ホクナリンテープの副作用と安全性

アイコン 2016.7.20 ホクナリンテープ

ホクナリンテープは、長期作用型のβ2刺激薬として初の貼り薬として活躍しています。ホクナリンテープは、COPDや喘息で吸入薬が上手く使えない高齢者やお子さん、乳幼児で飲み薬を吐いてしまう場合の咳風邪に対して積極的に処方されています。

つまりホクナリンテープは、小児や高齢者などでは貴重なお薬になります。ホクナリンテープの代表的な副作用としては、

が挙げられます。さらに貼り薬に特有の副作用として、貼った部位の痒みや皮疹があります。ここでは、ホクナリンテープの副作用と対策、さらに安全性についてお伝えしていきます。

 

1.ホクナリンテープの副作用の特徴

ホクナリンテープの臨床試験で最も多かった副作用は、大人では「手の振るえ・動悸」と言われています。一方で小児では、貼った部位の痒みがあります。

ホクナリンテープの副作用はどれくらいあるのでしょうか?添付文章をみてみましょう。成人601例中、副作用は75例(12.5%)に副作用を認めました。主な副作用としては、

でした。一方、小児では401例中41例(10.2%)に副作用を認めました。主な副作用は、

となっています。

成人の方に多い手の振るえや動悸は、ホクナリンテープ特有というよりはβ2刺激薬であればよくある副作用です。副作用の一番の対策は、これらの副作用が起こると知っておくことです。

手がいきなり振るえたり、胸がドキドキしたりすると、副作用を知らないと慌ててしまうかと思います。しかし副作用のことを知っておけば、落ち着いて対応できます。基本的に最初は症状が出現しても、徐々に落ち着くことが多いです。

症状が強ければホクナリンテープを剥がせば、数日でもとに戻ります。剥がしても手が振るえ続ける、ドキドキがとまらない場合は、薬の副作用以外を考えた方が良いでしょう。

一方で小児では、貼り薬の副作用特有の皮膚トラブルに悩まされることが多いです。これに対しては後で細かくみていきましょう。

またホクナリンテープでは、電解質の一つであるカリウムが低下することが報告されています。普通に食事している分には野菜や果物に多く含まれているため、まず問題になることはありません。しかし食事量が減ってきた高齢者などでは、注意が必要になります。

これらの結果は、ホクナリンテープを毎日1回貼付した場合です。ホクナリンテープを何枚も投与してしまうと、β2刺激剤の薬理学的作用による副作用として、

などが強く生じることがあります。注意しましょう。

 

2.ホクナリンテープで気になるテープかぶれの対策

ホクナリンテープによる「テープかぶれ」を防ぐために貼る場所を変える、保湿を保つことに気を付けましょう。

ホクナリンテープで、特に小児の方には5~10%でテープかぶれが認められます。ホクナリンテープを貼った部位が痒くなった、赤くなったというのは珍しいことではありません。

これに対してどう対応すればよいのでしょうか?以下の5つに気を付けてみてください。

  1. 貼る場所を毎日変える
  2. アトピーなど炎症がない部分に貼る
  3. 保湿剤で保湿を促す
  4. お風呂に入った後に貼る
  5. ゆっくりと剥がす

まず貼る場所です。ホクナリンテープを貼る場所は、胸、背中、上腕部と記載されています。ちなみにこの3つに差はありません。何となく胸に貼った方が、肺に近いから効くような気がすると思います。

しかしホクナリンテープの成分は直接肺まで向かうわけではなく、血管に溶け出て気管支に向かいます。つまり、

ホクナリンテープ→皮膚→静脈→動脈→心臓→気管支

となります。静脈は心臓から手足の末梢に流れる血管です。ですから胸に貼っても、いちど手足の端に行ってUターンしてから気管支に向かうことになります。

そのため胸にあえてこだわる必要はありません。むしろ貼る場所を毎日変えることが重要です。同じ場所に貼り続けると、痒みや赤くなることが多くなるため注意しましょう。

またアトピーなどで皮膚が荒れているところに貼ると、それが刺激になりアトピーが悪化するといわれています。アトピーがないところに貼るように心がけてください。

ホクナリンテープ含めて、貼り薬で赤くなったり痒くなるのは、皮膚が乾燥していて皮膚が弱い方に多いといわれています。そのため、保湿剤であらかじめ貼る場所に潤いを与えておきましょう。なお注意点として、保湿剤を塗った直後にテープを貼ると剥がれやすくなってしまいます。

可能であれば、貼る前日に事前に次はどこに貼るか決めておき、保湿剤を塗っておきましょう。

貼るタイミングも重要になります。お風呂入った直後などは保湿された直後になります。よく拭いた後にホクナリンテープを貼りましょう。

ホクナリンテープは、貼ってすぐ効果があるテープではありません。11~13時間後に血中濃度がピークになるといわれています。そのため早朝に喘息が多い方などは、効果の面などでもお風呂直後くらいが良いといわれています。

一方で外出して汗だくの時などに貼るとかぶれやすいといわれています。そのような時に貼る場合はしっかりと汗を拭いてから貼りましょう。

最後にテープで赤くなる人は、ゆっくりと剥がすことを意識してみてください。勢いよく剥がすことで赤くなるといわれています。

 

ここまで対策しても皮膚が弱くてテープかぶれを起こしてしまう人は、一度医師に相談してみましょう。特にCOPDや喘息で使用されている方は、長期間ホクナリンテープを使用することになると思います。そんなときに、テープかぶれで悩みながら毎日過ごすのも大変だと思います。

ホクナリンテープ以外でも、β2刺激薬投与する方法は他にもあります。内服が可能な方ならホクナリン錠もあります。テープかぶれが嫌だからといって、自己中断することだけは避けるようにしましょう。

 

3.ホクナリンテープと飲み合わせが悪いお薬や病気

ホクナリンテープを使用してはいけないお薬や病気はありません。

ホクナリンテープは使用していけない病気はありません。併用注意としては、

  1. 甲状腺機能亢進症の患者〔症状が悪化するおそれ〕
  2. 高血圧症の患者〔血圧が上昇することがある〕
  3. 心疾患のある患者〔心悸亢進、不整脈等があらわれることがある〕
  4. 糖尿病の患者〔糖代謝が亢進し、血中グルコースが増加するおそれ〕
  5. アトピー性皮膚炎の患者〔貼付部位にそう痒感、発赤等があらわれやすい〕

とあります。しかし①~④の病気は、よほど重症じゃない限り悪化することはありません。またこれらの病気が重症な場合は、しっかりとお薬によって症状がコントロールされていることが多いです。このため、これらの病気でホクナリンテープが使えないということは少ないです。

⑤のアトピー性皮膚炎の方は、先ほどのテープかぶれ対策を参考にしてみてください。

また、ホクナリンテープが併用できないお薬もありません。注意するお薬としては、

  1. 交感神経刺激剤
  2. キサンチン誘導体
  3. ステロイド剤
  4. 利尿剤(サイアザイド系利尿剤・サイアザイド系類似利尿剤・ループ利尿剤)

となっています。

この中で気を付けるべきお薬は、②~④のキサンチン誘導体・ステロイド剤・利尿剤です。特にキサンチン誘導体とステロイドは、COPDや喘息が急性増悪したときに使用することが多いです。

これらのお薬と併用することによって低カリウム血症のリスクが高まりますが、普通に食事を摂取している人では心配はまず必要ありません。食事がとれないような方でこれらの治療を使用する場合は、入院する場合が多いです。

また利尿剤は、尿と一緒にカリウムが一緒に出ていってしまうお薬です。そのため利尿剤を投与している方は、定期的に採血でカリウムを調べていることが多いです。

 

4.ホクナリンテープは高齢者・妊婦・小児でも安全?

ホクナリンテープは、高齢者・妊婦・小児でも使用できるお薬です。

まず高齢者ですが、ホクナリンテープの添付文章では、

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

となっております。しかしCOPDは長年タバコを吸い続けてなる病気です。そのため、ホクナリンテープを使用しているのは多くの方は高齢者だと思います。

また妊婦・授乳中の方ですが、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。)

と記載されています。催奇形と書かれるとぎょっとしてしまうかもしれませんが、これは吸入する何百倍もの量を血液に投与したことで認められたものです。そのためホクナリンテープは妊婦や授乳中の方でも多く使われています。

ホクナリンテープは多くの乳幼児の方に使用されているお薬です。小児の方に長期投与しても安全性が確認されています。添付文章では

使用成績調査並びに特別調査における小児への長期投与症例(3ヵ月以上:170例,6ヵ月以上:74例,1年以上:33例)において,適用部位の副作用が5例6件に認められたが,長期投与に起因すると考えられる遅発性の副作用は認められなかった

となっています。乳幼児の方の中でも6か月未満だと安全性が確認できていないという心配な一文があります。しかし6か月未満で安全性が確認されているお薬の方が少ないです。

一方でホクナリンテープを絶対に貼らなければいけない状況は6か月未満の方は少ないと思います。乳幼児で処方される方は咳がしている=急性気管支炎の時かと思います。これは数日で治ることが多いです。ホクナリンテープは症状は改善しますが、これでばい菌をやっつけるわけではありません。

そのため乳幼児で副作用が気になる方はあえてホクナリンテープを貼る必要はありません。この辺りは両親が心配なら医師にその旨を伝えましょう。

 

まとめ

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