ザイザルの副作用と安全性

アイコン 2016.5.6 ザイザル

ザイザルは第二世代の抗ヒスタミン薬です。

抗ヒスタミン薬とは、過剰に分泌されるヒスタミンをブロックすることで、アレルギー症状を抑えるお薬です。

抗ヒスタミン薬は効果を求めれば求めるほど、眠気が強くなるジレンマがありました。ザイザルは、同じ第二世代抗ヒスタミン薬のジルテックが進化したお薬です。

ジルテックは効果が強いのですが、眠気も強いお薬でした。そのためジルテックの効果そのままに、眠気が抑えられるお薬としてザイザルが登場し、処方数が増加している抗ヒスタミン薬です。

ただしザイザルも眠気の成分が除去されたとはいえ、眠気の副作用はある程度は認められる抗ヒスタミン薬となっています。

ここでは、ザイザルの副作用と安全性についてまとめていきたいと思います。

 

1.ザイザルの副作用の特徴

第二世代は第一世代に比べるとヒスタミンだけに作用するようにできていて、中枢への作用も少なくなっています。このため、ザイザルでは眠気や口の渇きなどの副作用が軽減されています。

ザイザルは第二世代の抗ヒスタミン薬に分類されています。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体をブロックすることでアレルギー反応を抑えて効果を示します。しかしながらヒスタミンは、実は全身に色々なところで活躍しています。

脳では神経伝達物質として情報の橋渡しをしていますが、抗ヒスタミン薬によって脳での働きがブロックされてしまうと、中枢神経が抑制されて眠気が出現します。

また抗ヒスタミン薬は、抗コリン薬と似ている部分があります。このためアセチルコリン受容体をブロックしてしまい、便秘・口渇・尿閉といった抗コリン作用が起きることもあります。そのため抗コリン薬が禁忌である緑内障患者や前立腺肥大患者には、抗ヒスタミン薬も禁忌とされていました。

このように、副作用がかなり強いのが発売当初の抗ヒスタミン薬でした。こうした強い副作用のお薬を「第一世代」と呼んでいます。

1980年代になると、ヒスタミン受容体のみをブロックして、アセチルコリンの受容体をほぼブロックしないお薬が開発されました。中枢作用も少なく、このお薬を「第二世代」と呼んでいます。

ザイザルは第2世代の中では、効果も副作用も中程度でバランスがとれているお薬です。

ザイザルの特徴としては、ジルテック(セチリジン)の成分のうちアレルギー症状を緩和する成分のみを取り出し、またより長く効果が持続するように改良されたお薬になります。これによって、

という事を可能にしています。これは素晴らしいことで他の抗ヒスタミン薬は効果を求めれば求めるほど、眠気の副作用も相乗して強くなるというジレンマがありました。ザイザルはこのジレンマを打ち破り、抗ヒスタミン薬として強い効果を残したまま眠気を軽減したお薬なのです。

ただし眠気を中心に抑えたといっても、なくなるわけではありません。ザイザルの添付文章には眠気が起きえるため、運転する際は注意が必要と記載されています。

 

2.ザイザルの副作用とは?

ザイザルは眠気が2~5%出ます。そのため運転する際は注意が必要です。

ザイザル(レボセチリジン塩酸塩)の承認時までの成人を対象とした調査では、1292例中207例(16.0%)に副作用又は臨床検査値の異常が認められました。主なものとしては、

となっています。ザイザルは抗ヒスタミン薬の中でも、中等度の眠気が出現する薬です。そのため、「運転する際は注意が必要」との記載があります。ザイザル内服中は運転禁止というわけではないですが、眠くなるリスクがあると認識しておくのがとても大切です。

このように、発売前のザイザルの副作用調査では5.2%の方が眠気を訴えられています。市販後調査でも2.6%の方が眠気を訴えられているので、ジルテックから眠気の成分を取り除いたとはいえ、アレグラクラリチンなど眠気が少ない抗ヒスタミン薬と比較すると、眠くなりやすい抗ヒスタミン薬と考えた方が良いです。

疲れていたり、お酒を飲みすぎた場合、ザイザルの眠気が強く出るという報告もあるので、普段はザイザルを飲んでても眠くならない人も注意が必要です。(これはザイザル飲んでる、飲んでない関係ないかもしれませんが・・・。)

 

3.ザイザルの副作用-眠気

ザイザルは抗ヒスタミン薬でも中等度の眠気が出現します。

よく使われる第二世代抗ヒスタミン薬の効果と眠気について比較してみましょう。

第二世代抗ヒスタミン薬の効果と眠気の比較して一覧しました。

このように見てみると、ザイザルは眠気が中等度認められます。そのため車を運転する職業の方は、眠気が少ないアレグラとクラリチンの方が良いと思います。車の運転に関する注意の記載が添付文章にないのも、この2つのお薬になります。

副作用による眠気の強さは、脳内にお薬がどれくらい移行するかで差が出てきます。このことを、脳内ヒスタミン受容体占有率といいます。ザイザルは脳内ヒスタミン受容体占有率が8%前後と、抗ヒスタミン薬の中では少ないと報告されています。中央に位置する抗ヒスタミン薬の中で一番占有率が高いのは、ジルテックの23%です。

それでも第一世代と比べると抑えられており、第一世代の中で最も脳内ヒスタミン受容体占有率が少ないポララミンでも50%を超えています。第二世代がいかに眠気が抑えられているかがわかるかと思います。(※ザジテン・レミカット・セルテクトは50%を超えていて、第一世代と第二世代の中間のようなお薬です)

しかしこれは一般論であって、人によって眠気が出るか出ないかは全く違います。それぞれのお薬の臨床試験での眠気の頻度をみてみましょう。眠気が少ない順に並べてみると以下のようになります。

お薬によって臨床試験が行われている状況が違うので、この結果を単純に比較することはできません。しかしながら、眠気が少ないと言われているアレグラとザイザルを比較すると、ザイザルの方が眠気が少なくなっています。

先ほどの表はあくまで参考で、このようにアレグラで眠くなったからザイザルはもっと眠くなると決められるわけではないことに注意しましょう。実際に私の外来でも、「朝にアレグラ飲む方が眠くなる気がしてザイザルの方がよい」という患者さんもいました。

それでは、ザイザルで眠気が認められた場合はどうすればよいでしょうか?その方法としては大きく3つあります。

  1. 何とかなるならば慣れるのを待つ
  2. 他の抗ヒスタミン薬を試す
  3. 抗ヒスタミン薬以外の薬を使う

抗ヒスタミン作用による眠気は、時間と共に慣れていく部分があります。ですから、何とかなる眠気でしたら1~2週間我慢して様子を見るのも方法です。

眠気が生活に支障がある場合は、他の抗ヒスタミン薬に変更することも検討します。眠気の感じ方には個人差があります。アレグラ・クラリチンが一般的には眠気の副作用が弱いといわれていますが、効果も弱くなってしまう可能性があります。症状が強い人はエバステル・アレジオン・タリオンなどに変えるのも良いと思います。

どうしても抗ヒスタミン薬で眠気が出てきてしまう方は、抗ヒスタミン薬の内服にこだわる必要はありません。内服薬は目と鼻の両方に効くので便利ではありますが、ステロイド点鼻薬抗ヒスタミンの点眼薬という局所の治療に切り替えることもできます。点鼻薬や点眼薬なら、眠気の副作用はまず認められません。

飲み薬での治療がよい方は、抗ヒスタミン薬以外にも効果が期待できるお薬もあります。

  1. 遊離抑制薬:リザベン
  2. 抗ロイコトリエン薬:シングレアキプレスオノン
  3. 抗プラスタグランジンD2+トロンボキサチンA2:バイナス
  4. Th2サイトカイン阻害薬:アイピーディ

症状にあわせて、これらの全く違うタイプのお薬に切り替えるのも手かもしれません。

 

4.ザイザルの副作用-太る

ザイザルの副作用で体重が太ったという報告はありません。

若い女性には気になる副作用として、「太る」ということがあげられます。ザイザルで太ってしまうのでは?と心配される方もいらっしゃいます。

インターネットなどで調べると、「抗ヒスタミン薬は太る」といった情報があふれているためです。確かに抗ヒスタミン薬は食欲が増加する副作用があります。しかしながらその抗ヒスタミン作用とは、中枢神経での抗ヒスタミン作用です。

花粉症治療に使われる抗ヒスタミン薬は、中枢神経には作用しないようになっております。特に第二世代抗ヒスタミン薬は、その特徴が顕著です。さらにザイザルは、第二世代の中でも脳内ヒスタミン受容体占有率が8%前後と最も少ないお薬です。

ザイザルは脳内にお薬が移行しにくいので、中枢神経である脳への作用が非常に少ないです。このため、食欲増加などの副作用はほとんど認められません。

実際にザイザルの添付文章でも、体重増加は書かれていません。他の第二世代の抗ヒスタミン薬でも、0.1%以下の頻度となっています。さらに脳への移行が多い第一世代でも、副作用の添付に体重増加が書かれているものはほとんどありません。このように見ていくと、ザイザルを内服して太る心配はしなくてよいと考えられます。

ザイザルがよく使われる花粉症の時期は、別れと出会いで歓送迎会が多い季節です。そういった時に食べすぎない、飲みすぎないように気を付けたほうが大切かと思います。

 

5.ザイザルを内服するときに注意が必要な人は?

腎機能が悪い人は投与量の減量、場合によっては使えないことがあります。

ザイザルの添付文章で慎重に投与する必要がある人は、以下の3つの項目に当てはまる方です。

  1. 腎障害のある患者[高い血中濃度が持続するおそれ]
  2. 肝障害のある患者[高い血中濃度が持続するおそれ]
  3. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣のおそれ]

高齢者は腎機能・肝機能が悪い人が多いので、どんな高齢者でも注意が必要です。特に腎機能が悪い人では、どれくらいの腎機能かによって投与量が変わっていきます。腎臓の機能はクレアチニンクリアランスでみるのですが、

このように、腎機能によってザイザルの投与量や飲むタイミングが変わってきます。さらに重度の腎機能障害がある人はザイザルは使用できません。腎機能が悪い方は、脱水などですぐにクレアチニンクリアランスに影響します。

他の抗ヒスタミン薬は腎機能障害あっても問題がないお薬が多いので、腎機能障害がある人はザイザルは避けた方が無難かと思います。

また添付文章では、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

と記載されています。これはほぼすべてのお薬に記載されている文章です。動物実験(ラット)では、胎盤をザイザルが通過することは示されていますが、通過したことで胎児に影響を与えたという報告はありません。

一方で授乳中の婦人には、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されています。このため添付文章上は、以下のように記載されています。

授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。

赤ちゃんがザイザルの成分を服用したことによる問題は起こっていません。授乳は避けられるものという考えから、添付文章上は勧められていません。

ですから医師の立場としては、添付文章にこう書かれている以上はお勧めしないとしか言えないでしょう。実際のところは、自己判断で服用されている方も多いと思います。

花粉症治療薬と妊娠・授乳について詳しく知りたい方は、「アレグラは妊娠中・授乳中でも大丈夫?」をお読みください。

 

6.ザイザルの飲み合わせで問題になるものは?

ザイザルは、テオフィリン・リトナビル・中枢抑制薬・ピルシカイニド塩酸塩水和物との併用は注意するように記載されています。また風邪薬には抗ヒスタミン薬が含まれるものがあり、注意が必要です。

ザイザルの添付文書には、

この4つが併用注意としてあげられています。

これらを内服した際はザイザルの血中濃度が高くなったり、副作用が強くなることがあるため注意が促されています。ただし、基本的にはザイザル内服中に併用してはいけないお薬はありません。

またザイザル含めて抗ヒスタミン薬全般で注意しなければいけないのは、風邪薬を内服したときです。風邪をひいたときに、鼻水がでて苦しむこともあると思います。鼻炎症状を抑えるための風邪薬には、抗ヒスタミン薬が含まれてることが多いです。

例えば感冒の時多く出されるPL顆粒には、メチレンジサリチル酸プロメタジンという抗ヒスタミン薬が使用されています。他にも市販薬の風邪薬には、

といった抗ヒスタミン薬が加えられています。

しかしながらこの抗ヒスタミン薬は、ザイザルの主成分であるエピナスチンとは違ったものです。人間の体は複雑ですので、違った抗ヒスタミン薬を一緒に摂取したからといって、効果や副作用が足し算や掛け算のように倍増するものではありません。

ですが、「ザイザル内服中に風邪薬を飲んでも眠くならないか?」というのはまた別問題です。

そもそも、感冒薬単体に含まれている抗ヒスタミン薬で眠くなる人もいるでしょう。また重度の風邪をひいてる人は、体力が消耗されてそれだけで眠くなる人もいます。風邪薬は風邪の症状を和らげる効果はありますが、風邪を早く治すものではありません。

ザイザルと風邪薬の組み合わせで眠気を心配する人は、薬の飲み合わせの前に風邪の治療をしっかりと考えてみてください。

詳しく知りたい方は、「風邪を早く治す方法とは?」をお読みください。

 

7.ザイザル内服中にアルコールはいいの?

ザイザルとアルコールを摂取することで、眠気などの副作用の増加が報告されています。またアルコールを摂取しすぎると、花粉症自体が悪化することがあります。

花粉症シーズンは出会いや別れの多い季節で送迎会が多い季節です。飲み会が多い中、ザイザルを飲みながらお酒を飲んでもよいのか気になるところですね。

アルコールについては、添付文章には併用することで中枢神経系に影響を与える可能性があるため注意が必要と書かれています。中枢神経系と書かれるとピンと来ないとおもいますが、副作用として眠気やめまいが出る可能性が高くなると考えてください。

さらにアルコール側の影響も強くなるため、酔いやすくなることが予想されます。ザイザル内服中に一口も飲んではいけないわけではないですが、影響が出ることを念頭に置いて普段より飲む量を控えた方が良いと思います。

またアルコールの血管拡張作用によって、目の充血やかゆみ、鼻づまりやかゆみが悪化することがあります。その結果としてザイザルの効果が感じなくなる可能性はありますので、アルコールの飲みすぎには注意が必要です。

 

まとめ