レルベアの効果と特徴

アイコン 2016.6.16 レルベア

レルベアはステロイドとβ2刺激薬の合剤として、2014年グラクソスミスクライン社から発売されたお薬です。喘息で主に使われている吸入薬です。

レルベアは、気管支を拡張する作用があるβ刺激薬の「ピランテロールトリフェニル酢酸塩」と、気道の炎症を抑えるステロイド薬である「フルチカゾンフランカルボン酸エステル」の合剤になります。

レルベアは、2003年に発売されたアドエアの改良版といわれています。アドエアは1日2回の吸入でしたが、レルベアでは1日1回の吸入で済むようになりました。

朝・夕2回吸うのは思ったよりも大変で、忘れてしまうこともあります。レルベアはそんな人のために、1日1回の吸入で済ませることができます。合剤の吸入薬としては初のお薬です。

アドエアと比較しても価格が安くなり、いいところづくめです。ここでは、そんなβ2刺激薬とステロイドの合剤の新薬レルベアについてみていきましょう。

 

1.レルベアエリプタの効果の特徴

<メリット>

<デメリット>

喘息を語るうえで大切な言葉に、「アドヒアランス」という言葉があります。アドヒアランスとは、「患者さんがどれくらい薬に対して理解して、薬を自発的に使ってくれるか?」ということを意味します。

喘息は慢性的に炎症が気道に起こる病気のため、咳や息苦しさを抑えるためにステロイド吸入薬を中心に、毎日お薬を続けていく必要がある病気です。しかし喘息患者さんからすると、毎日お薬を、しかも一生吸うというのはかなり大変になります。

喘息はこのように、患者さんのアドヒアランスが低い疾患の一つでした。このアドヒアランスを少しでも上げるためにβ2刺激薬とステロイドの合剤が開発され、アドエアとシムビコートが喘息治療薬として広く使われるようになりました。一方でこれらのお薬は、朝・夕2回吸わなければならないのが非常に患者さんの負担になっていました。

特に仕事をしている方では、朝は仕事前だと覚えているけど、仕事が終わった後はついつい吸い忘れてしまうという人がかなり多くいました。このような方の治療は非常に難しく、医師も「薬を忘れないようにして下さいね」というしかなかったのです。

アドエアとシムビコートのアドヒアランスを少しでも上げるために、レルベアが開発されました。1日1回の吸入で効果が1日持続するため、患者さんの心理的な負担もかなり減りました。「朝吸い忘れても昼に吸ってくださいね」と、医師の方からも説明しやすくなりました。

さらにレルベアの吸入器であるエリプタは、今までのアドエアとシムビコートの吸入器と比較すると非常に使いやすくなっています。

などなど些細なところですが、様々な点が改善されています。さらにこれだけ良いのに、薬価もアドエアやシムビコートと比較すると安いのが素晴らしいです。アドエアやシムビコートにはまだジェネリックが発売されていないので、現時点ではレルベアはとても経済的といえます。

今までの薬と比較して治療効果が上がったわけではないですが、色々な点で使いやすくなったお薬がレルベアです。

レルベアのデメリットはあげるのが難しいですが、現時点では新薬のため、アドエアとシムビコートで使用されている肺気腫の方には使用できません。

また、アドエア100ディスカスは小児に適応がありますが、レルベアは小児には適応ありません。こちらに関してはデータを集めている最中とのことで、まだしばらく積極的に使うことができません。

今後肺気腫や小児にレルベアを使用しても問題ないというデータが集まれば、適応が拡大されると思います。

 

2.レルベアの種類と用法は?

レルベアエリプタは、中等度から重症度の喘息の人に適応がある吸入薬です。

レルベアエリプタは、

があります。レルベアは14吸入と30吸入があります。1日1回吸入するので、14日分(半月)と30日(1か月)分の吸入薬があることになります。使い始めでレルベアの量が決まっていない段階では14日分を処方し、安定したら30日分処方するのが一般的です。

レルベアは、朝1回につき1度吸入するお薬です。レルベアの横に書いてある100・200という数字はステロイドの量です。具体的には、以下のようになります。

レルベア100エリプタ ビランテロール25μg
フルチカゾンフランカルボン酸エステル100μg
レルベア200エリプタ ビランテロール25μg
フルチカゾンフランカルボン酸エステル200μg

β2刺激薬であるビランテロールは、レルベア100エリプタでもレルベア200エリプタでも、同じ25μgの量になります。

つまりレルベア100 を2回吸うことでレルベア200と同じ量になるのは、ステロイドであるフルチカゾンだけです。β2刺激薬は倍の量を吸ってしまうことになります。

薬が変更されたけど余った分がもったいないといって、レルベア100エリプタを複数回吸わないようにしましょう。

また4種類のお薬の写真を並べた画像が以下の通りです。

レルベア4種類

このように、レルベア100と200の違いは数字の周りの色だけです。蓋の色や形は一緒ですので、切り替わった場合は100か200かしっかり確認することが大切です。

また、アドエア250は肺気腫に、アドエア100は小児に適応がありますが、レルベアでは適応がありません。新しい薬のため、これらに対して有効でかつ安全か十分なデータがないからです。しかし今後データがそろって来れば、レルベアの適応条件も拡大されると思います。

 

3.レルベアエリプタの適応は?

レルベアは、中等度から重症の喘息に適応があるお薬です。

喘息のガイドラインでは、最も軽症な方は吸入ステロイドのみで加療することとなっています。その次はステロイドの吸入量を増やすとともに、

の併用を指示しています。この中で最も併用されるのが、β2の刺激薬です。ですから吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤であれば、患者さんの手間は増えずにすみます。そのためレルベア100・200エリプタは、吸入ステロイド単剤では症状が抑えられない時に適応があります。

しかし喘息の治療としては、これらレルベアなどの合剤をはじめに使って、症状が落ちついてきたら徐々に減量することが多いです。

喘息は咳や喘鳴、呼吸困難など非常に苦しい疾患であり、命にもかかわる病気です。そのため喘息の炎症の炎を最低限の水で済ませようとすると、一気に被害が拡大してしまう可能性があります。

そのため、レルベアなどのβ2刺激薬の合剤をはじめから使って喘息の治療をしていくことが多いのです。レルベア100か200どっちにするかは、その時の患者さんの症状および今までの治療をみながら決めていきます。

また最近では、気管支喘息にも色々な種類があることが分かってきてます。特に喘鳴が聞かれない咳喘息と言う病気に対しても、レルベアは効果を示します。咳喘息の診断基準は、β2刺激薬の吸入薬で反応があるかどうかです。

咳がひどい場合はβ2刺激薬だけでは抑えられないことも多いため、長引く咳に対してレルベアを処方して咳喘息の鑑別を行う場合があります。ただし吸入ステロイドを被せてしまうと、アトピー性の咳と見分けられなくなるということで嫌がる先生もいます。

長引く咳にβ2刺激薬吸入単剤で行くか、ステロイドとの合剤で行くか…ここは専門家でもいつも議論になるところです。

 

4.レルベアエリプタの薬価は?

新薬であるためジェネリックはまだ発売されてません。しかし合剤の中では高用量になった場合最も安くで加療できるお薬がレルベアです。

レルベアは2014年度発売のため、ジェネリックが発売されるのは当分先になるかと思います。レルベアの薬価は以下の通りです。

商品名 吸入回数 薬価 1日薬価 1日薬価(3割負担)
レルベア100 14 2835.1 202.5 60.8
レルベア100 30 5987.2 199.6 59.9
レルベア200 14 3147 224.7 67.4
レルベア200 30 6692.6 223.1 66.9

吸入回数が多い方が価格は若干低下します。そのため安定している場合は、30吸入を処方することが多いです。ちなみにアドエアの価格は以下の通りです。

商品名 吸入回数 薬価 1日薬価 1日薬価(3割負担)
アドエア100 28 2984.3 213.2 64.0
アドエア100 60 6267.3 208.9 62.7
アドエア250 28 3434 245.3 73.6
アドエア250 60 7208.4 240.3 72.1
アドエア500 28 3858.9 275.6 82.7
アドエア500 60 8213.2 273.4 82.0

※2016年5月22日時点での薬価です。

シムビコートは、30吸入の薬価が2996円です。つまり1吸入99.9円(3割負担で30円)です。シムビコートもアドエア同様に朝・夕で吸うので、最低量であれば199.8円(3割負担で60円)です。

といわれています。最低用量で比較すると、1日量での3割負担自己負担を比較したとき、アドエア100は64円、シムビコートは60円、レルベア100は60.8円とどれも横並びです。

しかし最高量でみたときは、アドエア500は82円、シムビコートは240円、レルベアは66.9円と非常に大きな差になります。このようにレルベアは投与量に限らず値段が一定のため、ステロイド量が増えれば増えるほどレルベアの方が安くなります。

そのため高用量のステロイドが必要になった方では、現時点ではレルベアが最も安い合剤になります。アドエアやシムビコートのジェネリックが発売されるまでは、レルベアは経済的なお薬といえます。

 

5.レルベアの作用機序は?

炎症を抑えるステロイドと気管支を広げるβ2刺激薬の作用で喘息を加療します。

レルベアの作用は以下の表のとおりです。

レルベアの作用機序

このようにレルベアは、β刺激薬の「ピランテロールトリフェニル酢酸塩」で気管支を拡張し、さらに気道の炎症を抑えるステロイド薬である「フルチカゾンフランカルボン酸エステル」にて2つの作用から気管支喘息の病態を抑え込む働きがあります。

この中で特筆すべきものが、フルチカゾンフランカルボン酸エステルです。

レルベア効果

少し難しい図ですが、好酸球という喘息を引き起こす細胞を50%やっつけるのにどれくらいの濃度が必要だったかを示した図です。つまり、低ければ低いほど効果があります。青で示されたフルチカゾンフランカルボン酸エステルが1.29と、この中では最も低いのが分かります。

隣のフルチカゾンプロピオン酸エステルがアドエアの成分ですが、2倍以上の濃度が必要だということが分かります。そのためアドエアは500μgのステロイドが1回の最大量ですが、レルベアは200μgのステロイドで治療可能なのです。

さらにフルチカゾンプロピオン酸エステルは、気道上皮に30時間以上とどまり続けていることも示せています。実際に効果も、以下の表のようになっています。

持続

この図は、実際に吸入してから数時間おきに呼吸機能検査で息を思いっきり吐く機能が保たれているかを示したものです。上の二つの折れ線グラフが朝・夕それぞれレルベア吸った時の反応を、一番下が何も治療しなかった時の反応をみています。

このグラフが上であれば、呼吸状態が良くなっていると考えてください。注目すべきは1回吸っただけで低下せずに、24時間保たれているところです。このように、研究でもしっかりとレルベアを1回吸っただけで効果があることは示されています。

 

6.レルベアが向いている人とは?

医師が指示したお薬の量をしっかり吸ってくれるかを、アドヒアランスといいます。レルベアは、ステロイドとβ刺激薬の合剤で1日1回吸入を可能にした初めてのお薬です。

1日2回吸入と1日1回吸入で効果が同じだったら、ほとんどの人が1日1回の吸入を選択すると思います。

そのため、合剤を使う時はまずレルベアを使っていくことが最近増えてくるようになりました。喘息治療はずっと続けるのが必要なお薬です。そのため、「毎日2回も吸うのめんどくさい」と感じてしまうと、治療を中断してしまうことも多い病気です。

また、アドエアやシムビコートは、吸入方法もやや難しいといわれています。特に高齢者は、「色々教えてくれたけどよくわからないや」と、吸入をやめてしまった方もいます。

レルベアはそんな方にも分かりやすいように、簡便な手順で吸入できるようになっています。

喘息治療が初めての方にも他のお薬が合わなかった方にも、多くの方に今後処方が増えていくことが予想されるお薬です。

 

まとめ