ムコフィリンの副作用と安全性

アイコン 2017.1.27 ムコフィリン(アセチルシステイン)

ムコフィリンは痰をネバネバからさららさにして痰を出しやすくするお薬です。

ムコフィリンはネブライザーという機械を使って吸入するのですが、ほとんど副作用がありません。さらに絶対に使えない病気もありませんし、飲み合わせに注意するお薬がないのもムコフィリンの特徴的です。

そのためムコフィリンは、妊婦・授乳中・高齢者などにも使用されるお薬です。一方で小児にはデータが少ないため積極的に勧められていません。ここではムコフィリンがどれくらい安全か確認していきましょう。

 

1.ムコフィリンの副作用は?

ムコフィリンはほとんど副作用がないお薬です。ただし硫黄臭が気になる人は注意してください。

ムコフィリンの総症例2,634例中、332例(12.60%)の副作用が報告されています。しかし最も多い副作用が、

となっています。これは副作用でもなんでもありません。ムコフィリンは臭いがある吸入薬なのです。それも硫黄臭、分かりやすく言うと「おなら」の様なにおいです。

これらを不快だと感じた人が副作用として伝えたため、12.6%という数字になっています。臭いに関してはどうしようもないので、ムコフィリンのにおいが嫌な人は別のネブライザーのお薬を使用します。

などがネブライザーで使用するお薬としては多いでしょうか。その一方で、この臭い以外の副作用はほとんどありません。実際に私も処方して、ムコフィリンで副作用が起きた例は経験ないです。

もしムコフィリン吸入後に何か症状が出た場合は、ムコフィリンの副作用より何か他の原因を考えることが多いくらい安全なお薬といえます。添付文章では、

が稀に起きえるという記載になっていますが、これらはネブライザーで吸入する全ての薬に記載されています。気管支や肺の病気に対して吸入するため、ムコフィリンの薬の作用自体というよりは、物理的に刺激を与えて上記の気管支異常が生じるのです。

ただし、これらも非常に確率が低いため、気にする必要はほぼありません。

 

2.ムコフィリンが吸入できない人は?

ムコフィリンが吸入できない(意味がない)人は、さらさらした痰が大量に出てる人です。

ムコフィリンの添付文章では、禁忌にあたる人は存在しません。また飲み合わせも全く問題にならないため、どのような内服薬を使用している人でも使用することが可能なお薬です。

ムコフィリンを吸入できない人、というよりは意味がない人は痰がサラサラな病態の方です。ムコフィリンは、痰のネバネバをさらさらに分解して出しやすくする吸入液です。つまり、もとからサラサラな人にムコフィリンを吸入しても意味があまりありません。

むしろさらに痰がサラサラになり、だしづらくなる人もいるかと思います。そのため、必ず医師にはどんな痰がでるか性状を細かく伝えましょう。

特にムコフィリンの添付文章でも、

気管支喘息、呼吸機能不全を伴う患者 〔 気管支痙攣を起こすことがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、気管支拡張剤 の投与等の適切な処置を行うこと。〕 

と気管支喘息が名指しで指摘されています。気管支喘息は気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。そのためムコフィリンなどの吸入液の刺激で逆に発作が悪化することがあるとも言われています。そのため、喘息発作で受診した際のネブライザーは、

などβ2刺激薬のみを吸入することがほとんどです。気管支喘息で病院を受診する方は、救急外来が多いかと思います。救急外来は、基本少数の医師が大勢の患者さんを診ることがほとんどです。そのためセット処方といって、決まった症状や病気には、万人受けお薬が投与されるようにオーダーすることが多いです。

そのため、

ことからなどから、喘息の人にムコフィリンを決めつけで一緒に投与することは少ないです。ただし患者さんによっては、ネバネバした痰がムコフィリンで良くなったという患者さんもいます。

「あの臭いにおいがないと、吸入薬を吸った気にならない」という方もいらっしゃいます。

 

3.ムコフィリンは高齢者・小児・妊婦・授乳中の方に処方して良いの?

基本的にどの方も禁忌ではありません。ただし小児には注意が必要です。

ムコフィリンは高齢者に関しては添付文章では、一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意することと記載されています。

しかしムコフィリンは、安全性が高いお薬です。逆にムコフィリンを処方するような痰がでている方は、痰を出す力が高齢者の方の場合弱ってることが多いため、若い方より不快感が強くなると思います。そのため実際の医療現場では、高齢者でもほとんどが通常量処方されていると思います。

特にムコフィリンは、高齢者ほど使用する機会が増えるお薬です。基本的に若年者の方で痰がネバネバして出せない人は、かなり病態自体が重症な人です。一方で高齢者は、筋力含めて衰えてきます。このため少しでも痰が喉に引っかかっても、外に出すことが難しくなります。そのためムコフィリンは、高齢者に積極的に使用されるお薬です。

ムコフィリンは、小児に適応がありません。これだけ副作用が少ないのになぜ小児に適応がないのか、不思議に思う人がいるかもしれません。これは小児に対して、ムコフィリンが危険だからではありません。小児に対して安全性を確認したデータが存在しないからです。またムコフィリンは臭いがきついため、小児には不向きな薬でもあります。

また、妊婦の方も適応になります。添付文章では、全く妊婦に対しての記載はありません。吸入薬として大部分が気管支内の痰に作用します。また体内に入ったとしても体に影響をほとんど与えないため、妊婦、授乳者に限らずムコフィリンは吸入することができるお薬です。

ただし臭いがきついので、つわりがある妊婦の方にはあまりお勧めはしません。

 

まとめ