リピディル錠(フェノフィブラート)の効果と特徴

アイコン 2017.3.24 トライコア/リピディル

リピディル錠は、2005年からあすか製薬会社より発売されたお薬になります。「フィブラート系」という種類に分類される、コレステロールを下げるお薬です。

リピディル錠は、おもに中性脂肪(TG)を下げるお薬です。中性脂肪が高い場合に、フィブラート系は第一選択肢になります。特にリピディルは、新しく登場したフィブラート系の第二世代として効果も強いため、積極的に選択されているお薬です。

しかしながら脂質異常症の治療の基本は、食事制限と運動療法です。どんなにリピディル錠を内服し続けていても、日常生活を見直さないと脂質異常症は改善しないため注意しましょう。

ここでは、リピディル錠の効果と特徴についてまとめていきます。

 

1.リピディル錠のメリット・デメリットについて

<メリット>

<デメリット>

リピディル錠は、脂質異常症に対して使用されるお薬です。2012年度の動脈硬化性疾患予防ガイドラインに、脂質異常症の診断基準が示されています。

脂質異常症の診断基準について

※2012年動脈硬化性疾患予防ガイドライン参照

このように脂質異常症は、3つの項目のうち一つでも当てはまれば診断されます。善玉コレステロールが低くても異常と診断されるため、高脂血症から脂質異常症に名前が変更になりました。脂質異常症の詳しい診断基準ついて知りたい方は、「健康診断で脂質異常症と診断された!!脂質異常症の診断基準は?」を参照してみてください。

この中でフィブラート系のリピディル錠は、高トリグリセリド血症に対して適応があります。トリグリセリドとは、別名中性脂肪です。中性脂肪を最もよく低下させるのがフィブラート系になります。一方で、なぜ中性脂肪が多いと問題なのかと思う人もいるかもしれません。

高TG血症をはじめとした脂質異常症は、動脈が固くなる動脈硬化の原因になります。動脈が固くなり、さらにプラークというコブができると動脈が閉塞しやすくなります。動脈が閉塞した部位が心臓や脳などですと、

などの病気が起きやすくなります。これらの病気は予兆もなく、突然発症します。死亡率も非常に高いですし、一命をとりとめたとしても激しい痛みなどの症状、およびその後の後遺症に悩まされる恐ろしい病気です。

これらの病気になってから脂質異常症を慌てて治療しても、時すでに遅しです。脂質異常症をなぜ治療しなければならないのか知りたい方は、「脂質異常症はどうして治療が必要?脂質異常症が引き起こす怖い病気とは?」 を一読してみてください。

特に高TG血症は、

など心臓に関連した病気の発生頻度が多いと報告されています。また脳梗塞のリスクも上昇するという報告も複数あります。一方で、高TG血症をはじめとした脂質異常症の治療は、

が柱となります。リピディル錠はTG(中性脂肪)の上昇を抑えるお薬ですが、

このような状態では、リピディル錠の効果にも限界があります。

リピディル錠は、食事療法・運動療法をしっかり行ったうえで使っていきます。リピディル錠だけで脂質異常症を治療しようと考えないようにしましょう。リピディル錠はTGを下げる薬ですが、

もあります。しかしリピディル錠はLDL低下させる効果は弱いため、TG・LDL両方高い場合は

などのスタチン系を使用することが現在では主流です。

リピディル錠は、副作用に注意が必要です。リピディル錠の重大の副作用として特に注意が必要なものは、横紋筋融解症です。横紋筋融解症は、筋肉をつくっている骨格筋細胞に融解や壊死が起こり、筋肉の成分が血液中に流出してしまう病気です。

筋成分であるミオグロビンが大量に流出し、腎臓に負担がかかる結果、尿が出にくくなるなどの腎障害を起こしてしまうことがあります。リピディル錠を内服中に筋肉痛や疲れやすさが出現した場合は注意しましょう。

またリピディル錠は、肝臓に主に作用する薬です。そのため、肝機能障害が起こることがあります。横紋筋融解症も肝機能障害も採血で診断できます。リピディル錠の効果判定も含めて、定期的に採血を心がけましょう。

またリピディル錠の特徴として1日1回のみの内服で良い点もメリットして挙げられます。フィブラート系によっては1日毎食後の薬もあります。脂質異常症は基本的に2~3日内服すればよいということは少なく、毎日内服が必要になります。このため、1日1回ですと続けやすくなります。

 

2.リピディル錠の適応・投与量・効果は?

リピディル錠は、高TG血症を中心とした脂質異常症に適応があります。リピディル錠は、106mgから160mgを1日1回内服します。

リピディル錠は、

のみ発売されています。前はカプセルのみの発売だったのですが、2011年に錠剤が発売してからはカプセルの発売は中止されました。適応症ですが

高脂質血症(家族性を含む)

となっています。特にリピディル錠などのフィブラート系は、主に高TG血症(中性脂肪)が高い症例に使用されることが多いです。一方で、下記の様な注意事項も記載されています。

  1. 総コレステロールのみが高い高脂血症(Ⅱa 型)に対し、第一選択薬とはしないこと。
  2. カイロミクロンが高い高脂血症(Ⅰ型)に対する効果は検討されていない。

まず中性脂肪が高くなければフィブラート系は選択されないことから、「総コレステロールのみが高く、中性脂肪が正常な脂質異常症」に対しては適応がないということを①では伝えています。

次に②ですが、カイロミクロンという中性脂肪を多く含んだタンパク質(リポ蛋白)が増えてしまう疾患の効果は検討されていないとされています。

カイロミクロンが高いLPL欠損症の頻度は100万人に1人と言われています。そのためまず患者さん自体が少ないため、お薬の効果が検討されていないというよりは、検討できないといった表現が正しいかもしれません。

少なくともカイロミクロンは、通常の採血ではまず測定されません。カイロミクロンが高い場合は、膵炎などを引き起こします。そういった症状が繰り返し出て疑われた場合に初めて測定するため、まず普通の脂質異常症の人は気にしなくてよい疾患です。

成人の場合のリピディル錠の用法・用量は、リピディルを1 日1回106.6mg~160mgを食後経口します。

リピディルは、中性脂肪を最もよく低下させるお薬です。そのため、中性脂肪のみであれば低用量でもリピディルは効果を発揮しますが、中性脂肪だけではなくコレステロールも高い場合は量を増やす必要があるお薬です。

実際にリピディルを高脂血症患者さんに投与した時の改善率は、添付文章では記載されていません。しかし同じ主成分であるトライコアでは、81%と報告されています。

それぞれの数値の低下の程度としては、

と報告されています。主成分が同じリピディルも同じ程度の効果があると考えられます。このように、総コレステロールが1~2割に対して、中性脂肪は3~5割低下させます。このため、先ほどのように量に違いがあるのです。

 

3.リピディル錠の薬価は?

リピディル錠は、2005年に発売されたお薬です。フェノフィブラートとして、ジェネリック医薬品も発売されています。

次にリピディル錠の薬価です。リピディル錠は2005年に発売されたお薬のため、フェノフィブラート錠として後発品も発売されています。

リピディル錠の薬価ですが、

商品名 薬価 3割負担
リピディル錠53.3mg 28.4 8.5
リピディル錠80mg 37.0 11

※2017年3月26日の薬価です。

となっています。一方でジェネリック医薬品のフェノフィブラートは、

商品名 薬価 3割負担
フェノフィブラート錠67mg 16.7 5.1
フェノフィブラート錠100mg 21.7 6.5

※2017年3月26日の薬価です。

となっています。先発品のリピディルと比較して、量が若干違います。薬価に関しても、約6割程度にフェノフィブラートは安くなると考えて良いでしょう。

 

4.リピディル錠が向いてる人は?

健康診断等でTGの高値を指摘され、食事や運動などの生活習慣を改善してもTGコレステロールが下がらない方は、薬物療法の適応となります。

一方で現在は、LDLとTGが両方高い人が多いです。この場合、「LDLを下げるスタチン系とTGを下げるリピディル錠などのフィブラート系を両方使用すれば?」と考える人も多いかもしれませんが、これはいけません。なぜなら両方を同時に投与すると、急激に腎臓に障害がおき横紋筋融解症のリスクが高くなるからです。

そのためどちらの添付文章でも、スタチン系とフィブラート系を同時に使用することは原則禁忌となっています。少なくとも、最初から2剤で治療することはまずありません。そうすると、

どちらを優先的に下げるのか?という疑問が生まれます。答えは、悪玉コレステロール(LDL)です。LDL(悪玉コレステロール)は、動脈の壁を破壊してコブになるプラークの原因物質になります。そのため脂質異常症の中でも、最も最優先で治療をするべきなのが高LDL血症になります。

またLDLを下げる第一選択肢がクレストールやリバロなどのスタチン系ですが、スタチン系単独でもTGを下げる効果があるため、現在は両方高い場合はまずスタチン系から投与されます。

そのためリピディル錠が向いてる人は、まずLDLが正常値でTGが高値な人になります。LDLが高い人は、フィブラートよりスタチン系が優先されるからです。

特に現在は、第一世代といわれるクロフィブラートカプセルよりも第二世代といわれる

の方が効果が高いため、リピディルはTG高値の第一選択薬と活躍しています。

ただしTGの値は、脂質異常の中でも非常に注意が必要な数値です。中性脂肪は、食事摂取直後より急激に上昇します。そのため正確な値を知るためには、朝起きた後朝食をとる前の絶食時の値が必要になります。

絶食の定義は、食事をとってから10~12時間以上たってからなので、大部分の方は最初の採血は正確なTGの値ではないと思います。一方で食後でも、中性脂肪が165以上だと絶食の数値ではなくても心筋梗塞や狭心症のリスクが上昇するというデータもあります。

そのため、「食後だから中性脂肪が高いのは当たり前」で流すのではなく必ず医療機関を受診し、正確な自分の状態を確認しましょう。

 

5.リピディル錠の作用機序は?

リピディル錠は、PPARαと呼ばれる受容体を刺激することで、中性脂肪を脂肪酸に変化させるよう働きかける作用があります。

リピディル錠の働きを説明する前に、脂質がどのように代謝されているのかを知ってみると良いかもしれません。

脂質を取り込まれた後の代謝の順序ですが、

  1. 食事をとることで脂質が取り込まれます。
  2. 脂質が分解されTG(トリグリセリド)が上昇します。
  3. TGが肝臓に取り込まれます。
  4. 肝臓でLDL(悪玉コレストロール)が作られます。
  5. LDLがコレステロールを体中に回します。
  6. LDLがHDL(善玉コレステロール)に変化します。
  7. HDLが余分なコレステロールを回収してまわります。

となります。大切なことは、コレステロールのおおもとである脂質は、体にとって大切な物質であるということです。コレステロールの働きを具体的にあげると、

  1. 細胞膜の構成
  2. ホルモンの原料
  3. 胆汁酸の原料

などが挙げられます。脂質異常症は、余分にコレステロールがあることが問題になります。決して、ここに登場するコレステロール・TG・LDLを、悪者の一言で片づけないようにしましょう。

リピディル錠は、脂肪が分解されて上昇したTGをPPARα(ペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体α)という受容体を活性化することによって、分解を促進する作用があります。具体的には、

  1. PPARαが刺激される
  2. LPL(リポ蛋白リパーゼ)が活性化される
  3. LPLがTGを脂肪酸に分解する
  4. 脂肪酸は各臓器に取り込まれてエネルギーとして蓄えられる

といった作用があります。PPARαが働くことで、中性脂肪が分解するように働きかけられます。またPPARαは、

  1. アポA-I・アポA-IIという善玉コレステロール(HDL)の元となるたんぱく質を増やす
  2. 肝臓で悪玉コレステロール(LDL)が作られるのを防ぐ

作用もあります。ただしこれらの効果は、中性脂肪が分解する作用に比較するとわずかです。そのためリピディル錠は、TGを下げるのがメインのお薬と考えた方が良いです。

ただしリピディル錠でPPARαを刺激したからといって、食事摂取して分解されたTGを全て脂肪酸に変化するわけではありません。そのため、しっかりと食事療法と運動療法を行ったうえで、リピディル錠は効果を発揮するお薬だということを認識しましょう。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>