ないです。そのため風邪の鼻水は、ムコダインは良い適応になります。

 

5-4.中耳貯留液を綺麗にする

ムコダインは、気道や鼻だけではなく、中耳にも作用してくれます。実は鼻と耳の中も、耳管を通じてつながっています。

つまり耳・鼻・気道は全てつながっているのです。そのためムコダインは、先ほどの鼻同様に中耳にも作用するのです。中耳というのは、耳の鼓膜より奥の部位を指します。

ムコダインは中耳でも、

などの作用で、中耳のばい菌が溜まっている液を排出する働きがあります。ただし、痰は口から、鼻水は鼻から障害物がなく出てくるのですが、耳は鼓膜という壁があります。

そのため、上記2つに比べると効果はマイルドになります。実際に中耳炎で使用できるのは、軽症の小児のみなので注意しましょう。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>

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