スピリーバ(チオトロピウム)レスピマットの効果と特徴

アイコン 2016.7.8 スピリーバ
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スピリーバ(一般名:チオトロピウム)レスピマットは、2010年にベーリンガー製薬会社より発売された抗コリン薬の吸入薬になります。

「コリン」とはアセチルコリンのことを意味していますが、アセチルコリンは身体の様々なところで副交感神経を興奮させます。副交感神経が気管支で興奮すると、気道が狭くなるという作用が生じます。スピリーバはこの反応を抑制することで気道を広げ、主にCOPD(肺気腫)の第一選択薬として活躍しています。

また2015年から重症の喘息でも、スピリーバレスピマットが適応になりました。これによって、喘息で苦しんでた多くの患者さんにとって救世主となっています。

ここでは、スピリーバの効果と特徴についてまとめていきましょう。

 

1.スピリーバ レスピマットのメリットとデメリット

<メリット>

<デメリット>

スピリーバレスピマットは、1日1回に一度に2吸入、主に朝に吸入する長期作用型抗コリン薬になります。コリンとはアセチルコリンのことです。このアセチルコリンの作用を阻害することで、スピリーバは気管支を広げる作用があります。

スピリーバは、慢性気管支炎や肺気腫などのCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬として長年使われていました。

COPDのガイドラインの第一選択肢は、

のどちらかになっています。重症化した場合や効果がない場合には、お薬を追加していきます。スピリーバはこの抗コリン薬の中で、現時点では最も多く使用されているお薬となっています。

抗コリン薬の禁忌(処方してはいけない患者)として、

  1. 閉塞隅角緑内障の患者
  2. 前立腺肥大症による排尿障害のある患者
  3. アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤に対して過敏症のある患者

これらがあげられています。緑内障は閉塞隅角のパターンのみ禁忌ですが、ご自身が緑内障のどのパターンか認識している人は少ないです。緑内障が悪化すると失明につながることから、一般的には緑内障の方にはスピリーバは使用しないことが多いです。

また前立腺肥大は高齢男性の多くに認められる疾患です。病院で診断されていなくても、

などの症状が高齢の男性にあれば前立腺肥大の可能性があるため、スピリーバは処方しない方が無難かもしれません。

反対に、この緑内障と前立腺肥大が否定的であれば、COPDに対しては積極的に処方されているお薬です。もう一つの第一選択肢であるβ2刺激薬の主なお薬は、オンブレスになります。

スピリーバが先か、オンブレスが先かは呼吸器の専門家の中でも意見が分かれます。そのためそれぞれの特徴をよく理解して、処方し各々の患者さんに合った治療をすることが大切になります。

 

スピリーバレスピマットの特徴としては、スプレータイプのため吸入力が弱くても薬が吸えることです。特にCOPDは、タバコで肺がボロボロになってしまった病気です。肺がボロボロになることで気管支が狭まり、息が思いっきり吐けなくなります。息が吐けなくなるということは吸う力も弱くなります。

そのため、高齢者のCOPDの方の大部分は、吸入力はかなり低下していることが多いです。そういった方には、スピリーバレスピマットを優先的に処方します。ただし、スプレーはボタンを押すタイミングと吸うタイミングを合わせる必要があるので注意が必要です。

またスピリーバは、他の気管支拡張剤(交感神経刺激剤)である「β2刺激剤」よりもリバウンドが少なく、安定・安全に使用出来る薬剤として使用されています。リバウンドとは薬剤を服用することに身体がなれてしまい、減量・中止すれば症状悪化を招いてしまうというものです。

一方でCOPDは、一度発症するともう二度ともとに戻らない病気です。そのため、単体の薬では症状が取れないことも多いです。病院を受診するくらい症状が強いのであれば、オンブレスとスピリーバを併用して治療することも多いです。

こうした現状を受け、スピリーバにβ2刺激薬であるオロダテロールが配合されたスピオルトという合剤も発売されています。

 

またスピリーバは、健康の人に吸入させても気管支が広がります。このことから喘息の方にも効果がないか調べたところ、重症喘息の方に使用することで喘息のコントロールが良好になることが分かりました。そのため、2015年からはスピリーバが喘息にも使えるようになりました。喘息などの治療で用いられる薬としては、

の2種類があります。この中でもスピリーバレスピマットは、前者の「発作が起こらないように長期間コントロールする薬」となります。喘息ではアドエアシムビコートなどのβ2刺激薬とステロイド吸入薬の合剤を使っていきますが、これらの効果が弱い場合は非常にコントロールが難しい病気でした。

スピリーバがこのような難治性の喘息に使用できるようになり、多くの人の喘息がコントロールできようになった背景があります。

 

2.スピリーバの剤形の種類・用法・薬価とは?

スピリーバレスピマットは、COPDと喘息に適応があるスプレー式の吸入薬です。1回に2度吸入が必要になります。

スピリーバは、

2種類の製剤があります。カプセルの適応はCOPDに限られます。吸入液であるレスピマットは、COPDだけでなく気管支喘息(重症持続型)にも適応が認められています。

スピリーバのスプレー式タイプのお薬はカートリッジに充填されており、レスピマットという吸入器に取り付けて吸入します。このレスピマットは、噴射ガスを使わずに薬剤をごく細かい霧状にして噴出する新型のソフトミスト吸入器です。

スピリーバレスピマットは毎日1回2吸入することで、COPDと喘息に対して効果を発揮するお薬です。ただしこの2つの病気は、症状が劇的に改善するのが難しい病気です。吸入を続けることで、呼吸状態の悪化を和らげるのが主な目的となります。

吸入してても効果が感じられないからといって、自己判断でスピリーバを中止しないようにしましょう。なお、スピリーバレスピマットの薬価は以下の通りです。

商品名 吸入回数 薬価 1日薬価 1日薬価(3割負担)
スピリーバレスピマット 60 6879.1 229.3 68.7

※2016年7月1日時点の薬価です。

スピリーバレスピマットは、1回の噴霧でチオトロピウム2.5μg吸入できます。スピリーバレスピマットを1日1度に2回吸入するため、チオトロピウム5μg吸入することになります。そのためスピリーバレスピマット60吸入は、30日分(1か月分)の量になります。

 

3.スピリーバが向いてる人は?

スピリーバが登場する前の抗コリン薬は、1日に3~4回服用する薬でした。

これに対してスピリーバは、チオトロピウムを使用することによって1日1回で気管支拡張作用を得ることができるようになりました。このように、長期に渡ってCOPDを調節し、1日1回の服用で持続的に気管支を拡張できる薬がスピリーバレスピマットです。

このため現在では、肺気腫や慢性気管支炎などCOPDの患者さんに第一選択肢としてスピリーバが処方されています。

スピリーバなどの抗コリン薬を使用する時に気を付けなければいけないのが、前立腺肥大や緑内障がある人です。この場合は、オンブレスから加療した方が無難かもしれません。

また2015年より、スピリーバレスピマットは喘息にも適応されるようになりました。このスピリーバレスピマットが喘息に使用できるようになって、多くの難治性の喘息の人が発作の苦痛から解放されています。

アドエアやシムビコートなどの喘息の吸入薬をきちんと毎日吸っていても良くならない方は、ぜひ医師に相談してみてください。

 

4.スピリーバの作用メカニズム

抗コリンとして副交感神経の働きを遮断することで気管支を広げます。

私たちが運動を行っているとき、よりたくさん空気を取り入れるために気管支が拡張します。この時に働く神経系を交感神経と呼びます。「交感神経は運動時に働く神経系である」と認識できれば良いです。

そして、この交感神経の反対の働きをする神経系として副交感神経があります。運動時とは異なり、「体を休めている時に働く神経系」が副交感神経になります。

先ほど、「交感神経が活発になると、空気を取り入れるために気管支を拡張させる」とお伝えしました。それでは、この反対の作用をする副交感神経が働けば気管支は収縮します。つまり、気道が狭くなっていきます。

副交感神経が興奮すると、気道が狭くなるという作用が起こります。そしてこの副交感神経の興奮に関与している物質として、アセチルコリンがあります。アセチルコリンが作用することによって副交感神経が活発となり、結果として気管支が収縮します。

ですからアセチルコリンの働きを抑えてしまえば、「気管支収縮の逆」として気管支を拡張できることが分かります。より正確に言えば、「気管支収縮の抑制」となります。

「アセチルコリンが受容体に作用する過程を抑制する薬」を、総称して抗コリン薬と呼びます。抗コリン薬によってアセチルコリンの働きを抑え、気管支を拡張させることができるようになります。

このようにアセチルコリンの働きを抑えることによってCOPDを治療する薬として、スピリーバ(一般名:チオトロピウム)があります。

抗コリンの働きついて詳しく知りたい方は、「抗コリン作用とは?抗コリン薬・コリン作動薬のすべて」をお読みください。

 

まとめ