サルタノールの副作用と安全性

アイコン 2016.6.21 サルタノール

サルタノールは、1978年に発売された古くから使われている吸入薬になります。主に喘息の発作時のお薬になります。

サルタノールの成分であるサルブタモールは、短時間作用性β2刺激薬に分類されています。つまり即効性がある分、作用時間も短いのが特徴です。

β2刺激薬を吸入することで、気管支が広がって喘息症状の改善が期待できます。ですが効果が不十分な時に何回も吸っても、効果がどんどん倍増するわけではありません。β2刺激薬を大量に投与してしまうと、心臓に負担がかかります。不整脈のリスクが高まり、添付文章には「心停止もあり得る」と怖い文言も記載されています。

それではサルタノールは、適正量であればどんな副作用があるのでしょうか?
どんな人にも投与できる安全なお薬なのでしょうか?

ここでは、サルタノールの副作用と安全性についてまとめていきます。

 

1.サルタノールは用量を守って使うことが大事

サルタノールは、依存してしまいがちなお薬です。しかし大量にサルタノールを投与すると、β1の作用で心臓に負担がかかります。

喘息では、サルタノールだけで治療しているという人をしばしば見かけます。これでは、喘息は少しずつ悪くなっていってしまいます。気管支喘息は、気道の慢性炎症によって発作が何回も起きる病気です。β2刺激薬は気管支を広げる作用はありますが、根本的な気管支の炎症をとる作用はないのです。

そのため普段から喘息発作自体が起きないように、吸入ステロイド等で予防することが非常に大切になります。

また発作が起きたら慌てて連発して吸入する人もいますが、これは実は非常に危険です。β2刺激薬は、投与量を増やせば増やすほど気管支を広げるわけではありません。サルタノールを吸入しても改善しない場合、気管支の炎症を抑えないと良くならないことが多いです。

サルタノールの吸入回数は、成人1回2吸入、小児1回1吸入となっています。さらに追加していく時は、間隔は3時間あけて最高4回までになります。

喘息の実態を調べた報告では、サルタノールを最高何回吸入したかという問いに対して4回以内と答えたのが1/3程度でした。つまり2/3は、この4回を踏み越えて使用していることになっています。人によっては、1日30回と答えた人もいました。

症状がないのに吸い続ける吸入ステロイドは、患者さんには実感がないので必要がないように感じてしまいます。それに対してサルタノールは、発作が起きたときに楽になります。サルタノールはこのように実感があるため、依存しやすいお薬になります。

しかしサルタノールは、連発すると不整脈、まれではありますが心停止などの重篤な副作用の危険性もあるお薬です。サルタノールの主成分は、β2刺激薬になります。しかしながら、β1にもわずかながら刺激してしまいます。このβ1の作用は、心臓にムチをうつような作用があります。

軽度であれば動悸の副作用があります。量がどんどん増えてしまうと、心臓のリズムを狂わせてしまい不整脈が起きてしまいます。さらに使い続けると、心臓が止まりかねないお薬なのです。

喘息発作が重度であると、酸素の取り込みも低下します。そうすると心臓が頑張って、一生懸命ポンプとして働きます。そこにさらにβ1の刺激を送り続けることで、心臓がオーバーヒートしてしまいます。サルタノールの効果が不十分な場合は、心臓がオーバーヒートする前に必ず病院を受診するようにしましょう。

 

2.サルタノールの副作用とは?

サルタノールでは、動悸や手の震えが出現します。

サルタノールの添付文章では、総症例3212例中56例(1.7%)に副作用が報告されています。その主なものは、

が挙げられます。β刺激薬は心臓の動きも強めてしまい、結果としてドキドキする人がいます。またサルタノールは吸入薬なので、肺の奥まで届かせようとすると気道に刺激があったり、頭痛が出現することがあります。

またβ刺激薬を吸うと、手の震えを訴える人もしばしばいます。サルタノールでは0.1%未満と、そこまで頻度は多くありません。

またサルタノールでは、電解質の一つであるカリウムが低下することが報告されています。普通に食事している分には野菜や果物に多く含まれているため、まず問題になることはありません。しかし食事量が減ってきた高齢者などでは、注意が必要になります。

 

3.サルタノールが使用できない人は?

サルタノールが使用できない人は基本的にいません。

サルタノールが禁忌となる疾患はありません。使用するのに注意が必要な疾患は、以下の4つです。

  1. 甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺ホルモンの分泌促進により症状悪化の恐れ]
  2. 高血圧の患者[α及びβ1作用により血圧を上昇させる恐れ]
  3. 心疾患のある患者[β1作用により症状を悪化させる恐れ]
  4. 糖尿病の患者[グリコーゲン分解作用により症状を悪化させる恐れ]

しかしこれらは、喘息発作が起きた時点でさらに悪化する可能性があります。またβ2刺激薬の他の喘息発作治療薬としては、ステロイド点滴があります。このステロイドの方が上記の疾患をより悪化させる可能性を考慮すると、喘息発作が起きたときにサルタノールをためらう理由はないと思います。

またお薬を内服中で気を付けるものは、以下の通りです。

  1. アドレナリン・イソプレナリン(カテコールアミン併用により、アドレナリン作動性神経刺激の増大が起きる。そのため、不整脈を起こすことがある。)
  2. キサンチン誘導体・ステロイド剤・利尿剤 (低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。)

①のお薬は、交感神経を刺激するお薬です。β2も交感神経に属する神経です。そのため併称することで、さらに効果が高まる可能性があります。しかしアドレナリンなどは、血圧が低下して集中治療室に入院しているような方に使用するお薬です。そのため普通に生活している人では、まずお目にかかることはないでしょう。

気を付けるべきは、②のキサンチン誘導体・ステロイド剤・利尿剤です。特にキサンチン誘導体とステロイドは、喘息発作が起きたときに一緒に使用することが多いお薬です。

低カリウム血症のリスクが高まりますが、普通に食事を摂取している人では心配はまず必要ありません。食事がとれないような方でこれらの治療を使用する場合は、入院する場合が多いです。

また利尿剤は、尿と一緒にカリウムが一緒に出ていってしまうお薬です。そのため利尿剤を投与している方は、定期的に採血でカリウムを調べていることが多いです。

 

4.サルタノールは高齢者・妊婦・小児でも安全?

サルタノールは、高齢者・妊婦・小児どなたでも使用できるお薬です。

まず高齢者ですが、サルタノールの添付文章では、

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

となっております。喘息という病気は、年間2000人以上の方が亡くなられている病気です。その多くがご高齢の方です。そのため、高齢の方で喘息発作が出現した場合は、速やかにサルタノールを吸入することが必要になります。

また妊婦・授乳中の方ですが、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。)

と記載されています。催奇形と書かれるとぎょっとしてしまうかもしれませんが、これは吸入する何百倍もの量を血液に投与したことで認められたものです。

喘息発作が出現したときにサルタノールの有益性が危険性を下回るケースは、ほぼありません。喘息発作が出現して治療を遅れてしまうと、もっと重篤になります。体の中の酸素が足りなくなると、お腹の子供にも影響が出かねません。

そのためサルタノールを吸入した後、妊婦の方は速やかに病院を受診することをお勧めします。

小児の方も全く問題ないのですが、大人と違い吸入回数が2回から1回になるので注意が必要です。

このようにサルタノールは、喘息発作が出現したらどなたでも使用できお薬になります。

 

まとめ

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