パルミコート(ブデソニド)吸入液の効果と特徴

アイコン 2016.8.21 パルミコート

パルミコート(一般名:ブデソニド)吸入液は、アストラゼネカ社より発売された吸入ステロイド薬となります。

吸入ステロイドは喘息の発作が起きたときに吸うものではなく、喘息の発作が起きないようにコントロールするために吸入するものです。

ブデソニドの水性懸濁液であるパルミコート吸入液は、ネブライザーにより薬剤をエアロゾル化して吸入する気管支喘息治療薬です。エアロゾル化された薬剤は、通常の呼吸(自然呼吸)で吸入することが可能であるため、

などで適切に吸入できないお子さんや高齢の方などに、効果的な吸入が可能になる薬剤です。

パルミコートは、5歳未満の小児における気管支喘息治療薬として2006年に発売されました。成人においても高齢者の方を中心に、ドライパウダーやスプレーのどちらの吸入器も適切に使用できない患者さんがいます。このため2010年に使用が可能となりました。

ステロイドは副作用も強いため、吸入以外では投与しづらいお薬です。つまりパルミコート吸入液は、喘息における最後の砦的な治療になります。

ここでは、パルミコート吸入液の効果と特徴についてまとめていきます。

1.パルミコート吸入液の効果の特徴

<メリット>

<デメリット>

吸入ステロイドは、発作を止めるお薬ではありません。発作を止める時には、点滴や内服などで大量のステロイドを投与する必要があります。吸入ステロイドは、発作が起きないようにするために予防投与するためのお薬です。パルミコート吸入液は、この吸入ステロイドのお薬になります。

パルミコート吸入液は、ネブライザーという吸入器を使用することで吸入します。ネブライザーは病院にはありますが、家庭で持っている人はかなり限定されます。普通に買うと数万円かかるからです。一部小児科のクリニックでは、このネブライザーを使用して吸入します。

ネブライザーでパルミコートを吸入すると、粒子径が小さいので肺の奥まで薬剤を到達することができます。さらにパルミコートは、親水性が高いことから粘液層を通過しやすく、効率よく炎症部位に作用することができます。

ネブライザーを使用してパルミコート吸入液を吸入することで、肺の中枢気道だけでなく、肺の奥の気道まで薬剤を届かせることができます。このネブライザーを使用するメリットは、吸入力がなくても確実に肺に届かせられる点です。

吸入ステロイド単体は、ドライパウダー式のお薬とスプレー式のお薬がありました。しかしながら、

吸う力がなくてタイミングを合わせることができない人は、ステロイドを吸入することが困難でした。ネブライザーはミスト状の霧を出し続けることで、吸入器を加えて呼吸するだけで吸入することが可能なお薬です。

そのため、吸入することを嫌がる小さなお子さんや、認知症のある高齢者など吸入に協力が得られない人も投与することができるお薬になっています。

ただしパルミコート吸入液の最大の弱点は、ネブライザーによる吸入のため吸入完了まで時間がかかることです。特に成人の患者さんでは1日の使用用量が1mg~2mgなので、30分前後は吸入をし続ける必要がありますので、時間がかかってしまいます。

 

2.パルミコート吸入液の剤形の種類と用法・適応は?

パルミコート吸入液は、軽症から中等症の喘息の人に適応がある吸入薬です。

パルミコート吸入液は、ネブライザーという吸入器を使用して吸入します。

パルミコート吸入液は、

の2種類があります。

成人にはパルミコート吸入液0.5mgを1日2回、または1mgを1日1回、ネブライザーを用いて吸入します。なお、症状により増減できますが、1日の最高量は2mgまでです。

同じ成分であるパルミコートのタービュヘラーで吸入する場合は、成人の場合は症状に合わせて200μg(0.2mg)を1度に1~4回まで吸入できます。1日最大投与量は、8回吸入(ブデゾニド1.6mg)となります。ネブライザーの方が投与量が多いのは、ネブライザーは時間をかけてミスト状にしたものを吸ったり吐いたりして吸うのですが、全てが気道には入らないと考えられているからです。

一方で小児の場合は、パルミコート0.25mgを1日2回、または0.5mgを1日1回、ネブライザーを用いて吸入します。なお、症状により適宜増減しますが、1日の最高量は1mgまでです。

 

このパルミコート吸入液は、主に喘息の長期管理に適したお薬です。喘息発作が起きてから吸入しても意味がありません。そのため毎日吸う環境の中でネブライザーの吸入器がなければ使用できないことになります。

このパルミコート吸入液を毎日投与したときの効果を示した図が下記になります。

パルミコート

パルミコート吸入液をネブライザーで投与し、投与前1年間と投与開始後1年間の喘息増悪の発現回数を検討しています。その結果、パルミコート吸入液投与群で有意に増悪回数を減らすことができています。

つまりパルミコートは、喘息の症状がなくても吸い続けることで、結果として喘息の発作の回数を減らし症状を安定させるお薬になります。

 

3.パルミコート吸入液のネブライザーでの吸入方法

ジェットネブライザーというジェットネブライザーの吸入液を使用します。マウスピースを加えるか、フェイスマスクを顔に当ててパルミコートの吸入液を吸入します。

ネブライザーは、喘息発作をよく引き起こす人には馴染みのある機械かもしれません。喘息でも普段発作を起こさない人には見慣れない名前でしょう。ネブライザーは、下の様な機械を使用します。

ネブライザー

ネブライザーを使用して薬剤を細かな粒にして吸引してもらうことにより、メプチン吸入液を直接気管内に投与する治療法です。ネブライザーは2種類があります。

この中でパルミコート吸入液は、ジェットネブライザーで使用するようになっています。

その理由は、超音波ネブライザーでは粒子を発生させる際に、パルミコート吸入液が変成してしまうからです。ネブライザーの購入を検討している方は注意が必要です。

吸入方法としては、

  1. アンプルの上部を持ち前後に割くようにしてパルミコートを外します。
  2. 泡立てない程度にパルミートを揺り動かして、よく再懸濁させます。
  3. パルミコートのアンプルを垂直にして上部をねじ切って開封します。
  4. ネブライザーの薬剤ボトルにパルミコート吸入液を入れます。
  5. ネブライザーのスイッチを押し霧状になった吸入液がマウスピースから出ているのを確認します。
  6. マウスピースを加えてゆっくり口呼吸をします。

この時マウスピースにしてもお子さんが小さすぎると、

などの問題が生じます。このような時はフェイスマスクといって、口と鼻をマスクでふさいで呼吸させることで吸入するようにしましょう。

なおパルミコートの吸入の注意点ですが、

などに注意してください。

 

4.パルミコート吸入液の薬価は?

パルミコート吸入液は、ステロイド単剤で薬価が低めです。

パルミコート吸入液はジェネリック医薬品はまだ発売されていません。値段は以下のようになります

商品名 薬価 3割負担
パルミコート吸入液0.25mg 2ml 257.3円 77.2円
パルミコート吸入液0.5mg 2ml 341.7円 102.3円

※2016年8月12日時点での薬価です。

パルミコート吸入液は、小児の場合0.25mgを朝と夕、成人の場合0.5mgを朝と夕使用するため、この2倍の価格が1日薬価になります。

一方でドライパウダーのパルミコートタービュヘラーを使用した場合はどうなるでしょうか?パルミコートタービュヘラーの値段は以下のようになります。

商品名 吸入回数 薬価 1吸入 3割負担
パルミコート200μg 56 1689.6円 30.1円 9.0円
パルミコート200μg 112 2198.6円 19.6円 5.9円
パルミコート100μg 112 1689.6円 15.0円 4.5円

※2016年8月12日時点での薬価です。

大部分の方は、パルミコート200μg112吸入を処方されると思います。この場合の1吸入は、だいたい19.6円(3割負担で5.9円)になります。

パルミコートタービュヘラーは、朝と夕方2回吸入し、1度の吸入回数を1~4回で調整します。つまり1日最大8吸入になります。この時の薬価は156.8円です。パルミコート吸入液は、普通のドライパウダーに比べて非常に高くなります。

そのためパルミコートタービュヘラーが普通に吸入できる方は、こちらの方が良いでしょう。

 

5.パルミコート吸入液が向いている人とは?

現在の成人の喘息治療は、アドエアシムビコートなどのβ2刺激薬とステロイドの合剤から治療することがほとんどです。

一方でこれらドライパウダーで吸入力がない場合は、アドエアエアゾールフルティフォームといったスプレー式のお薬に変更になります。

ただしこれらスプレー式も、タイミングを合わせないとうまく吸えないという欠点があります。合剤で最も吸入しやすいといわれているフルティフォームでも、吸入が難しい場合は無理に合剤にこだわるのは逆に喘息の症状の悪化につながります。

しかしステロイドは、吸入以外では投与が難しいお薬です。少量のステロイドを吸入して気道の炎症を抑えると同時に、全身の副作用が起きないようにします。ステロイドの内服ですと全身の副作用がとても多いのです。

そのため最後のステロイド吸入の切り札として、パルミコートの吸入液は使用されます。またパルミコートの吸入継続とともに、β2刺激薬は貼り薬であるホクナリンテープを使用することで、合剤と同じ治療が継続できます。

 

一方で小児の場合は、飲み薬からになります。それで効かなかった場合、吸入ステロイド、さらに最重症の場合はβ2刺激薬と、順番に薬を増やしていくことがが多いです。

5歳以下のお子さんの場合はドライパウダーやスプレー式は難しい場合が多いです。特に2歳以下の乳幼児の方はまず無理かと思います。

そのため重症な小児喘息の救世主としても、パルミコート吸入液は多くの場面で使用されるお薬です。値段を考えると高いため、躊躇される方もいるかもしれません。しかし安いからといって吸えないお薬にしても、全く意味を成しません。

今までドライパウダーやスプレー式のお薬でうまく吸えないからと諦めていた方は、ぜひパルミコートの吸入液を検討してみてください。

 

まとめ