ローコール錠(フルバスタチン)の効果と特徴

アイコン 2017.2.17 ローコール

ローコール錠(一般名:フルバスタチン)は、1998年からMSD製薬会社より発売されたお薬になります。「スタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害薬)」という種類に分類される、コレステロールを下げるお薬です。

ローコールは、おもに悪玉(LDL)コレステロールを下げるお薬です。悪玉コレステロールは直接動脈硬化を引き起こす原因になるため、LDLが高い場合はローコールなどのスタチン系を選択します。

しかしながら脂質異常症の治療の基本は、食事制限と運動療法です。どんなにローコールを内服し続けていても、日常生活を見直さないと脂質異常症は改善しないため注意しましょう。

ここでは、ローコールの効果と特徴についてまとめていきます。

 

1.ローコールのメリット・デメリットについて

<メリット>

<デメリット>

ローコールは、脂質異常症に対して使用されるお薬です。2012年度の動脈硬化性疾患予防ガイドラインに、脂質異常症の診断基準が示されています。

脂質異常症の診断基準について

※2012年動脈硬化性疾患予防ガイドライン参照

このように脂質異常症は、3つの項目のうち一つでも当てはまれば診断されます。善玉コレステロールが低くても異常と診断されるため、高脂血症から脂質異常症に名前が変更になりました。脂質異常症の詳しい診断基準ついて知りたい方は、「健康診断で脂質異常症と診断された!!脂質異常症の診断基準は?」を参照してみてください。

この中でスタチン系のローコールは、高LDL血症に対して適応があります。スタチン系には、

があります。ローコールは、この中でスタンダードスタチンに属します。具体的には、

の3種類があり、どれも中等度にLDLを下げることになります。しかし「そもそもなぜ高LDLを改善しなければいけないのか?」と思う人もいるかと思います。

高LDL血症をはじめとした脂質異常症は、動脈が固くなる動脈硬化の原因になります。動脈が固くなり、さらにプラークというコブができると、動脈が閉塞しやすくなります。動脈が閉塞した部位が心臓や脳などですと、

などの病気が起きやすくなります。これらの病気は予兆もなく、突然発症します。死亡率も非常に高いですし、一命をとりとめたとしても激しい痛みなどの症状、およびその後の後遺症に悩まされる恐ろしい病気です。

これらの病気になってから脂質異常症を慌てて治療しても、時すでに遅しです。脂質異常症をなぜ治療しなければならないのか知りたい方は、「脂質異常症はどうして治療が必要?脂質異常症が引き起こす怖い病気とは?」 を一読してみてください。

特に悪玉コレステロールは、動脈の壁を破壊してコブになるプラークの原因物質になります。そのため脂質異常症の中でも、最も最優先で治療をするべきなのが高LDL血症になります。一方で、高LDL血症をはじめとした脂質異常症の治療は、

が柱となります。ローコールは、コレステロールの合成を阻害することでLDLの上昇を抑えるお薬ですが、

上記の状態では、ローコールの効果にも限界があります。

ローコールは、食事療法・運動療法をしっかり行ったうえで使っていきます。ローコールだけで脂質異常症を治療しようと考えないようにしましょう。ローコールはLDLを下げる薬ですが、

もあります。そのためLDLが高い上に、HDLが低い、TGが高いなどが合併している場合でも、ローコールは治療適応になります。

一方でローコールは、副作用に注意が必要です。ローコールの重大の副作用として、特に注意が必要なものは横紋筋融解症です。横紋筋融解症は、筋肉をつくっている骨格筋細胞に融解や壊死が起こり、筋肉の成分が血液中に流出してしまう病気です。

筋成分であるミオグロビンが大量に流出し、腎臓に負担がかかる結果、尿が出にくくなるなどの腎障害を起こしてしまうことがあります。ローコールを内服中に、筋肉痛や疲れやすさが出現した場合は注意しましょう。

また、ローコールは肝臓に主に作用する薬です。そのため、肝機能障害が起こることがあります。横紋筋融解症も肝機能障害も採血で診断できます。ローコールの効果判定も含めて、定期的に採血を心がけましょう。

 

2.ローコールの適応・投与量・効果は?

ローコールは、高LDL血症を中心とした脂質異常症に適応があります。ローコールの投与量は、20mgで開始し60mgまで増量可能と幅があります。

ローコールは、

の3種類が発売されています。発売当初はローコールはカプセルでしたが、2003年にローコール錠が発売されてから、カプセルは製造中止になっています。そのため現在では、ローコールは錠剤のみ発売されています。

適応症ですが、

高コレステロール血症・家族性高コレステロール血症

となっています。高LDL血症を中心とした脂質異常症に対して使用されるお薬です。

成人の場合のローコールの用法・用量は、

1日1回夕食後、ローコール20mg~30mgを内服となっています。なお投与量は、ローコール20mgより開始して年齢・症状により適宜増減できますが、重症の場合には1日ローコールを60mgまで増量できます。

ちなみに効果ですが、ローコールを12週間投与した際の高コレステロール血症に対する有効率は、82.1%となっています。逆にいえば、ローコールを内服していても約2割の方は効果がないことになるので注意しましょう。一方でローコールを投与し始めてから約1年間、ローコールを投与を続けた際には、有効率は90.6%まで上昇する事も確認されています。

ローコールの効果の大きさですが、ローコールを20mgより投与開始し、効果が不十分な場合は40mgまで増量可としたところ、

となっています。また、ローコールを投与し続けることで、

とLDL以外の脂質異常症に対しても効果があることが確認されています。

空腹時・食後でも効果に大きな差は認めなかったことから、ローコールはいつでも内服して良いと考えられています。ローコールは、0.83時間程度で最高血中濃度に到達します。また、ローコールの血中半減期は1.32時間となります。体内にはたまりにくいお薬となっています。

 

3.ローコールの薬価は?

ローコールには、ジェネリック医薬品が発売されています。先発品のローコール錠に比べると、ジェネリックのフルバスタチン錠は50%程度となりますが、製薬会社によってばらつきが大きいため注意が必要です。

次にローコールの薬価をみていきましょう。ローコールは、ジェネリック医薬品も登場しているスタチン系のお薬です。まず先発品のローコールの薬価は、

商品名 薬価 3割負担
ローコール錠 10mg 102.2 30.6
ローコール錠 20mg 200.9 60.3
ローコール錠30mg 410.9 123

※2017年2月16日の薬価です。

なお、後発品のフルバスタチンの薬価ですが、

商品名 薬価 3割負担
フルバスタチン錠 10mg 24.3 7.3
フルバスタチン錠 20mg 54.8 16.4
フルバスタチン錠30mg 156.7 46.8

※2017年2月16日の薬価です。

ジェネリック医薬品のフルバスタチンはローコールの約半分程度の薬価で発売されています。

ただし、フルバスタチンは多くの製薬会社が発売しており、価格にかなりの開きがあります。ここで示したのは大部分の製薬会社の薬価ですが、この薬価よりも値段が安いor高いことがありますので、注意してください。

 

4.ローコールが向いてる人は?

<向いてる人>

健康診断等でLDLの高値を指摘され、食事や運動などの生活習慣を改善してもLDLコレステロールが下がらない方は、薬物療法の適応となります。

LDLが高ければ、まずローコールなどのスタチン系が第一選択肢になります。現在では、

などのストロングスタチンを好む医師が多いです。ストロングスタチンがLDLを平均40%低下できるのに対して、スタンダードスタチンはLDLを平均20~30%下げることができます。そのため、「LDLを大幅に下げた方が良いのでは?」と患者さんは考えてしまうかと思います。そのように考えている医師も少なくありません。

ですがコレステロールは、私たちの体にとって大切な物質です。LDLの別名は「悪玉コレステロール」とよばれますが、下げれば下げるほど良いというわけではありません。

詳しいことは後述しますが、LDLはコレステロールを体に配る役割があります。コレステロールは、我々30兆の細胞を司る原料になります。コレステロールが体内になくなるということは、我々の30兆の細胞を維持できなくなるということです。さらに、ホルモンや胆汁を作る原料にもなります。そのためLDLやコレステロールは、低すぎても問題になります。

低コレステロールの定義は、

です。この値を大幅に下回ってコントロールすることは好ましくないと考えられています。ただし低コレステロールに関しては、実際に症状として感じられることは少ないのです。ですがホルモンバランスが崩れることで、

などの症状が出ることがあります。また、脳出血を予防するためにコレステロールを下げすぎた場合、細胞を作る原料が無くなるため、むしろ脳出血が起こりやすくなるといったデータもあります。

つまりコレステロールは、ちょうど良い値が一番ということです。高すぎは論外ですが、決して下げれば下げるほど良いというわけではありません。以上の特徴を踏まえると、LDLが軽度高値の人は大幅に下げる必要がないため、ローコールは良い適応です。特に高齢者は良い適応です。

高齢者の場合は、

などから、LDLを大幅に下げる場合には危険になる可能性もあります。

またLDLと中性脂肪どちらも高い方にも、ローコールは良い適応です。ローコールはLDLコレステロールはもちろん、中性脂肪も下げられると言われています。そのため、LDLコレステロールと中性脂肪のどちらも高い方にもメリットがあると考えられます。 

 

5.ローコールの作用機序は?

ローコールは、HMG-CoA還元酵素を阻害してコレステロールの合成を阻害します。

ローコールの働きを説明する前に、脂質がどのように代謝されているのかを知ってみると良いかもしれません。

脂質を取り込まれた後の代謝の順序ですが、

  1. 食事をとることで脂質が取り込まれます。
  2. 脂質が分解されTG(トリグリセリド)が上昇します。
  3. TGが肝臓に取り込まれます。
  4. 肝臓でLDL(悪玉コレストロール)が作られます。
  5. LDLがコレステロールを体中に回します。
  6. LDLがHDL(善玉コレステロール)に変化します。
  7. HDLが余分なコレステロールを回収してまわります。

となります。大切なことは、コレステロールのおおもとである脂質は、体にとって大切な物質であるということです。そのため、⑤でLDLが体中にコレステロールを回しているのです。コレステロールの働きを具体的にあげると、

  1. 細胞膜の構成
  2. ホルモンの原料
  3. 胆汁酸の原料

などが挙げられます。脂質異常症は、余分にコレステロールがあることが問題になります。

ローコールは、④の部分で肝臓においてTGがLDLに変換されるのを防ぐお薬です。具体的には、HMG-CoA還元酵素という酵素をローコールは阻害します。このHMG-COA還元酵素は、肝臓内でLDLを作る働きがある酵素です。この酵素を阻害することにより、LDLが作られるのをローコールは邪魔するのです。

④でLDLが作られなくなると、⑤以降も変化が生じます。

  1. LDLが体内に回る量が減ります。
  2. LDLが少ないことを体が察知して、体内に栄養がないと勘違いします。
  3. LDLを肝臓に取り込んで、低栄養状態に備えます。

このようにして、LDLはさらに血中から減ります。また体内に栄養がないと勘違いすることで、HDLを沢山作って③の肝臓に取り込むように働きかけるのです。

また肝臓では、中性脂肪からVLDL(超低密度リポタンパク質)も作成されます。VLDLには、中性脂肪を運ぶ働きがあります。

そのため、HMG-COA還元酵素を阻害してVLDLが減ると、中性脂肪を運ぶ物質も減ります。このため、中性脂肪も低下します。大切なのは、食事療法で脂質を制限したり、運動療法で血管内の脂質を減らすといったことが重要であるということです。

HMG-COA還元酵素を阻害したからといって、100%肝臓でLDLが作られないわけではありません。つまり沢山食べてしまえば、肝臓でLDLは作られてしまいます。

また血管内に栄養がたくさん漂っていれば、体も勘違いしないためLDLを肝臓に取り込もうとしないし、HDLを増やしてコレステロールを回収しようともしません。そのため、しっかりと食事療法と運動療法をやったうえで、ローコールは効果を発揮するお薬だということを認識しましょう。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>