プロカテロール塩酸塩錠の効果と副作用

アイコン 2016.7.15 メプチン

プロカテロール塩酸塩錠は、大塚製薬から発売されたメプチン錠の後発品(ジェネリック医薬品)になります。

プロカテロールはβ2刺激薬の内服薬として、主に喘息やCOPDの長期管理のお薬になります。気管支をβ2刺激薬として広げる働きがあり、喘息発作を予防したり、COPDの病気の進行を防ぎます。

しかし現在、喘息の長期管理は吸入ステロイドなどの吸入薬が主流となっています。COPDにおいても、スピリーバなどの抗コリン薬やオンブレスなどの長期作用型のβ2刺激薬の吸入薬が中心となっています。

吸入薬の方がピンポイントで作用するため、内服薬よりも副作用が軽減されています。そのため、プロカテロール錠が使われる機会はかなり限られています。しかし吸入するのが難しい小児や認知症の方などでは、今でもプロカテロール錠の内服によって治療されています。

ここでは、プロカテロール錠の効果と副作用について詳しくお伝えしていきたいと思います。プロカテロール錠が使われるのは限られた機会が多いですが、どういった患者さんに向いているのかもお伝えしていきたいと思います。

 

1.プロカテロール錠の効果のメリット・デメリット

<メリット>

<デメリット>

喘息の治療薬は、

の2つに大まかに分けられます。このうちプロカテロール錠は、長期管理に適したお薬です。

喘息のガイドラインでは、最も軽症な方は吸入ステロイドのみで加療することとなっています。その次はステロイドの吸入量を増やすとともに、

の併用が推奨されています。この中で最も併用されるのが、β2の刺激薬の吸入です。なぜなら吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤であれば、患者さんの手間は増えずにすみます。そのためβ2刺激薬が喘息で登場する時はアドエアシムビコートなどの合剤で登場することが多かったです。

一方でどうしても吸入ステロイドが使用できない場合は、内服で喘息を加療することになります。お子さんや、認知症が強い高齢者が多いです。こういった方にプロカテロール錠が使われることが多いです。

 

小児の喘息では、プロカテロール錠は成人の半分の25mgが処方されます。成人と違い小児の場合は、吸入することが難しい場合が多いです。

そのため小児では、まずは飲み薬から始めることが一般的です。

などの抗アレルギー薬を軽症例に使用して、重症例であれば吸入ステロイドに切り替えていきます。それでも喘息のコントロールが悪い場合に、一時的にβ2刺激薬の上乗せをしていきます。一時的となっているのは、安易な連用をしないためです。

ですからプロカテロールは、症状が強い場合に一時的に上乗せするのが一般的で、小児では長期管理薬として長期間の処方はされないことが多いです。

むしろ小児では、発作治療薬として使われることがあります。軽度の喘息発作の場合、プロカテロールだけで経過観察することもあります。

 

プロカテロール錠の効果が期待できるもう一つの疾患であるCOPDのガイドラインでは、

の吸入薬が第一選択となっています。つまりCOPDも喘息同様に、吸入薬が主流になっています。吸入の方が気管支に直接β2刺激薬をかけるため、即効性もあり、副作用も少ないのです。プロカテロール錠の内服では、副作用がやや多いというデメリットがあります。

そのためCOPDも喘息同様に、吸入が難しい人にプロカテロール錠は処方されます。

 

2.プロカテロール錠の剤形と用量とは?

プロカテロール錠は、1錠50μgです。就寝前に1回もしくは朝と夜に2回の内服でコントロールします。

プロカテロール錠は、メプチン錠のジェネリック医薬品です。

プロカテロール錠の適応は、

気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解

となっています。現在ではプロカテロール錠の使用は、喘息や肺気腫で吸入薬ができない認知症の方などかなり限定的です。

成人では、プロカテロール塩酸塩錠を1回50μg(1錠)1日1回就寝前、ないしは1日2回朝と就寝前に服用します。
 
なお小児には、プロカテロール錠の25μgが適応になります。さらに錠剤が難しい人のために、粉薬やシロップなどの剤形も発売されています。
 
6歳以上の小児には、プロカテロール錠を1回25μg(1錠)を1日1回就寝前、ないしは1日2回朝と就寝前に服用します。
 
プロカテロール錠を1回内服すると約1.5時間後に最高血中濃度になり、約3.8時間後に半減期を迎えます。約8時間後には20%まで血中濃度は低下します。
 

3.プロカテロール錠の薬価とは?

プロカテロール錠は、メプチン錠のジェネリック医薬品のため非常に安いです。

プロカテロール塩酸塩は、非常に古くからあるメプチン錠のジェネリック医薬品です。その薬価を実際にみてみましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
メプチン錠 50μg 27.2円
メプチンミニ錠 25μg 16.7円

<後発品(ジェネリック)>

商品名 剤形 薬価
プロカテロール塩酸塩錠 25μg/50μg 5.6円/5.8円
エプカロール錠 25μg/50μg 5.6円/5.8円
マーヨン錠 25μg/50μg 5.6円/5.8円

※2016年7月2日時点での薬価です。

プロカテロール塩酸塩は、喘息の長期管理のお薬です。毎日1回か2回内服します。

プロカテロール錠は非常に安いために、小児用の25μgでも成人用の50μgでもほとんど同じ価格になっています。

さらにプロカテロール錠は、

と複数の会社から処方されています。その他にもジェネリックとして、

これらのお薬が発売されています。

 

4.プロカテロール錠の副作用とは?

プロカテロール錠では、動悸や手の震えが出現します。

プロカテロール錠では調査症例22,757例中644例(2.83%)に副作用が認められています。頻度が高い0.5~5%の副作用は以下になります。

β刺激薬は心臓の動きも強めてしまい、結果としてドキドキする人がいます。漫然とプロカテロールを長期間使うと、心臓に負担がかかってしまいます。

またβ刺激薬の特徴として、手の震えを訴える人もしばしばいます。プロカテロール錠では0.5~5%と少ない副作用ながら、全体の副作用でみると頻度が多い項目となっています。

またプロカテロール塩酸塩では、電解質の一つであるカリウムが低下することが報告されています。普通に食事している分には野菜や果物に多く含まれているため、まず問題になることはありません。しかし食事量が減ってきた高齢者などでは、注意が必要になります。

ちなみにプロカテロールを吸入した場合の副作用は1.3%と、内服の約半分の頻度になっています。錠剤で内服した場合、気管支のみならず全身にプロカテロールが作用するため、副作用の頻度が高いと考えられます。

 

5.プロカテロール錠が使用できない人は?

プロカテロール錠が使用できない人は基本的にいません。

プロカテロール錠が禁忌となる疾患はありません。使用するのに注意が必要な疾患は、以下の5つです。

  1. 甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺ホルモンの分泌促進により症状悪化の恐れ]
  2. 高血圧の患者[α及びβ1作用により血圧を上昇させる恐れ]
  3. 心疾患のある患者[β1作用により症状を悪化させる恐れ]
  4. 糖尿病の患者[グリコーゲン分解作用により症状を悪化させる恐れ]
  5. 妊婦の方[妊娠の方の安全性は確立されていない]

①~④の疾患は、喘息発作が起きた時点でさらに悪化する可能性があります。喘息発作治療薬としては、β2刺激薬の他にはステロイド点滴があります。このステロイドの方が上記の疾患をより悪化させる可能性を考慮すると、喘息発作を予防するためにプロカテロール錠を内服した方が効率的かと思います。

また⑤の妊婦の方ですが、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。)

と記載されています。催奇形と書かれるとぎょっとしてしまうかもしれませんが、これは吸入する何百倍もの量を血液に投与したことで認められたものです。

喘息発作が出現したときにプロカテロール塩酸塩の有益性が危険性を下回るケースは、ほぼありません。喘息発作が出現して治療を遅れてしまうと、もっと重篤になります。体の中の酸素が足りなくなると、お腹の子供にも影響が出かねません。

またお薬を内服中で気を付けるものは、以下の通りです。

  1. アドレナリン・イソプレナリン(カテコールアミン併用により、アドレナリン作動性神経刺激の増大が起きる。そのため、不整脈を起こすことがある。)
  2. キサンチン誘導体・ステロイド剤・利尿剤 (低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。)

①のお薬は、交感神経を刺激するお薬です。β2も交感神経に属する神経です。そのため併用することで、さらに効果が高まる可能性があります。しかしアドレナリンなどは、血圧が低下して集中治療室に入院しているような方に使用するお薬です。そのため普通に生活している人では、まずお目にかかることはないでしょう。

気を付けるべきは、②のキサンチン誘導体・ステロイド剤・利尿剤です。特にキサンチン誘導体とステロイドは、喘息発作が起きたときに一緒に使用することが多いお薬です。

低カリウム血症のリスクが高まりますが、普通に食事を摂取している人では心配はまず必要ありません。食事がとれないような方でこれらの治療を使用する場合は、入院する場合が多いです。

また利尿剤は、尿と一緒にカリウムが一緒に出ていってしまうお薬です。そのため利尿剤を投与している方は、定期的に採血でカリウムを調べていることが多いです。低カリウム血症の症状としては筋力の脱力があります。もし気になる方は一度医師に相談してみましょう。

 

6.プロカテロール錠とメプチン錠の効果と副作用の比較

先発品・ジェネリックの効果と副作用は、大きな違いはないと考えられます。

先発品のメプチン錠を後発品のプロカテロール錠に変えれば、薬価が5分の1ほどに安くなります。多くの方が気になるのは、先発品とジェネリック医薬品で効果と副作用が同じかどうかだと思います。

ジェネリック医薬品では、有効成分は先発品とまったく同じものを使っています。ですから、効果や副作用の大まかな特徴は同じになります。先発品とジェネリック医薬品の違いは、薬を作るときの製造技術です。

多少の薬の効き方の違いはあるとはいえ、誤差はとても小さいお薬になります。メプチン錠やプロテカロール錠では、薬の効き方が治療に大きな影響を及ぼすことはありません。

また、メプチン錠をプロカテロール錠に変えたからといって効果が減ったり、副作用が増えたりといったことは今のところ報告がありません。ですからプロカテロール錠でも、効果と副作用の違いに過度に気にする必要はないかと思います。

ジェネリック医薬品について詳しく知りたい方は、「ジェネリック医薬品の問題点とは?ジェネリックの効果と副作用」をお読みください。

 

7.プロカテロール錠が向いてる人は?

喘息もCOPDも、現在は内服ではなく吸入薬が中心の疾患です。気管支に直接薬を投与することで効果も高く、副作用も少ないためです。そのためプロカテロール錠が使われるのは、「吸入薬が上手く吸えない人」というのが必須条件かと思います。

しかしβ2刺激薬は、ホクナリンテープなどの貼り薬があります。副作用の出現頻度としては、

経口薬>貼り薬>吸入薬

といわれていることから、認知症の方で吸入薬が使えない場合はホクナリンテープでの治療が主流になっています。そのためテープも張れないような患者さん(テープかぶれがひどい等)で、吸入薬もだめだった時の最終手段としてプロカテロール錠は処方されることになります。

 

小児では、軽度の喘息発作であればプロカテロール錠で経過観察することがガイドラインでも認められています。本来であれば吸入薬の方が良いのですが、お子さんでは喘息発作時に苦しくて暴れてしまい、うまく吸入できないこともあります。

このように小さなお子さんで吸入が難しい場合は、プロカテロール錠で様子を見ることもできます。しかしこれは軽症例に限ります。プロカテロール錠は効果が発現するのに1時間から2時間はかかるといわれています。そのため内服後症状が改善しない場合は、無理せずすぐに病院を受診するようにしましょう。

 

8.プロカテロール錠の作用メカニズム

β2刺激薬は、気管に主に存在する交感神経の受容体です。身体が活動的になる時には空気をたくさん必要とするので、β2が刺激されると気管が広がります。

最後に、どうしてβ2刺激薬では気管支が広がるのかについて、そのメカニズムをお伝えしていきたいと思います。

β2とは、交感神経の受容体になります。交感神経にはαとβという2種類の受容体があって、交感神経が活発になった時に命令の受け皿である受容体を通して全身に作用します。

βの中には、おもにβ1とβ2があります。β1は心臓に主に存在していて、β2は気管に主に存在しています。そしてそれぞれの作用は、交感神経が活発になっている状態をイメージすれば理解が出来るかと思います。

交感神経は、身体のスイッチをオンにした時の神経です。運動をした時をイメージしてみましょう。

心臓はバクバクと早くなり、全身に必要な血液を送るべくポンプとして頑張ります。この作用がβ1刺激作用になるのです。気道に関しては、空気をたくさん吸い込むべく気管が拡張します。この作用がβ2刺激作用になるのです。

もう少し詳しく言えば、β2受容体は気管の平滑筋に存在しています。筋肉が弛緩することによって、気管が拡張するのです。

これに対して抗コリン作用は、リラックスする副交感神経に関係しています。副交感神経を優位にするアセチルコリンをブロックするので、結果的には交感神経の働きを強めるのです。

プロカテロール錠は気管におもに存在するβ2だけを刺激するお薬で、心臓への影響をできるだけ避けて気管を広げて呼吸状態を改善するお薬です。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いている人>