ムコソルバンの副作用と安全性

アイコン 2016.12.26 ムコソルバン(アンブロキソール)

ムコソルバンは表面活性剤を活性化して気道を滑りやすくし、痰の性状を整えることで痰を出しやすくするお薬です。綺麗にするのは気道の粘膜だけではなく、鼻の粘膜も綺麗にするため、副鼻腔炎にも使用されます。

幅広い効果に加えて、ムコソルバンはほとんど副作用がありません。さらに絶対に使えない病気もありませんし、飲み合わせに注意するお薬がないのもムコソルバンの特徴的です。

そのためムコソルバンは、妊婦・授乳中・小児・高齢者など多くの場合に使用されるお薬です。ここではムコソルバンがどれくらい安全か確認していきましょう。

 

1.ムコソルバンの副作用は?

ムコソルバンはほとんど副作用がないお薬です。

ムコソルバンの錠・液・シロップ及びLカプセルを併せた総症例33,196例中、副作用が認められたのは221例( 0.7%)でした。主な副作用は、

となっています。ムコソルバンは非常に副作用の少ないお薬です。全体でも1%以下の出現率ですし、最も多い副作用が胃不快感や嘔気などの消化器症状です。この消化器症状が全体の60%を占めています。

これらの副作用調査は患者さんの症状をみながら医師が報告して調査されるのですが、本当にムコソルバンの副作用かどうか調べることはしていません。していないというより、できないといったところが正直なところです。これらの消化器症状も、

どちらかはっきりと区別することは医学的に難しいところです。実際に風邪の人の中には、お腹までウィルスが侵入すれば胃のむかつきや嘔気が出現します。

少なくともムコソルバンの作用のせいで胃不快感や嘔気になるような作用機序は、現在のところ明らかになっていません。そのため、ムコソルバンの副作用は過度に心配する必要はありませんし、風邪などの症状が悪化しないか心配した方が現実的かと思います。

 

2.ムコソルバンに眠気の副作用はないのか?

添付文章でも、ムコソルバンの副作用に眠気は記載されていません。

ムコソルバンを内服すると、眠気が生じるとおっしゃる人が度々います。しかしムコソルバンの添付文章では、副作用に眠気は記載されていません。作用機序的にも、ムコソルバンは眠気を生じることはありません。

ムコソルバンを内服中に眠気が生じる理由として、以下の二つが考えられます。

  1. 風邪の症状で眠気が生じる
  2. 他の薬の影響で眠気が生じる

まず①の風邪の症状で眠気が生じる可能性についてです。ムコソルバンが処方される方は、

などの症状がある方でしょう。痰が胸や喉につっかえたり、鼻水で鼻がつまったりするとかなりの不快感が伴います。これらの不快な症状が、安眠を妨げている可能性があります。

ムコソルバンは痰や鼻水を出しやすくするお薬ですが、原因となる病気を治す治療ではありません。そのため原因となる病気がある限り、痰や鼻水は出続けます。そのためムコソルバンを内服している間は、痰や鼻水が出続けていて夜寝れてない人が多いです。

もしこういった症状が強くてムコソルバンL錠を内服している方は、夕食後に内服することをお勧めします。こうすることで、症状の強い夜間に痰を抑えることができます。

もう一つは、他のお薬の副作用です。風邪症状で最も多く処方されるのは、感冒総合薬のPL配合顆粒かと思います。このPL配合顆粒は、

の4種類の効力があるお薬が配合されています。この中で抗ヒスタミン薬は、副作用として眠気を生じる可能性があるお薬です。抗ヒスタミン薬は、鼻水を抑えるために配合されています。そのため鼻水の症状が中心の人は、PL配合顆粒ではなくポララミンなど抗ヒスタミン薬単剤で処方されている方もいます。

また咳止めであるアスベリンやメジコンも、稀にですが眠気を起こす人もいます。このような原因によって、眠気が出現する可能性が高いです。少なくとも眠気が出現したからといって、ムコソルバンを中止する必要はありません。

 

3.ムコソルバンが内服できない人は?

ムコソルバンが内服できない人は、ムコソルバンにアレルギーがある人のみです。

ムコソルバンの添付文章では、禁忌にあたる人はムコソルバンにアレルギーがある方のみとなっています。これはムコソルバンに限らず、全ての薬に対していえることです。さらに慎重に投与する必要がある疾患も記載されていません。

また、ムコソルバンは一緒に飲んではいけないお薬もなければ、一緒に飲むことで効果が減弱したり強くなったりということもないお薬です。

風邪の時に一緒に処方されることが多いPL配合顆粒などには痰切り成分は含まれていないため、ムコソルバンと一緒に内服することが多いです。その他の咳止めや解熱剤も、ムコソルバンとの飲み合わせは問題ないです。

そのためムコソルバンは、どのような疾患の人にも、そしてどのようなお薬を内服してる人でも、基本的には使用して良いお薬となっています。

 

4.ムコソルバンはアルコールと一緒に内服して良いの?

ムコソルバンとアルコールは飲み合わせとしては問題ありません。ただしアルコール自体、風邪には良くないので注意しましょう。

ムコソルバンは、アルコールと一緒に内服することで効果が減弱したり、副作用が増えたりといったことがないお薬です。ただし問題ないからといって、ムコソルバンとアルコールを一緒に飲んでよいかはまた別問題です。

特に風邪でムコソルバンを内服している人は要注意です。ムコソルバン以外の風邪薬は、アルコールと一緒に内服すると眠気が強く出てくることがあります。場合によっては、意識が低下してもうろうとしたりします。

また風邪薬は、あくまでも症状を一時的に緩和する対処療法にすぎません。風邪の一番の治療は安静です。そのため、アルコールを飲まずに体を休めることが一番の治療になります。

一方で病気によっては、長期にムコソルバンを内服している方もいるかもしれません。COPD(肺気腫)などタバコで肺がボロボロになって痰が出続ける人に、ムコソルバンはよく処方されます。COPDは基本的には治らない病気のため、一生ムコソルバンを飲み続ける人も多いでしょう。タバコを吸ってる人はお酒が好きな人も多いです。

タバコを頑張って禁煙しているのに、アルコールも一滴も飲んではいけないというのは酷な話かもしれません。そのためムコソルバンを長期に飲む必要がある人は、節度を守ればアルコールを飲んでも良いとは個人的には思います。ただしその場合も、禁煙のストレスでついついお酒がすすんでしまう人が多いです。あくまでも嗜む程度であって、大量にアルコールを飲んではいけません。

一方で非結核性抗酸菌症などでムコソルバンを飲み続けている人は、クラリスやリファンピシンなどばい菌をやっつけるお薬を一緒に飲んでることが多いです。これらのばい菌をやっつけるお薬が肝障害を起こす可能性があるため、肝臓を悪くするアルコールは控えなければなりません。

そのため長期にムコソルバンを内服している方は、アルコールを飲んでも良いか一度処方されている医師に相談してみると良いでしょう。

 

5.ムコソルバンは高齢者・小児・妊婦・授乳中の方に処方して良いの?

基本的にどの方も禁忌ではありません。妊娠中の方はやや注意が必要です。

ムコソルバンは高齢者に関しては添付文章では、一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意することと記載されています。

しかしムコソルバンは安全性が高いお薬です。逆にムコソルバンを処方するような痰がでている方は、痰を出す力が高齢者の方の場合弱ってることが多いため、若い方より不快感が強くなると思います。そのため実際の医療現場では、高齢者でもほとんどが通常量処方されていると思います。

またムコソルバンは乳幼児にも処方しやすいお薬です。乳幼児は、ドライシロップなどの剤型で内服することが多いでしょう。ゼーゼーと苦しそうな呼吸をしている赤ちゃんは、痰が絡まっていることが多いです。ムコソルバンで痰をしっかりと切ってあげましょう。

唯一気を付けるとするならば、妊婦になります。添付文章では、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

と記載されています。実際に妊婦の安全が確立されているお薬はかなり少ないです。他のどの風邪薬も、この一文は記載されています。そのため医療現場では、妊婦の方にも処方していることが多いお薬です。

一方でムコソルバンは、痰を出しやすくするお薬であり、痰がでる原因を治す治療薬ではありません。そのため軽症な方は、あえてムコソルバンを内服する必要はないと思います。またムコソルバンを内服していて症状が軽くなった方も飲み切る必要性が低いお薬です。

授乳中の方も、

 乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。 [動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。]

と記載されています。しかし母乳に移行したからといって、ムコソルバン自体が悪さをするといったことは非常に少ないです。そのため臨床では、痰が辛い場合は処方することもあります。ただし添付文章で避けることと記載されている以上強く推奨はできません。

ムコソルバンの影響が心配な授乳している方は避けるようにしましょう。

 

まとめ