アボルブカプセル(デュタステリド)の効果と特徴

アイコン 2017.3.15 アボルブ

アボルブカプセル(一般名:デュタステリド)は、前立腺肥大症治療薬になります。2009年にグラクソ・スミスクライン社から発売され、5α還元酵素阻害薬に分類されます。

アボルブは、主に前立腺肥大症に対して効果があるお薬です。前立腺肥大症では、大きくなった前立腺が尿道を圧迫して

などの症状を引き起こします。アボルブはこの前立腺が大きくなってしまったのを、ホルモンを阻害することで、前立腺を徐々に小さくしていく治療薬です。

アボルブカプセルは即効性はないものの、根本的な前立腺肥大を改善するお薬として多くの前立腺肥大症の人に使用されています。

ここでは、アボルブカプセルの効果と特徴について伝えていきたいと思います。

 

1.アボルブカプセルのメリット・デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

前立腺肥大症とは、大きくなった前立腺が尿道を圧迫して「尿のトラブル」を引き起こした状態のことをいいます。よく「年を取るとトイレが近くなる」とか「年齢のせいか眠りが浅く、夜中に何度も起きてトイレに行く」という方は、年齢のせいだけではなく、治療することで良くなる「前立腺肥大症」という疾患かもしれません。

前立腺は年齢とともに徐々に大きくなる傾向があり、男性の「尿のトラブル」の最も多い原因と考えられています。55歳以上の5人に1人が前立腺肥大症といわれており、多くの男性が悩んでいる疾患です。

前立腺肥大症について詳しく知りたい方は、「前立腺肥大症とは?前立腺肥大症の症状と進み方」を一読してみてください。

アボルブカプセルは、この前立腺肥大に対して効果があるお薬です。前立腺肥大は、男性ホルモンが過剰に産生されて徐々に大きくなる病気です。アボルブはこの男性ホルモンを阻害することで、前立腺肥大が大きくなることを防ぐ作用があります。

前立腺肥大が悪化するのを防ぐだけではなく、前立腺が元の大きさに縮小するようにアボルブは働きかけます。これによって、前立腺肥大によって狭くなった尿道の開通による尿量の改善、頻尿の改善が期待できます。

アボルブの最大のデメリットは、即効性がないことです。ダイエットをしてもすぐには成果が現れないように、前立腺が小さくなるのもある程度の時間は必要です。

またアボルブは、男性ホルモンを阻害することで効果を発揮します。そのため、人によっては性欲減退、勃起不全などの性機能障害を認めます。

またアボルブは、男性ホルモンに働きかけることで前立腺肥大症に対して効果を発揮するお薬です。当然ながら、女性の方の頻尿は別の機序になります。そのため女性や小児の方には適応がないばかりか、禁忌になっているため、誤って内服しないようにしましょう。

 

2.アボルブカプセルの容量と適応について

アボルブカプセルは前立腺肥大症に対して適応があります。アボルブカプセル0.5mgを1日1回内服します。

アボルブカプセルは、

の1種類のみ発売されています。アボルブカプセルは、

にのみ適応があります。アボルブの投与量ですが、成人にはアボルブカプセル1回0.5mgを1日1 回内服します。

基本的には効果が弱くても増量せず、アボルブは1カプセルで継続する薬です。なおアボルブの注意点として、カプセルを噛み砕かないようにしてください。アボルブカプセルの内容物が口の中を荒らしてしまう可能性があります。

また、妊婦の方が内容物であるデュタステリドに触れてしまうと、経皮吸収されて男性胎児の性器異常をきたす可能性があります。女性の方は飲むのはもちろん、触ってアボルブカプセルをつぶさないようにしましょう。

アボルブは男性ホルモンを阻害することで、徐々に前立腺の大きさを小さくするお薬です。そのため、治療効果を評価するのには6か月程度必要なことが多いお薬です。少なくとも2~3日、アボルブを内服して効果がないといってやめてしまわないようにしましょう。

なおアボルブは、2.0~2.3時間に最高血中濃度に達します。そして、アボルブを中止してから完全消失するのに約1か月かかるため、注意が必要です。

 

3.アボルブカプセルの薬価は?

アボルブは206.1円です。なお、新しい薬のためジェネリック医薬品はありません。

アボルブは2009年に発売された新しいお薬です。そのためアボルブは、現時点ではジェネリック医薬品はありません。アボルブの薬価ですが、

商品名 剤形 薬価 3割負担
アボルブカプセル 0.5mg 210.6円 63円

※2017年3月1日の薬価です。

アボルブカプセルは、1日1回1カプセル内服するお薬です。そのためアボルブカプセルは、3割負担の方は約70円程度かかります。

 

4.アボルブカプセルに育毛の効果はあるの?

アボルブは、男性ホルモンを阻害することで育毛効果はあります。しかし育毛を目的とした使用は、アボルブでは認められていません。

アボルブカプセルの主成分であるデュタステリドは、AGA(男性の薄毛・ハゲ)に対して育毛効果があることが知られています。これは、AGAも男性ホルモンが活発化することでおこるためです。男性ホルモンが活性化することで、毛根がやられ髪が生えなくなることでAGAが起こるのです。

つまりアボルブで男性ホルモンを阻害することで、徐々に育毛することが知られています。しかしアボルブは、AGAの育毛に対して適応はありません。もしAGAの育毛を期待するとしたら、同じグラクソスミスクライン社が発売しているザガーロが適応になります。

ザガーロも、アボルブと同じ主成分であるデュタステリドが0.5mg含まれています。ただしザガーロは、アボルブと違い自費になります。なぜ同じ主成分なのにザガーロは自費診療になるかというと、AGAは基本的に美容の問題です。髪が薄くても健康に害をなしません。

多くの医療は、保険制度の名のもと価格が細かく規定されています。ザガーロと同じ成分であるアボルブも、細かく210.6円と0.1円単位できっちりと価格設定されています。さらに保険診療であれば、「3割負担」「1割負担」など、薬価の一部を支払って購入することができます。日本は国民皆介護保険のため、全ての方が保険で治療費の一部が支えられます。それこそ全く収入がない方だけが、生活保護者として医療費が全額補助されるのです。

そのため、先ほどのアボルブも、3割負担の人は7割、1割負担の人は9割を健康保険組合で払ってくれているのです。一方でこのお金はどこから払われているかというと、我々の社会保険料や税金です。そのため、国も気前よくどんな病気に対しても負担し続けると、しっぺ返しで我々の税金が高くなるというジレンマに陥ります。

そのため、保険制度で認められる病気や治療は細かく規定されているのです。ですから前立腺肥大に対しての治療はお金を出すけど、AGAの美容に対してはお金は出さない方針となっています。

アボルブは育毛する効果はありますが、絶対にその目的のために内服してはいけません。アボルブをAGAの育毛目的で使用することは、厳密にいえば違法になります。そのため、育毛目的でアボルブを内服していてもし副作用が出現しても、国は一切お金を出してくれません。自己責任になります。

同様に、アボルブと同じ主成分で海外から個人輸入を勧めるところも多いですが、これもお勧めできません。アボルブを育毛目的で使用している人、個人輸入しようとしている人は、「男性の脱毛症の心強い味方、ザガーロ!気になる薬価・価格は?通販・個人輸入は大丈夫?」を参照してみてください。

少なくともアボルブの育毛効果を求める場合は、ザガーロで対応方が良いと医師の視点からは思います。

 

5.アボルブカプセルが向いてる人は?

前立腺肥大症の症状のほとんどは、排尿のトラブルとして自覚されます。

代表的な症状としては、

などがあります。

今すぐ生命に影響を起こすわけでなくても、普段の生活に大変不快な思いを引き起こす病気です。「いつトイレに行きたくなるかわからない」「行きたくなった時にそばにトイレが見つからないと大変」などと一日中トイレの心配が続くことで、長時間の外出やドライブ、映画鑑賞などを避けるようになったり、いつもの運動を楽しめなくなったりと、日常生活に大きな影響を与えてしまいます。

また、前立腺の肥大は年齢とともに大きくなる傾向があるため、前立腺肥大症をほうっておくと症状がますます重くなって、最悪の場合、合併症としてさらに重い病気になることもあります。この前立腺肥大の治療薬として、アボルブは効果を発揮します。

一方で前立腺肥大症の治療薬の第一選択肢は、尿道を広げるα₁遮断薬です。前立腺肥大は、ひどい場合は尿閉といって、全く尿が出なくなる危険な状態になることもあります。そのため、じっくりと治療するというよりは、即効性を期待してα1遮断薬で尿道を拡げて症状を軽減することから始めます。α1遮断薬は、

などが一般的です。アボルブは、前立腺自体を小さくする5α還元酵素阻害薬として日本で初めて前立腺肥大症の適応を取得しました。即効性がないため、アボルブはα1遮断薬で効果が不十分な場合、追加投与するお薬です。

そのため、まず向いてる人はα1阻害薬で効果が感じづらい方です。また前立腺肥大症は、重篤な場合には慢性尿閉期といって、尿が十分に出せない状態になります。尿路が閉塞していると感染が起こり、炎症は膀胱や腎臓、前立腺におよぶことがあります。そして、前立腺の感染から精巣上体炎という病気も発症する恐れがあります。

これらの病気は命に関わる場合もあります。そのため重篤な前立腺肥大の場合は、ガイドラインでもα1遮断薬単剤で治療するのではなく、アボルブも併用するように記載されています。

一方で前立腺肥大は、抗コリン薬などの薬で知らないうちに重篤になっている場合もあります。前立腺肥大症の細かい治療法含めて、「尿が出にくいのは薬のせい?副作用での尿閉の原因と対策」を一度見てみてください。

 

6.アボルブカプセルの作用機序は?

アボルブは5α還元酵素を阻害することで、前立腺を徐々に元に戻すことで治療します。

前立腺とはそもそもなんだろう?って思う人もいるかもしれません。前立腺は男性のみに存在する生殖器です。下に図を示します。

前立腺は膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在します。前立腺はクルミほどの大きさで、重さは数十グラムです。この前立腺の機能としては、

  1. 精嚢から分泌された精嚢液を精巣で作られた精子と混合し精液を貯留
  2. 排尿機能の調整

の2つになります。この②の作用がうまくいかなくなることが排尿障害の原因となります。

正常に尿をため込む場合は、膀胱の筋肉が緩むことでスペースが広がります。さらに尿道と前立腺の筋肉が収縮して、尿の通り道を塞いでしまうのです。

排尿する場合は逆で、前立腺と尿道の筋肉が緩んで尿の通り道ができるとともに、膀胱が収縮することで尿を押し出す働きがあります。前立腺肥大症とは、この膀胱の下にある前立腺が肥大して尿道を圧迫し、排尿障害を起こす病気です。

前立腺の肥大にはアンドロゲンが必要不可欠であるとされています。主に精巣で産生されるアンドロゲンの一つであるテストステロンは、前立腺・精嚢・外性器などにおいて、「還元酵素」によってさらに強力なアンドロゲンである「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されます。

DHTは核内受容体であるアンドロゲン受容体と結合し、標的遺伝子の転写促進を介してその作用を発現します。還元酵素阻害薬は、テストステロンからDHTへの変換を阻害する薬剤です。競合的酵素阻害により、前立腺組織中のDHT濃度を低下させることにより、前立腺体積を減少させる作用を有しています。

わかりやすく言い換えると、前立腺が大きくなるための餌がジヒドロテストステロン(DHT)であり、アボルブがDHTを作られないようにさせることで、前立腺がどんどん痩せていくということになります。

前立腺が元の大きさになれば尿道の通り道も狭い状態から元に戻ることで、通常の排尿に戻るという作用機序になります。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>