キプレスの副作用と安全性

アイコン 2016.4.13 シングレア・キプレス

キプレスは抗ロイコトリエンとして気管支得喘息とアレルギー性鼻炎に使われるお薬です。

小児に対しても多く使用されるお薬ですので、副作用は非常に少なく安全な抗アレルギー薬として定評があります。私自身も咳喘息の治療で服用していますが、副作用はまったく感じていません。

ただし、安全といっても完全に何もないわけではありません。キプレスではどのような副作用に注意していけばよいでしょうか?ここではキプレスの副作用と安全性についてみていきましょう。

 

1.キプレスの副作用の特徴

キプレスは副作用がほとんどなく、安心して使用できるお薬です。

キプレス錠の国内で実施された臨床試験をみてみると、

気管支喘息での副作用は、532例中46例(8.8%)に認められました。主なものは、下痢9件(1.7%)、腹痛7件(1.3%)、嘔吐6件(1.1%)、胸やけ5件(1.0%)、頭痛5件(1.0%)でした。

アレルギー性鼻炎での副作用は、1678例中70例(4.2%)に認められました。主なものは、口渇14件(0.8%)、傾眠13件(0.8%)、胃不快感9件(0.5%)、頭痛5件(0.3%)、下痢5件(0.3%)、倦怠感5件(0.3%)でした。

どちらも副作用の特徴は大きくかわりはなく、消化器症状が1%前後認められています。確率としては1%前後ですし、症状も軽度のものがほとんどです。ですから、キプレスはほとんど副作用がない安全な薬と言えると思います。実際に患者さんに使っていて、副作用で困って中止せざるを得なくなることはほとんどありません。

 

2.キプレスの飲み合わせで注意が必要なのは?

絶対避けなければいけないお薬はありません。CYP3A4によって代謝されたり阻害する薬剤を内服している場合は注意が必要です。

キプレスの添付文章では、併用してはいけないお薬は記載されていません。ただしCYP3A4という肝臓でお薬を分解する酵素の影響を考える必要があります。CYP3A4が関係するお薬としては、以下のようなものがあります。

<キプレスの血中濃度を上昇>

<キプレスの血中濃度を低下>

CYP3A4に関係するお薬は非常にたくさんあるので、すべてを避けることはできません。ほとんどは気にしなくても大丈夫な程度なのですが、この中で特に影響が大きいとされているのが、フェノバール(一般名:フェノバルビタール)です。フェノバールはバルビツール酸系に分類される抗てんかん薬で、強力な睡眠薬としても使われます。

フェノバール100mgとキプレス10mgを併用すると、キプレスの血中濃度が薬40%減少したという報告があります。キプレスの効果が弱くなってしまいます。

安全性の問題もありバルビツール系のお薬が処方されることは減ってきていますが、同じタイプのラボナやイソミタール、ベゲタミンなどの薬剤を内服している方では、キプレスの効きが悪くなってしまうことは意識しておく必要があります。

 

3.妊娠中にキプレスを内服することは可能なの?

妊娠している女性でも、キプレスは内服することは可能です。

キプレスの添付文章を読むと、

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断され る場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

と記載されています。実際に妊娠中に投与して安全かどうか、人体実験して調べることは倫理的にできません。このため安全と言われているお薬でも、ほぼこの記載は添付文章にされます。

海外の市販後の調査によると、キプレス服用中に妊娠が判明した38例では奇形の報告はありませんでした。

ただし海外の奇形性情報専門家機構での試験では、キプレス含めた抗ロイコトリエン薬を服用した96例の内、84例が出産、5例が自然流産、1例が死産となり、うち5例で奇形が認められたとの報告しております。

このため、完全に抗ロイコトリエン薬が危険とは言えませんが、安全とは断定できませんでした。アメリカの薬剤胎児危険度分類基準では、キプレスはカテゴリーBに分類されており、妊娠中の安全性は比較的高いといわれています。カテゴリーのうちわけとしては

であるため、Bはかなり安全と言えます。

ただし喘息のガイドラインでは、妊娠中比較的安全に使用できる喘息治療薬は以下のように示されています。

と記載されており、キプレスを含めた抗ロイコトリエン薬は記載されていません。これはリザベン(一般名:トラニラスト)など一部の抗アレルギー薬では胎児に影響を与えるため、妊娠中は禁忌となっているからです。抗アレルギー薬として分類されているキプレスもその煽りを受けて、抗アレルギー薬としてひとくくりにされて安全性のランクが下がっています。

しかし上記のようにキプレス自体は危険性が少ないお薬とされています。

特に喘息は妊娠を契機に悪化する人が3分の1程度いるといわれています。喘息発作が出現すると治療に大量のステロイドが投与する必要になる事態になります。またお母さんの体内の酸素が喘息発作で低くなると赤ちゃんにも低酸素の影響が出ます。このため、キプレスも併用しての喘息のコントロールが必要と医師が判断した場合は内服するようにしましょう。

花粉症の場合は、症状は軽い方はナゾネックスアラミストなどの点鼻薬に変更するのも良いかもしれません。

 

4.授乳中はキプレスを投与できるの?

キプレスは、授乳中でも比較的安全に投与できる薬です。

キプレスの添付文章では、以下のように記載されています。

授乳中の婦人に投与する場合は慎重に投与すること。
[動物実験(ラット)で 乳汁中への移行が報告されている。]

母乳中への移行と記載されて心配されるかもしれませんが、動物事件ではキプレスを大量に投与して移行したのはごくわずかであり、通常量の内服でしたまずキプレスは移行しないと考えられています。

実際に現場でも、授乳中でも安全に使われる薬として多くの医師が処方しています。出産後の育児のストレスを契機に喘息発作が出現するということは、臨床の現場ではしばしばあります。そのため赤ちゃんに影響がないか不安でキプレスの内服を止めることはありません。育児はただでさえ大変ですので、授乳中でもオノンをしっかり内服して症状をコントロールしましょう。

 

まとめ