ゼチーア錠の副作用と安全性

アイコン 2017.4.2 ゼチーア

ゼチーアは、主に脂質異常症・高脂血症・高LDL血症といった病名に小腸コレステロールトランスポーター阻害剤です。小腸からコレステロールが吸収されるのを防ぐことでLDLを下げる効果があります。

ゼチーアはLDLコレステロールを下げる力が非常に強いですが、小腸に作用するため下痢や便秘、腹痛などの消化器症状が出現します。

一方でゼチーアはスタチン系の効果が不十分な時に追加する第二選択薬として使用されることが多いです。スタチン系と併用する時、重度な肝機能障害があると使用することができません。

ゼチーアの内服が開始された方は、1日や2日といった短い期間ではなく、長期間続けることになります。ここでゼチーア錠の副作用と安全性についてしっかりと確認していきましょう。

 

1.ゼチーアの副作用について

ゼチーアの副作用で最も注意が必要なのは、便秘や下痢、腹痛などの胃腸障害です。

ゼチーアの添付文章ではは504例中95 例(18.8%)に認められました。主なものは、

となっています。ゼチーアは小腸に作用してコレステロールの吸収を阻害するお薬です。そのため消化器系の副作用が多くなります。ただしどの副作用もほとんど軽度なもので重篤な副作用はほとんど認めません。

一方、併用することが多いスタチン系の副作用として最も怖い副作用が、筋肉を溶かす横紋筋融解症です。筋肉が溶かされると、クレアチンキナーゼ(CK)という筋肉を構成する物質が血液内に増えます。その副作用が肝機能障害がある方でゼチーアを併用した場合、頻度が増える可能性があるとされています。

横紋筋融解症の症状は、

などが挙げられます。スタチン系は肝機能障害も起こしえるお薬ですが、ゼチーアも1%以上の確率で肝機能酵素が上昇するとなっています。

そのためスタチン系と併用されている方は、ゼチーアを加えたことでスタチン系の副作用が出現することがあるため、定期的にコレステロールの数値の変動を確認することも含めて採血した方が良いでしょう。

スタチン系の副作用について詳しく知りたい方は、「クレストールの副作用」について一読してみてください。

 

2.ゼチーアが使用できない疾患は?

ゼチーアは、重篤な肝臓障害がある人にスタチン系の薬と併用してはいけないことになっています。

ゼチーアの添付文章では、ゼチーアとHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン系)を併用する場合、重篤な肝機能障害のある患者には禁忌となっています。理由としては、ゼチーア自体も肝臓で代謝されるために、ゼチーア単剤でも血中濃度が上昇してしまうリスクがあります。

スタチン系と併用することでさらにゼチーアの血中濃度が上がるため禁忌となっています。しかしスタチン系自体が肝臓が悪い人は禁忌です。理由としてはスタチン系も肝臓で代謝されるため、肝臓が悪いと薬が代謝されずに急激に血中濃度が上がるため、副作用が起きやすいためです。

このスタチン系の中で、メバロチンが唯一腎代謝のお薬です。実際にメバロチンは肝臓が悪い人に対しても慎重投与止まりで禁忌ではありません。そのため肝臓が悪い人は、メバロチンでスタチン系を投与されている可能性があります。

そのため、メバロチンの効果が弱いからといって、重篤な肝機能障害がある人にゼチーアを追加してはいけないことになっています。一方で脂質異常症の方の中には、

などの人がいます。この中でゼチーアは、脂肪肝に単独で使用した場合効果を認めたという論文があります。具体的内容ですが、

日本人の非アルコール性脂肪性肝炎を有する脂質異常症患者を対象に、ゼチーアをファーストライン投与したところ、脂肪肝に対して改善が認められました。ゼチーアを6カ月間投与することにより、

と脂質異常症だけでなく、

などの肝機能検査値も改善しました。

さらに脂肪肝患者の肝組織所見のうち、脂肪肝、肝細胞風船様腫大、実質炎症の3項目の程度をスコア化したNASスコアも、ゼチーアにより有意に低下しました。

肝組織学的変化を肝生検により検討したところ、ゼチーアにより肝組織像の改善が認められました。このことから、ゼチーアが脂肪肝を有する脂質異常症患者さんに好影響を及ぼすことが示唆されました。

以上にて脂肪肝などが原因で肝臓が悪くなった人には逆にゼチーアを使用することもあります。ただし、脂質で肝機能障害が出ている方はゼチーア任せではなく、

を徹底して肝機能を改善する必要があります。肝臓の病気が指摘された方は、ゼチーアが処方されても肝機能が悪化した場合は中止になってしまいます。

そもそも脂質異常症の治療自体がお薬だけではなく、食事療法や運動療法が第一の柱になります。ゼチーアを処方された方は肝臓が悪くなくても、一度生活習慣を見直してみることからはじめましょう。

 

3.ゼチーアで飲み合わせが悪い薬は?

シクロスポリンは併用注意です。また、中性脂肪を下げるフィブラート系の薬の併用も勧められていません。

ゼチーアは、絶対に併用できないお薬はありません。ただし、一緒に使用するのに気を付けるお薬がいくつかあります。その代表的なお薬の一つに、シクロスポリンが挙がります。シクロスポリンは免疫抑制薬であり、非常に特殊なお薬です。

リウマチなどの特殊な病気に使用します。また、シクロスポリンはゼチーアに限らず、併用するのに注意するお薬がたくさんあります。そのため大切なのは、シクロスポリンとゼチーアを処方する医師が異なる場合です。シクロスポリンとゼチーアを併用すると、シクロスポリンの血中濃度が上昇する可能性があります。

シクロスポリンが処方された方は、ゼチーア含めて内服しているお薬を伝えるようにしてください。

一方でスタチン系のお薬とフィブラート系のお薬は、原則併用禁忌でした。フィブラート系は、中性脂肪(TG)が高い時に使用される脂質異常症のお薬です。悪玉コレステロールも低下させますが、中性脂肪に対する効果がより強いとされています。代表的なお薬は、

です。脂質異常症の人は、LDL・TG両方高い人も多いです。

そういった人は、高LDLの第一選択薬であるスタチン系がフィブラート系と合わせられないのであれば、ゼチーアとフィブラート系なら良いのでは?と考える人もいます。

しかし、ゼチーアとフィブラート系も併用しない方が望ましいと添付文章で記載されています。どちらも胆汁中のコレステロール濃度を上昇させるため、胆石のリスクが上がる可能性があると考えられているからです。

医療現場では、LDL・TGの実際の値でより重症な方を一つの薬で治療することからはじめることがほとんどです。両方の値が非常に高い場合は、まず悪玉コレステロール(LDL)を下げるためにゼチーアの方から処方します。

LDLは動脈硬化の原因となるプラークの元になるため、LDL高値は非常に危険なためです。動脈硬化について詳しく知りたい方は、「脂質異常症はどうして治療が必要?脂質異常症が引き起こす怖い病気とは?」を一読してみてください。

いずれにしろゼチーアを処方された方は、ダメなら次の薬があると安易に考えず、運動や食事療法をしっかりとしようという心構えが大切になります。

 

4.ゼチーアは妊婦や授乳中の方に投与してよいの?

ゼチーアは、妊婦・授乳中の方にも使用可能です。一緒に併用していることが多いスタチン系は禁忌のため気を付けましょう。

ゼチーアの添付文章では、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。 [妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。] 

と記載されています。そのためゼチーア自体は、妊婦の方に投与可能と考えられています。ただしゼチーアと併用していることが多いスタチン系は、妊婦の方には禁忌になっています。

理由としては、ラットにスタチン系のお薬を大量投与した場合に、胎児の骨格奇形が報告されています。さらにヒトでは、スタチン系のお薬で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告があるためです。

また授乳中の方も、

授乳中の婦人には投与しないこと。[ラットで乳汁中への移行が報告されている。]

という一文が記載されています。基本的にこの一文は他のお薬にもほとんど記載されていますが、スタチン系は妊婦で禁忌になっている経過からお勧めできません。

そのためゼチーアを内服している方で、

の方は、ゼチーアだけではなくスタチン系を内服していないか一度確認してみましょう。

 

5.ゼチーアとアルコールは内服して良いの?

ゼチーアは肝機能が悪化するとスタチン系と一緒に使用できなくなるため、アルコールには注意が必要です。

ゼチーア自体は、アルコールを摂取したからといって効果は低下しません。しかしアルコールの取りすぎは肝臓を痛めてしまいます。

重度の肝機能障害の人は、スタチン系とゼチーアの併用が禁忌となっています。そのため肝臓が悪くなると、ゼチーアが使用できなくなることが多いです。

アルコールを飲んでよいか気にされる方は、基本的に大量に飲む人が多いです。

アルコール自体が、

とされているため、控えてもらいたいのが医師側の意見です。一方でゼチーアは、内服したら基本的には長期間内服することが多いです。数日だけ内服して一時的に脂質異常症を改善してもあまり意味はなく、持続することで動脈硬化を予防する必要があるためです。

ゼチーアを長年飲んでる間、一滴もアルコールを飲んではいけないというのは難しい人も多いかと思います。アルコール自体は、少量であればHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加する働きがあります。そのため推奨されているアルコール量は、20~25gといわれています。これは1日量として、

となっています。ただしアルコールは中性脂肪を増やすため、中性脂肪が高い人は飲んではいけません。そのためアルコールを飲んでよいかどうかは、

などを含めて、一度医師に相談してみると良いかもしれません。基本的にはダメと言われるかもしれませんが、人によっては少量なら大丈夫な人もいるとは思います。ただしアルコールOKだからと言って大量に飲むと、容易に脂質異常症や肝機能障害が出てくることがあるので注意が必要です。また、採血などで定期的に精査することをお勧めします。

 

まとめ