ゾレア(オマリズマブ)の効果と特徴

アイコン 2016.9.16 喘息の分子標的治療薬

ゾレア(一般名:オマリズマブ)は、ノバルティスファーマ製薬会社より2009年に発売された喘息の皮下注射薬になります。

ゾレアは、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。ゾレアは喘息発症の原因となるIgEとくっつき、その働きをブロックしてしまうお薬です。ゾレアの効果は非常に強く、重症喘息でもかなりの効果が期待できます。喘息のコントロール薬として、ゾレアは最終兵器となっています。

一方でゾレアは非常に薬価が高いお薬になります。そのため気軽に投与するととんでもない金額になるため、事前に注意する必要があります。

ここでは、ゾレアの効果と特徴についてまとめていきます。

 

1.ゾレアのメリット、デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

ゾレアは、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。モノクローナル抗体はもともと、リウマチなどの膠原病という特殊な病気や、癌などの治すのが難しい病気に対して作られたお薬です。そのため他の喘息薬と比較すると、ゾレアは効果がとても強いお薬になります。

ゾレアは、IgEだけにくっつくことに特化したお薬になります。IgEをかなりの率でブロックすることで、重症喘息に対して唯一著効する治療薬といえます。

喘息は、アドエアシムビコートなどのβ2刺激薬と吸入ステロイドの合剤でコントロールすることが多いです。一方でこれらの吸入薬だけでコントロールできない難治性の喘息は、今まで非常に苦労していました。

どのお薬も著効せずに、最終的にプレドニンなどのステロイドを使用していましたが、ステロイドは非常に副作用が多いお薬でもあります。また喘息は気道の慢性炎症性疾患のため、基本的には長期間の治療を要します。このような現状を打破してくれたのがゾレアです。

ゾレアは、プレドニンと同じくらい難治性喘息に対して非常に効果を示すお薬なうえ、副作用はほとんどありません。ゾレアの副作用としては、皮下注射のため注射した部位に痛みがあることくらいです。実際のガイドラインでも、ゾレアは難治性喘息で推奨されているお薬になっています。

ゾレアは難治性の喘息に対して効果も高いし、副作用も少ないと、一見すると完璧に見えるお薬です。しかしそんなゾレアにも、弱点がいくつかあります。

まずゾレアの投与量は、体重と採血したIgEの量によって算出されます。この時、IgEが30以下もしくは1500以上の人は投与できません。ブロックするIgEが少なくても意味がないですし、高すぎてもブロックしきれないため意味がなくなってしまいます。

さらに投与量はそのIgEと体重で計算されるのですが、体重が重くなればなるほど、投与できなくなります。体重が例えば90kg以上の人は、IgEが300以上ですと投与できないとなっています。つまり、全ての人に投与できない弱点があります。

そして最大の弱点は、ゾレアは非常に高価なお薬であるということです。細かい薬価に関しては後述しますが、薬価は一番安くても4週間に1回2万3千円、一番高いと2週間に1回18万円となります。高額医療制度などを使用することである程度抑えられますが、それでも月に数万かかる人がほとんどです。

ゾレアは高額な金額を払えたうえで、IgEと体重で投与可能な人という制限がかかるのがデメリットといえるでしょう。

 

2.ゾレアの適応は?

ゾレアは現在、難治性の喘息に対してのみ適応があるお薬です。

ゾレアの添付文章での適応疾患は、

気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)

と記載されています。つまり、吸入薬でも治らない重症な喘息患者さんのみが適応になるとのことです。

薬を毎日吸うのがめんどくさいからゾレアだけで治療するというのは適応外になります。またゾレアは、2013年には小児に対しても難治性の気管支喘息に対して適応が通りました。

一方でゾレアは、IgEをブロックするお薬です。IgEはⅠ型アレルギーの原因物質とされています。Ⅰ型アレルギーは、喘息の他にも花粉症やアトピー性皮膚炎などがあります。

実はゾレアは、花粉症やアトピー性皮膚炎に対しても非常に効果が高いことが示されています。ですがゾレアは、非常に高いお薬です。ゾレアの適応を拡大すると莫大な出費になることから、現在は生命の危険がある気管支喘息に対してのみ適応が通ってます。

この点について詳しく知りたい方は、「喘息の切り札のゾレア!花粉症にも著効するのに保険適応にならないわけ」を一読してみてください。

一方で現在、世界中でアトピー性皮膚炎や蕁麻疹に対してゾレアが著効したという論文が数多く出ています。これらの皮膚疾患はかゆみを伴うものが多いです。

かゆいという症状は、時に痛いや苦しいよりも辛い症状と言われています。「これらの難治性の疾患に対してもゾレアを適応拡大するべきでは?」という声が、アレルギー学会でもしばしば提言されています。ゾレアは2009年に発売された比較的新しいお薬のため、今後の適応拡大が待たれるところです。

 

3.ゾレアの投与量と薬価は?

ゾレアの投与量は、体重とIgEの値で計算されます。ゾレアは非常に高いお薬のため、投与する前に事前に薬価を計算する必要があります。

ゾレアは非常に高いお薬のため投与量が倍量、さらに投与間隔が短くなるだけで一気に価格が上がります。

IgEの値は、実際に採血してみないと分かりません。ですが、IgEが高ければ高いほど、重症度が高いというわけではありません。

喘息は非常に複雑な疾患で、そもそもIgEなどのアレルギーが関与しない非アレルギー性の喘息が注目を集めています。これらの非アレルギー性の場合、IgEは正常値もしくは低値になります。こういった非アレルギー性の喘息の方が、難治性のことが多いです。

IgEを測った際に、ゾレアの投与量を決めるもう一つの因子が体重です。詳しい投与量と期間を知りたい方は、ノバルティスファーマのページを参考にしてみてください。

この結果に応じて、ゾレア1回75mg~600mgを2週間または4週間ごとに皮下注射するお薬です。例を挙げるならば、

これらを踏まえて、肝心の値段をみてみましょう。

商品名 投与量 薬価
ゾレア 75mg 23128円
ゾレア 150mg 45578円

※2016年9月3日時点での薬価になります。

つまりゾレアは、75mgで約2万3千円、150mgになると4万5千円近い薬価になるお薬になります。抗モノクローナル抗体は特殊なお薬で、分子標的薬と呼ばれます。免疫グロブリン(IgE)という分子レベルで作用するお薬なので、ゾレアは非常に高価なものになります。

一番安くても4週間に1回2万3千円、一番高いと2週間に1回18万円かかる治療になります。医療費は、多くの方は3割負担かと思います。つまり残りの7割は、国が医療費として補助してくれているのです。保険適応になれば、自己負担は1か月6938円~54694円の範囲で使えるお薬になります。

ただし先ほど記載したように、ゾレアは難治性の喘息に対してのみ適応があります。つまり、喘息に対してすでに色々な治療薬を投与しても改善しない人が適応になります。そのため喘息に対しての治療薬は、元々治療していたお薬の治療費+ゾレアの治療費となります。

多くの方は、月に数万円かかる場合がほとんどです。そのため高額医療制度を使用しないと、とてつもない価格になります。

 

4.ゾレアの副作用と安全性は?

ゾレアの副作用は、注射部位の疼痛などが多いです。ただしこれらは、ゾレアに限らず注射であればどれでも起きえます。また、ゾレアはどのような人でも投与可能です。

国内で成人気管支喘息患者を対象として実施された臨床試験284例中134例(47.2%)に副作用が出現しました。主な副作用は、

です。ゾレアは数字だけ見ると、半分近くの人に副作用が出ていることになります。しかし内容をみると、注射したところが赤くなった、かゆくなった、腫れた、痛むなどがほとんどです。

これは注射の副反応として、欧米ではそもそも副作用とは考えられていません。注射を打った部位が赤くなったり、痛みが出るのはむしろ普通の反応です。そのため、ゾレア自体の成分の副作用はほとんどありません。

またゾレアが使えない人は、ゾレアにアレルギーがある人のみになります。これは全てのお薬にいえることです。そのためゾレアは、喘息以外にどのような疾患があっても、どのようなお薬を内服していても投与することができるお薬です。

 

5.ゾレアが向いてる人は?

<向いてる人>

喘息の伝家の宝刀といった立ち位置で現在、難治性の多くの喘息の方に処方されています。喘息はアドエアやシムビコートなどの吸入ステロイドとβ2刺激薬の合剤が効かない場合は、非常に治療が難しい病気です。これら合剤が効かない場合は、

などを加えるのが一般的です。しかし吸入薬が著効しない人が、これらの薬を全部使用してもなかなかよくならないことが多く、風邪などで体調が悪くなると容易に喘息発作が出現してしまいます。

最終的にはプレドニンなどのステロイドを頻回に使い、様々な副作用がでてきてしまう人もいます。

ゾレアはこういった治りづらい喘息の救世主として活躍しています。一方でゾレアは非常に高価なお薬のため、気軽に投与しづらい面もあります。

高額医療制度は、患者さんの収入で限度額が決められています。一概にいくらとは言いづらいですが、最低でも数万円は毎月払うことになります。そのため、金銭面に余裕がある方ではないとなかなかゾレアは投与できない現実があります。

しかし喘息は、発作が起きれば起きるほど重症化してしまう疾患です。喘息の発作が起きる都度、気管支平滑筋がどんどん太くなります。さらに気管支平滑筋が鍛えられると太くなると同時に、繊維化といってどんどん固くなってきます。

気管支が狭まって固くなると、喘息発作のときに短期作用型のβ2刺激薬を使っても気道が広がらなくなってしまって、喘息発作が改善しなくなります。これをリモデリング(不可逆性)と、専門用語では呼んでいます。このリモデリングについて詳しくい知りたい人は、「症状がなくても喘息の治療はやめられない?喘息の治療期間とは?」を参考にしてみてください。

気管支喘息は、リモデリングまで起きると非常に重篤になります。ちょっとした風邪やストレスで容易に喘息発作を引き起こし、人によっては頻回に入退院を繰り返します。さらに状態が悪くなると、在宅酸素といって酸素が外せなくなるくらい状態が悪くなる人もいます。

こうなる前にゾレアを投与した方が、最終的には費用面でも安くなるというデータも出ています。高額医療制度等用いて、ぜひ難治性の喘息の人はゾレアを考慮してみてください。

 

6.ゾレアってどんなお薬か?

ゾレアはヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤として、IgEとくっついてその働きを阻害します。これにより、アレルギーの炎症を改善させるお薬です。

最後に、ゾレアがどのようにして効果を発揮するのかをご説明します。

喘息はⅠ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーの発生機序は以下のようになります。

  1. アレルギーを起こす原因物質(抗原)が体内に侵入します
  2. 抗原に対してB細胞からIgEがつくられます
  3. 血液中を移動してきたIgEがマスト細胞に結合し、化学物質(炎症性メディエーター)が放出されます
  4. 炎症性メディエーターが気管支で炎症を起こし喘息発作が引き起こされます。

ゾレアはこの②のB細胞からIgEが作った抗体とくっついて、IgEがマスト細胞と結合するのを邪魔するお薬になります。ゾレアは、IgEのモノクローナル抗体になります。

モノクローナル抗体というのは、IgEだけにくっつくことに特化したお薬になります。ちなみに、B細胞が作り出す様々な抗体にくっつく抗体をポリクローナル抗体といいます。

ゾレアはIgEだけにくっつくために、そのブロック率は非常に強いです。IgEをほぼブロックできてしまえば、③や④には進めません。つまり喘息の症状は、ほぼ出ないといえます。

モノクローナル抗体はもともと、リウマチなどの膠原病という特殊な病気や、癌などの治すのが難しい病気に対して作られたお薬です。そのため他の喘息薬と比較すると、ゾレアは効果がとても強いお薬になります。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>

<向いてる人>