ビラノア錠(ビラスチン)の効果と特徴

アイコン 2016.10.31 ビラノア
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ビラノア(一般名:ビラスチン錠)は、Meiji seika製薬会社が2016年9月に承認された最新の第二世代抗ヒスタミン薬です。11月18日に発売となります。

抗ヒスタミン薬とは、アレルギーのときに過剰に分泌されるヒスタミンをブロックすることで、アレルギー症状を抑える効果が期待できるお薬です。

抗ヒスタミン薬は効果を求めれば求めるほど、眠気が強くなるジレンマがありました。効果を取るか、眠気を取るか…このジレンマを打破したのが、新しいお薬のビラノアになります。

ビラノアはザイザルと同じくらい強い効果がありながら、最も眠気が少ないとされているアレグラクラリチンより眠気が少ないとされているお薬です。

最も活躍が期待されているのは花粉症などのアレルギー性鼻炎ですが、その他、蕁麻疹・湿疹・皮膚炎など皮膚疾患にも適応があります。

ここでは、ビラノア錠の効果と特徴について詳しくお伝えしていきます。

 

1.ビラノアの効果の特徴とは?

<メリット>

<デメリット>

ビラノアは、抗ヒスタミン薬として花粉症や蕁麻疹に適応があるお薬です。ビラノアの最大の特徴としては、ザイザルと同じくらいの効果があるのに、眠気の副作用が極めて少ない点です。

ザイザルはジルテック(セチリジン)の成分のうち、アレルギー症状を緩和する成分のみを取り出し、さらに長く効果が持続するように改良されたお薬になります。そのためジルテックよりも眠気が少なく、効果も長いお薬として定評があり、2010年の発売より売り上げを伸ばしている抗ヒスタミン薬です。

ただしザイザルは、ジルテックよりは眠気を抑えたといっても、抗ヒスタミン薬全体から見ると中等度の眠気が生じるお薬でした。実際にザイザルの添付文章には、「眠気が起きえるため、運転や危険を伴う機会の作業はさせないように注意すること」と記載されています。

ビラノアは、このザイザルよりさらに眠気が少ないお薬になります。ですから添付文章にも、運転に関する注意書きがありません。どれくらい眠気が抑えられているかというと、現在最も眠気が少ないと言われているアレグラやクラリチンより少ないのではといわれています。

これは素晴らしいことで、これまでの抗ヒスタミン薬は効果が強いお薬ほど、眠気の副作用も相乗して強くなるというジレンマがありました。ビラノアはこのジレンマを打ち破り、抗ヒスタミン薬として強い効果を残したまま眠気を軽減したお薬といえるのです。

またビラノアは、1日1回の内服で済むのも魅力的です。例えば同じ抗ヒスタミン薬のアレグラは、1日2回のため飲み忘れが心配になります。

薬価も比較的安く、同じ位置づけの抗ヒスタミン薬のザイザル5mg1錠で96.4円に対して、ビラノアは20mg1錠で79.7円となります。

ビラノアの唯一の弱点としては、空腹時に内服しなければならない点があげられます。これは食事と一緒に内服してしまうと、吸入率が半分程度落ちてしまうためです。そのため、食事前後は避けることが必要になるので注意が必要です。

 

2.ビラノアの適応疾患と用量・用法

成人の場合、ビラノアを1日1回20mgを空腹時に内服します。

ビラノアは2016年9月に承認された新しいお薬です。剤型としても、

しかありません。ビラノアが最もよく使われるのは、花粉症の治療薬としてでしょう。正確にいうと、花粉に対するアレルギー性鼻炎です。

その他として、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎に伴うかゆみなどで使われることがあります。これらの皮膚の病気は、ヒスタミンが発生することでかゆみが認められます。これを抑える目的で、ビラノアが使われることがあるのです。

ビラノアの最高血中濃度は1.0時間、半減期は10.5時間となっています。これは、ビラノアを服用して1.0時間で血中濃度がピークとなり、そこから10.5時間たつと半分の濃度になることを意味します。24時間後にはほぼ血中濃度は0になります。

こうみると効果が短いように感じますが、ビラノアはヒスタミンH1受容体にガッチリくっついて、なかなか離れません。血中濃度は低くなってしまっても効果が持続するのです。ですから、1日1回の服用でも効果が持続します。

なおこの最高血中濃度は、比較相手となるザイザルとほぼ同じです。そのため、即効性も同じ程度と考えられます。

ビラノアの内服方法としては、成人には1回ビラノア20mgを1日1回、空腹時に服用します。

この時に気を付けなければいけないのが、空腹時です。ビラノアは、食後に内服してしまうと吸収が低下してしまうデータがあります。実際に食後に内服した際、空腹時と比較すると40~60%低下したとあります。半分近く低下してしまうとほとんど効果がないので、注意が必要です。

また、ビラノアは薬価がまだ定められていません。そして新薬はどれも共通しますが、薬価基準収載日の翌月初日から計算して1年を経過するまでは、投薬は1回14日分を限度とされます。そのため、しばらくは2週間おきに病院に通う必要がでてきます。

 

3.ビラノアの薬価と剤形

ビラノアでは、錠剤のみの発売となっています。ジェネリックの発売はしばらく先になりますが、先発品としては薬価は抑えられています。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ビラノア錠 20mg 79.7円

もうじき発売となるビラノアは、薬価が79.7円となります。発売から10年ほどはジェネリックは作られないので、しばらくは先発品のみの販売となります。

すでに多くの抗ヒスタミン薬が発売されていることもあるため、薬価は比較的安く設定されました。ビラノアは1日1錠になりますので、3割自己負担の方では、1か月の薬価は700円強ほどですみます。

同じ位置づけのザイザルは、1錠5mgで96.4円となります。ザイザルは効果が不十分な場合は2錠(10mg)使うこともあるため、場合によっては薬価が倍以上になってしまいます。

実際に発売されてみなければ効果の違いもわかりませんが、薬価という面ではビラノアは使いやすいお薬になります。

 

4.第二世代抗ヒスタミン薬の中でのビラノアの位置づけ

ビラノアは、効果はザイザルと同じくらいで眠気は最も少ないと考えられています。

それでは、第二世代抗ヒスタミン薬の中ではビラノアはどのような位置づけになるでしょうか。代表的な第二世代抗ヒスタミン薬を比較して表にしたのでご覧ください。

第二世代抗ヒスタミン薬の効果と眠気について比較し、一覧にしました。

※薬理学的なデータに加えて、私の使用経験を踏まえて作成しました。人によって薬の効き方も異なります。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体をブロックすることでアレルギー反応を抑えて効果を示します。しかしながらヒスタミンは、実は全身に色々なところで活躍しています。

脳では神経伝達物質として情報の橋渡しをしていますが、抗ヒスタミン薬によって脳でのこの働きがブロックされてしまうと、中枢神経が抑制されて眠気が出現します。この脳でどれくらいブロックされているのか(脳内ヒスタミン受容体占拠率)が、一般的に眠気をあらわすのに使われる指標となっています。

アレグラやクラリチンが眠気が少ない抗ヒスタミン薬とされていますが、これは脳内ヒスタミン受容体占拠率がそれぞれ5~10%と少なかったからです。参考として、ザイザルのヒスタミン受容体の脳内占拠率は15~20%といわれています。

ビラノアは、このヒスタミン受容体の脳内受容体がなんと-3.92%と、0を下回る結果を示したのです。-に関して説明すると複雑になるので、0と考えていただければと思います。

このヒスタミン受容体の脳内占拠率が、ビラノアではアレグラやクラリチンよりも少ないのです。このため、眠気が最も少ない薬と考えられます。

さらに効果も、ビラノアはザイザルとほぼ変わらないというデータが出ています。効果がザイザルと同じくらいで、眠気はアレグラより少ないお薬と考えられています。

表を見ていただくとわかるように、ビラノア以外のお薬は、効果と眠気が比例していることがわかると思います。効果が強くなればなるほど、眠気も強くなってしまうのです。ですがビラノアは、「抗ヒスタミン薬の効果と眠気は比例する」というこれまでの考え方とは異なるデータとなっています。

発売されて実臨床で使われるまではビラノアの評価はできませんが、効果と副作用のバランスが非常に良いお薬である可能性が高いと考えられます。

 

5.ビラノアが向いている人とは?

<向いてる人>

ビラノアの最も良い適応は症状がひどくてザイザルを内服していたが眠気が出現してしまった方です。ザイザルで眠気が出ていた方は、

の2択を迫られていました。ビラノアが使えるようになることで、ビラノアへの変更という選択肢ができます。ビラノアの効果は、ザイザルの主成分であるセチリジンと比較してほぼ変わらないというデータが出ています。それでいてビラノアは眠気が少ないため、今後ビラノアが長期処方可能になった場合、花粉症の第一選択肢としてビラノアが使われるようになる可能性が高いです。

ただし、ザイザルとビラノアの関係はあくまでも一般論です。実際にヒスタミン受容体の脳内占拠率0とは言え、実臨床では眠気が出現した例はあります。

どのようなお薬でも、身体に合うかどうかは相性があります。人によっては「ザイザルの方が効果があった」「ビラノアの方が眠くなった」ということはありえます。ビラノアで眠気が出たからといって、全ての抗ヒスタミン薬で眠気が出るとは限らないので注意してください。

ビラノアは、お薬の添付文章に「運転に気を付けること」といった文言が書いていないのも特徴的です。車の運転などをされる方は、ビラノアはまさに救世主ともいえます。

またビラノアの注意点としては、空腹時内服できる方に向いているということです。他にもお薬を食後に内服している方は、一緒にビラノアも内服したくなるかもしれません。ですがビラノアは、食後に内服すると効果が半分ほど低下してしまいます。

そのため、しっかりと空腹時(食前1時間前もしくは食後2時間後)に内服できる方に向いてるお薬と言えます。現実的には、眠前に服用することが多くなるでしょう。寝る前にお薬を飲み忘れてしまうと、翌朝に朝食との兼ね合いが難しくなります。

 

6.ビラノアの作用の仕組み(作用機序)

ビラノアはどのようにして作用するのでしょうか?ビラノアが最もよく使われる花粉症では、ビラノアがどのように作用するのかをみていきましょう。

 

6-1.花粉症の症状が生じる原因とは?

目や鼻からスギ花粉を外に出そうとする防御反応です。涙や鼻水によって、結果として花粉を目の外から追い出そうとします。

花粉症というのは体が花粉を敵と認識して外に出そうとする防御反応です。その防御反応は以下のようになります。

  1. 花粉(スギ)が体内に侵入。
  2. マクロファージ(体の中の警察官)が異物と認識して花粉を食べる。
  3. マクロファージがT細胞、そしてB細胞とバケツリレーのように花粉の情報を次々に渡す。
  4. 花粉が次に入ってきたときに撃退するために、B細胞がIgEという特殊な爆弾を作り、肥満細胞(体の中の爆弾保管庫)に保管しておく。
  5. 花粉が再び侵入した際に、肥満細胞は保管しておいたIgE爆弾が発射されて花粉にくっつく。
  6. IgEが爆発することをきっかけに、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出される。

このヒスタミンなどの化学物質が目に作用すると、目を刺激してかゆみや充血を生み出します。目のかゆみや充血が起こると、涙が出てきます。涙によって花粉を目の外に追い出そうとするのです。

このヒスタミンが鼻に作用すると鼻を刺激して、くしゃみや鼻水として外に花粉を出そうとするのです。

こうして目や鼻に異常があることを知らせて、体からスギ花粉を守ろうとしているのです。でも花粉は身体にとっては害にはなりません。ほっておけばよいのに、身体が過剰に反応してしまうアレルギーの病気なのです。

 

6-2.ビラノアの作用の仕組み(作用機序)

主に抗ヒスタミン薬として、ヒスタミンの働きをブロックすることでアレルギー反応を抑えます。

ビラノアの主成分はビラスチンであり、第2世代の抗ヒスタミン薬になります。

ヒスタミンを阻害するということは、先ほどの説明でいうところの⑥の作用を邪魔します。④や⑤で出てくるIgEや肥満細胞を邪魔しても、すでにヒスタミンがたくさん作られた後では効果が期待しづらいです。速効性を求めるのであれば、直接目や鼻の症状を引き起こすヒスタミンをブロックする必要があるのです。

ただしビラノアは、④・⑤のIgEや肥満細胞がヒスタミンを分泌するのも邪魔することを動物実験では確認されています。

 

まとめ

ビラノア(ビラスチン錠)は、2016年9月に承認された新しい抗ヒスタミン薬です。効果が高い上に眠気も少ない素晴らしい薬だと思います。

<メリット>

<デメリット>

  <向いてる人>