ザイザル錠(レボセチリジン)の効果と特徴

アイコン 2016.4.18 ザイザル

ザイザル(一般名:レボセチリジン塩酸塩錠)は、グラクソスミス・クライン製薬会社が2010年に発売した第二世代抗ヒスタミン薬です。第二世代抗ヒスタミン薬でも、新しい部類に属するお薬です。

抗ヒスタミン薬とは、アレルギーのときに過剰に分泌されるヒスタミンをブロックすることで、アレルギー症状を抑える効果が期待できるお薬です。

抗ヒスタミン薬は効果を求めれば求めるほど、眠気が強くなるジレンマがありました。ザイザルは、同じ第二世代抗ヒスタミン薬のジルテックが進化したお薬です。

ジルテックは効果が強いのですが、眠気も強いお薬でした。そのためジルテックの効果そのままに、眠気が抑えられるお薬としてザイザルが登場し、処方数が増加している抗ヒスタミン薬です。

最も活躍するのは花粉症などのアレルギー性鼻炎ですが、その他、蕁麻疹・湿疹・皮膚炎など皮膚疾患にも適応があります。

ここでは、ザイザル錠の効果と特徴について詳しくお伝えしていきます。

 

1.ザイザルの効果の特徴とは?

<メリット>

<デメリット>

ザイザルの特徴としては、ジルテック(セチリジン)の成分のうちアレルギー症状を緩和する成分のみを取り出し、またより長く効果が持続するように改良されたお薬になります。これによって、

という事を可能にしています。これは素晴らしいことで他の抗ヒスタミン薬は効果を求めれば求めるほど、眠気の副作用も相乗して強くなるというジレンマがありました。ザイザルはこのジレンマを打ち破り、抗ヒスタミン薬として強い効果を残したまま眠気を軽減したお薬なのです。

ただし眠気を中心に抑えたといっても、なくなるわけではありません。ザイザルの添付文章には眠気が起きえるため、運転する際は注意が必要と記載されています。

またザイザルは、寝る前に1回内服すれば良いのが魅力的です。効果がジルテックよりもより長く持続するので、寝る前に服用すると日中もカバーしてくれるのです。例えば同じ抗ヒスタミン薬のアレグラは、1日2回のため飲み忘れが心配になります。

またザイザルは、シロップとしても処方できます。ザイザルドライシロップ5%は6ヵ月以上の小児から適応があります。抗ヒスタミン薬は3歳以上からのお薬が多い中、ザイザルは生後6ヵ月から処方できるため小児には非常に使いやすいお薬です。

 

2.ザイザルの適応疾患と用量・用法

成人の場合、ザイザルを1日1回5mg内服します。

ザイザルが最もよく使われるのは、花粉症の治療薬としてでしょう。正確にいうと、花粉に対するアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎です。

その他は蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎に伴うかゆみなどで使われることがあります。これらの皮膚の病気は、ヒスタミンが発生することでかゆみが認められます。これを抑える目的でザイザルが使われることがあるのです。

ザイザルの最高血中濃度は1.0時間、半減期は7.3時間となっています。これは、ザイザルを服用して1.0時間で血中濃度がピークとなり、そこから7.3時間たつと半分の濃度になることを意味します。

こうみると効果が短いように感じますが、ザイザルはヒスタミンH1受容体にガッチリくっついて、なかなか離れません。血中濃度は低くなってしまっても効果が持続するのです。ですから1日1回の服用でも効果が持続します。

ザイザルの内服方法としては、

<成人>
通常、成人には1回ザイザル5mgを1日1回、就寝前に経口投与します。なお、症状が軽減しない場合最高投与量は1日ザイザルを2錠(10mg)まで増量します。

<小児>
通常、6ヵ月以上1歳未満の小児にはザイザルシロップ0.05%を1日1回、1回1.25mgを就寝前に経口投与します。

通常、1歳以上7歳未満の小児にはザイザルシロップ0.05%を1日2回、1回1.25mgを朝食後及び就寝前に経口投与する。

通常、7歳以上15歳未満の小児には1回ザイザル錠2.5mgを1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。

このように、ザイザルは6か月以上の小児から使うことができます。6ヵ月以上の小児から使えるお薬はとても少ないので、ザイザルは乳幼児には貴重な抗ヒスタミン薬になります。また成人には、ほぼザイザル1錠5mgで効果が期待できます。

 

3.ザイザルの薬価と剤形

ザイザルでは、錠剤とシロップが発売されています。ジェネリックの発売は、しばらく先になります。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ザイザル錠 5mg 96.4円
ザイザルシロップ 0.05% 17.9円/ml

ザイザルは発売されて時間もあまりたっていないので、お薬の特許がきれていません。このためジェネリック医薬品は発売されていません。2010年に発売されたお薬なので、2020年頃になるでしょうか。

ザイザルには、錠剤とシロップの2種類があります。ザイザルシロップはお子さんに飲ませやすいよう甘味がついています。濃すぎる場合は水で薄めてのませましょう。

 

4.抗ヒスタミン薬の第一世代・第二世代の違いとは?

第二世代は第一世代に比べるとヒスタミンだけに作用するようにできていて、中枢への作用も少なくなっています。このため、眠気や口の渇きなどの副作用が軽減されています。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体をブロックすることでアレルギー反応を抑えて効果を示します。しかしながらヒスタミンは、実は全身に色々なところで活躍しています。

 脳では神経伝達物質として情報の橋渡しをしていますが、抗ヒスタミン薬によって脳でのこの働きがブロックされてしまうと、中枢神経が抑制されて眠気が出現します。

また抗ヒスタミン薬は、抗コリン薬と似ている部分があります。このためアセチルコリン受容体をブロックしてしまい、便秘・口渇・尿閉といった抗コリン作用が起きることもあります。そのため抗コリン薬が禁忌である緑内障患者や前立腺肥大患者には、抗ヒスタミン薬も禁忌とされていました。

このように、副作用がかなり強いのが発売当初の抗ヒスタミン薬でした。こうした強い副作用のお薬を「第一世代」と呼んでいます。現在では副作用を逆に利用して、術後疼痛コントロール目的にソセゴン(痛み止め)+アタラックス(第一世代抗ヒスタミン薬)など投与することもあります。(病院用語では略して「ソセアタ」といいます)

1980年代になると、ヒスタミン受容体のみをブロックして、アセチルコリンの受容体をほぼブロックしないお薬が開発されました。中枢作用も少なく、このお薬を「第二世代」と呼んでいます。

これらのお薬の分類が下記の表になります。

抗ヒスタミン薬の種類について一覧にしました。

第二世代は第一世代に比べると、副作用がだいぶ抑えられています。このため現在は、第二世代から使われることが主流になっています。どうしても第二世代では効果が不十分な時は、第一世代が使われることがあります。

ただし第二世代でも、ザジテンなどの一部は中枢のヒスタミンに作用してしまいます。このため眠気も強いですし、てんかんや熱性けいれんを悪化させてしまうリスクがあります。このような疾患がある方はザジテンのみ禁忌となっており、それ以外の眠気が強い抗ヒスタミン薬でも注意が必要です。

 

5.第二世代抗ヒスタミン薬の中でのザイザルの位置づけ

ザイザルは眠気・効果の強さともに、抗ヒスタミン薬では中間に位置します。ザイザルは、効果のわりに眠気は少ないです。

それでは、第二世代抗ヒスタミン薬の中ではザイザルはどのような位置づけになるでしょうか。代表的な第二世代抗ヒスタミン薬を比較して表にしたのでご覧ください。

第二世代抗ヒスタミン薬の効果と眠気の比較して一覧しました。

※薬理学的なデータに加えて、私の使用経験を踏まえて作成しました。人によって薬の効き方も異なります。

ジルテックよりも眠気が抑えられていると位置づけられているのがザイザルです。ただし抑えられているといっても、クラリチンやアレグラほど眠気が軽減されたわけではないので注意が必要です。

さらにジルテックに比べて、ザイザルは効果が続くということから効果も上に示してあります。ただし一部文献では、ジルテックからザイザルに眠気成分を取り除いた際に、抗ヒスタミン薬としての有効成分も除去されてしまうという報告もあります。これに関しては個人差があるので、一概にザイザルがジルテックよりも効果があるとはいえません。

 

6.ザイザルが向いている人とは?

花粉症のお薬として最もよく使われているのは、同じ第二世代抗ヒスタミン薬のアレグラです。アレグラはザイザルに比べると眠気の副作用は少ないのですが、効果もマイルドになっています。

鼻水が辛くて目も痒い、一刻も早く何とかしたいという方には、アレグラから徐々に薬を強めていくというやり方はお勧めできません。ザイザルは眠気に比べると相対的に効果が強いので、花粉症の症状が中等度の人はザイザルから試してみるのがよいかもしれません。

ザイザルは、1日1回の服用でも効果が持続します。このため、眠る前に1回服用するだけでよいので飲み忘れが少なくできます。アレグラなどは朝にも服用する必要がありますが、忙しくて飲み忘れてしまうと一日しんどい思いをして過ごさなければいけません。

ザイザルはジルテックから眠気の成分を取り除いたとはいえ、やはり眠気を認める方は中にはいます。そのため、タクシーやトラックなどの運転が主とする仕事の方は注意する必要があります。ジルテックで効果があったけど眠気があって切り替えた人は、特に注意して使っていきましょう。ザイザルに変えたから大丈夫とは言い切れないので、すぐに運転するのは控えるようにしてください。

処方する医師側としては、患者さんごとに抗ヒスタミン薬の処方を変えるということはあまりしないです。基本的にはザイザルのような中間的な抗ヒスタミン薬から始めて増減しようと考えるので、もし眠くなるのが困るということであれば事前に伝えてもらった方が良いでしょう。

また、アレグラとザイザルの関係はあくまでも一般論です。体に合う、合わないがあるので、人によってはアレグラの方が効果があった、アレグラの方が眠くなったということは多々あります。ザイザルが効かないからアレグラも効果ないだろうと決めつけることは早計です。

 

7.ザイザルの作用の仕組み(作用機序)

ザイザルはどのようにして作用するのでしょうか?ザイザルが最もよく使われる花粉症では、ザイザルがどのように作用するのかをみていきましょう。

 

7-1.花粉症の症状が生じる原因とは?

目や鼻からスギ花粉を外に出そうとする防御反応です。涙や鼻水によって、結果として花粉を目の外から追い出そうとします。

花粉症というのは体が花粉を敵と認識して外に出そうとする防御反応です。その防御反応は以下のようになります。

  1. 花粉(スギ)が体内に侵入。
  2. マクロファージ(体の中の警察官)が異物と認識して花粉を食べる。
  3. マクロファージがT細胞、そしてB細胞とバケツリレーのように花粉の情報を次々に渡す。
  4. 花粉が次に入ってきたときに撃退するために、B細胞がIgEという特殊な爆弾を作り、肥満細胞(体の中の爆弾保管庫)に保管しておく。
  5. 花粉が再び侵入した際に、肥満細胞は保管しておいたIgE爆弾が発射されて花粉にくっつく。
  6. IgEが爆発することをきっかけに、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出される。

このヒスタミンなどの化学物質が目に作用すると、目を刺激してかゆみや充血を生み出します。目のかゆみや充血が起こると、涙が出てきます。涙によって花粉を目の外に追い出そうとするのです。

このヒスタミンが鼻に作用すると鼻を刺激して、くしゃみや鼻水として外に花粉を出そうとするのです。

こうして目や鼻に異常があることを知らせて、体からスギ花粉を守ろうとしているのです。でも花粉は身体にとっては害にはなりません。ほっておけばよいのに、身体が過剰に反応してしまうアレルギーの病気なのです。

 

7-2.ザイザルの作用の仕組み(作用機序)

主に抗ヒスタミン薬として、ヒスタミンの働きをブロックすることでアレルギー反応を抑えます。

ザイザルの主成分はレボセチリジン塩酸塩であり、ジルテック(セチリジン塩酸塩)を精錬させたものです。ジルテックのうち、効果の中心である光学異性体(R-エナンチオマー)のみを取り出したものです。第2世代の抗ヒスタミン薬になります。

ヒスタミンを阻害するということは、先ほどの説明でいうところの⑥の作用を邪魔します。④や⑤で出てくるIgEや肥満細胞を邪魔しても、すでにヒスタミンがたくさん作られた後では効果が期待しづらいです。速効性を求めるのであれば、直接目や鼻の症状を引き起こすヒスタミンをブロックする必要があるのです。

ただしザイザルは④・⑤のIgEや肥満細胞がヒスタミンを分泌するのを邪魔することを動物実験では確認されています。

また、ザイザルは抗ヒスタミンの作用だけではなく、ロイコトリエンやプロスタグランジンなどの物質の作用も邪魔します。それによって目や鼻のかゆみの緩和に役立っています。

 

まとめ

ザイザル(レボセチリジン塩酸塩錠)は、2010年に発売された第二世代の抗ヒスタミン薬の中でもかなり新しいお薬です。ジルテックから眠くなる成分を取り除いて、効果が持続するように改良された抗ヒスタミン薬がザイザルです。

ザイザルは成人の場合、5mgを1日1回内服します。

<メリット>

<デメリット>

<向いている人>