ピタバスタチンカルシウム錠の効果と副作用について

アイコン 2017.1.22 リバロ

ピタバスタチンカルシウム錠は、2003年から発売されているリバロ錠のジェネリック医薬品になります。「スタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害薬)」という種類に分類される、コレステロールを下げるスタチン系のお薬です。

ピタバスタチンカルシウムは主に、悪玉(LDL)コレステロールを強力に下げるお薬です。悪玉コレステロールは直接動脈硬化を引き起こす原因になるため、LDLが高い場合はピタバスタチンカルシウムをまず使うという医師も多いです。特にピタバスタチンカルシウムは、現時点ではお子さんに唯一使えるスタチン系のお薬です。

しかしながら脂質異常症の治療の基本は、食事制限と運動療法です。どんなにピタバスタチンカルシウムが優れていても、日常生活を見直さないと脂質異常症は改善しないため注意しましょう。

ここでは、ピタバスタチンカルシウムの効果と特徴についてまとめていきます。

 

1.ピタバスタチンカルシウムのメリット・デメリットについて

<メリット>

<デメリット>

ピタバスタチンカルシウムは、脂質異常症に対して使用されるお薬です。2012年度の動脈硬化性疾患予防ガイドラインに、脂質異常症の診断基準が示されています。

脂質異常症の診断基準について

※2012年動脈硬化性疾患予防ガイドライン参照

このように脂質異常症は、3つの項目のうち一つでも当てはまれば診断されます。善玉コレステロールが低くても異常と診断されるため、高脂血症から脂質異常症に名前が変更になりました。脂質異常症の詳しい診断基準ついて知りたい方は、「健康診断で脂質異常症と診断された!!脂質異常症の診断基準は?」を参照してみてください。

この中でスタチン系のピタバスタチンカルシウムは、高LDL血症に対して適応があります。スタチン系には、

があります。ストロングスタチンは、

の3種類があり、どれも強力にLDLを下げることになります。ピラバスタチンはこの中のリバロのジェネリック医薬品のためリバロ同様、強力にLDLを下げます。とはいっても、「そもそもなぜ高LDLを改善しなければいけないのか?」と思う人もいるかと思います。

高LDL血症をはじめとした脂質異常症は、動脈が固くなる動脈硬化の原因になります。動脈が固くなり、さらにプラークというコブができると、動脈が閉塞しやすくなります。動脈が閉塞した部位が心臓や脳などですと、

などの病気が起きやすくなります。これらの病気は予兆もなく、突然発症します。死亡率も非常に高いですし、一命をとりとめたとしても激しい痛みなどの症状、およびその後の後遺症に悩まされる恐ろしい病気です。

これらの病気になってから脂質異常症を慌てて治療しても、時すでに遅しです。脂質異常症をなぜ治療しなければならないのか知りたい方は、「脂質異常症はどうして治療が必要?脂質異常症が引き起こす怖い病気とは?」 を一読してみてください。

特に悪玉コレステロールは、動脈の壁を破壊してコブになるプラークの原因物質になります。そのため脂質異常症の中でも、最も最優先で治療をするべきなのが高LDL血症になります。一方で、高LDL血症をはじめとした脂質異常症の治療は、

が柱となります。ピタバスタチンカルシウムは、コレステロールの合成を阻害することでLDLの上昇を抑えるお薬ですが、

上記の状態では、ピタバスタチンカルシウムの効果にも限界があります。

ピタバスタチンカルシウムは、食事療法・運動療法をしっかり行ったうえで使っていきます。ピタバスタチンカルシウムだけで脂質異常症を治療しようと考えないようにしましょう。ピタバスタチンカルシウムはLDLを下げる薬ですが、

もあります。そのため、LDLが高い上にHDLが低い、TGが高いなど合併している場合でも、ピタバスタチンカルシウムは治療適応になります。

ピタバスタチンカルシウムは1mgから4mgと、幅広く投与量が変更できます。冠動脈疾患のリスクがそこまで高くない方は、ピタバスタチンカルシウム1mgを処方されることが多いです。それでも効果が不十分、もしくは他のリスク(高血圧や糖尿病など)を持っている方は、ピタバスタチンカルシウム2mgが使われます。ピタバスタチンカルシウムは最大4mgまで、患者さんのリスクに合わせて使えるお薬です。

さらにピタバスタチンカルシウムは、現時点では小児に使用できる唯一のスタチン系です。通常高コレステロール血症は大人の病気ですが、生まれつきLDLが高くなる家族性高コレステロール血症という病気があります。

生まれた時から悪玉コレステロールが高いため、若くして動脈硬化になりやすく、その結果心筋梗塞や狭心症などを引き起こしやすくなります。スタチン系は小児の安全性が確認されていなかったため、今まではお薬の適応が認められていませんでした。2015年になって、ピタバスタチンカルシウムが10歳以上の小児に対して適応が追加されました。

また、先発品のリバロと比べてピタバスタチンカルシウムは、半分程度の薬価になり非常に安く手に入ります。

一方でピタバスタチンカルシウムは、副作用に注意が必要です。ピタバスタチンカルシウムの重大の副作用として特に注意が必要なものは、肝機能障害と横紋筋融解症です。特に横紋筋融解症は、筋肉をつくっている骨格筋細胞に融解や壊死が起こり、筋肉の成分が血液中に流出してしまう病気です。

筋成分であるミオグロビンが大量に流出し、腎臓に負担がかかる結果、尿が出にくくなるなどの腎障害を起こしてしまうことがあります。ピタバスタチンカルシウムを内服中に筋肉痛や疲れやすさが出現した場合は、注意しましょう。

 

2.ピタバスタチンカルシウムの適応・投与量・効果は?

ピタバスタチンカルシウムは、高LDL血症を中心とした脂質異常症に適応があります。ピタバスタチンカルシウムの投与量は、1mgから4mgと幅があります。

ピタバスタチンカルシウムは、

の6種類が発売されています。ピタバスタチンカルシウムは口腔内で溶けるOD錠も発売されており、嚥下が困難な方にも投与しやすいお薬となりました。

適応症ですが、高コレステロール血症・家族性高コレステロール血症となっています。高LDL血症を中心とした脂質異常症に対して使用されるお薬です。特にピタバスタチンカルシウムは、10歳の小児に対して唯一適応があるスタチン系のお薬です。

ピタバスタチンカルシウムの用法・用量は、成人の場合は1~2mgで投与を開始します。効果不十分な場合は、最大4mgまで増量することが可能です。

一方で小児の場合は、ピタバスタチンカルシウム1mgから開始し最大投与量は2mgです。現段階では、まだピタバスタチンカルシウム4mgは小児に適応がないので注意が必要です。

さらに肝臓が悪い人も注意が必要です。ピタバスタチンカルシウム1日1mgから開始し、小児であれば最大1mg/日まで、成人であっても最大2mg/日までに留める必要があります。

理由は後述しますが、ピタバスタチンカルシウムは肝臓で作用するため、ピタバスタチンカルシウムを大量に服用すると肝機能を更に悪化させてしまう可能性があるのです。

ちなみに効果ですが、ピタバスタチンカルシウムの添付文章では詳細なデータは記載されていません。先発品のリバロの添付文章では、

と報告されています。全体コレステロールのうち28%、特にLDLのコレステロールを40%と約半分近く減らします。さらにHDLも5mg/dl増加しますし、TGも20%低下します。

つまり、脂質異常症の基準となる3つの数値を全て改善する効果がリバロ錠にはあります。ピラバスタチンカルシウムもリバロと同じ主成分を使用するため、上記の効果が得られると考えられています。ピラバスタチンカルシウムの最高血中濃度は1.8時間で、半減期は約11時間です。1日1回内服すれば、1日中効果が持続できるお薬です。

また空腹時、食後でも効果に大きな差は認めなかったことから、ピタバスタチンカルシウムはいつでも内服して良いと考えられています。ただしピタバスタチンカルシウムは夕食から寝る前に内服した方が良いとされています。コレステロールを体で作る際夜間に亢進することが報告されているため、その時にピタバスタチンカルシウムの血中濃度が一番高くした方が良いというデータがあるからです。

ただし朝内服しては意味がないわけではないので、自分の生活リズムにあった内服を心がけましょう。

 

3.ピタバスタチンカルシウムの薬価は?

ピタバスタチンカルシウムは、リバロのジェネリック医薬品です。先発品のリバロ錠に比べると、ジェネリックのピラバスタチンカルシウム錠の薬価は50%以下となります。

次にピタバスタチンカルシウムの薬価です。ピタバスタチンカルシウムはリバロのジェネリック医薬品です。まず先発品のリバロの薬価は、

商品名 薬価 3割負担
リバロ錠 1mg 58.7 17.6
リバロ錠 2mg 111.1 33.3
リバロ錠4mg 208.6 62.4
リバロOD錠 1mg 58.7 17.6
リバロOD錠 2mg 111.1 33.3
リバロOD錠 4mg 208.6 62.4

※2017年1月16日の薬価です。

なお後発品のピタバスタチンカルシウムの薬価ですが、

商品名 薬価 3割負担
ピラバスタチンカルシウム錠 1mg 24.4 7.3
ピラバスタチンカルシウム錠 2mg 46.3 13.9
ピラバスタチンカルシウム錠4mg 90.9 27.3
ピラバスタチンカルシウムOD錠 1mg 24.4 7.3
ピラバスタチンカルシウムOD錠 2mg 46.3 13.9
ピラバスタチンカルシウムOD錠 4mg 90.9 27.3

※2017年1月16日の薬価です。

後発品のピラバスタチンカルシウムは、先発品のリバロと比べると半分以下の薬価になります。特に脂質異常症は、2~3日飲んだら治るというものではなく、長い期間かけてピラバスタチンカルシウムを内服することで徐々に効果を発揮します。

つまり、1日の薬価が2mgで比較すると111.1-46.3=64.8円ですが、1か月ですと64.8×30日=1,944円になります。1年間になると、1,944円×12か月=23,328円となります。これに自己負担率をかけた分の差になりますので、3割負担では7,000円近くになります。

 

4.ピタバスタチンカルシウムの副作用について

ピタバスタチンカルシウムの副作用で最も注意が必要なのは、筋肉痛などの横紋筋融解症です。

ピタバスタチンカルシウムの添付文章では細かい副作用のデータの記載はありません。リバロの添付文章では、886例中197例(22.2%)に副作用が認められています。自他覚症状の副作用は50例(5.6%)で、主な症状は

です。採血での異常値に関する副作用は167例(18.8%)で、主なものは

でした。まずピタバスタチンカルシウムは、HMG-CoA還元酵素阻害薬として肝臓に作用して効果を発揮するため、肝機能障害を起こすお薬です。その結果、

が上昇しますし、肝機能障害として軽度の腹痛やだるさが認めることがあります。一方で肝機能障害はそこまで重篤化することは少ないですし、薬剤をやめれば多くは改善します。

ピタバスタチンカルシウム含めてスタチン系の副作用として最も怖い副作用が、筋肉を溶かす横紋筋融解症です。筋肉が溶かされると、クレアチンキナーゼ(CK)という筋肉を構成する物質が血液内に増えます。その副作用がピタバスタチンカルシウムでも認めます。横紋筋融解症の症状として、

などが挙げられます。なお、横紋筋融解症や肝機能障害含めて、ピタバスタチンカルシウムの副作用は投与初期にみられることが多く、その多くは投与をやめることで回復します。そのため脂質異常症の改善の確認も含めて、ピタバスタチンカルシウム内服中は採血で経過観察することが望まれます。

少なくともピタバスタチンカルシウムを投与開始してから1か月から3か月の間に、一度は採血することが推奨されています。ピタバスタチンカルシウムなどのスタチン系の副作用の対策についてさらに詳しく知りたい方は、「クレストールで筋肉痛が出たら要注意?クレストールの副作用について」を一読してみてください。

 

5.ピタバスタチンカルシウムが使用できない疾患は?

ピタバスタチンカルシウムは、肝臓が悪い人は使用できません。

ピタバスタチンカルシウムが使用できない疾患は肝臓が悪い人です。ピタバスタチンカルシウムの添付文章でも、

重篤な肝障害又は胆道閉塞のある患者〔これらの患者では本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。また、肝障害を悪化させるおそれがある。〕

と記載されています。実際に肝機能障害を表すスコアとして、Child-Pughスコアというものがあります。

  1. 腹水
  2. 肝性脳症
  3. ビリルビン値
  4. アルブミン値
  5. プロトビン活性値

これら5つの項目に対して、1点~3点ずつスコアでつけます。5項目×3点=15点が最高点で最も悪いのですが、添付文章ではChild-Pugh スコアが1~5点程度ですと、ピタバスタチンカルシウムの血中濃度が1.3倍、Child-Pughスコアが6~9点ですとピタバスタチンカルシウムの血中濃度が2.7倍となります。

ピタバスタチンカルシウムの血中濃度が急激に上昇することは副作用も出やすく非常に危険なため、肝機能が悪い人には禁忌になっています。さらに重篤な肝機能障害じゃなくてもピタバスタチンカルシウムは、軽度でも肝障害があればピタバスタチンカルシウムを1日1mgから開始し、小児であれば最大1mg/日まで、成人であっても最大2mg/日までに留める必要があります。ピタバスタチンカルシウムは成人ですと最大4mgまで投与できるため、半分の量までしか投与できないことになります。

一方で、ピタバスタチンカルシウムを内服する脂質異常症の方の中には、

などの人がいます。このような方は脂質異常症も合併しやすいので、ピタバスタチンカルシウムを内服させたいところです。ただし肝臓の病気が軽度でなければ、

を徹底して肝機能を改善する必要があります。生活習慣を整えて肝臓の機能が改善してからではないと、ピタバスタチンカルシウムは使用できません。また、肝臓の病気が指摘された方は、ピタバスタチンカルシウムが処方されても肝機能が悪化した場合は中止になってしまいます。

そもそも脂質異常症の治療自体がお薬だけではなく、食事療法や運動療法が第一の柱になります。ピタバスタチンカルシウムを処方された方は肝臓が悪くなくても、一度生活習慣を見直してみることからはじめましょう。

 

6.ピタバスタチンカルシウムで飲み合わせが悪い薬は?

シクロスポリン・フィブラート系のお薬は併用できません。特に中性脂肪を下げるフィブラート系の薬を併用しないように注意しましょう。

ピタバスタチンカルシウムの添付文章では、シクロスポリン(サンディミュン・ネオーラル)は絶対禁忌となっています。シクロスポリンを投与されている患者さんにピタバスタチンカルシウムを併用すると、シクロスポリンの血中濃度に影響はでませんでしたが、ピタバスタチンカルシウムの血中濃度が約7倍上昇したとの報告があるためです。シクロスポリンは、

などに適応がある免疫抑制薬です。プレドニンなどのステロイドの効果が不良の時に、追加で加わるお薬です。そのためシクロスポリンが必要になった場合は、ピタバスタチンカルシウムの投与より優先されることがほとんどです。またシクロスポリンは非常に特殊なお薬なので、シクロスポリンとピタバスタチンカルシウムの併用に気を付けるのは患者さんより処方する医師側になります。

患者さんで気をつけなければいけないのは、フィブラート系のお薬です。フィブラート系は、中性脂肪(TG)が高い時に使用される脂質異常症のお薬です。悪玉コレステロールも低下させますが、中性脂肪に対する効果がより強いとされています。代表的なお薬は、

です。脂質異常症の人は、LDL・TG両方高い人も多いです。そういった人は、「ピタバスタチンカルシウムなどのスタチン系とフィブラート系の両方を使えば良いのでは?」と安易に考えがちです。しかしフィブラート系との併用に関しては、ピタバスタチンカルシウムの添付文章では、両方を同時に使用すると急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいことから、原則禁忌となっています。特に腎機能が最初から悪い人には、ほぼ使用できません。

治療上やむを得ないと判断される場合にのみ、慎重に併用することと記載はされています。しかしピタバスタチンカルシウムにも、フィブラート系ほどではないにしろ中性脂肪を低下する効果があります。またフィブラート系も、わずかながら悪玉コレステロールを低下する作用があります。

そのためLDL・TGの実際の値で、より重症な方を一つの薬で治療することからはじめることがほとんどです。両方の値が非常に高い場合は、まず悪玉コレステロール(LDL)を下げるためにピタバスタチンカルシウムの方から処方します。

LDLは動脈硬化の原因となるプラークの元になるため、LDL高値は非常に危険なためです。動脈硬化について詳しく知りたい方は、「脂質異常症はどうして治療が必要?脂質異常症が引き起こす怖い病気とは?を一読してみてください。

いずれにしろピタバスタチンカルシウムを処方された方は、ダメなら次の薬があると安易に考えず、運動や食事療法をしっかりとしようという心構えが大切になります。

 

7.ピタバスタチンカルシウムは妊婦や授乳中の方に投与してよいの?

ピタバスタチンカルシウムは、妊婦・授乳中の方は禁忌になっています。

ピタバスタチンカルシウムは、妊婦の方には禁忌になっています。理由としては、添付文章ではラットに他のスタチン系のお薬を大量投与した場合に、胎児の骨格奇形が報告されています。さらにヒトでは、他のスタチン系のお薬で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告があるためです。

また授乳中の方も、

授乳中の婦人には投与しないこと。[ラットで乳汁中への移行が報告されている。]

という一文が記載されています。基本的にこの一文は他のお薬にもほとんど記載されていますが、ピタバスタチンカルシウムではあえて禁忌の一覧で授乳者が記載されています。他の薬では、あえて禁忌の一覧にまで授乳者を記載することは少ないです。

このことからも、ピタバスタチンカルシウムは妊婦や授乳中の方は内服しないようにしましょう。また妊娠を考えている方も、ピタバスタチンカルシウムは控えた方が安全でしょう。妊娠3か月までの間にスタチン系を内服したときに、胎児の骨格奇形が報告されているためです。

脂質異常症は、ピタバスタチンカルシウムを内服中止したら一気に悪くなって何か症状が出るものではありません。脂質異常症が悪くなって、徐々に動脈硬化が進行することで心筋梗塞や脳梗塞などの怖い病気につながります。これらを予防するために、ピタバスタチンカルシウムを内服します。

むしろ妊娠可能年齢に、ピタバスタチンカルシウムを内服していることが大問題です。20~40代から脂質異常症を指摘されている方は、食生活がかなり乱れており、暴飲暴食で肥満の方が多いです。妊娠するしないに関わらず、食事療法や運動を心がけるようにしましょう。

 

8.リバロ錠とピタバスタチンカルシム錠の効果と副作用の比較

先発品・ジェネリックの効果と副作用は、大きな違いはないと考えられます。

多くの方が気になるのは、先発品のリバロ錠とジェネリック医薬品のピタバスタチン錠で、効果と副作用が同じかどうかだと思います。特にジェネリック医薬品のピタバスタチンカルシウム錠がリバロ錠の半分以下の薬価で手に入るため、不安に感じる方もいるかもしれません。

ジェネリック医薬品では、有効成分は先発品とまったく同じものを使っています。ですから、効果や副作用の大まかな特徴は同じになります。先発品とジェネリック医薬品の違いは、薬を作るときの製造技術です。ジェネリック医薬品を作る時に求められるのは、薬の吸収・排泄と安定性の2つが先発品と同等であることです。

実際に先発品のリバロ錠とピラバスタチンカルシウム錠は主成分および投与量は全く同じです。

ジェネリック医薬品について詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。

 

9.ピタバスタチンカルシウムが向いてる人は?

<向いてる人>

健康診断等でLDLの高値を指摘され、食事や運動などの生活習慣を改善してもLDLコレステロールが下がらない方は、薬物療法の適応となります。

LDLが高ければ、まずピタバスタチンカルシウムなどのスタチン系が第一選択肢になります。冠動脈疾患のリスクの高いような方は、より厳格にLDLコレステロールを管理する必要があります。冠動脈疾患を起こさないためにも、最も効果の強いピタバスタチンカルシウムでしっかりとLDLコレステロールを管理することが重要です。

その中でもピタバスタチンカルシウムは、小児の方に非常に向いてるお薬です。現時点では、唯一スタチン系で小児に適応があるのがピタバスタチンカルシウムになります。小児で高LDL血症の方は家族性高コレステロール血症といって、LDL受容体の遺伝子異常で小さいころからLDLが上昇する病気です。日本において治療を必要とする家族性高コレステロール血症の小児患者は、潜在的に約2万4000人いると推定されています。そのため小さいころから、

で治療していました。しかし症状がない小児に、これらの治療を継続するのは困難なことも多いです。しかし日本では、安全性のデータが不十分という理由でスタチン系の薬剤投与が小児には認められませんでした。しかし、2015年に10~15歳の家族性高コレステロール血症の方を対象に、ピタバスタチンカルシウムの効果および安全性を確認した試験で重篤な有害事象を認めなかったことから、10歳以上であればピタバスタチンカルシウムのみスタチン系の投与を認められました。

そのためピタバスタチンカルシウム錠が向いてる人は、まず小児が挙げられます。次にピタバスタチンカルシウムが向いてる人は、 LDLコレステロールが高いうえに中性脂肪も高い方です。

ピタバスタチンカルシウムは、中性脂肪を下げるフィブラート系のお薬との併用は原則禁忌(腎機能障害が急激に出現することがあるため)です。そのため、LDLか中性脂肪のどちらかを優先して下げる薬を選択しますが、現状はLDLを優先的に下げます。実際に動脈硬化学会のガイドラインでも、まずはLDLコレステロールの管理を第一優先することとなっています。

その理由は、動脈硬化巣の初期病変であるプラークの内部にはコレステロールが沈着していますが、このコレステロールはLDLに由来するものであることが判明しているからです。

また LDL-Cを低下させることで、動脈硬化性疾患が減少することも確認されています。この ように動脈硬化に密接に関係しているコレステロールは、LDLに含まれるコレステロールが主なのです。したがって、LDLコレステロールと中性脂肪がどちらも高い場合には、スタチンを使ってLDLコレステロールを下げる治療を行うこととなっています。

ピタバスタチンカルシウムはLDLコレステロールはもちろん、中性脂肪も20%ほど下げられると言われています。そのため、LDLコレステロールと中性脂肪のどちらも高い方にもメリットがあると考えられます。 

高LDL血症をしっかりと治療して、動脈硬化の進行を食い止めましょう。

さらに先発品のリバロと比べると、薬価は50%以下となります。

またピタバスタチンカルシウムはリバロの薬価が半分以下で手に入るお薬です。特にストロングスタチンは

の3種類がありますが、このうち2017年の時点ではクレストールはまだジェネリック医薬品が登場していません。そのためピタバスタチンカルシウムの倍近い薬価になります。

脂質異常症の治療は基本的には何か月、何年も継続することで徐々に高LDL血症を下げていく治療です。2,3日内服したら終わりということは少なくともないので、月単位、年単位で考えると非常にこの差は大きくなります。

「クレストールは値段が高くて何か月も内服するのは家計的に厳しい」といって自己中断をしてしまう前に、主治医に一度相談してみると良いかもしれません。

 

10.ピタバスタチンカルシウムの作用機序は?

ピタバスタチンカルシウムは、HMG-CoA還元酵素を阻害してコレステロールの合成を阻害します。

ピタバスタチンカルシウムの働きを説明する前に、脂質がどのように代謝されているのかを知ってみると良いかもしれません。

脂質を取り込まれた後の代謝の順序ですが、

  1. 食事をとることで脂質が取り込まれます。
  2. 脂質が分解されTG(トリグリセリド)が上昇します。
  3. TGが肝臓に取り込まれます。
  4. 肝臓でLDL(悪玉コレストロール)が作られます。
  5. LDLがコレステロールを体中に回します。
  6. LDLがHDL(善玉コレステロール)に変化します。
  7. HDLが余分なコレステロールを回収してまわります。

となります。大切なことは、コレステロールのおおもとである脂質は体にとって大切な物質であるということです。そのため、⑤でLDLが体中にコレステロールを回しているのです。コレステロールの働きを具体的にあげると、

  1. 細胞膜の構成
  2. ホルモンの原料
  3. 胆汁酸の原料

などが挙げられます。脂質異常症は、余分にコレステロールがあることが問題になります。

ピタバスタチンカルシウムは、④の部分で肝臓でTGがLDLに変換されるのを防ぐお薬です。具体的には、HMG-CoA還元酵素という酵素をピタバスタチンカルシウムは阻害します。このHMG-COA還元酵素は、肝臓内でLDLを作る働きがある酵素です。この酵素を阻害することにより、LDLが作られるのをピタバスタチンカルシウムは邪魔するのです。

④でLDLが作られなくなると、⑤以降も変化が生じます。

  1. LDLが体内に回る量が減ります。
  2. LDLが少ないことを体が察知して、体内に栄養がないと勘違いします。
  3. LDLを肝臓に取り込んで、低栄養状態に備えます。

このようにして、LDLはさらに血中から減ります。また体内に栄養がないと勘違いすることで、HDLを沢山作って③の肝臓に取り込むように働きかけるのです。

また肝臓では、中性脂肪からVLDL(超低密度リポタンパク質)も作成されます。VLDLには、中性脂肪を運ぶ働きがあります。

そのため、HMG-COA還元酵素を阻害してVLDLが減ると、中性脂肪を運ぶ物質も減ります。このため、中性脂肪も低下します。大切なのは、食事療法で脂質を制限したり、運動療法で血管内の脂質を減らすといったことが重要であるということです。

HMG-COA還元酵素を阻害したからといって、100%肝臓でLDLが作られないわけではありません。つまり沢山食べてしまえば、肝臓でLDLは作られてしまいます。

また血管内に栄養がたくさん漂っていれば、体も勘違いしないためLDLを肝臓に取り込もうとしないし、HDLを増やしてコレステロールを回収しようともしません。そのため、しっかりと食事療法と運動療法をやったうえで、ピタバスタチンカルシウムは効果を発揮するお薬だということを認識しましょう。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>