アドエアディスカスの効果と特徴

アイコン 2016.5.26 アドエア

アドエアは世界で初のステロイドとβ2刺激薬の合剤として、2007年グラクソスミスクライン社から発売された喘息に主に使う吸入薬です。

長時間作用型の吸入β2刺激薬であるサルメテロールキシナホ酸塩(商品名:セレベント)と、吸入ステロイド薬のフルチカゾンプロピオン酸エステル(商品名:フルタイド)を組み合わせた吸入薬であり、2つの薬剤を1回で吸入できる画期的なお薬です。

アドエアが発売された当初は世界中で爆発的に売れ、世界で2番目によく売れたお薬として有名でした。(最もよく売れたのは高脂血症に対して使うリピトールでした。)現在はシムビコート、レルベア、フルティホームと4剤が発売されており、以前ほどのシェアはありませんが、元世界2位の実力で今でも多くの方に使われています。

アドエアは、ディスカスといわれる丸い紫色の円盤のお薬です。アドエアディスカスには100・250・500の3種類があり、数字はステロイドの量を示しています。またアドエアには、エアゾールというスプレータイプもあります。

アドエア250ディスカスのみ、タバコを喫煙して生じる肺気腫でも適応があります。ここではアドエアの効果と特徴についてまとめていきます。

 

1.アドエアディスカスの効果の特徴

<メリット>

<デメリット>

1つの吸入器で2つの薬が吸えるというのは、発売当初はとても画期的な薬剤でした。喘息を語るうえで大切な単語に、「アドヒアランス」という言葉があります。アドヒアランスとは「患者さんがどれくらい薬に対して理解して、薬を自発的に使ってくれるか?」ということを意味します。

喘息は慢性的に炎症が気道に起こる病気のため、咳や息苦しさを抑えるためにステロイド吸入薬を中心に、毎日投与しなければならない病気です。しかし喘息患者さんからすると、毎日お薬を、しかも一生吸うというのはかなり大変かもしれません。

喘息はこのように、患者さんのアドヒアランスが低い疾患の一つでした。

アドヒアランスを少しでも上げるために開発されたのが、このアドエアです。2つのお薬を1回で吸入できるため、手間が半分になります。さらに一つの吸入器しか持ち運ばなくていいため、患者さんの心理的な負担も減りました。

アドエアとよく比較されるお薬としては、シムビコートがあります。シムビコートもステロイドとβ2刺激薬の合剤です。どちらが良いかは、実は専門医でも意見が割れますが、患者さんによって使い分けることが一番大切です。そのためアドエアのメリットとデメリットをよく知ってから使いましょう。

 

アドエアとシムビコートの一番の特徴としては、アドエアは100・250・500ディスカスと分かれているのに対して、シムビコートは同じ吸入器で吸入回数を1回・2回・3回と増やしていきます。

そのためアドエアは、250ディスカス処方したけど効果が足りなかったとなった場合、500ディスカスに吸入薬を変えなければなりません。

一方でシムビコートは、2回吸って効果がなければ、同じ吸入器を3回吸入に増やすだけなので小回りがききます。ただし吸入回数が増えるということは、価格もシムビコートは倍増していくことになります。

アドエアはデバイスごとの価格は倍増まではいきません。そのため、高用量のステロイドが必要な人はアドエアの方が安く済みます。

しかしながらアドエアのβ2刺激薬であるサルメテロールは、持続力はありますが即効性にやや欠けるお薬です。そのため喘息発作が出現した場合は、メプチンやサルタノールなどの持続性はないが即効性があるβ2刺激薬の吸入薬を吸う必要があります。

一方でシムビコートのβ2刺激薬であるホルモテロールは、即効性も兼ね備えているため発作時にも吸入することが可能です。ですから症状が安定していない喘息患者さんにはシムビコートが勧められます。

アドエアの特徴としては、ドライパウダーのため粉っぽさが残ります。吸った後でうがいをしなければいけない手間がありますが、吸った感覚はあります。一方でシムビコートは小さい粒子のため、吸った感覚がないのが特徴です。どちらが良いかは患者さんの好みかと思います。

またアドエアの次の新薬として、グラクソスミスクライン社はレルベアを発売しました。こちらはアドエアが朝と夕方2回吸わなければならないのに対して、レルベアは朝1回だけの吸入で済ませられるお薬です。この朝1回だけで済まされることから、さらに患者さんのアドヒアランスの向上が期待されます。

アドエアはステロイドとβ2刺激薬のはじめての合剤です。つまりその後作られるお薬は、アドエアよりも優れてる点があるからこそ発売されるお薬になります。そのためアドエアは使われる場面は、徐々に喘息では減ってきています。

しかし喘息以外に、肺気腫にもアドエアは効果があることが分かりました。現時点ではアドエアとシムビコートのみに肺気腫での適応があります。(アドエアでは250ディスカスのみです。)肺気腫の急激な悪化を繰り返す人に効果的です。

 

2.アドエアディスカスの剤形の種類と用法とは?

アドエアディスカスは、中等度から重症度の喘息の人に適応がある吸入薬です。

アドエアは、ディスカスという丸い紫色の円盤エアゾールというスプレー式のタイプがあります。今回はアドエアディスカスを中心にみていきましょう。

アドエアディスカスは、

があります。アドエアは28吸入と60吸入があります。1日2回吸入するので、14日分(半月)と30日(1か月)分の吸入薬があることになります。使い始めでアドエアの量が決まっていない段階では14日分を処方し、安定したら30日分処方するのが一般的です。

アドエアは、朝夕2回、1回につき1度吸入するお薬です。アドエアの横に書いてある100・250・500という数字はステロイドの量です。具体的には、以下のようになります。

アドエア100ディスカス サルメテロール50μg
フルチカゾンプロピオン酸エステル100μg
アドエア250ディスカス サルメテロール50μg
フルチカゾンプロピオン酸エステル250μg
アドエア500ディスカス サルメテロール50μg
フルチカゾンプロピオン酸エステル500μg

ここで大切なのは、β2刺激薬であるサルメテロールはアドエア100ディスカスでもアドエア500ディスカスでも、同じ50μgの量になります。

つまりアドエア250を2回吸うことでアドエア500と同じ量になるのはステロイドであるフルチカゾンだけであり、β2刺激薬は倍の量を吸ってしまいます。

薬が変更されたけど余った分がもったいないといって、アドエア100や250を複数回吸わないようにしましょう。

 

3.アドエアディスカスの適応は?

アドエアは中等度から重症の喘息に適応があるお薬です。さらにアドエア250ディスカスは、重症の肺気腫に対しても適応があります。

喘息のガイドラインでは、最も軽症な方は吸入ステロイドのみで加療するよう指示されています。その次はステロイドの吸入量を増やすとともに、

の併用を指示しています。この中で最も併用されるのが、β2の刺激薬です。ですから吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤であれば、患者さんの手間は増えずにすみます。そのためアドエア100・250・500ディスカスは、吸入ステロイド単剤では症状が抑えられない時に適応があります。

しかし喘息の治療としては、これらアドエアなどの合剤をはじめに使って、症状が落ちついてきたら徐々に減量することが多いです。

喘息は咳や喘鳴、呼吸困難など非常に苦しい疾患であり、命にもかかわる病気です。そのため喘息の炎症の炎を最低限の水で済ませようとすると、一気に被害が拡大してしまう可能性があります。

そのためアドエアなどのβ2の合剤をはじめから使って喘息の治療をしていくことが多いのです。アドエア100か250、500のどれにするかは、その時の患者さんの症状および今までの治療をみながら決めていきます。

 

また最近では、気管支喘息にも色々な種類があることが分かってきてます。特に喘鳴が聞かれない咳喘息と言う病気に対しても、アドエアは効果を示します。咳喘息の診断基準は、β2刺激薬の吸入薬で反応があるかどうかです。

咳がひどい場合はβ2刺激薬だけでは抑えられないことも多いため、長引く咳に対してアドエアを処方して咳喘息の鑑別を行う場合があります。ただし吸入ステロイドを被せてしまうと、アトピー性の咳と見分けられなくなるということで嫌がる先生もいます。

長引く咳にβ2刺激薬吸入単剤で行くか、ステロイドとの合剤で行くか…ここは専門家でもいつも議論になるところです。

 

また2009年に、アドエア250ディスカスのみが重症の肺気腫に対して適応が通りました。アドエア100と500は、肺気腫に対しては適応外です。なぜアドエア100と500ディスカスが適応外かというと、アドエアが重症の肺気腫に対しての効果が確認されたのが250しかないからです。

フルチカゾンの量が100や500ではなぜ効果がないのか?これに関しては現在もよくわかっていません。ただしアドエア250に関しても、肺気腫が重症な場合に限られています。ステロイドは炎症を抑える治療薬ですが、そもそも肺気腫の炎症は、ばい菌などと戦って起きる炎症が多いです。

ステロイドは、このばい菌と戦っている気管支の白血球などの働きを抑える効果があります。何度も肺気腫の急激な悪化を繰り返している人は、ばい菌と白血球の争いになると気管支自体が戦いの戦火に耐えられないため、ステロイドで押さえつけることが良い方向につながります。

しかし軽症な肺気腫の人に吸入ステロイドを使うのが良いのかは、現在のところ結論が出ていません。アドエアに含まれているフルチカゾンのステロイドを軽症の人に吸わせ続けたら、逆に肺炎にかかりやすくなったという報告もあるからです。

ですから現時点では、重症の肺気腫にフルチカゾン250μgを吸入させると良いということしかわかっていません。フルチカゾン100μgだと肺気腫の炎症を抑えきれないのか、500μgだとステロイドの効果が強すぎて逆に肺炎にかかりやすくなるのかなど、今後の報告が待たれるところです。

 

またアドエア100ディスカスは、小児に対しても適応が通りました。小児のガイドラインでは、フルチカゾンのステロイド吸入は200μg/日が最大量と記載されています。このためアドエア100ディスカスのみが適応となっています。アドエア250・500は、現状では小児に適応になっておりません。

アドエア100ディスカスでも喘息のコントロールが不良なお子さんは、大きな病院で喘息の精密検査を受けた方が良いでしょう。

 

4.アドエアディスカスの薬価は?

ジェネリックはまだ発売されておらず、合剤のため薬価は比較的高めです。量が増えるほど、アドエアは他の同じタイプの薬と比べて経済的になります。

アドエアディスカスの薬価は、以下のようになっています。アドエアではジェネリック医薬品はまだ発売されていません。合剤のため、薬価としても高めの設定になっています。

商品名 吸入回数 薬価 1日薬価 1日薬価(3割負担)
アドエア100 28 2984.3 213.2 64.0
アドエア100 60 6267.3 208.9 62.7
アドエア250 28 3434 245.3 73.6
アドエア250 60 7208.4 240.3 72.1
アドエア500 28 3858.9 275.6 82.7
アドエア500 60 8213.2 273.4 82.0

※2016年5月22日時点での薬価です。

アドエアは、投与量を増やしても価格がそこまで大きく変わらないことが利点です。

ライバルのシムビコートは、30吸入の薬価が2996円です。つまり1吸入99.9円(3割負担で30円)です。シムビコートも朝夕で吸うので、最低量であれば199.8円(3割負担で60円)と、同等量のアドエア100より少ない価格で済みます。

しかし1回の吸入につき2回・3回と増えれば、価格も倍増していきます。つまり高用量になればなるほど、アドエア250・500の方が安く済むことになるのです。

 

5.アドエアが向いている人とは?

アドエアは、吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤として最初に登場したお薬です。そのため、「喘息治療はまずアドエアから」という形で処方されるケースが多いです。最初のアドエアが気に入ってしまえば、あえて他のお薬にチェンジする必要はありません。

症状が安定している場合は、吸入ステロイドだけに薬を減らしていくようにガイドラインでは記載されています。しかしアドエアで症状が安定しているのに、あえてβ2刺激薬を減らす必要があるのか、かなり意見が分かれています。喘息発作の回数が増えれば増えるほど、喘息が難治性になることが近年報告されています。そのため治療をどんどん削っていくメリットより、デメリットの方が大きい印象があります。

このような背景から、アドエアの副作用で困ってない方ではアドエア100までステロイド量を減らしたら、そのまま様子見ていることも多いです。

一方で症状が安定しない方や副作用がつらい方、ドライパウダーが気に入らない方などは、感じたことをそのまま医師に伝えて変更しましょう。処方されたお薬だから服用しなければ…などと無理してしまって、結果としてアドエアを吸わなくなってしまったら本末転倒です。

また肺気腫で吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤が必要な方は、現在ではアドエアとシムビコートしか適応がありません。

アドエアとシムビコートの2つしか合剤がない時代は、

にアドエアが向いていました。しかし現在ではレルベア・フルティホームという2剤が加わったため、これら4剤で考えるとアドエアが一番良いとは限りません。

吸入合剤の最初に登場したお薬がアドエアです。そのためアドエアが他のお薬にターゲットにされやすいのも事実です。

という論文は数多く登場します。反対に、「新しく登場した○○がダメだった人にアドエアへ変更したらよくなったと」いう論文は少ないです。

そのため医師からすると、「まずアドエアで初期対応してダメなら次の薬」と考えることが多いです。ですから、アドエアでコントロールが良い人は無理して他のお薬に変える必要がありません。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いている人>

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