ビソルボン錠・細粒(ブロムヘキシン塩酸塩)の効果と特徴

アイコン 2017.2.6 ビソルボン/ブロムヘキシン

ビソルボン錠・細粒(一般名:ブロムヘキシン塩酸塩)は、1966年にベーリンガーインゲルハイム製薬会社より発売された去痰薬です。

ビソルボンは痰をサラサラにしたうえで、あえて痰の量を増やすことで痰を出しやすくするお薬です。

副作用も少なく安全に使用されるお薬のため、痰が絡むときに処方されるお薬です。注意しなければならないのは、ビソルボンはあくまでも痰を出しやすくするお薬であり、痰がでる原因の疾患を治すわけではありません。

そのためビソルボンを飲み続けないと痰が出続ける人は、レントゲン等でしっかりと原因を特定する必要があります。ここでは、ビソルボンの効果と特徴についてみていきましょう。

 

1.ビソルボンのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

ビソルボンは、痰切りとして処方されているお薬です。痰切りの効果としては、

という2つの効果を示します。ビソルボンはさらに安全性も高いお薬です。実際に副作用もほとんどないですし、使用できない病気や飲み合わせが悪いお薬もありません。

一方で、デメリットもあります。一番の問題は、ビソルボンは痰を調整して外に出しやすくする効果しかないということです。つまりビソルボンは、痰がでる原因自体を治療するお薬ではありません。

ビソルボンはあくまでも対処療法にすぎません。そのため原因疾患が特定されないまま使用し続けると、思わぬ病気が隠れていることもあります。

またビソルボンは、どろどろとした膿性の痰に効果があります。イメージとしては車についた汚れを落とすところを想像してください。まず洗剤で落ちやすくさせます。その後水で洗い流すでしょう。ビソルボンはこのように、痰を変化させて落ちやすくさせたうえで、サラサラした痰(水)で洗い流すイメージです。

つまりベタベタした痰には効果があるのですが、最初からサラサラしている痰には効果がありません。むしろもっとサラサラさせるうえに、痰の量を増やすため逆効果になります。そのため、痰の性状をよく踏まえたうえでビソルボンは使用した方が良い薬です。

 

2.ビソルボンの適応と用量は?

ビソルボンは、べたべたした痰がでる病気に適応があります。ビソルボンを1日3回内服することで効果を発揮します。

ビソルボンの剤型は、

があります。ビソルボンはシロップもありましたが、2016年3月31日をもって発売中止になっております。ビソルボンシロップは小児に対して使用されていましたが、実際にビソルボンは小児には安全性のデータが少ないため、添付文章でも詳細な投与量等の記載はありませんでした。

ビソルボンが発売された当初の1960年代は痰切りのお薬も限られていたため、小児に対して使用されていました。ですが2016年になると、小児に対して適応がある去痰剤が複数発売されるようになったため、ビソルボンシロップを使用する頻度が徐々に減ったことから製造中止になっております。

またビソルボンは吸入液や点滴もありますがこのページでは内服のビソルボン錠・細粒に絞ってまとめていきます。ビソルボンの適応疾患としては、

となっています。なお去痰剤として代表的なムコダインの適応疾患と比較すると、ビソルボンには

などの病名がありません。これらの病気は、痰がサラサラの場合もあるために除外されています。つまりビソルボンは、全ての痰に適応があるわけではなく、ネバネバした痰にのみ適応があると考えてください。

一番分かりやすいのが風邪や肺炎などのばい菌に感染した痰です。ばい菌を絡めとった痰は基本的にネバネバしているため、ビソルボンの良い適応です。病名としては急性気管支炎にあたります。

またビソルボンは、上記の疾患の根本治療にはなりません。去痰と書かれているように、ビソルボンは痰を除去するのみの薬です。

風邪なら自然に治るのでビソルボンで様子をみていてよいのですが、肺結核などは適切な治療をしたうえでビソルボンを飲む必要があるので、注意しましょう。ビソルボンの投与量ですが、

ビソルボンを1回1錠もしくは一包を1日3回内服

となっています。適宜増減すると添付文章ではありますが、ビソルボンが効かないからといって倍量で内服することはほとんどありません。原因にもよりますが、効果が不十分な場合は他の内服薬を追加する場合が多いです。

ビソルボンは最高血中濃度は1時間と即効性に優れています。また半減期は1.7時間と、体内に蓄積されることが少ないお薬です。

 

3.ビソルボンの薬価は?

ビソルボンは古いお薬のためジェネリック医薬品が登場しています。

次にビソルボンの薬価です。ビソルボンは古いお薬のため多くのジェネリック医薬品が登場しています。ビソルボンの薬価ですが、

  剤型 薬価 3割負担
ビソルボン錠 4mg 5.7円 1.7円
ビソルボン細粒 2% 19.5円 5.9円

※2016年2月5日の薬価です。

となっています。なおビソルボンはジェネリック医薬品が複数登場しています。代表的なブロムヘキシン塩酸塩をみてみると

  剤型 薬価 3割負担
ビソルボン錠 4mg 5.0円 1.7円
ビソルボンシロップ 0.2% 1.2円 0.4円

※2016年2月5日の薬価です。

ブロムヘキシン塩酸塩は細粒がないかわりにシロップがあります。どちらもある錠剤で比較すると、ビソルボンもブロムヘキシンも価格に大きな違いはありません。

 

4.ビソルボンが向いてる人は?

<向いてる人>

ビソルボンは、主に痰切りに使用するお薬です。

そもそも痰とは、正常な人にも作られています。気管支などにある杯細胞などから粘液物がでてきて、肺の中を綺麗にしています。杯細胞が出した粘液物をゴミとしてまとめたのが痰になります。

実は痰として肺や咽頭で作られたゴミは、少ない場合は食道の方に落ちていきます。食道は胃につながっているため全く問題になりません。ただしこの痰の量が増えて咽頭から口に溜まる場合が、喀痰として症状となって表れます。

喀痰の原因は、

  1. 異物が体に入ってきたのを粘液物で絡めとって外に出す防御反応
  2. 気管支や咽頭のどこかから粘液物が漏れ出ている

このように2つあります。風邪などでばい菌を外に出そうとするのが①になります。ただし①でも、

などが喀痰の原因の場合は、ビソルボンを飲み続けても一時的に症状は改善しますが一向に良くなりません。むしろ場合によっては、どんどん悪化してしまいます。また、②の粘液物が漏れ出ている場合は、どこから漏れ出ているのかすぐに確認する必要があります。場合によっては、

などの病気が隠れていることがあります。喀痰について詳しく知りたい方は、「痰はどうして出るのか?喀痰の原因と病気の見分け方」を参照してみてください。

このような背景を踏まえたうえで、ビソルボンはどのような人に向いてるのか考えてみましょう。一番良いのは、風邪などでネバネバした痰が一時的に痰がでている人です。自分の痰がサラサラしているかネバネバしているか一度振り返ってみましょう。

痰が出そうで出ないという人もネバネバしている可能性が高いです。サラサラしている痰は気管支にくっつかないため基本的にはとめどなく大量に出続けます。そのため痰がありそうだけど絡まって出ないという痰のキレが悪い人は良い適応でしょう。

特に風邪などは安静に加療していれば、基本的に風邪は良くなります。そのためビソルボンを内服して、痰による不快な症状を取りながら風邪を治すことができます。

また、病気がしっかりと診断されたうえでビソルボンを使うのも安心です。特にCOPD(肺気腫)などの病気では、痰を正常化することで病気の悪化が防げるといったデータもあることから、積極的に使用するように言われています。

COPDの人こそ息を吐く力が弱まるため、よく痰が切りたくても切れなくて1日中不快感に苦しむ人が多いです。他の去痰薬でもダメであったら、一度追加でビソルボンを使ってみてもよいでしょう。

ただし病名が分かってビソルボンを内服している人も、痰が増えてきたら注意が必要です。

の2つが考えられます。どちらか知るために、必ずビソルボンを処方してくれた医師に相談しましょう。

 

5.ビソルボンの作用機序は?

ビソルボンは、痰のネバネバを改善して、大量に痰を産生することでしやすくするお薬です。

痰切りの去痰剤などは色々なお薬が処方されています。その中でも色々なタイプがあります。大まかなタイプを下にまとめました。

種類 作用機序 代表薬
気道分泌
促進薬
気道の中のサラサラの痰を増やすことで、気道を綺麗にする。 ビソルボン
気道粘液
溶解薬
ネバネバの痰をサラサラに変える。 ムコフィリン
気道粘液
修復薬
淡の粘液を整える。 ムコダイン
気道潤滑薬 気道内のサーファクタントを活発にして、気道を掃除する。 ムコソルバン

この中で、ビソルボンは気道分泌促進剤になります。作用としては、

  1. 痰のネバネバを取る
  2. 痰の産生を増やす
  3. 気道の繊毛運動を活発にする

といった作用があります。それぞれについてみていきましょう。

 

5-1.痰の粘稠度の低下

まず一つ目のビソルボンの作用ですが、ネバネバした痰をサラサラにします。痰の性状は、大部分は水です。その中で1割程度、ムチンという物質が含まれています。このムチンが、痰の粘っこさを出す原因になります。

痰が固くなって粘っこいと、出しづらくなってしまいます。このムチンは我々の体内のリソソームという酵素によって分解されます。ビソルボンはリソソーム顆粒に働きかけることで、リソソーム酵素の量を増やす働きがあります。

リソソーム酵素が増えることがムチンを分解することにつながり、ムチンが分解されることでネバネバした痰がサラサラした痰に変化します。

 

5-2.痰の産生量を増やす

先ほどビソルボンはリソソーム顆粒に働くと説明しましたが、顆粒だけではなく気管支全体にビソルボンは働きかけます。気管支の杯細胞にも働きかけることで、痰の産生量を増やします。ここで先ほどサラサラした痰の産生があえてふえることで、気管支全体が綺麗になります。

イメージとしては泥を取りやすくした後、水で洗い流すイメージです。実際にビソルボンはこの痰を増やすことでアンチオキシダント効果もあるといわれています。アンチオキシダントは抗酸化効果と日本語ではいいます。酸化するということは気道内に炎症が起きたことを示します。

ビソルボンは水で洗い流すことで炎症を鎮める効果もあると考えて良いでしょう。ただしその効果は微弱なため病気自体を治すわけではないのに注意が必要です。

 

5-3.気道の繊毛運動を活発化する

気道や気管支の壁には、線毛と呼ばれる毛のようなものが付いています。この毛は常に動いており、肺の通り道をお掃除しています。ほうき(繊毛)で道の葉っぱ(痰)を掃くイメージをするとよいかもしれません。

ビソルボンで、

  1. 痰をネバネバからサラサラにする
  2. 痰を水で洗い流す
  3. 痰をモップで拭く

この3の部分の役割があると考えてみてください。ただしビソルボンの繊毛運動の作用は微弱ともいわれており、どれ位痰の出しやすさに関与してるかは不明な部分も多いです。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>