ブロムヘキシン塩酸塩錠・シロップの効果と特徴

アイコン 2017.2.12 ビソルボン/ブロムヘキシン

ブロムヘキシン塩酸塩錠・シロップは、1966年にベーリンガーインゲルハイム製薬会社より発売された去痰薬ビソルボンのジェネリックです。

ブロムヘキシン塩酸塩は痰をサラサラにしたうえで、あえて痰の量を増やすことで痰を出しやすくするお薬です。

副作用も少なく安全に使用されるお薬のため、痰が絡むときに処方されるお薬です。注意しなければならないのは、ブロムヘキシン塩酸塩はあくまでも痰を出しやすくするお薬であり、痰がでる原因の疾患を治すわけではありません。

そのためブロムヘキシン塩酸塩を飲み続けないと痰が出続ける人は、レントゲン等でしっかりと原因を特定する必要があります。ここでは、ブロムヘキシン塩酸塩の効果と特徴についてみていきましょう。

 

1.ブロムヘキシン塩酸塩のメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

ブロムヘキシン塩酸塩は、痰切りとして処方されているお薬です。痰切りの効果としては、

という2つの効果を示します。ブロムヘキシン塩酸塩はさらに安全性も高いお薬です。実際に副作用もほとんどないですし、使用できない病気や飲み合わせが悪いお薬もありません。

一方で、デメリットもあります。一番の問題は、ブロムヘキシン塩酸塩は痰を調整して外に出しやすくする効果しかないということです。つまりブロムヘキシン塩酸塩は、痰がでる原因自体を治療するお薬ではありません。

ブロムヘキシン塩酸塩はあくまでも対処療法にすぎません。そのため原因疾患が特定されないまま使用し続けると、思わぬ病気が隠れていることもあります。

またブロムヘキシン塩酸塩は、どろどろとした膿性の痰に効果があります。イメージとしては車についた汚れを落とすところを想像してください。まず洗剤で落ちやすくさせます。その後水で洗い流すでしょう。ブロムヘキシン塩酸塩はこのように、痰を変化させて落ちやすくさせたうえで、サラサラした痰(水)で洗い流すイメージです。

つまりベタベタした痰には効果があるのですが、最初からサラサラしている痰には効果がありません。むしろもっとサラサラさせるうえに、痰の量を増やすため逆効果になります。そのため、痰の性状をよく踏まえたうえでブロムヘキシン塩酸塩は使用した方が良い薬です。

またブロムヘキシン塩酸塩が先発品のビソルボンと違う点としてシロップがある点です。先発品のビソルボンもシロップはありますが、2016年3月をもって発売が中止されました。小児を中心にシロップで内服したい方は、後発品であるブロムヘキシン塩酸塩しかありません。

 

2.ブロムヘキシン塩酸塩の適応と用量は?

ブロムヘキシン塩酸塩は、べたべたした痰がでる病気に適応があります。ブロムヘキシン塩酸塩を1日3回内服することで効果を発揮します。

ブロムヘキシン塩酸塩の剤型は、

があります。ブロムヘキシン塩酸塩は錠剤だけでなくシロップもあります。この点が先発品であるビソルボンとは違う点です。

またブロムヘキシン塩酸塩は吸入液や点滴もありますが、このページでは内服のブロムヘキシン塩酸塩錠・シロップに絞ってまとめていきます。ブロムヘキシン塩酸塩の適応疾患としては、

となっています。なお去痰剤として代表的なムコダインの適応疾患と比較すると、ブロムヘキシン塩酸塩には

などの病名がありません。これらの病気は、痰がサラサラの場合もあるために除外されています。つまりブロムヘキシン塩酸塩は、全ての痰に適応があるわけではなく、ネバネバした痰にのみ適応があると考えてください。

一番分かりやすいのが風邪や肺炎などのばい菌に感染した痰です。ばい菌を絡めとった痰は基本的にネバネバしているため、ブロムヘキシン塩酸塩の良い適応です。病名としては急性気管支炎にあたります。

またブロムヘキシン塩酸塩は、上記の疾患の根本治療にはなりません。去痰と書かれているように、ブロムヘキシン塩酸塩は痰を除去するのみの薬です。

風邪なら自然に治るのでブロムヘキシン塩酸塩で様子をみていてよいのですが、肺結核などは適切な治療をしたうえでブロムヘキシン塩酸塩を飲む必要があるので注意しましょう。ブロムヘキシン塩酸塩の投与量ですが、まず錠剤は、

ブロムヘキシン塩酸塩を1回1錠もしくは一包を1日3回内服

となっています。適宜増減すると添付文章ではありますが、ブロムヘキシン塩酸塩が効かないからといって倍量で内服することはほとんどありません。原因にもよりますが、効果が不十分な場合は他の内服薬を追加する場合が多いです。またブロムヘキシン塩酸塩シロップですが、

通常成人には、1回5mL(ブロムヘキシン塩酸塩として 4mg)を1日3回経口投与する

と記載されています。ここで大切なのは、シロップが大部分に使用されるだろう小児に関しては記載がない点です。実はブロムヘキシン塩酸塩は、小児に関しては安全性が証明されていないと記載していて、具体的な投与量は示していないのです。

そのためブロムヘキシン塩酸塩を小児に投与する際は、病院ごとの目安となる量で投与します。

ブロムヘキシン塩酸塩は最高血中濃度は1時間と即効性に優れています。また半減期は1.7時間と、体内に蓄積されることが少ないお薬です。

 

3.ブロムヘキシン塩酸塩の薬価は?

ブロムヘキシン塩酸塩はビソルボンのジェネリック医薬品です。ただしそこまで大きく薬価は変わりません。

次にブロムヘキシン塩酸塩の薬価です。先発品のビソルボンの薬価ですが、

  剤型 薬価 3割負担
ビソルボン錠 4mg 5.7円 1.7円
ビソルボン細粒 2% 19.5円 5.9円

※2017年2月5日の薬価です。

となっています。次に後発品のブロムヘキシン塩酸塩の薬価はというと、以下のようになっています。

  剤型 薬価 3割負担
ブロムヘキシン塩酸塩錠 4mg 5.0円 1.7円
ブロムヘキシン塩酸塩シロップ 0.2% 1.2円 0.4円

※2017年2月5日の薬価です。

ブロムヘキシン塩酸塩は細粒がないかわりに、シロップがあります。錠剤で比較すると、ブロムヘキシン塩酸塩もブロムヘキシンも価格に大きな違いはありません。

 

4.ビソルボンとブロムヘキシン塩酸塩の効果と副作用の比較

先発品・ジェネリックの効果と副作用は、大きな違いはないと考えられます。

多くの方が気になるのは、先発品のビソルボンとジェネリック医薬品のブロムヘキシン塩酸塩で効果と副作用が同じかどうかだと思います。

ジェネリック医薬品では、有効成分は先発品とまったく同じものを使っています。ですから、効果や副作用の大まかな特徴は同じになります。先発品とジェネリック医薬品の違いは、薬を作るときの製造技術です。ジェネリック医薬品を作る時に求められるのは、薬の吸収・排泄と安定性の2つが先発品と同等であることです。

実際に先発品のビソルボンとブロムヘキシン塩酸塩は主成分は全く同じです。

ジェネリック医薬品について詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。

 

5.ブロムヘキシン塩酸塩が向いてる人は?

<向いてる人>

ブロムヘキシン塩酸塩は、主に痰切りに使用するお薬です。

そもそも痰とは、正常な人にも作られています。気管支などにある杯細胞などから粘液物がでてきて、肺の中を綺麗にしています。杯細胞が出した粘液物をゴミとしてまとめたのが痰になります。

実は痰として肺や咽頭で作られたゴミは、少ない場合は食道の方に落ちていきます。食道は胃につながっているため全く問題になりません。ただしこの痰の量が増えて咽頭から口に溜まる場合が、喀痰として症状となって表れます。

喀痰の原因は、

  1. 異物が体に入ってきたのを粘液物で絡めとって外に出す防御反応
  2. 気管支や咽頭のどこかから粘液物が漏れ出ている

このように2つあります。風邪などでばい菌を外に出そうとするのが①になります。ただし①でも、

などが喀痰の原因の場合は、ブロムヘキシン塩酸塩を飲み続けても一時的に症状は改善しますが一向に良くなりません。むしろ場合によっては、どんどん悪化してしまいます。また、②の粘液物が漏れ出ている場合は、どこから漏れ出ているのかすぐに確認する必要があります。場合によっては、

などの病気が隠れていることがあります。喀痰について詳しく知りたい方は、「痰はどうして出るのか?喀痰の原因と病気の見分け方」を参照してみてください。

 

このような背景を踏まえたうえで、ブロムヘキシン塩酸塩はどのような人に向いてるのか考えてみましょう。一番良いのは、風邪などでネバネバした痰が一時的に痰がでている人です。自分の痰がサラサラしているかネバネバしているか一度振り返ってみましょう。

痰が出そうで出ないという人もネバネバしている可能性が高いです。サラサラしている痰は気管支にくっつかないため基本的にはとめどなく大量に出続けます。そのため痰がありそうだけど絡まって出ないという痰のキレが悪い人は良い適応でしょう。

特に風邪などは安静に加療していれば、基本的に風邪は良くなります。そのためブロムヘキシン塩酸塩を内服して、痰による不快な症状を取りながら風邪を治すことができます。

また、病気がしっかりと診断されたうえでブロムヘキシン塩酸塩を使うのも安心です。特にCOPD(肺気腫)などの病気では、痰を正常化することで病気の悪化が防げるといったデータもあることから、積極的に使用するように言われています。

COPDの人こそ息を吐く力が弱まるため、よく痰が切りたくても切れなくて1日中不快感に苦しむ人が多いです。他の去痰薬でもダメであったら、一度追加でブロムヘキシン塩酸塩を使ってみてもよいでしょう。

ただし病名が分かってブロムヘキシン塩酸塩を内服している人も、痰が増えてきたら注意が必要です。

の2つが考えられます。どちらか知るために、必ずブロムヘキシン塩酸塩を処方してくれた医師に相談しましょう。

またブロムヘキシン塩酸塩の後発品の特徴としては、シロップが発売されている点が挙げられます。シロップが内服しやすい方としては、嚥下力が弱い高齢者や小児が挙げられます。

ただしブロムヘキシン塩酸塩は添付文章上では小児の安全性は確立されていないと記載されているため、積極的に向いてる人に「小児」と書きづらい背景があります。

ただし先発品であるビソルボンは、1960年代に発売された薬です。昔から小児に対してシロップを処方している先生は、経験的に安全と判断して処方される場合も少なくありません。また長い年月の間、ブロムヘキシン塩酸塩シロップが小児に使用されて危険だというデータもないのが事実です。そのため、このブロムヘキシン塩酸塩シロップを小児の方に使用するかどうかは、それぞれの医師の判断にゆだねられています。

もし小児の方でブロムヘキシン塩酸塩シロップが処方されて気にされた方は、一度医師に相談してみたら良いかと思います。今では小児に適応があるムコダインシロップもあるため、変更も考慮されるかもしれません。

 

6.ブロムヘキシン塩酸塩の作用機序は?

ブロムヘキシン塩酸塩は、痰のネバネバを改善して、大量に痰を産生することでしやすくするお薬です。

痰切りの去痰剤などは色々なお薬が処方されています。その中でも色々なタイプがあります。大まかなタイプを下にまとめました。

種類 作用機序 代表薬
気道分泌
促進薬
気道の中のサラサラの痰を増やすことで、気道を綺麗にする。 ビソルボン
気道粘液
溶解薬
ネバネバの痰をサラサラに変える。 ムコフィリン
気道粘液
修復薬
淡の粘液を整える。 ムコダイン
気道潤滑薬 気道内のサーファクタントを活発にして、気道を掃除する。 ムコソルバン

この中で、ブロムヘキシン塩酸塩は、気道分泌促進剤になります。作用としては、

  1. 痰のネバネバを取る
  2. 痰の産生を増やす
  3. 気道の繊毛運動を活発にする

といった作用があります。それぞれについてみていきましょう。

 

6-1.痰の粘稠度の低下

まず一つ目のブロムヘキシン塩酸塩の作用ですが、ネバネバした痰をサラサラにします。痰の性状は、大部分は水です。その中で1割程度、ムチンという物質が含まれています。このムチンが、痰の粘っこさを出す原因になります。

痰が固くなって粘っこいと、出しづらくなってしまいます。このムチンは我々の体内のリソソームという酵素によって分解されます。ブロムヘキシン塩酸塩はリソソーム顆粒に働きかけることで、リソソーム酵素の量を増やす働きがあります。

リソソーム酵素が増えることがムチンを分解することにつながり、ムチンが分解されることでネバネバした痰がサラサラした痰に変化します。

 

6-2.痰の産生量を増やす

先ほどブロムヘキシン塩酸塩はリソソーム顆粒に働くと説明しましたが、顆粒だけではなく気管支全体にブロムヘキシン塩酸塩は働きかけます。気管支の杯細胞にも働きかけることで、痰の産生量を増やします。ここで先ほどサラサラした痰の産生があえてふえることで、気管支全体が綺麗になります。

イメージとしては泥を取りやすくした後、水で洗い流すイメージです。実際にブロムヘキシン塩酸塩はこの痰を増やすことでアンチオキシダント効果もあるといわれています。アンチオキシダントは抗酸化効果と日本語ではいいます。酸化するということは気道内に炎症が起きたことを示します。

ブロムヘキシン塩酸塩は水で洗い流すことで炎症を鎮める効果もあると考えて良いでしょう。ただしその効果は微弱なため病気自体を治すわけではないのに注意が必要です。

 

6-3.気道の繊毛運動を活発化する

気道や気管支の壁には、線毛と呼ばれる毛のようなものが付いています。この毛は常に動いており、肺の通り道をお掃除しています。ほうき(繊毛)で道の葉っぱ(痰)を掃くイメージをするとよいかもしれません。

ブロムヘキシン塩酸塩で、

  1. 痰をネバネバからサラサラにする
  2. 痰を水で洗い流す
  3. 痰をモップで拭く

この3の部分の役割があると考えてみてください。ただしブロムヘキシン塩酸塩の繊毛運動の作用は微弱ともいわれており、どれ位痰の出しやすさに関与してるかは不明な部分も多いです。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>