メバロチンの副作用と安全性

アイコン 2017.2.5 メバロチン

メバロチンは、主に脂質異常症・高脂血症・高LDL血症といった病名に使用されるスタチン系のお薬です。

メバロチンはLDLコレステロールを下げる力が非常に強いですが、筋肉痛などの症状で起きる「横紋筋融解症」には注意が必要です。また肝機能障害が重篤な人、妊娠中の人には使用できません。

一方でメバロチンは他のスタチン系と違い唯一腎代謝のお薬です。そのため重度な肝機能障害があっても使用することが可能なお薬ですし、肝臓に負担をかけるお薬との飲み合わせも少ないお薬です。

メバロチンの内服が開始された方は、1日や2日といった短い期間ではなく、長期間続けることになります。ここでメバロチン錠の副作用と安全性についてしっかりと確認していきましょう。

 

1.メバロチンの副作用について

メバロチンの副作用で最も注意が必要なのは、横紋筋融解症です。

メバロチンの添付文章では総症例11,137例中344例(3.09%)に副作用が認められました。その主なものは、

となっています。最も多い副作用である発疹ですら0.11%であるため、メバロチンの副作用自体は非常に少ないお薬と言えます。ただしメバロチン含めてスタチン系の副作用として最も怖い副作用が、筋肉を溶かす横紋筋融解症です。筋肉が溶かされると、クレアチンキナーゼ(CK)という筋肉を構成する物質が血液内に増えます。その副作用がメバロチンでも認めます。横紋筋融解症の症状として、

などが挙げられます。なお、横紋筋融解症は、メバロチンの投与初期にみられることが多く、その多くは投与をやめることで回復します。そのため脂質異常症の改善の確認も含めてメバロチン内服中は採血で経過観察することが望まれます。

少なくともメバロチンを投与開始してから1か月~3か月の間に、一度は採血することが推奨されています。メバロチンなどのスタチン系の副作用の対策についてさらに詳しく知りたい方は、「クレストールで筋肉痛が出たら要注意?クレストールの副作用について」を一読してみてください。

メバロチンの横紋融解症が起こる頻度は0.1%と決して多くはありません。ただし多くはないとはいえ起きえるためどのような症状が出たら病院を受診した方が良いか知っておく必要はあると思います。

 

2.メバロチンが使用できない疾患は?

メバロチンは、他のスタチン系と違い肝臓が悪い人にも慎重投与で投与できるお薬です。

メバロチン以外のスタチン系は肝臓が悪い人は禁忌です。理由としては他のスタチン系は肝臓で代謝されるため、肝臓が悪いと薬が代謝されずに急激に血中濃度が上がるため、副作用が起きやすいためです。

一方でメバロチンはスタチン系の中では唯一腎代謝のお薬です。実際に肝臓が悪い人に対しても慎重投与止まりで禁忌ではありません。

肝臓ではなく腎臓で代謝されるため、腎機能障害がある人は逆に使えないのか?と思う人がいるかもしれませんが、添付文章では腎機能障害でも慎重投与であって禁忌ではありません。(他のスタチン系も含めてほぼ全ての薬が腎機能が悪い人は慎重投与になります。)

そのため肝臓が悪い人ももちろん、腎臓が悪い人も絶対に使ってはいけないお薬ではありません。特に、スタチン系を内服する脂質異常症の方の中には、

などの人がいます。このような方は脂質異常症も合併しやすいので、メバロチンは良い適応です。ただしメバロチンも肝機能障害がないわけではありません。慎重投与の文章でも、

重篤な肝障害又はその既往歴のある患者、アルコール中毒の患者[本剤は主に肝臓において代謝され、作用するので 肝障害を悪化させるおそれがある。また、アルコール中毒の患者は、横紋筋融解症があらわれやすいとの報告が‌ある。]

と記載されているため注意は必要です。特に上記のアルコールや脂質で肝機能障害が出ている方はメバロチン任せではなく

を徹底して肝機能を改善する必要があります。肝臓の病気が指摘された方は、メバロチンが処方されても肝機能が悪化した場合は中止になってしまいます。

そもそも脂質異常症の治療自体がお薬だけではなく、食事療法や運動療法が第一の柱になります。メバロチンを処方された方は肝臓が悪くなくても、一度生活習慣を見直してみることからはじめましょう。

 

3.メバロチンで飲み合わせが悪い薬は?

中性脂肪を下げるフィブラート系の薬を併用しないように注意しましょう。

リポバスリピトールなどのスタチン系のお薬はCYP3A4という酵素で代謝されるため、使用するお薬に制限があります。一方でメバロチンは腎排泄のため制限が少ないです。

メバロチンを使用する時に気を付けなければいけないのが、フィブラート系のお薬です。フィブラート系は、中性脂肪(TG)が高い時に使用される脂質異常症のお薬です。悪玉コレステロールも低下させますが、中性脂肪に対する効果がより強いとされています。代表的なお薬は、

です。脂質異常症の人は、LDL・TG両方高い人も多いです。

そういった人は、メバロチンなどのスタチン系とフィブラート系両方を使えば良いのでは?と安易に考えがちです。しかし、フィブラート系との併用に関しては、メバロチンの添付文章では、両方を同時に使用すると急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいことから、原則禁忌となっています。特に腎機能が最初から悪い人には、ほぼ使用できません。

治療上やむを得ないと判断される場合にのみ、慎重に併用することと記載はされています。しかしメバロチンにも、フィブラート系ほどではないにしろ中性脂肪を低下する効果があります。またフィブラート系も、わずかながら悪玉コレステロールを低下する作用があります。

そのためLDL・TGの実際の値で、より重症な方を一つの薬で治療することからはじめることがほとんどです。両方の値が非常に高い場合は、まず悪玉コレステロール(LDL)を下げるためにメバロチンの方から処方します。

LDLは動脈硬化の原因となるプラークの元になるため、LDL高値は非常に危険なためです。動脈硬化について詳しく知りたい方は、「脂質異常症はどうして治療が必要?脂質異常症が引き起こす怖い病気とは?を一読してみてください。

いずれにしろメバロチンを処方された方は、ダメなら次の薬があると安易に考えず、運動や食事療法をしっかりとしようという心構えが大切になります。

 

4.メバロチンは妊婦や授乳中の方に投与してよいの?

メバロチンは、妊婦・授乳中の方は禁忌になっています。

メバロチンは、妊婦の方には禁忌になっています。理由としては、添付文章ではラットに他のスタチン系のお薬を大量投与した場合に、胎児の骨格奇形が報告されています。さらにヒトでは、他のスタチン系のお薬で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告があるためです。

また授乳中の方も、

授乳中の婦人には投与しないこと。[ラットで乳汁中への移行が報告されている。]

という一文が記載されています。基本的にこの一文は他のお薬にもほとんど記載されていますが、メバロチンは妊婦で禁忌になっている経過からお勧めできません。

このことからも、メバロチンは妊婦や授乳中の方は内服しないようにしましょう。また妊娠を考えている方も、メバロチンは控えた方が安全でしょう。妊娠3か月までの間にスタチン系を内服したときに、胎児の骨格奇形が報告されているためです。

脂質異常症は、メバロチンを内服中止したら一気に悪くなって何か症状が出るものではありません。脂質異常症が悪くなって、徐々に動脈硬化が進行することで心筋梗塞や脳梗塞などの怖い病気につながります。これらを予防するために、メバロチンを内服します。

むしろ妊娠可能年齢に、メバロチンを内服していることが大問題です。20~40代から脂質異常症を指摘されている方は、食生活がかなり乱れており、暴飲暴食で肥満の方が多いです。妊娠するしないに関わらず、食事療法や運動を心がけるようにしましょう。

 

5.メバロチンとアルコールは内服して良いの?

メバロチンは肝機能が悪化すると使用できなくなるため、アルコールには注意が必要です。

メバロチンは肝機能障害の人にも使用不可ではないため、アルコール性肝炎合併でも処方された人も多いかと思います。

しかしメバロチンの添付文章には、アルコール中毒患者では、横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある記載されているため慎重投与になっています。アルコールを飲んでよいか気にされる方は、基本的に大量に飲む人が多いです。

アルコール自体が、

とされているため、控えてもらいたいのが医師側の意見です。一方でメバロチンは、内服したら基本的には長期間内服することが多いです。数日だけ内服して一時的に脂質異常症を改善してもあまり意味はなく、持続することで動脈硬化を予防する必要があるためです。

メバロチンを長年飲んでる間、一滴もアルコールを飲んではいけないというのは難しい人も多いかと思います。アルコール自体は、少量であればHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加する働きがあります。そのため推奨されているアルコール量は、20~25gといわれています。これは1日量として、

となっています。ただしアルコールは中性脂肪を増やすため、中性脂肪が高い人は飲んではいけません。そのためアルコールを飲んでよいかどうかは、

などを含めて、一度医師に相談してみると良いかもしれません。基本的にはダメと言われるかもしれませんが、人によっては少量なら大丈夫な人もいるとは思います。ただしアルコールOKだからと言って大量に飲むと、容易に脂質異常症や肝機能障害が出てくることがあるので注意が必要です。また、採血などで定期的に精査することをお勧めします。

 

まとめ