スピリーバの喘息での効果とは?

アイコン 2016.7.17 スピリーバ

喘息は、慢性的に気道に炎症が起きて過敏になることで咳や息苦しさが起きる病気です。今まではシムビコートアドエアなどの吸入ステロイドとβ2刺激薬を中心に加療していました。

吸入ステロイドを最大量にしてもコントロールができない難治性の喘息の患者さんは、医師側も非常に治療に悩まされる疾患でした。このような中、2014年に主にCOPDに使われたスピリーバレスピマットが難治性の喘息に適応が認められました。

スピリーバは、長期作用型の抗コリン薬として気管支を広げる作用があります。喘息の患者さんにも、気管支を広げることで症状や喘息発作を抑制することが示されたのです。

このスピリーバが使えることで、多くの喘息の患者さんが救われています。ここでは、スピリーバの喘息における効果について詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.喘息ってどんな病気なの?

喘息は、慢性的に気道に炎症が起きて過敏になることで咳や息苦しさが起きる病気です。咳などの症状がなくても慢性的な炎症は続いているので、付き合っていかなければいけない病気です。

喘息は慢性的に気道に炎症を起こしており、それが引き金となって気道が敏感になって咳や息苦しさを繰り返す病気です。喘息の人の気道は、症状がないときでも常に炎症をおこしています。それが引き金になって、健康な人に比べて気道が狭くなって空気が通りにくくなってしまいます。

喘息の症状は、気道に慢性的な炎症が生じることで起きます。具体的には以下の5つがあげられます。

  1. 胸の喘鳴(ゼーゼーする音)
  2. 息苦しさ
  3. 運動時の息切れ

気道に炎症があることで、これらの症状が一時的ではなく慢性的に起きる病気です。さらに喘息はひどくなると、

  1. 息が苦しくて横に慣れない
  2. 息が苦しくて動けない
  3. 息が苦しくてしゃべれない

と日常生活が取れなくなるくらい強い症状になります。これを喘息発作と呼びます。

咳がでない、息が苦しくないから喘息が治ったとよく言う人がいますが、基本的には喘息は風邪などとは違って治らない病気と考えた方が良いです。少なくとも、「咳がない=喘息の状態ではない」と考えないようにしましょう。

喘息について詳しく知りたい方は『喘息ってどんな病気?喘息の症状とは?』を一読してみてください。

 

2.スピリーバ レスピマットの特徴とは?

スピリーバレスピマットは、長期作用型抗コリン薬として気管支を拡張するお薬です。

スピリーバ レスピマットは、1日1回に一度に2吸入、主に朝に吸入する長時間作用型の抗コリン薬になります。コリンとはアセチルコリンのことです。このアセチルコリンの作用を阻害することで、スピリーバは気管支を広げる作用があります。

スピリーバは、慢性気管支炎や肺気腫などのCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬として、長年第一選択薬として使われていました。

スピリーバの気を付けることとして、

  1. 閉塞隅角緑内障の患者
  2. 前立腺肥大症による排尿障害のある患者

の二つの病気の方は禁忌になります。そのためスピリーバを使用する際はこれらの病気がないことを事前に確認する必要があります。

また抗コリン薬はCOPDの方だけではなく、健康な人も吸入することで気管支が広がる作用があるお薬です。そのためCOPDと同じく気道が狭くなる喘息でも効果があるのではと考えられました、このため臨床試験を行ったところ、重度の喘息の方に対して効果があることが分かりました。

これによって2014年に、スピリーバは喘息に対しても適応が通ったのです。

スピリーバレスピマットについて詳しく知りたい人は『スピリーバ(チオトロピウム)レスピマットの効果と特徴』を一読してみてください。

 

3.今までの喘息の治療は?

吸入ステロイドを中心に治療する疾患です。これにβ2刺激薬を加えた合剤で治療することが多いです。

喘息のガイドラインでは、最も軽症な方は吸入ステロイドのみで加療することとなっています。その次はステロイドの吸入量を増やすとともに、

の併用を指示しています。この中で最も併用されるのが、β2の刺激薬です。吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤であれば、患者さんの手間は増えずにすみます。

成人の喘息は、シムビコートやアドエアなどの合剤をはじめに使って、症状が落ちついてきたら徐々に減量することが多いです。

喘息は咳や喘鳴、呼吸困難など非常に苦しい疾患であり、命にもかかわる病気です。そのため喘息の炎症の炎を最低限の水で済ませようとすると、一気に被害が拡大してしまう可能性があります。

そのためβ2の合剤をはじめから使って、喘息の治療をしていくことが多いのです。このアドエアとシムビコートを最大量使用してもコントロールできない場合は、

などが挙げられます。これらを内服することでコントロールしていました。これでもコントロールできない人はかなり難しくなります。ガイドラインでは、

のどちらかを示しています。ゾレアの投与量は、血液のIgEの量と体重によって決まります。そのためゾレアを打つ際には、採血が必ず必要になります。

この結果に応じて、ゾレア1回75mg~600mgを2週間または4週間ごとに皮下注射するお薬です。ゾレアは非常に良いお薬なのですが、値段が非常に高いお薬です。

商品名 投与量 価格
ゾレア 75mg 23128円
ゾレア 150mg 45578円

※2016年7月9日時点での薬価になります。

一番安くても4週間に1回2万3千円、一番高いと2週間に1回18万円かかる治療になります。高額医療制度を使用しても月8万程度かかる治療のため、できる人はかなり限定されてしまいます。

そのため、多くの方はステロイドを内服していたと思います。しかしステロイドは副作用が非常に気になるお薬でもあります。

これらはステロイドの副作用の一部です。特にステロイドを内服すると、多くの方は顔がまん丸くなってムーンフェイスという副作用がみられます。人によっては他の病気が悪化してしまったことが、喘息の悪化につながることもあります。そうなった場合はさらにステロイドの量が増えていく悪循環に陥っていました。

このように吸入ステロイドとβ2刺激薬でコントロールできないと、喘息はかなり難しい病気でした。このような難治性の喘息に、スピリーバは救世主となり売るお薬です。

 

4.スピリーバは喘息に対してどれくらい効くの?

吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤でもコントロールできない重症喘息の方に対してスピリーバを加えたところ、呼吸状態の改善とともに症状および呼吸状態を改善することが示されました。

2012年医学誌で最も有名なものの一つNEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINEで、このスピリーバの喘息の効果を確認する論文が発表されました。

この試験では、アドエアやシムビコートなどの吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤でコントロールが不良な難治性喘息の患者さんを集めて、スピリーバを吸った群と吸わない群に分けて効果を比較した論文になります。COPDを合併した人ではスピリーバの効果が認められるのは当然なので、非喫煙者かほとんど喫煙していない人のみを対象としています。

まずは効果についてみてみましょう。

スピリーバ喘息での1秒量

縦軸がトラフFEV1.0の変化量です。これは1秒間に思いっきり吐いた量を示しています。1秒間に吐ける量が多ければ多いほど、気管支の狭まっているのが解除されて、たくさん息が吐けるようになったことを意味しています。青がスピリーバを加えた群で、黒がプラセボ(偽薬)を加えた群です。

12週から52週目まで、常に青のスピリーバを加えた群の方が黒のプラセボ群より上にあるのが分かるかと思います。最終的に52週では、スピリーバを加えたことで112ml増えています。

成人男性ではこのFEV1.0は3500ml、成人女性では2500mlといわれています。一方で喘息患者さんでは個人差が大きいのですが、重症例ですと1000mlを切ることも多いです。なかなかイメージしづらい数字ではありますが、112mlはかなりの差があります。

スピリーバの喘息の症状の改善について、自覚症状で比較してみた報告をご紹介していきます。

スピリーバを喘息に加えたADL上昇図

縦軸のAQLQスコアとは、喘息の症状を質問して点数化したものです。点数が高いほど状態が良いこと表しています。吸入前は4.6程度でしたが、スピリーバを吸入してからは平均で5を超えるようになっています。

プラセボは全く効果がないお薬ですが、気持ち的に何か吸うのを加えると効いたような気がして少し数字が上昇します。しかし明らかに、そのプラセボより青のスピリーバの方が高くなっています。

スピリーバによって症状を改善したことで、喘息発作も抑えたことが示されています。

スピリーバを喘息に加えた増悪率

こちらは喘息発作が出現した率をみています。喘息発作が増えれば増えるほど縦軸である%が増えることから、下にあればあるほど悪化を抑えたことになります。横軸は日数を示しています。青のスピリーバ群は、黒のプラセボ群より常に下にあることが分かりますでしょうか?

50%を超えた時期で検討したところ、スピリーバを併用した群では315日となり、プラセボ群の181日と比較して、134日間の延長がみられました。

このように喘息にスピリーバを加えることで気管支を広げられ、喘息の症状さらに発作を抑えることが証明されたのです。この結果を受けて、2014年スピリーバは重症喘息に対して適応が通りました。

私も実際にスピリーバを処方してみて、今まで喘息発作で苦しんでた患者さんが凄くよくなった例を多く経験しています。

喘息発作で苦しんでいてスピリーバレスピマットが処方されていない方は、ぜひ一度医師に相談してみてはいかがでしょうか?

 

まとめ

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