ディレグラの副作用と安全性

アイコン 2016.4.2 ディレグラ

ディレグラは、2012年に発売された抗ヒスタミン薬のアレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)と塩酸プソイドエフェドリンというα交感神経刺激薬の合剤になります。

アレグラ自体は抗ヒスタミン薬の中でも最も副作用が少ない薬の一つです。そのアレグラに、血管を収縮するα交感神経刺激薬が加わったのがディレグラです。血管を収縮するなんて物騒なイメージですが実際は非常に安全性が高いお薬です。

ただし、血管が収縮することで悪化する可能性がある病気がある人に使用しないように注意しなければいけません。

このため、アレグラで副作用がなかったからといってディレグラでも大丈夫というわけではないので注意しましょう。ここでは、ディレグラの副作用と安全性についてみていきましょう。

 

1.ディレグラが使えない人は?

交感神経刺激薬が作用することによって悪化する可能性がある疾患は使用できません。また高齢者も勧められません。

まずはディレグラを使うことができない方からみていきましょう。

ディレグラは、抗ヒスタミン薬としてのアレグラに塩酸プソイドエフェドリンという血管を収縮する作用があるα交感神経刺激薬が加わった薬です。鼻や目の血管を収縮することで花粉症の症状を和らげますが、内服薬ですので全ての血管に作用します。

このため、5つの項目に当てはまる場合は、ディレグラが使用禁忌です。

  1. ディレグラ・アレグラ・交感神経刺激薬でアレルギーや重度の副作用が起きた人
  2. 重症の高血圧の人
  3. 重症の心疾患がある人
  4. (閉塞隅角)緑内障の人
  5. 尿閉のある人

②~⑤は、血管が収縮することで悪化する可能性がある病気です。血管収縮作用があるディレグラは、これらの病気では使えません。

これらの病気が軽症だったとしても、ディレグラは慎重投与になります。(慎重投与には、糖尿病も加えられています。)

これらの疾患を持っている人は、ディレグラを処方される前に医師に相談してみてください。

 

2.ディレグラの副作用と安全性

上記の使用禁忌や慎重投与に当てはまらない人が使えば、ディレグラは比較的安全な薬です。

全身の血管を収縮するといわれると危険なイメージがあるかもしれませんが、血管の調整は常に行われています。必要に応じて交感神経と副交感神経が働き、我々の生活に合わせてどちらかにバランスが傾くのです。

ディレグラでも交感神経が刺激されて血管収縮作用がありますが、100m全力で走った場合の方がはるかに交感神経が刺激されて血管が収縮します。このように考えていただければ、ディレグラは上記の禁忌や慎重投与に該当する人を除けば、血管が収縮することは過度に心配する必要はありません。

ディレグラの抗ヒスタミン成分であるアレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)は、抗ヒスタミン薬の副作用としての眠気は最も少ないです。それ以外の副作用もとても少なく、アレグラは安全な薬として多くの人に処方されています。このアレグラに、塩酸プソイドエフェドリンが加わったディレグラの副作用を添付文章で確認してみましょう。

国内で実施された臨床試験において、ディレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩と塩酸プソイドエフェドリン の配合剤)が投与された患者で副作用が報告されたのは、347例中5例(1.4%)でした。

うちわけとしては、頭痛2例 (0.6%)、発疹2例(0.6%)、疲労1例(0.3%)、口渇1例(0.3%)でした。最も多い頭痛ですら、0.6%です。

最も多い副作用は、頭痛と皮疹です。しかし花粉症でも、頭痛になることがあります。そのため頭痛が生じても、ディレグラの副作用か花粉症の症状かはわからないことが多いです。また元々頭痛持ちの人は、花粉症のストレスで頭痛が発生することも多いです。いずれにしろ、ディレグラの副作用のせいで重度の頭痛が生じるというのはほぼないです。

皮疹は、どのお薬でも認められることがあります。ディレグラは、他のお薬と比べて特に薬疹が多いわけではありません。薬疹はお薬の飲み始めに認められることが多いので、ディレグラに関わらずに気を付ける必要があります。

 

3.ディレグラでも眠気は起きるの?

ディレグラはアレグラと同じ程度の頻度で眠気が出現することが予想されますが、アレグラ自体が抗ヒスタミン薬の中でも眠気が起きづらいので、頻度は少ないです。

抗ヒスタミンの成分であるフェキソフェナジン塩酸塩は、アレグラもディレグラも1回60mgと同じ量が投与されます。

ディレグラは塩酸プソイドエフェドリンが加わっていますが、交感神経刺激薬によって血管を収縮するお薬です。眠くなるのは副交感神経が刺激された場合です。塩酸プソイドエフェドリンが加わって、少なくともアレグラよりも眠気が増すということはありません。

そのためディレグラも、アレグラと同じ程度の眠気が出現すると予想されます。ディレグラは、添付文章上では眠気は頻度不明となっています。一方でアレグラでは、100人に投与したら1~2人は眠気が出現となっています。

アレグラ自体が他の抗ヒスタミン薬と比較しても眠気が少ないと言われています。運転に関する注意喚起がされていないのは、アレグラとクラリチンの2種類のみということからもお分かりいただけるでしょう。

しかし眠気が少ないといわれているアレグラでも、眠気は0ではありません。患者さんでも、アレグラで眠くなったという人は私も経験があります。アレグラと同じフェキソフェナジン塩酸塩の量をディレグラでも内服するので、理論上は眠気が起こる人もいると思います。特にアレグラでも眠気が出現した人は注意が必要です。

アレグラの眠気も含めた副作用がもっと知りたい方は、「アレグラの副作用と安全性」をお読みください。

 

4.ディレグラは妊娠中でも使えるの?

ディレグラの添付文章ではアレグラと同様に使用できるとありますが、ディレグラは妊娠中は使用しない方が無難です。

ディレグラの添付文章では、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

つまりは、「絶対に安全とはいえないけど、必要ならば使ってもよいよ」ということです。

ディレグラの妊娠への影響は、マウスやラットを使った動物実験によって確かめられています。その実験の中では、ディレグラによって奇形が生じるという報告は認められていません。

ディレグラのせいで奇形がみられたという報告はなされていませんが、本当に安全かどうかについては倫理的に確認できません。妊婦さんを使って研究などはできないからです。胎盤を通してお薬が移行してしまう以上、絶対に安全とは言い切れなくなってしまいます。

妊娠へのリスクは、ディレグラはアメリカ食品医薬品局(FDA)基準では「C」(危険性を否定することができない)、オーストラリア分類では「B2」(症例が足りないが人で問題なく、動物実験も足りないが影響なし)となっています。

これは、アレグラと全く同じ評価です。そのため添付文章の評価では、ディレグラは妊娠中でも使用することができるとなっています。しかし私としては、ディレグラは妊娠中は使用しない方が無難と考えています。

理由としては、妊娠中は高血圧や糖尿病などが途中から発病する妊婦さんがいるためです。ディレグラは高血圧や糖尿病が出現すると慎重投与、特に高血圧は重度になると禁忌になります。そのためディレグラが赤ちゃんに影響を与えなくても、妊娠中の高血圧や糖尿病のコントロール不良自体が赤ちゃんに影響を与える可能性があります。

安全性を確認する臨床試験では、このように高血圧や糖尿病が出現すれば慎重投与にあたるため自動的に除外されてしまいます。ですから、高血圧や糖尿病に対する影響は評価ができていません。

現場では多くの場合、妊娠の管理は産婦人科の医師、花粉症は内科や耳鼻科の医師がそれぞれみることが多いです。途中で妊娠性高血圧と診断しても、ディレグラを服用していることに産婦人科の先生が気づかない可能性があります。自分が処方していない薬のチェックはどうしても甘くなってしまうのです。

患者さんとしても、「内科や耳鼻科の先生が妊娠中でもディレグラは問題ないといって出してくれたんだから大丈夫なんだろう」と、あえて産婦人科の先生に伝えないケースもあります。

花粉症の薬はたくさんあるので、あえてディレグラにこだわる必要がありません。妊娠の可能性がある場合や妊娠中は、ディレグラから点鼻薬・点眼薬を中心とした花粉症治療を検討してもよいと思います。

 

5.ディレグラで授乳中は使えるの?

ディレグラの安全性は、比較的高いと考えられています。

ディレグラの薬の説明書(添付文章・インタビューフォーム)をみてみると、

「授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。」

となっています。

この根拠としては、ディレグラの中に含まれているアレグラの成分が乳汁に移行してしまうことが確認されているからです。乳汁に移行するアレグラの量は、血中濃度の約13%という結果が出ています。そしてその濃度の変化は、血中濃度とほぼ同じになっています。

母乳への移行する量もわずかであり、アレグラは子供にも使われるお薬なので、比較的安全であろうと考えられています。Hale分類でも、アレグラは比較的安全という評価になっています。

しかしながら添付文章でダメと書かれてしまっているので、医師の立場としては「安全性は高いといわれているけど、リスクも踏まえて自己判断してください」と患者さんに説明せざるを得なくなってしまいます。

この点について詳しく知りたい方は、「アレグラは妊娠中や授乳中でも大丈夫?」を参照してみてください。

 

まとめ

ディレグラは、以下の方には禁忌か慎重投与となっています。

これ以外の人が使用すれば、ディレグラは安全性が高い薬です。

妊娠中は高血圧や糖尿病が起きる可能性があるため、ディレグラは使わない方が無難です。