リピトールの副作用と安全性

アイコン 2017.1.21 リピトール

リピトールは、主に脂質異常症・高脂血症・高LDL血症といった病名に使用されるスタチン系のお薬です。リピトールは悪玉コレステロール(LDL)を強力に下げるお薬のため、高LDL血症の第一選択薬として使用されます。

リピトールはLDLコレステロールを下げる力が非常に強いですが、筋肉痛などの症状で起きる「横紋筋融解症」には注意が必要です。また肝機能障害が重篤な人、妊娠中の人には使用できません。

リピトールの内服が開始された方は、1日や2日といった短い期間ではなく、長期間続けることになります。ここでリピトールの副作用と安全性についてしっかりと確認していきましょう。

 

1.リピトールの副作用について

リピトールの副作用で最も注意が必要なのは、肝障害と横紋筋融解症です。

リピトールの添付文章では、897例中78例(8.7%)に副作用が認められました。主な副作用は、

でした。また、主な臨床検査値異常変動は、

でした。まずリピトールはHMG-CoA還元酵素阻害薬として肝臓に作用して効果を発揮するため、肝機能障害を起こすお薬です。その結果、

が上昇しますし、肝機能障害として軽度の胃部不快感やだるさが認めることがあります。一方で肝機能障害は、そこまで重篤化することは少ないですし、薬剤をやめれば多くは改善します。

リピトール含めてスタチン系の副作用として最も怖い副作用が、筋肉を溶かす横紋筋融解症です。筋肉が溶かされると、クレアチンキナーゼ(CK)という筋肉を構成する物質が血液内に増えます。その副作用がリピトールでも認めます。横紋筋融解症の症状として、

などが挙げられます。なお、横紋筋融解症や肝機能障害含めて、リピトールの副作用は投与初期にみられることが多く、その多くは投与をやめることで回復します。そのため脂質異常症の改善の確認も含めてリピトール内服中は採血で経過観察することが望まれます。

少なくともリピトールを投与開始してから1か月から3か月の間に、一度は採血することが推奨されています。リピトールなどのスタチン系の副作用の対策についてさらに詳しく知りたい方は、「クレストールで筋肉痛が出たら要注意?クレストールの副作用について」を一読してみてください。

 

2.リピトールが使用できない疾患は?

リピトールは、肝臓が悪い人は使用できません。

リピトールが使用できない疾患は肝臓が悪い人です。リピトールの添付文章でも、

重篤な肝障害又は胆道閉塞のある患者〔これらの患者では本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。また、肝障害を悪化させるおそれがある。〕

と記載されています。実際に肝機能障害がある人にリピトールを投与したことで、血中濃度が4倍~9倍まで上昇した報告があります。

リピトールの血中濃度が急激に上昇することは副作用も出やすく非常に危険なため、肝機能が悪い人には禁忌になっています。一方で、リピトールを内服する脂質異常症の方の中には、

などの人がいます。このような方は脂質異常症も合併しやすいので、リピトールを内服させたいところです。ただし肝臓の病気が軽度でなければ、

を徹底して肝機能を改善する必要があります。生活習慣を整えて肝臓の機能が改善してからではないと、リピトールは使用できません。また、肝臓の病気が指摘された方は、リピトールが処方されても肝機能が悪化した場合は中止になってしまいます。

そもそも脂質異常症の治療自体がお薬だけではなく、食事療法や運動療法が第一の柱になります。リピトールを処方された方は肝臓が悪くなくても、一度生活習慣を見直してみることからはじめましょう。

 

3.リピトールで飲み合わせが悪い薬は?

CYP3A4で代謝されるお薬・フィブラート系のお薬は併用できません。特に中性脂肪を下げるフィブラート系の薬を併用しないように注意しましょう。

リピトールの添付文章では、

は絶対禁忌となっています。これらのお薬は、主にC型肝炎に使用するお薬です。これらのお薬とリピトールを一緒に使用すると、リピトールの血中濃度が急激に上昇するリスクがあるため禁忌となっています。

先ほど使用できない疾患に肝機能障害を挙げたように、そもそもC型肝炎がある時点でスタチン系のお薬は使用しづらいです。また、C型肝炎の治療薬は非常に特殊なため、肝臓に精通した医師しか処方しない場合がほとんどです。

そのため上記の薬は、C型肝炎以外の人はほとんど内服することがない特殊な薬ですし、気を付けるとしたら上記の薬とクレストールを併用しないようにする医師側の問題です。

患者さんで気をつけなければいけないのは、フィブラート系のお薬です。フィブラート系は、中性脂肪(TG)が高い時に使用される脂質異常症のお薬です。悪玉コレステロールも低下させますが、中性脂肪に対する効果がより強いとされています。代表的なお薬は、

です。脂質異常症の人は、LDL・TG両方高い人も多いです。

そういった人は、リピトールなどのスタチン系とフィブラート系両方を使えば良いのでは?と安易に考えがちです。しかし、フィブラート系との併用に関しては、リピトールの添付文章では、両方を同時に使用すると急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいことから、原則禁忌となっています。特に腎機能が最初から悪い人には、ほぼ使用できません。

治療上やむを得ないと判断される場合にのみ、慎重に併用することと記載はされています。しかしリピトールにも、フィブラート系ほどではないにしろ中性脂肪を低下する効果があります。またフィブラート系も、わずかながら悪玉コレステロールを低下する作用があります。

そのためLDL・TGの実際の値で、より重症な方を一つの薬で治療することからはじめることがほとんどです。両方の値が非常に高い場合は、まず悪玉コレステロール(LDL)を下げるためにリピトールの方から処方します。

LDLは動脈硬化の原因となるプラークの元になるため、LDL高値は非常に危険なためです。動脈硬化について詳しく知りたい方は、「脂質異常症はどうして治療が必要?脂質異常症が引き起こす怖い病気とは?を一読してみてください。

いずれにしろリピトールを処方された方は、ダメなら次の薬があると安易に考えず、運動や食事療法をしっかりとしようという心構えが大切になります。

また、リピトールはCYP3A4という酵素で代謝されるお薬ですが、このCYP3A4の効果を減弱・増強させるお薬は多くあります。実際にリピトールの添付文章でも、

など多くの物が記載されています。また薬ではなくても、グレープフルーツがCYP3A4の効果を減弱して、リピトールの血中濃度が上昇するリスクが指摘されています。

そのためリピトールを内服する際は薬だけではなく、飲み物にも注意が必要です。もし上記の薬を一緒に飲んでたら、クレストールなどCYP3A4が関与しないスタチン系のお薬に変更を考慮してもよいかもしれません。

 

4.リピトールは妊婦や授乳中の方に投与してよいの?

リピトールは、妊婦・授乳中の方は禁忌になっています。

リピトールは、妊婦の方には禁忌になっています。理由としては、添付文章ではラットに他のスタチン系のお薬を大量投与した場合に、胎児の骨格奇形が報告されています。さらにヒトでは、他のスタチン系のお薬で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告があるためです。

また授乳中の方も、

授乳中の婦人には投与しないこと。[ラットで乳汁中への移行が報告されている。]

という一文が記載されています。基本的にこの一文は他のお薬にもほとんど記載されていますが、リピトールではあえて禁忌の一覧で授乳者が記載されています。他の薬では、あえて禁忌の一覧まで授乳者を記載することは少ないです。

このことからも、リピトールは妊婦や授乳中の方は内服しないようにしましょう。また妊娠を考えている方も、リピトールは控えた方が安全でしょう。妊娠3か月までの間にスタチン系を内服したときに、胎児の骨格奇形が報告されているためです。

脂質異常症は、リピトールを内服中止したら一気に悪くなって何か症状が出るものではありません。脂質異常症が悪くなって、徐々に動脈硬化が進行することで心筋梗塞や脳梗塞などの怖い病気につながります。これらを予防するために、リピトールを内服します。

むしろ妊娠可能年齢に、リピトールを内服していることが大問題です。20~40代から脂質異常症を指摘されている方は、食生活がかなり乱れており、暴飲暴食で肥満の方が多いです。妊娠するしないに関わらず、食事療法や運動を心がけるようにしましょう。

 

5.リピトールとアルコールは内服して良いの?

リピトールは肝機能が悪化すると使用できなくなるため、アルコールには注意が必要です。

リピトールの添付文章には、アルコール中毒患者では、横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある記載されているため慎重投与になっています。アルコールを飲んでよいか気にされる方は、基本的に大量に飲む人が多いです。最初に記載したように、リピトールは肝臓が悪くなると投与できないお薬です。

アルコール自体が、

とされているため、控えてもらいたいのが医師側の意見です。一方でリピトールは、内服したら基本的には長期間内服することが多いです。数日だけ内服して一時的に脂質異常症を改善してもあまり意味はなく、持続することで動脈硬化を予防する必要があるためです。

リピトールを長年飲んでる間、一滴もアルコールを飲んではいけないというのは難しい人も多いかと思います。アルコール自体は、少量であればHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加する働きがあります。そのため推奨されているアルコール量は、20~25gといわれています。これは1日量として、

となっています。ただしアルコールは中性脂肪を増やすため、中性脂肪も高い人は飲んではいけません。そのためアルコールを飲んでよいかどうかは、

などを含めて、一度医師に相談してみると良いかもしれません。基本的にはダメと言われるかもしれませんが、人によっては少量なら大丈夫な人もいるとは思います。ただしアルコールOKだからと言って大量に飲むと、容易に脂質異常症や肝機能障害が出てくることがあるので注意が必要です。また、採血などで定期的に精査することをお勧めします。

 

まとめ