ジルテック錠の効果と特徴

アイコン 2016.4.29 ジルテック

ジルテック錠は、1998年にグラクソ・スミスクライン製薬会社が発売された抗ヒスタミン薬になります。

抗ヒスタミン薬とは、アレルギーのときに過剰に分泌されるヒスタミンをブロックすることで、アレルギー症状を抑える効果が期待できるお薬です。具体的には花粉症などのアレルギー性鼻炎、蕁麻疹などの皮膚疾患に使われています。

抗ヒスタミン薬は効果を求めれば求めるほど、眠気が強くなるジレンマがありました。ジルテックも効果が強いために、眠気が強くなる抗ヒスタミン薬です。

現在はこの眠気の成分だけを取り除いたザイザルが同じグラクソ・スミスクライン社から2010年に発売されたため、ジルテックが処方されることは少なくなりました。しかし昔からなじみがあって、使い続けている方もいるかと思います。

ここでは、ジルテック錠の効果と特徴について詳しくみていきたいと思います。

 

1.ジルテックの効果の特徴とは?

<メリット>

<デメリット>

ジルテックの特徴としては、抗ヒスタミン薬の中でも効果が強いという点です。ただし効果が強い分、眠気も強くなっています。そのため運転などが仕事の人は、ジルテックはお勧めできません。ジルテックの添付文章でも、

眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意する。

となっていることから、運転はできないと考えた方が良いです。

ジルテックはドライシロップなど剤形も豊富です。また昔からあるお薬でジェネリックもあることから、値段は比較的安く手に入ることができます。眠気が気にならない人は、ジルテックは良いお薬になると思います。

ただし腎機能障害が重度の場合は、ジルテックは禁忌となってしまいます。一部の成分が体内に残ってしまい、副作用が強くなってしまうためです。どれくらい重度かというと、クレアチニンクリアランス10mL/min未満の方です。

尿がほとんど出なくなってしまって、透析になるくらい腎臓が悪い程度と考えていただければと思います。ただしそこまで腎臓が悪くなくても、腎臓が悪い人はあえてジルテックに固執する必要はないかもしれません。

このように効果が強いものの副作用がネックになるジルテックですが、これを改良したのがザイザルになります。ザイザルではジルテックの成分のうち、アレルギー症状を緩和する成分のみを取り出し、またより長く効果が持続するように改良しています。これによって、

という事を可能にしています。そのため現在は、ザイザルの方がジルテックより使われる頻度は多いかもしれません。

ザイザルについて詳しく知りたい方はザイザル錠の効果と特徴についてをお読みください。

 

2.ジルテックの適応疾患と用量・用法は?

ジルテックは1回10mgを1日1回、就寝前に服用するお薬です。

ジルテックは、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症に適応があるお薬です。

ジルテックの最高血中濃度は1.4時間、半減期は6.7時間となっています。これは、ジルテックを服用して1.4時間で血中濃度がピークとなり、そこから6.7時間たつと半分の濃度になることを意味します。

こうみると効果が短いように感じますが、ジルテックはヒスタミンH1受容体に強くくっついて、なかなか離れません。血中濃度は低くなってしまっても効果が持続するのです。ですから1日1回の服用でも効果が持続します。

ジルテックの剤形としては、

があります。ジルテックは成人には、1回10mgを1日1回、就寝前に服用します。年齢や症状によって増減させますが、最高投与量は1日20mgとなります。

一方で7歳以上15歳未満の小児には、ジルテック5mgを1日2回、朝食後と就寝前に服用します。2回に分けるのは、血中濃度が安定して副作用が軽減されるためです。

ジルテックのドライシロップの場合は、以下の用法になります。

 

3.ジルテックの薬価と剤形

ジルテックでは、錠剤とドライシロップが発売されています。さらにジルテックはセチリジンとしてジェネリックも発売されています。

ジルテックは1998年の発売からしばらく時間がたっているので、ジェネリック医薬品も発売されています。このため、ジェネリック医薬品を使えば薬価を安くすることができます。

具体的に、ジルテックの薬価と剤形をみていきましょう。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ジルテック錠 10mg 92.2円
ジルテック錠 5mg 72.4円
ジルテックドライシロップ 1.25%(1g) 239.7円

<後発品>

商品名 剤形 薬価
セチリジン塩酸塩錠 10mg 22.1円
セチリジン塩酸塩錠 5mg 16.8円
セチリジンドライシロップ 1.25%(1g) 138.7円

となります。ジェネリックのセチリジンでは、2割強の薬価になります。非常に経済的になりますね。

ジルテックでは錠剤の他に、お子さん用にドライシロップが発売されています。ドライシロップではイチゴ味になっていて、お子さんにも飲ませやすいようになっています。

参考までに、ジルテックの改良版であるザイザルの薬価を見てみましょう。

商品名 剤形 薬価
ザイザル錠 5mg 96.4円
ザイザルシロップ 0.05% 17.9円/ml

ジルテック10mgとザイザル5mgがほぼ同等ですので、先発品で比較すると薬価はほとんど変わりません。

しかしながらザイザルはジェネリック医薬品が発売されていません。ジェネリック医薬品が気にならずジルテックで眠気が出現しない方は、ザイザルよりも安く手に入るジルテック(セチリジン)の方が良いかもしれません。

※2016年4月25日現在の薬価になります。

 

4.抗ヒスタミン薬の第一世代・第二世代の違いとは?

第二世代は第一世代に比べるとヒスタミンだけに作用するようにできていて、中枢への作用も少なくなっています。このため、眠気や口の渇きなどの副作用が軽減されています。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体をブロックすることでアレルギー反応を抑えて効果を示します。しかしながらヒスタミンは、実は全身に色々なところで活躍しています。

 脳では神経伝達物質として情報の橋渡しをしていますが、抗ヒスタミン薬によって脳でのこの働きがブロックされてしまうと、中枢神経が抑制されて眠気が出現します。

また抗ヒスタミン薬は、抗コリン薬と似ている部分があります。このためアセチルコリン受容体をブロックしてしまい、便秘・口渇・尿閉といった抗コリン作用が起きることもあります。そのため抗コリン薬が禁忌である緑内障患者や前立腺肥大患者には、抗ヒスタミン薬も禁忌とされていました。

このように、副作用がかなり強いのが発売当初の抗ヒスタミン薬でした。こうした強い副作用のお薬を「第一世代」と呼んでいます。現在では副作用を逆に利用して、術後疼痛コントロール目的にソセゴン(痛み止め)+アタラックス(第一世代抗ヒスタミン薬)など投与することもあります。(病院用語では略して「ソセアタ」といいます)

1980年代になると、ヒスタミン受容体のみをブロックして、アセチルコリンの受容体をほぼブロックしないお薬が開発されました。中枢作用も少なく、このお薬を「第二世代」と呼んでいます。

これらのお薬の分類が下記の表になります。

抗ヒスタミン薬の種類について一覧にしました。

第二世代は第一世代に比べると、副作用がだいぶ抑えられています。このため現在は、第二世代から使われることが主流になっています。どうしても第二世代では効果が不十分な時は、第一世代が使われることがあります。

ただし第二世代でも、ザジテンなどの一部は中枢のヒスタミンに作用してしまいます。このため眠気も強いですし、てんかんや熱性けいれんを悪化させてしまうリスクがあります。このような疾患がある方はザジテンのみ禁忌となっており、それ以外の眠気が強い抗ヒスタミン薬でも注意が必要です。

 

5.第二世代抗ヒスタミン薬の中でのジルテックの位置づけ

ジルテックは眠気・効果の強さともに、抗ヒスタミン薬では中間に位置します。ジルテックは効果も強い分、眠気も強いです。

それでは、第二世代抗ヒスタミン薬の中ではジルテックはどのような位置づけになるでしょうか。代表的な第二世代抗ヒスタミン薬を比較して表にしたのでご覧ください。

第二世代抗ヒスタミン薬の効果と眠気の強さを表にしました。

※薬理学的なデータに加えて、私の使用経験を踏まえて作成しました。人によって薬の効き方も異なります。

右上の抗ヒスタミン薬は現在あまり使われないことから、ジルテックは比較的効果の強い抗ヒスタミン薬と考えてよいと思います。ただし効果が強い分、アレグラやクラリチンと比較しても眠気はかなり強いといわれています。

このジルテックよりも眠気が抑えられていると位置づけられているのがザイザルです。ただし抑えられているといっても、クラリチンやアレグラほど眠気が軽減されたわけではないので注意が必要です。

効果に関しても、ジルテックよりもザイザルでは効果が持続するといわれています。ただし一部文献では、ジルテックからザイザルに眠気成分を取り除いた際に抗ヒスタミン薬としての有効成分も除去されてしまうという報告もあります。この表ではややザイザルの効果を上にしましたが、個人差もあるので一概にはいえません。

 

6.ジルテックが向いている人とは?

 

 

それではジルテックはどのような人に向いているお薬かみていきましょう。

ジルテックは効果が強い分、眠気の副作用も多い抗ヒスタミン薬でした。そして眠気の副作用を軽減したお薬として、ザイザルが発売されています。

ですから、現在の治療ではジルテックを最初から使っていくことは減ってきています。これまでジルテックを使っていて問題がなかった方は、あえて他のお薬に変える必要もないでしょう。ジルテックは腎臓への負担がかかるお薬なので、腎機能さえ問題なければそのままの服用で問題ありません。

ジルテックがザイザルに比べてよい点としては、ジェネリック医薬品が発売されていて薬価が安いことです。ジェネリックでやすく済ませたい方には向いているでしょう。

抗ヒスタミン薬には様々なお薬が発売されていますが、なかなか症状をコントロールできないこともあります。ジルテックは効果は比較的強いお薬なので、そのような時に使ってみる価値はあります。

 

7.ジルテックの作用の仕組み(作用機序)

ジルテックはどのようにして作用するのでしょうか?ジルテックが最もよく使われる花粉症では、ジルテックがどのように作用するのかをみていきましょう。

 

7-1.花粉症の症状が生じる原因とは?

目や鼻からスギ花粉を外に出そうとする防御反応です。涙や鼻水によって、結果として花粉を目の外から追い出そうとします。

花粉症というのは体が花粉を敵と認識して外に出そうとする防御反応です。その防御反応は以下のようになります。

  1. 花粉(スギ)が体内に侵入。
  2. マクロファージ(体の中の警察官)が異物と認識して花粉を食べる。
  3. マクロファージがT細胞、そしてB細胞とバケツリレーのように花粉の情報を次々に渡す。
  4. 花粉が次に入ってきたときに撃退するために、B細胞がIgEという特殊な爆弾を作り、肥満細胞(体の中の爆弾保管庫)に保管しておく。
  5. 花粉が再び侵入した際に、肥満細胞は保管しておいたIgE爆弾が発射されて花粉にくっつく。
  6. IgEが爆発することをきっかけに、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出される。

このヒスタミンなどの化学物質が目に作用すると、目を刺激してかゆみや充血を生み出します。目のかゆみや充血が起こると、涙が出てきます。涙によって花粉を目の外に追い出そうとするのです。

このヒスタミンが鼻に作用すると鼻を刺激して、くしゃみや鼻水として外に花粉を出そうとするのです。

こうして目や鼻に異常があることを知らせて、体からスギ花粉を守ろうとしているのです。でも花粉は身体にとっては害にはなりません。ほっておけばよいのに、身体が過剰に反応してしまうアレルギーの病気なのです。

 

7-2.ジルテックの作用の仕組み(作用機序)

主に抗ヒスタミン薬として、ヒスタミンの働きをブロックすることでアレルギー反応を抑えます。

ジルテックの主成分のセチリジン塩酸塩は、第一世代抗ヒスタミン薬のアタラックス(ヒドロキシジン)の主要活性代謝産物になります。ジルテックはアタラックスから余分な成分を取り除いた精錬されたお薬で、第二世代抗ヒスタミン薬に分類されるのです。

ヒスタミンを阻害するということは、先ほどの説明でいうところの⑥の作用を邪魔します。④や⑤で出てくるIgEや肥満細胞を邪魔しても、すでにヒスタミンがたくさん作られた後では効果が期待しづらいです。速効性を求めるのであれば、直接目や鼻の症状を引き起こすヒスタミンをブロックする必要があるのです。

ただしジルテックは、④や⑤のIgEや肥満細胞がヒスタミンを分泌するのを邪魔することを動物実験では確認されています。

また、ジルテックは抗ヒスタミンの作用だけではなく、ロイコトリエンやプロスタグランジンなどの物質の作用も邪魔します。それによって目や鼻のかゆみの緩和に役立っています。

 

まとめ

ジルテックは、1998年に発売された第二世代の抗ヒスタミン薬です。

ジルテックから眠くなる成分を取り除いて、効果が持続するように改良された抗ヒスタミン薬がザイザルです。

ジルテックは成人の場合、1日1回10mgを眠前に内服します。

<メリット>

<デメリット>

<向いている人>