カルボシステイン錠・シロップの効果と副作用

アイコン 2016.12.10 ムコダイン

カルボシステイン錠(一般名:L-カルボシステイン)は、去痰薬と発売されたムコダインのジェネリック医薬品です。

カルボシステインは痰の成分を整えたり、気道の粘膜をきれいにすることで痰を出しやすくするお薬です。綺麗にするのは気道の粘膜だけではなく、鼻の中の粘膜も綺麗にするため、副鼻腔炎にも使用されます。

一方でジェネリック医薬品であるカルボシステインは中耳炎には適応ないため注意が必要です。

副作用も少なく小児や高齢者にも安全に使用されるお薬のため、痰が絡んだり、鼻水が出るといった人にはまずカルボシステインを処方する医師も多いです。注意しなければならないのは、カルボシステインはあくまでも痰を出しやすくするお薬であり、痰がでる原因の疾患を治すわけではありません。

そのためカルボシステインを飲み続けないと痰が出続ける人は、レントゲン等でしっかりと原因を特定する必要があります。ここでは、カルボシステインの効果と副作用の特徴についてみていきましょう。

 

1.カルボシステインのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

カルボシステインは痰切りとして最も処方されているお薬です。痰切りの効果としては、

という2つの効果を示します。さらにカルボシステインは気道だけではなく、

など鼻や耳の繊毛の働きも促します。実は鼻、耳は耳管という部位を通してつながってます。また鼻から息を吸えば、喉を通って気管支や肺を通ります。このように、上気道(鼻・耳・口腔)と下気道(気管支・肺)は一つの管でつながっており、どの部位も同じような構造をしています。

そのため気道の繊毛が働くことは、鼻や耳の繊毛も一緒に働くことにつながるのです。このため肺の病気だけじゃなく、副鼻腔炎や中耳炎などの病気にもカルボシステインは効果があります。ただしジェネリック医薬品であるカルボシステインは中耳炎に対して十分なデータがないため適応になっていないので注意が必要です。

これほど広範囲に効果を示すカルボシステインですが、安全性も高いお薬です。実際に副作用もほとんどないですし、使用できない病気や飲み合わせが悪いお薬もありません。

そのため、小児からご高齢の方まで幅広く使われているのがカルボシステインです。一方で、デメリットもあります。一番の問題は、カルボシステインは痰を調整して外に出しやすくする効果しかカルボシステインはないということです。つまりカルボシステインは、痰がでる原因自体を治療するお薬ではありません。

カルボシステインはあくまでも対処療法にすぎません。そのため原因疾患が特定されないまま使用し続けると、思わぬ病気が隠れていることもあります。

またカルボシステインは、繊毛を動かして掃除をするお薬です。そのため、さらさらした痰や鼻水ですと外に出しやすいですが、泥のようになった膿はドロドロしてしまって繊毛は全く外に出せません。カルボシステイン含めて膿に対しては、内服薬でコントロールするのは非常に難しいです。

場合によっては、手術などで膿自体を取り除く必要があります。様々な病気に効果があり、副作用も少ないのがカルボシステインのメリットです。しかしそれに甘えてカルボシステインに頼り続けていると、思わぬ落とし穴に落ちてしまう場合もあるため注意しましょう。

 

2.カルボシステインの適応と用量は?

カルボシステインは肺の病気だけでなく、鼻の病気にも適応があります。カルボシステインは1日3回内服することで効果を発揮します。

カルボシステインの剤型は

があります。錠剤だけでなくシロップもあるため、小児にも投与しやすいお薬となっています。適応疾患としては、

  1. 上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核の去痰
  2. 慢性副鼻腔炎の排膿

です。ここで注意が必要なのは、これらの疾患の治療ではないことです。①も去痰と書かれているように、カルボシステインは痰を除去するのみの薬です。風邪なら自然に治るのでカルボシステインで様子をみていてよいのですが、

は適切な治療をしたうえでカルボシステインを飲む必要があるので、注意しましょう。また②・③は、あくまでさらさらした液体の場合のみ適応になります。ネバネバした膿になった場合は効力がありません。医師に何らかの処置をすすめられた場合、カルボシステインで様子をみるなどはしないようにしましょう。

また先発品のムコダインは中耳炎に対して効果を示しますが、カルボシステインは適応がありません。これは後発品のカルボシステインで臨床データが示されていないためです。

投与量ですが、

となっています。適宜増減すると添付文章ではありますが、カルボシステインが効かないからといって倍量で内服することはほとんどありません。原因にもよりますが、効果が不十分な場合は他の内服薬を追加する場合が多いです。

カルボシステインは最高血中濃度は2.2時間です。また半減期は1.6時間と体内に蓄積されることが少ないお薬です。

 

3.カルボシステインの薬価は?

カルボシステインはムコダインのジェネリック医薬品です。ムコダインの半額程度の薬価で購入できます。

次にカルボシステインの薬価です。先に先発品のですが、

  剤型 薬価 3割負担
カルボシステイン錠 250mg 8.3円 2.5円
カルボシステイン錠 500mg 14.7円 4.4円
カルボシステインDS 50% 30.6円 9.2円
カルボシステインシロップ 5% 6円 1.8円

※2016年11月25日の薬価です。

となっています。次にジェネリック医薬品のカルボシステインの薬価です。

  剤型 薬価 3割負担
カルボシステイン錠 250mg 5.6円 1.6円
カルボシステイン錠 500mg 6.8円 2.0円
カルボシステインDS 33.3% 8.3円 2.5円
カルボシステインDS 50% 11.4円 3.4円
カルボシステインシロップ 5% 2.6円 0.8円
カルボシステインシロップ 10% 6.0円 1.8円

※2016年11月25日の薬価です。

剤型によって違いはあるものの、半分前後の薬価にジェネリック医薬品は発売されています。さらに発売会社も、

など複数から発売されています。製薬会社によって薬価も多少違うため注意が必要です。

 

4.カルボシステインの副作用は?

カルボシステインはほとんど副作用がないお薬です。

カルボシステインの総症例11,042例中、100例(0.91%)に副作用が認められました。主な副作用は、

となっています。カルボシステインは非常に副作用の少ないお薬です。全体でも1%以下の出現率ですし、最も多い副作用が食思不振や下痢、腹痛などの消化器症状です。

これらの副作用調査は患者さんの症状をみながら医師が報告して調査されるのですが、本当にカルボシステインの副作用かどうか調べることはしていません。していないというより、できないといったところが正直なところです。これらの消化器症状も、

どちらかはっきりと区別することは医学的に難しいところです。実際に風邪の人は多少なりとも食欲が低下することがほとんどです。

また、喉にいたばい菌がお腹に移行すれば、下痢や軽度の腹痛なども風邪でも起こりえます。カルボシステインの作用のせいで食思不振や腹痛になるような作用機序は、現在のところ明らかになっていません。そのため、カルボシステインの副作用は過度に心配する必要はありませんし、風邪などの症状が悪化しないか心配した方が現実的かと思います。

 

5.カルボシステインが内服できない人は?

カルボシステインが内服できない人は、カルボシステインにアレルギーがある人のみです。

カルボシステインの添付文章では、禁忌にあたる人はカルボシステインにアレルギーがある方のみとなっています。これはカルボシステインに限らず、全ての薬に対していえることです。また、カルボシステインで慎重に投与が必要と記載されている方は、

  1. 肝障害のある患者[肝機能障害のある患者に投与した時、肝機能が悪化することがある。]
  2. 心障害のある患者[類薬で心不全のある患者に悪影響を及ぼしたとの報告がある。]

と記載されています。しかし実際の現場では、肝臓や心臓が悪いからといってカルボシステインの投与を中止することはほとんどありません。もしカルボシステインが使用できないくらい肝臓や心臓の状態が悪い方は、ほとんどのお薬が使用できないくらい重篤な状態です。

また、カルボシステインは一緒に飲んではいけないお薬もなければ、一緒に飲むことで効果が減弱したり強くなったりということもないお薬です。

風邪の時に一緒に処方されることが多いPL配合顆粒などには痰切り成分は含まれていないため、カルボシステインと一緒に内服することが多いです。その他の咳止めや解熱剤も、カルボシステインとの飲み合わせは問題ないです。

そのためカルボシステインは、どのような疾患の人にも、そしてどのようなお薬を内服してる人でも、基本的には使用して良いお薬となっています。

 

6.カルボシステインは高齢者・小児・妊婦・授乳中の方に処方して良いの?

基本的にどの方も禁忌ではありません。妊娠中の方はやや注意が必要です。

カルボシステインは高齢者に関しては添付文章では、一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意することと記載されています。

しかしカルボシステインは安全性が高いお薬です。逆にカルボシステインを処方するような痰がでている方は、痰を出す力が高齢者の方の場合弱ってることが多いため、若い方より不快感が強くなると思います。そのため実際の医療現場では、高齢者でもほとんどが通常量処方されていると思います。

またカルボシステインは乳幼児にも処方しやすいお薬です。乳幼児は、ドライシロップなどの剤型で内服することが多いでしょう。ゼーゼーと苦しそうな呼吸をしている赤ちゃんは、痰が絡まっていることが多いです。カルボシステインで痰をしっかりと切ってあげましょう。

唯一気を付けるとするならば、妊婦になります。添付文章では、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

と記載されています。実際に妊婦の安全が確立されているお薬はかなり少ないです。他のどの風邪薬も、この一文は記載されています。そのため医療現場では、妊婦の方にも処方していることが多いお薬です。

一方でカルボシステインは、痰を出しやすくするお薬であり、痰がでる原因を治す治療薬ではありません。そのため軽症な方は、あえてカルボシステインを内服する必要はないと思います。またカルボシステインを内服していて症状が軽くなった方も飲み切る必要性が低いお薬です。

授乳している方はカルボシステインは安全に内服できますし、授乳することも可能です。実際に乳幼児にもカルボシステインは処方されているお薬です。それくらい安全性が高いお薬のため、授乳中の方も安心してカルボシステインを内服してください。

 

7.カルボシステインとムコダインの効果と副作用の比較

先発品・ジェネリックの効果と副作用は、大きな違いはないと考えられます。

多くの方が気になるのは、先発品のムコダインとジェネリック医薬品のカルボシステインで効果と副作用が同じかどうかだと思います。

ジェネリック医薬品では、有効成分は先発品とまったく同じものを使っています。ですから、効果や副作用の大まかな特徴は同じになります。先発品とジェネリック医薬品の違いは、薬を作るときの製造技術です。ジェネリック医薬品を作る時に求められるのは、薬の吸収・排泄と安定性の2つが先発品と同等であることです。

実際に先発品のムコダインとカルボシステインは主成分であるL-カルボシステインの投与量は同量です。そのため、現時点ではほぼ同じ薬だと考えて良いと思います。

ジェネリック医薬品について詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。

 

8.カルボシステインが向いてる人は?

<向いてる人>

カルボシステインは、主に痰切りに使用するお薬です。

そもそも痰とは、正常な人にも作られています。気管支などにある杯細胞などから粘液物がでてきて、肺の中を綺麗にしています。杯細胞が出した粘液物をゴミとしてまとめたのが痰になります。

実は痰として肺や咽頭で作られたゴミは、少ない場合は食道の方に落ちていきます。食道は胃につながっているため全く問題になりません。ただしこの痰の量が増えて咽頭から口に溜まる場合が、喀痰として症状となって表れます。

喀痰の原因は、

  1. 異物が体に入ってきたのを粘液物で絡めとって外に出す防御反応
  2. 気管支や咽頭のどこかから粘液物が漏れ出ている

このように2つあります。風邪などでばい菌を外に出そうとするのが①になります。ただし①でも、

などが喀痰の原因の場合は、カルボシステインを飲み続けても一時的に症状は改善しますが一向に良くなりません。むしろ場合によっては、どんどん悪化してしまいます。また、②の粘液物が漏れ出ている場合は、どこから漏れ出ているのかすぐに確認する必要があります。場合によっては、

などの病気が隠れていることがあります。喀痰について詳しく知りたい方は、「痰はどうして出るのか?喀痰の原因と病気の見分け方」を参照してみてください。

さらにカルボシステインは広範囲に効果を発揮するお薬ですが、効力自体は強くありません。イメージとしては、ほうきで埃やチリをお掃除しているものだと思ってください。

ベタベタしたどろ状のものだと、ほうきでは掃くことは難しいですね。このベタベタとどろ状のものが膿です。痰や鼻水もネバネバ程度であればカルボシステインでも対応できますが、ベタベタとどろ状のものであると効力はあまり発揮できません。

膿までいくと基本的には薬ではどうすることもできないので、

などの侵襲的な処置で取り除く必要が出てきます。手術というと、痛いし嫌だと思う人もいるかもしれません。しかし効力のないカルボシステインで治療していても意味がないばかりか、どんどん状態が悪化してしまいます。そのためカルボシステインが効かない人は、すぐに病院を再受診してみてもらうようにしましょう。

このような背景を踏まえたうえで、カルボシステインはどのような人に向いてるのか考えてみましょう。一番良いのは、風邪などで一時的に痰がでている人です。

風邪などは安静に加療していれば、基本的に風邪は良くなります。そのためカルボシステインを内服して、痰による不快な症状を取りながら風邪を治すことができます。

また、病気がしっかりと診断されたうえでカルボシステインを使うのも安心です。特にCOPDなどの病気では、痰を正常化することで病気の悪化が防げるといったデータもあることから、積極的に使用するように言われています。

ただし病名が分かってカルボシステインを内服している人も、痰が増えてきたら注意が必要です。

の2つが考えられます。どちらか知るために、必ずカルボシステインを処方してくれた医師に相談しましょう。

 

9.カルボシステインの作用機序は?

カルボシステインは気道の状態、痰の性質を改善して痰を出しやすくするお薬です。さらに気道だけではなく、鼻や耳にも効果を示します。

痰切りの去痰剤などは色々なお薬が処方されています。その中でも色々なタイプがあります。大まかなタイプを下にまとめました。

種類 作用機序 代表薬
気道分泌
促進薬
気道の中のさらさらの痰を増やすことで、
気道を綺麗にする。
ビソルボン
気道粘液
溶解薬
ネバネバの痰をさらさらに変える。 ムコフィリン
気道粘液
修復薬
痰の粘液を整えて、
気道の繊毛の動きを活発にする。
カルボシステイン
気道潤滑薬 気道内のサーファクタントを活発にして、
気道を掃除する。
ムコソルバン

この中で、カルボシステインは気道粘液修復薬になります。痰の状態を整えて出しやすくする上に、外に出す手助けまでしてくれます。さらにカルボシステインは、気道にとどまらず鼻腔や耳管にも効果を示します。それぞれの細かい作用をみていきましょう。

 

9-1.痰の正常化

まず一つ目のカルボシステインの作用ですが、気道に分泌される痰を正常化することで痰を排出しやすくする作用があります。痰の性状は、大部分は水です。その中で1割程度、ムチンという物質が含まれています。このムチンが、痰の粘っこさを出す原因になります。

痰が固くなって粘っこいと、出しづらくなってしまいます。ムチンの構成成分は、

の2つが挙げられます。シアル酸が増えてフコースが減って構成比が崩れると、痰がよりネバネバします。カルボシステインはこれらの構成比を正常化させ、ムチンの生成を抑制することで痰の粘度を下げます。

こうすることで痰のネバネバが弱くなり、痰を出しやすくできます。

 

9-2.気道の状態を良くする

気道や気管支の壁には、線毛と呼ばれる毛のようなものが付いています。この毛は常に動いており、肺の通り道をお掃除しています。ほうき(繊毛)で道の葉っぱ(痰)を掃くイメージをするとよいかもしれません。

さらにカルボシステインは、気道粘膜の炎症を抑える作用もあります。これによって、気管壁に存在する線毛の活動性が上がるのです。

ただし繊毛はほうきなので、気道にへばりついた膿みたいのは掃除することができません。

 

9-3.鼻腔・副鼻腔をきれいにする

カルボシステインは「去痰剤」というイメージが強く、肺疾患に最も多く使用されます。しかし実は鼻水にも効果があることが分かっています。

気管や鼻腔は、同じ空気の通り道です。そのため、どこかを境にいきなり構造が変わるといったことはなく、鼻腔・副鼻腔と気管は同じような構造をしています。

そのため、先ほどと同じように鼻水もムチンが含まれていますし、鼻の繊毛も気道と同じようにあります。カルボシステインを内服すると気管支だけではなく、鼻にも効果を示します。

実際に鼻への効果は気管支同様に、

などの効果によって鼻汁の排泄を促したり、鼻閉を改善させます。特に、

などのばい菌による鼻水は適応できる薬が少ないです。そのため風邪の鼻水は、カルボシステインは良い適応になります。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>