エクリラの吸入器であるジェヌエアの使い方

アイコン 2016.7.31 エクリラ

エクリラ(一般名:アクリジニウム臭化物)は、2015年に杏林製薬会社より発売された新しい抗コリン薬の吸入薬になります。

何が新しいかというと、ジェヌエアという吸入器です。ジャヌエアは非常に優秀な吸入器で、従来の弱点をカバーするために様々な工夫がなされています。

具体的には、

があります。これらは従来の吸入器の、

などの問題点を改善してくれます。現時点では最も吸入の仕方が簡単といわれるジェヌエアですが、一方で油断しているとしっかりエクリラが吸えずに意味をなさなくなってしまいます。

ここでは、エクリラの吸入器であるジェヌエアの使い方をお伝えしていきます。

 

1.ジェヌエアの特徴とは?

従来の吸入器の問題点を改善した、現時点で最も新しい吸入器になります。

従来の吸入器は、

なんてトラブルが続出していました。自分から伝えてくれる人はいいのですが、何も患者さんからお話がないこともあります。そんな場合は、「ちゃんとお薬が吸入できている」と認識してしまいます。

このため、COPDや喘息などで吸入薬が上手く使えていないと、どんどんお薬の量が増えたり、場合によっては違う薬を使用しなければいけないこともあります。

ですから吸入薬がしっかりと使えるかどうかが、COPDや喘息の治療にとても重要です。吸入薬でのトラブルは様々ですが、

というのが一番多いです。お薬の吸入の仕方は薬剤師さんから教わって練習すれば向上しますし、残量が0かどうかはカウンターを気を付ければ防げます。

とはいえ、吸入できたかどうかはなかなか難しい問題です。認知症などの高齢者であることも多く、喘息もCOPDも高齢になればなるほど呼吸機能が低下していきます。そのため最初はうまく吸えてても、年月が経つにつれて薬を吸う力が弱くなっていき、気がつけばうまく吸えてなかったということが多々あります。

 

こういった現状を踏まえて登場したのがジェヌエア吸入器です。ジェヌエアの3つの特徴は、

  1. フィードバックシステム
  2. 過量投与防止システム
  3. ロックシステム

といわれています。一つずつ確認していきましょう。

①のフィードバックシステムですが、先ほど一番問題だった吸入がしっかりできたか分からない問題を解決したのがこのシステムです。下にジェヌエアの吸入器の写真をあげます。

エクリラ

ジェヌエアの正面には、赤色と緑色の色分けされたカウンターがあります。これをみれば一目瞭然です。

エクリラが充填された状態(緑色)で吸入が上手くできると、カチッと音が鳴るとともに赤色に変わります。ジェヌエアが上手く吸えない(緑色のまま)ということはお薬を吸う力が弱かったということになります。

もしジェヌエアを吸っても緑色のままの場合は、もう一度吸って赤色に変わるのを確認しましょう。またジェヌエアは、従来の吸入薬より呼吸が弱くても吸いやすいお薬と言われています。COPDの中等度の患者さんを試験したところ、98%の方が上手く吸入できたというデータもあります。

 

②の過量防止システムですが、赤色の状態からボタンを押して薬剤を充填したときに緑色に変わります。なお赤色のままの時はうまく充填できてないので、もう一度ボタンを押しましょう。うまく充填できた後(緑色)は信号が赤色に戻らない限り、何度ボタンを押しても薬剤が過量に充填されることはありません。

このようにフィードバックシステムと同様に、色で状態が見分けられるのはジェヌエアが吸入器として初めてになります。

 

視覚で分かる性能に加えて、もう一つ凄いのが③のロックシステムです。ジェヌエアはラスト1回になると、カウンターの中央に「0」が表示されるとともに、ボタンが押されたままロックされます。

最後の1回を吸ったら、もうボタンは押せなくなります。0になったらボタンを押せなくしてしまう吸入器は、ジェヌエアが初めてです。

このような3つの特徴を兼ね備えたエクリラの吸入器ジェヌエアは、今後吸入が上手くできない人の救世主になると思われます。

 

2.ジェヌエアの使い方と注意点は?

ジェヌエアのボタンを押して緑にしたら、深く強く吸って赤色になったのを確認しましょう。

ジェヌエアの吸入器の使い方は、以下の2点です。

  1. ジェヌエアのボタンを押して、赤から緑になったのを確認します。
  2. ジェヌエアを深く強く吸って、緑から赤になったのを確認します。

そのためジェヌエアは、非常な簡便な吸入薬といわれています。ただしいくら簡便といわれていても、注意点が何点かあります。それぞれの注意点をみていきましょう。

①ジェヌエアのボタンを赤から緑になるまで押しましょう。この時ボタンを下まで押し込むことが大切です。ボタンが下まで押し込んでなくてエクリラが充填されてないと、赤のままです。そのため、ボタンを押したら必ず色が変わることを確認しましょう。

②ジェヌエアを吸う前に、息を吐いてから吸入器をくわえましょう。エクリラが使われる肺気腫(COPD)は、閉塞性肺障害と言われる病気です。COPDはタバコを吸ったことで肺がボロボロになり、結果として気管支が狭くなり、息を思いっきり吐いたり吸ったりできない病気です。ですから息をしっかり吐いて十分量の息が吸える状態にしないと、吸う力が足りなくてエクリラが十分に気管支に入らない可能性があります。

先ほどお示した98%の人がしっかり吸入できたというデータは、正しい吸入方法をレクチャーされたうえでの結果です。さらにいえあ、最重症のCOPDの方は省かれた結果です。せっかくの良い薬も、吸入方法が正しくないと意味がありません。

せっかちな人は、ジェヌエアをくわえる前から息を吸い始めたりしています。焦って吸っても良いことは何もないので、必ず一息入れましょう。またジェヌエアをゆっくり深く吸って、肺の奥まで行き届かせたいと思う患者さんもいらっしゃるかもしれません。

しかしゆっくりだと吸入力が弱くて、エクリラの色が赤から緑に変わりません。そのため深く強く吸うことを意識してみてください。ただし、なんでも限度があります。思いっきり吸入しすぎて失神したケースもあるので注意しましょう。

エクリラを吸入したら、無理がない範囲で息を止めましょう。せっかく気道に入っても、すぐに息を吐いてしまったら口から出てしまいます。また、エクリラを吸った患者さんの中には、苦みや甘味を感じることがあります。それらを感じたらうがいをするようにしましょう。

 

エクリラはこれらのミスがないように、色で示すようになります。しかし色がいくら変わっても、見てくれなかったら意味がありません。

  1. ボタンを押したら赤から緑。
  2. 吸入したら緑から赤。

エクリラを吸入する都度、これらのことを確認する癖をつけましょう。

 

3.ジェヌエアが上手く吸えない人へ

薬剤師さんに吸入指導をお願いしましょう。

エクリラを初めて処方された方は、内服と違って戸惑うことも多いでしょう。このサイトも一つの参考になればよいのですが、どうしても実際にみてみないと伝わらない部分もあるかと思います。

エクリラに限らず新しい吸入薬を処方された方は、遠慮せずに必ず薬剤師さんに吸入指導をしてもらいましょう。その場で自分の吸い方のどこが悪いかを指導してもらった方が間違えないで済みます。

「ジェヌエアは吸入するのが簡便になった薬なのに質問したら恥ずかしい」なんていって、結局使い方が間違っていたら本末転倒です。

一方で、エクリラでもどうしても吸入できない人も中にはいます。例えば、エクリラをどんなに頑張って吸っても赤から緑にならない場合は、吸入力がそもそも足りません。COPDは、吸入力が年齢とともに少しずつ低下してしまいます。

その場合は、スピリーバレスピマットなどのスプレータイプに切り替えましょう。スプレーであれば吸入力がなくても吸うことができます。ただしスプレータイプは、うまく吸うタイミングを合わせないと吸入できませんので注意しましょう。

一方で、エクリラが上手く吸えない人の大部分は、指示を理解できない認知症の高齢者です。エクリラは吸入薬の中でも吸入しやすいお薬に入ります。

しかし「吸う」という指示が入らない人にお薬を吸わせるのは至難の業です。さらにいうと、エクリラは朝と夕、毎日吸わなければならない薬です。そのため、吸う動作が難しい人に吸入薬を無理に加えようとするのは無理があります。

抗コリン薬は副作用として、

など様々な副作用があります。そのため、吸入薬以外の投与方法は、COPDに関してはありません。一方でCOPDのもう一つの治療薬の選択肢として、β2刺激薬があります。こちらも抗コリン薬同様に気管支を拡げる作用があるお薬です。

このβ2刺激薬には、ホクナリンテープといった貼り薬、メプチン錠といった内服薬など様々なお薬があります。作用機序は違うものの、COPDの症状を和らげるという点では一緒です。そのため、ジャヌエアが上手く吸えない人は、医師に相談してみましょう。

 

まとめ