ホクナリンテープの小児の咳への効果と副作用

アイコン 2016.7.22 ホクナリンテープ

「子供が咳をしてる、風邪かな?」って思って病院に連れていくと、ホクナリンテープが処方されることがあります。

ホクナリンテープは一般的に、喘息やCOPDの患者さんに使われることが多いので、調べてみて少し驚かれたご両親もいらっしゃるのではないでしょうか?「もしかすると、わが子は喘息なのかな?」と心配になってしまうかもしれません。

ですがホクナリンテープは急性気管支炎、つまり咳が出る風邪に対して出されているのです。特に小児では薬を飲ませるのも一苦労、そうしたときに貼って効果が出るホクナリンテープは非常に重宝されます。

とはいっても、「ホクナリンテープは実際に咳を抑えるのか?」「副作用が大丈夫なのか?」など、気になるところかと思います。添付文章には少しでも可能性があることはすべて書いてあるので、怖いことがたくさん書いてあります。

ここでは、乳幼児の咳に対して使用されるホクナリンテープの効果と副作用の実際についてお伝えしていきます。不必要に怖がる必要はありません。

 

1.ホクナリンテープの効果と副作用とは?

ホクナリンテープは、長期作用型の貼り薬として使用されています。成人の場合は、喘息やCOPDの長期管理に使用されます。一方で小児では、急性気管支炎に対して処方されます。

ホクナリンテープ(一般名:ツロブテロール)は、1998年にアボット ジャパン株式会社とマイラン会社の合同で発売された世界初の経皮吸収型のβ2刺激薬となります。

成人の方に処方する場合は、主に喘息やCOPDの長期管理のお薬になります。β2刺激薬は気管支を拡張させる作用があるので、喘息発作を予防したり、COPDの病気の進行を防ぎます。

喘息やCOPDでβ2刺激薬を使用する場合は吸入薬が現在中心です。しかし吸入薬は、しっかりと吸入できないと全く効果を発揮しません。そのため吸入するのが難しい小児や認知症の方などでは、今でもホクナリンテープを中心に治療をすることが多いです。

一方でホクナリンテープは、急性気管支炎に対しても効果があります。急性気管支炎、つまりは咳などの風邪に対しても、ホクナリンテープは活躍すると思います。乳幼児に処方する場合は、ホクナリンテープは咳止めとしての効果を期待して処方しているのです。

成人にはホクナリンテープとして2mg、小児にはホクナリンテープとして0.5~3歳未満には0.5mg、3~9歳未満には1mg、9歳以上には2mgを1日1回、胸や背中、上腕部のいずれかに1日1回貼り付けます。

とはいっても、同じ年齢でも大きい子や小さい子もいます。このため、体重を目安にして15kg以下は0.5mg、15~30kgは1mg、30kg以上は2mgをめやすにしてホクナリンテープを貼るようにします。

1回貼れば24時間効果が持続します。成分のツロブテロールが結晶としてテープに含まれており、ゆっくり溶け出すことで持続するのです。一方でゆっくり溶け出すため即効性はなく、血中濃度が最も高くなるのはテープを貼った11~13時間後です。ピークを過ぎると徐々に量は低下していきます。

ホクナリンテープの効果と特徴を詳しく知りたい人は、「ホクナリンテープの効果と特徴」を参照してみてください。

 

2.ホクナリンテープで小児の咳はどれくらい治るの?

ホクナリンテープはβ2刺激薬として気管支を広げることで、咳による気管支の収縮を防ぎます。しかし実際に咳がどれくらい収まるのか、効果は不明な点も多いです。

ホクナリンテープは、咳をしている乳幼児に多く処方されています。

赤ちゃんは薬を飲ますのも一苦労だと思います。無理に飲まそうとして逆に暴れて吐いちゃった経験などはないでしょうか?両親が早く治って欲しいと思う一方、赤ちゃんは飲みたくないものは吐き出そうとします。

確実にβ2刺激薬を投与するために、ホクナリンテープとして貼られていることが多いです。ホクナリンテープは、急性気管支炎に対して適応があります。

気管支炎と診断される場合は、咳をしてる場合です。気管支を広げることで、結果として気管支の収縮をおさえ、咳反射を抑制します。また、せまくなっている気管支が長い間広がるため、息の通りが良くなって息苦しさも良くなります。

しかし理論上は咳が良くなるといわれても、実際にはどれくらい良くなるのか気になるところです。添付文章での小児の改善効果は以下のようになっています。

疾患名  中等度改善以上  軽度改善以上 
気管支喘息  65.9(141/214例)  86.4(185/214例) 
急性気管支炎  77.1(64/83例)  89.2(74/83例) 

となっています。軽度の症例だと9割近く、中等度以上でも8割近く改善すると書かれていると、すごく良い薬なような気がします。しかしこれには、からくりがあります。

急性気管支炎の改善率をみた調査では、咳がしている患者さんがホクナリンテープを貼った後に、

の2点がどれくらい改善しているか見ています。しかしここで問題なのは、ホクナリンテープを貼らなかった場合どれくらい改善したか示していないのです。

急性気管支炎とはいわゆる風邪です。風邪であれば治療を特にしてなくても、安静にしていれば改善していくことも多いかと思います。

風邪の一番の治療薬は、実は薬を投与することではなく安静にすることです。そのためこの研究では、ホクナリンテープを貼らなくても大体が改善したかもしれないのに、さもホクナリンテープのおかげで全て改善したとなっています。

ホクナリンテープを貼っても貼らなくても、「風邪が治った期間は変わらない」「咳の回数は変わらない」といった論文も多数出ています。そのためこの結果だけを鵜呑みして、ホクナリンテープを貼れば8~9割治せるとするわけにはいきません。

そもそも乳幼児の研究はとても難しいです。大人と違って話せないので、実際どれくらい辛いのか?どれくらいホクナリンテープを貼ったら楽になったか?聞くことができません。

また咳している人が、全員が気管支炎なのかという問題もあります。乳幼児に対して過剰にレントゲン写真や採血などの検査をすることは、むしろ負担になるため行われません。このため正確に風邪だけを集めることは困難で、どれくらいホクナリンテープが効いたか数値化するのは非常に難しいのです。

 

3.ホクナリンテープの小児への副作用は大丈夫?

ホクナリンテープの乳幼児の主な副作用は、テープかぶれになります。

効果と同じくらい気になるのが副作用だと思います。乳幼児の方にホクナリンテープを貼ったら、どれくらい副作用が出現するのでしょうか?

ホクナリンテープで副作用はどれくらい出るのか、添付文章をみてみましょう。成人では、601例中75例(12.5%)に副作用が認められました。主な副作用は、

でした。一方小児では、401例中41例(10.2%)に副作用を認めました。主な副作用は、

となっています。

小児の副作用のうち、大半がテープかぶれによるものということが分かるかと思います。特に乳幼児では皮膚がまだ未発達のために、人によっては赤くなったり痒みが出てくることがあります。これに対して対応策としては、

  1. 貼る場所を毎日変える
  2. 保湿剤で保湿を促す

の二点が重要になります。ホクナリンテープは、胸・背中・上腕部どこに貼っても効果は同じです。胸や上腕に貼ってしまうと自分でとってしまうことがあるため、乳幼児では背中に貼るのがお勧めです。

また皮膚が乾燥気味だと痒みが出やすいといわれています。貼る場所を毎回変えて、前日に前もって保湿をしておくと良いかと思います。

一方でホクナリンテープは、動悸や手の振るえなどの副作用があります。この動悸や手の振るえはホクナリンテープに限らず、β2刺激薬に認められる副作用です。大人の方ですと、2~3%の確率で出現します。

一方で小児では、ほとんど報告がありません。乳幼児だと手が振るえたり、動悸がすると訴えるのが難しいこともあるかもしれません。ですが実際にホクナリンテープを使っていても、これらによって重篤な副作用につながったという報告はありません。

ホクナリンテープの添付文章には、用法・用量を超えて使用を続けた場合、不整脈や心停止の恐れがあるという怖い一文があります。

この一文が独り歩きして、心臓が止まるようなお薬だから怖い・・・と心配される方もいらっしゃいます。ホクナリンテープを普通に使用していて、心臓が止まることはまずないです。

処方されたホクナリンテープを一度に大量に、しかもずっと貼り付けたら・・・という話をしているのです。実はホクナリンテープに限らず、β2刺激薬の全てでこの心停止という文章は記載されています。

副作用は何が起こるか?と同時に、どれくらいの頻度でおこるかも非常に重要です。「車に乗ったら交通事故で命を落とすかもしれない」ことは皆理解していても、多くの方は気にせずに車に乗っているかと思います。これは「車で交通事故で命を落とす可能性は低い」ことを知っているからです。

ホクナリンテープも同じです。理論上はホクナリンテープで色々な副作用は起こりえますが、それらの可能性は車で事故を起こす確率よりかなり低いです。

まとめると、乳幼児に使うホクナリンテープの副作用はテープかぶれ程度です。重篤な副作用はほぼ起こらないと考えて良いと思います。

ホクナリンテープの副作用をよく知りたい方は、「ホクナリンテープの副作用と安全性」を一読してみてください。

 

4.咳でホクナリンテープを処方された方へ

ホクナリンテープは咳の症状をよくするかもしれませんが、風邪を治すものではありません。そして副作用も非常に少ないので、過度に心配することはありません。

ホクナリンテープを処方されて調べてみたら怖いことも書いてあって、躊躇しているご両親の方もいるかもしれません。しかし以下の二つのことがいえます。

ホクナリンテープは、気道を広げることで咳反射を抑制したり、息が吸いやすくなるという効果が期待できます。一方で、急性気管支炎の原因となった細菌やウイルスをやっつける作用は全くありません。つまりホクナリンテープを貼れば早く風邪が治るわけではありません。辛い咳の症状をとるかもしれない、それだけです。

風邪の一番の治療は安静です。そのためホクナリンテープを貼って咳が楽になったとしても、遊びに連れていってしまっては気管支炎は良くなりません。

ですが辛そうに咳をしている子供をみたら、少しでも症状を軽減してあげれば楽になります。そのため安全性が高いホクナリンテープを処方しているのです。

成人では、咳の症状でホクナリンテープが出てくる人は少ないと思います。咳止めの飲み薬が多いのではないでしょうか?乳幼児では、お薬を飲ませるのは大変でしょう。そのため、確実に投与できるうえに安全なホクナリンテープが乳幼児では選択されるのです。

ホクナリンテープに限らず、風邪薬は症状を和らげるのであって、早く治すお薬はありません。一方で咳で辛そうなお子さんをせっかく病院に連れてきたのに、「家でおとなしくしていれば治ります」と医師が言って何も薬を処方しなかったらどうでしょうか?

名医と感じる人より、冷たい医者と感じる人の方が多いと思います。そのため医師は、副作用が少ないホクナリンテープを処方するのです。

そのため大切なのは、ここまで書いた情報をしっかりご両親の方が理解して治療を選択することです。

どちらの意見も正解だと思います。ただしこの結果に至るために、正確な情報の中しっかりと判断するようにしましょう。

 

まとめ

スポンサーリンク

スポンサーリンク