タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルの効果と副作用について

アイコン 2017.4.3 ハルナールD/タムスロシン

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセル(一般名:タムスロシン)は、前立腺肥大症治療薬であるハルナールD錠のジェネリック医薬品になります。

前立腺肥大症では、大きくなった前立腺が尿道を圧迫して

などの症状を引き起こします。タムスロシン塩酸塩はα1受容体を遮断することで、前立腺や尿道の平滑筋を緩ませます。これにより尿の通り道を正常にする作用があります。

ここでは、タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルの効果と特徴について伝えていきたいと思います。

 

1.タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

前立腺肥大症とは、大きくなった前立腺が尿道を圧迫して「尿のトラブル」を引き起こした状態のことをいいます。よく「年を取るとトイレが近くなる」とか「年齢のせいか眠りが浅く、夜中に何度も起きてトイレに行く」という方は、年齢のせいだけではなく、治療することで良くなる「前立腺肥大症」という疾患かもしれません。

前立腺は年齢とともに徐々に大きくなる傾向があり、男性の「尿のトラブル」の最も多い原因と考えられています。歳以上の5人に1人が前立腺肥大症といわれており、多くの男性が悩んでいる疾患です。

前立腺肥大症について詳しく知りたい方は、「前立腺肥大症とは?前立腺肥大症の症状と進み方」を一読してみてください。

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルは、この前立腺肥大に対して効果があるお薬です。前立腺肥大症とは、簡単にいえば前立腺が多くなって尿の通り道が狭くなる病気です。つまり簡単な解決策としては、尿の通り道を広げてあげればよいのです。

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルはこの尿道を広げる作用があるお薬です。α1神経が尿道を収縮する作用があるのですが、タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルはこのα1神経の働きを遮断することで、尿道が収縮するのを防ぎます。即効性もあることから、前立腺肥大症の第一選択薬として多くの症例に使用されています。

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセル含めてα1遮断薬は、絶対に使用してはいけない疾患や飲み合わせがありません。そのため前立腺肥大症があれば、タムスロシン塩酸塩はどんな人にも処方しやすいお薬となっています。

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルの特徴として、1日1回の内服で効果がある点です。また、タムスロシンOD錠は口腔崩壊錠であるため、水が無くても内服できます。そのため嚥下機能が悪いお年寄りの方でも使用しやすいお薬となっています。

タムスロシン塩酸塩の最大のデメリットは、効果が一時的な点です。タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルは前立腺肥大自体を小さくしているわけではなく、一時的に尿の通り道を広げているだけにすぎません。そのためタムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルは1日や2日内服で終わりというわけではなく、一度内服が始まると長期にわたって続ける必要があるお薬です。

 

2.タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルの用量と適応について

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルは、前立腺肥大症に対して適応があります。タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセル0.2mgを1日1回内服します。

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルは、

とOD錠・カプセルが発売されています。先発品のハルナールDは錠剤のみ発売されています。適応は

にのみ適応があります。タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルの投与量ですが、成人にはタムスロシン塩酸塩OD錠・カプセル1回0.2mgを1日1 回内服します。効果がない場合は適宜増量します。

なおタムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルは、4.3時間で最高血中濃度に達します。そしてタムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルの半血中濃度時間は、11.7時間となっています。

 

3.タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルの薬価は?

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルハルナールD錠のジェネリック医薬品です。

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルは、ハルナールDのジェネリック医薬品です。まず先発品のハルナールDの薬価ですが、

商品名 剤形 薬価 3割負担
ハルナールD錠 0.1mg 62.4円 19円
ハルナールD錠 0.2mg 121.6円 36円

※2017年3月21日の薬価です。

次に、タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルの薬価です。

商品名 剤形 薬価 3割負担
タムスロシン塩酸塩OD錠 0.1mg 25.9円 9円
タムスロシン塩酸塩OD錠 0.2mg 50.1円 15円
タムスロシン塩酸塩カプセル 0.1mg 25.9円 9円
タムスロシン塩酸塩カプセル 0.2mg 50.1円 15円

※2017年3月21日の薬価です。

ジェネリック医薬品であるタムスロシンは、先発品のハルナールD錠の半分以下の薬価でタムスロシンは発売されています。

 

4.タムスロシン塩酸塩の副作用について

タムスロシン塩酸塩はα1神経を遮断するため、めまいが起こることがあります。

タムスロシン塩酸塩の添付文章ではジェネリック医薬品のため詳細な副作用を確認する調査は実施されていないとされています。先発品のハルナールDの添付文章では、ハルナールカプセル承認時及び市販後の使用成績調査における調査症例4724例中104例(2.2%)に発現しています。主なものは、

となっています。タムスロシンもハルナールDと主成分と同じため同じ副作用が起こると考えられます。タムスロシン塩酸塩はα1神経を遮断することで、尿道の平滑筋を緩めて尿を出しやすくするお薬です。

α1神経は交感神経の一つです。α1は、実は尿道だけではなく全身にある神経です。タムスロシン塩酸塩は選択的に尿道のα1を遮断するようになっていますが、100%ではありません。

そのため、ハルナールが他の神経に作用してしまうことで副作用が起こることがあります。一番あり得るのが血圧低下です。α1神経は全身の血管に受容体があり、刺激されると血管が収縮して血圧が上がる作用があります。

α1神経を遮断するということは、血圧の低下につながります。血圧が急激に低下することで、めまいやふらつきが出現します。

場合によっては、失神といって意識が遠のいて倒れてしまうこともあります。ただし、倒れるまで重篤な副作用が認めることはほとんどないので、過度に心配する必要はありません。ふらつきなどがあった方は、「タムスロシンの副作用かも?」と意識する程度でよいと思います。

 

5.タムスロシン塩酸塩が内服できない人は?

タムスロシン塩酸塩が内服できない疾患はありません。起立低血圧、腎機能障害、肝機能障害がある人は注意が必要です。

タムスロシン塩酸塩は、絶対に内服できない病気はありません。添付文章にも、禁忌は「タムスロシン塩酸塩にアレルギーがある人のみ」と記載されています。この一文は全ての薬に記載されています。

そのため処方する医師側も、前立腺肥大症と診断するとタムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルをまず処方するという場合は多いです。ただし、

  1. 起立性低血圧(めまいが起こりやすい)
  2. 腎機能障害(副作用の頻度が増える)
  3. 肝機能障害(副作用の頻度が増える)

の方は慎重投与になっています。腎臓と肝臓はお薬を代謝して解毒する作用がある臓器です。そのためタムスロシン塩酸塩に限らず、多くのお薬で慎重投与に記載されています。

タムスロシン塩酸塩を内服する方で特に気を付ける場合は、起立性低血圧がある人です。起立性低血圧がある人は、元々急に立ち上がるとふらつきがあります。そのため、タムスロシン塩酸塩を内服して頻度が増えても気が付かないことも多いです。

元々起立性低血圧がある人は、めまいやふらつきの頻度が増えていないか一度確認してみてください。

 

6.タムスロシン塩酸塩で飲み合わせを気を付けるお薬は?

タムスロシン塩酸塩は、降圧剤とホスホジエステラーゼ5阻害薬を内服している人は注意が必要です。

タムスロシン塩酸塩は、絶対に飲み合わせてはいけないお薬はありません。先ほどあげたような病気でも禁忌とされていないことからも、タムスロシン塩酸塩はどのような人にも内服させやすいお薬です。ただしタムスロシン塩酸塩と注意するお薬としては、

の二つは注意が必要となっています。最初の血圧低下は副作用でも説明したように、ハルナール自体が血圧を下げる作用を有するからです。高血圧も前立腺肥大症も高齢者がかかりやすい病気です。

高齢者になればなるほど、血圧や薬の作用も強くなります。特に体調が悪い時には、血圧が変動しやすいので注意してください。もう一つのホスホジラーゼ5阻害薬は、ED(勃起不全)の治療薬です。

などの名前で発売されています。このホスホジラーゼ5阻害薬は、最近になり前立腺肥大症の治療にも使われるようになりました。ホスホジラーゼ5を阻害することで、局所のcGMPの分解を阻害し前立腺の平滑筋を弛緩させます。タムスロシン塩酸塩とは別の機序で尿道を広げる作用があることが分かっているのです。

という商品名で発売されています。ただしホスホジラーゼ5も、タムスロシン塩酸塩同様血圧を下げる作用があるため、副作用であるめまいの出現頻度が増える可能性があります。

基本的にザルティアは、タムスロシン塩酸塩の効果が不十分な時の第二選択薬として使用されます。タムスロシン塩酸塩にザルティアを加えてからふらつきが強まった方は、主治医に一度相談してみましょう。

 

7.タムスロシン塩酸塩はアルコールと一緒に内服して良いの?

タムスロシン塩酸塩は、アルコール自体で効果は減弱しません。しかしアルコール自体がAGAに良くないので、注意してください。

タムスロシン塩酸塩の添付文章では、アルコールと一緒にタムスロシン塩酸塩を内服して効果が減弱するという記載はありません。そのため、タムスロシン塩酸塩を内服中にアルコールを飲んでいけないわけではありません。

一方で、アルコールも飲みすぎには注意してください。アルコールを飲みすぎると、肝臓に負担をかけてしまいます。タムスロシン塩酸塩は肝臓で代謝されるお薬のため、アルコールを飲みすぎて

など肝機能障害が出現すると、タムスロシン塩酸塩継続が難しくなる可能性があるかもしれません。またアルコール自体が利尿作用があるため、頻尿などの前立腺肥大の症状を悪化する恐れがあります。

また、アルコール自体が血液の流れを活発にする作用があります。前立腺は血の巡りが良い臓器なので、アルコールを飲みすぎると前立腺が充血することで肥大する可能性があります。

タムスロシン塩酸塩と一緒にアルコールを飲んでいけないわけではないですが、タムスロシン塩酸塩が適応となる前立腺肥大に対してアルコールは悪化する作用があります。くれぐれも飲みすぎには注意してください。

 

8.タムスロシン塩酸塩は女性にも処方されるの?

保険上は、タムスロシン塩酸塩は前立腺肥大症のみしか適応はありません。しかし作用機序的には、タムスロシン塩酸塩は神経因性膀胱の女性にも効果があるお薬です。

稀に女性でタムスロシン塩酸塩が処方される方を見かけます。処方された女性は調べたら、タムスロシン塩酸塩が男性の病気である前立腺肥大症のお薬と知って困惑する人もいるかもしれません。

「先生私のこと、男性と見間違ったのかしら?」というわけではなく、実はタムスロシン塩酸塩自体は女性の神経因性膀胱に効果があるお薬なのです。

タムスロシン塩酸塩は前立腺肥大症に対してのお薬ですが、前立腺自体に作用するというよりは前立腺が肥大して狭くなった尿道に作用するお薬です。そのため、女性でも尿道が狭くなった病気に対して使用すれば効果があることになります。その代表的な病気が、神経因性膀胱です。

神経因性膀胱とは、尿を溜めたり、排尿する神経伝達がうまく伝える事が出来なくなる病気です。神経伝達が上手くいかないことで、

などの前立腺肥大症と同じような症状が出現します。

特に尿道などの末梢の神経弛緩性神経因性膀胱はタムスロシン塩酸塩の適応となります。この状態は、膀尿道の平滑筋の緊張が強くなることで尿道が狭くなります。この状態は、タムスロシン塩酸塩がα1神経を遮断して尿道が広がり、症状が改善することにつながります。

ただし現在は、エブランチルが同じα1遮断薬でありながら、神経因性膀胱に伴う排尿困難にも適応が通っています。そのため女性の場合は、エブランチルを処方されることが近年では多くなってきています。

 

9.ハルナールDとタムスロシン塩酸塩の効果と副作用の比較

先発品・ジェネリックの効果と副作用は、大きな違いはないと考えられます。

多くの方が気になるのは、先発品のハルナールDとジェネリック医薬品のタムスロシン塩酸塩で効果と副作用が同じかどうかだと思います。

ジェネリック医薬品では、有効成分は先発品とまったく同じものを使っています。ですから、効果や副作用の大まかな特徴は同じになります。

先発品とジェネリック医薬品の違いは、薬を作るときの製造技術です。ジェネリック医薬品を作る時に求められるのは、薬の吸収・排泄と安定性の2つが先発品と同等であることです。

実際に先発品のハルナールDとタムスロシン塩酸塩は、主成分は全く同じタムスロシンです。

ジェネリック医薬品について詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。

 

10.タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルが向いてる人は?

前立腺肥大症の症状のほとんどは、排尿のトラブルとして自覚されます。

代表的な症状としては、

などがあります。

今すぐ生命に影響を起こすわけでなくても、普段の生活に大変不快な思いを引き起こす病気です。「いつトイレに行きたくなるかわからない」「行きたくなった時にそばにトイレが見つからないと大変」などと一日中トイレの心配が続くことで、長時間の外出やドライブ、映画鑑賞などを避けるようになったり、いつもの運動を楽しめなくなったりと、日常生活に大きな影響を与えてしまいます。

また、前立腺の肥大は年齢とともに大きくなる傾向があるため、前立腺肥大症をほうっておくと症状がますます重くなって、最悪の場合、合併症としてさらに重い病気になることもあります。この前立腺肥大の治療薬として、タムスロシン塩酸塩は効果を発揮します。

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセル含めて前立腺肥大症の治療薬の第一選択肢は、尿道を広げるα₁遮断薬です。前立腺肥大は、ひどい場合は尿閉といって、全く尿が出なくなる危険な状態になることもあります。そのため、じっくりと治療するというよりは、即効性を期待してα1遮断薬で尿道を拡げて症状を軽減することから始めます。

ガイドラインでも、前立腺肥大症の第一選択薬はα1遮断薬と記載されています。一方でα1遮断薬は、タムスロシン塩酸塩以外にも

など複数のお薬が登場しています。この中でタムスロシン塩酸塩はOD錠があるため、嚥下力が低下した高齢者の方にも適任です。前立腺肥大症は基本的には高齢者の病気です。また、薬が飲めないからといって放置してはいけない病気になります。

前立腺肥大症で嚥下機能が低下した人は、タムスロシン塩酸塩OD錠が向いているといえるでしょう。

一方で前立腺肥大は、抗コリン薬などの薬で知らないうちに重篤になっている場合もあります。前立腺肥大症の細かい治療法含めて、「尿が出にくいのは薬のせい?副作用での尿閉の原因と対策」を一度見てみてください。

 

11.タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルの作用機序は?

タムスロシン塩酸塩はα1神経を阻害することで、尿道を広げることで治療します。

前立腺とはそもそもなんだろう?って思う人もいるかもしれません。前立腺は男性のみに存在する生殖器です。下に図を示します。

前立腺は膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在します。前立腺はクルミほどの大きさで、重さは数十グラムです。この前立腺の機能としては、

  1. 精嚢から分泌された精嚢液を精巣で作られた精子と混合し精液を貯留
  2. 排尿機能の調整

の2つになります。この②の作用がうまくいかなくなることが、排尿障害の原因となります。

正常に尿をため込む場合は、膀胱の筋肉が緩むことでスペースが広がります。さらに尿道と前立腺の筋肉が収縮して、尿の通り道を塞いでしまうのです。

排尿する場合は逆で、前立腺と尿道の筋肉が緩んで尿の通り道ができるとともに、膀胱が収縮することで尿を押し出す働きがあります。前立腺肥大症とは、この膀胱の下にある前立腺が肥大して尿道を圧迫し、排尿障害を起こす病気です。

タムスロシン塩酸塩は、この前立腺・尿道のα1受容体を遮断することで作用する薬です。前立腺・尿道の平滑筋が緩むことで、結果として尿道が広がり、正常な排尿ができるようになります。

一方でα1受容体は、前立腺・尿道以外にも存在します。α1受容体は、言い換えればアドレナリン受容体(交感神経受容体)です。特にα1受容体は、全身の血管に受容体があります。尿道同様にα1は血管を収縮する作用があります。

α1の作用について詳しく知りたい方は、「抗アドレナリンα1の作用とは」参照してください

タムスロシン塩酸塩OD錠・カプセルは、選択的に前立腺・尿道の平滑筋に作用するようになっていますが、血管への影響は完全に0ではありません。場合によっては血圧低下などの副作用認めることがあるので注意が必要です。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>

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