プロペシアの副作用と安全性

アイコン 2017.3.26 プロペシア

プロペシア(フィナステリド)錠は、5α還元酵素阻害薬に分類される「男性における男性型脱毛症」(AGA)治療薬です。AGAとは簡単に言うと、男性の「はげ」のことです。AGAは男性のホルモン増加に伴い毛根が減退して起こります。

プロペシアは、このAGAのホルモンに関与する5α還元酵素を阻害することで、徐々に髪の毛が生えてくるお薬です。5α還元酵素阻害薬としてプロペシアは初めて登場したお薬のため非常に注目を浴びています。ただしプロペシアは数日飲んで効果が発揮するお薬ではなく、毎日飲み続けることで効果を発揮するお薬です。そのため数ヶ月、数年、あるいは数十年と飲み続けるお薬です。

プロペシアの効果ばかりに目が行ってしまって、どんな副作用があるのか?安全性はどうなのか?というところをおろそかにしてしまってる人もいるかもしれません。

ここでは、プロペシアの副作用や安全性について確認してみましょう。

 

1.プロペシアの副作用について

プロペシアは男性ホルモンに作用するため性欲減少など性機能減少があります。

プロペシアの添付文章では、安全性評価対象試験で276例中 11例(4.0%)に14件の副作用が認められました。主な症状は、

となっています。プロペシアは、テストステロン(いわゆる男性ホルモン)をより活性の高いジヒドロテストステロンに変換する2型の5α還元酵素を阻害します。

「脱毛症」を引き起こすジヒドロテストステロン血清中および頭皮中の濃度を低下させることにより、発毛および育毛効果を示します。つまり、男性ホルモンを抑えることで効果を発揮するのです。

そのため男性ホルモンに影響することで、勃起不全や性欲減少などの性機能減少が最も大きな副作用です。知らずに内服してしまうと、人によっては非常に困ることもあるかもしれません。

特にプロペシアを数ヶ月内服していてこれらの副作用が出現した場合、プロペシアをやめたからといってすぐに回復するとは限りません。プロペシアは徐々にホルモンに影響を与えることで効果を発揮します。そのため、中止しても徐々にもとに戻るため、すぐには改善しないことも多いです。

そのため、プロペシアを内服する前に性機能減少があるということは念頭においてください。もしこれらの副作用が起こると困るという人は、他のお薬を選択した方が良いかもしれません。

また、プロペシアを内服始めてから2週間~1か月ごろに「初期脱毛」と言って、一時的に脱毛することがあります。この初期脱毛は逆に効果が出ている証拠ですので、副作用として捉えられていません。プロペシアを内服してから、通常1~2カ月程度で収まり、その後髪の毛が生えてきます。

プロペシアを内服している方は髪に神経質になりがちなため、少しでも髪が抜けやすくなるとガッカリするかもしれませんが、2か月たってから生え始めることも多いため、辛抱強く使っていきましょう。

 

2.プロペシアが内服できない人は?

女性と小児は内服できません。また、重度の肝機能障害がある人は慎重に投与する必要があります。

プロペシアは、男性ホルモンに影響を与えて育毛を促すお薬です。そのため、女性および小児(20歳未満)の方で脱毛症に悩んでる方は、原因が異なるためにプロペシアの効果が期待できません。さらに安全性も確立されていないため、女性と小児は禁忌になっています。

そのためプロペシアは、20歳以上の男性にのみ内服するようにするお薬になります。それでは20歳以上の男性なら全て適応になるのでしょうか?

一つ気を付ける疾患があります。それが肝機能障害がある方です。添付文章でも、

重度の肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇するおそれがある ]

が慎重投与に記載されています。プロペシアは肝臓で代謝されるお薬です。そのため、肝機能障害が起こる可能性があるため注意が必要になります。

一方で、どの程度が重篤かは難しいところです。肝臓の病気で治療を受けている方は、事前に主治医に相談してみましょう。さらにプロペシアを肝機能障害があって内服する人は肝機能障害が悪化するリスクは常に念頭に置いておき、定期的に採血を行うようにしましょう。

 

3.プロペシアは胎児に影響しないの?

男性がプロペシアを内服しながら妊娠した場合、奇形があったという報告はありません。一方で女性が内服すると、男性胎児の生殖器官異常が報告あるため注意してください。

プロペシアは男性ホルモンに影響を与えるお薬です。そのため、プロペシアを内服しながら妊娠して良いか心配される方も多いかもしれません。実際に、プロペシアの臨床試験のまとめでは、プロペシア投与中に男性被験者のパートナーが妊娠・出産を迎えても異常報告はないとされています。

ただし、プロペシアの成分自体が直接胎児に影響することは証明されています。女ラット及びウサギに5α還元酵素阻害薬を経口投与した結果、オスの性器がメス化されたとの報告があります。これは妊娠女性にプロペシアの成分の曝露により、胎児の男性ホルモンが低下し、男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性が示唆されたことになります。

そのため妊婦の方はプロペシア錠が粉砕したときに取り扱いに気を付けてください。プロペシア錠は表面はコーティングされていますが、粉砕して粉々になると成分が体内に取り込まれる可能性があります。

このようにプロペシアの成分自体が胎児に良くないとなると、躊躇される方も多いと思います。副作用も性機能減少など妊娠の障害になることが多いため、妊娠を考えている方はプロペシアの休薬を考慮してもよいかもしれません。

 

4.プロペシアは他のお薬・アルコールと一緒に内服して良いの?

プロペシアは、併用していけない薬はありません。またプロペシア自体はアルコールで効果は減弱しません。しかしアルコール自体がAGAに良くないので、注意してください。

プロペシアの添付文章では、併用してはいけないお薬および注意しなければいけないお薬はありません。そのため他のお薬を内服している方にも安心して使用できるお薬です。

またお薬に限らず、アルコールと一緒にプロペシアを内服して効果が減弱するという記載はありません。そのため、プロペシアを内服中にアルコールを飲んでいけないわけではありません。

一方で、アルコールも飲みすぎには注意してください。アルコールを飲みすぎると、肝臓に負担をかけてしまいます。プロペシアは肝臓で代謝されるお薬のため、アルコールを飲みすぎて

など肝機能障害が出現すると、プロペシア継続が難しくなります。またアルコール自体がAGAに良くないです。アルコールを肝臓で代謝する時に、

などのアミノ酸を一緒に消費します。これらは、実は髪の毛の成分にもなります。そのためアルコールを肝臓で代謝しようとすると、髪の毛の元になる成分が使われてしまうことになるのです。

またアルコールは、肝臓でアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドは、AGAの原因であるジヒドロテストステロンを上昇させます。プロペシアは、このジヒドロテストステロンの生成を抑制する作用でAGAを予防するお薬です。

そのためプロペシアでジヒドロテストステロンを抑えようとしても、アルコールを飲みすぎてしまうと効果が減弱する可能性があるので注意しましょう。

 

5.プロペシアを内服中に他に注意することはあるの?

腫瘍マーカーのPSAを採血した際は注意してください。実際のPSA値から50%低下して測定値が出てきます。

プロペシアを内服した方で癌検診などされた方は注意してください。腫瘍マーカーの一つであるPSAが50%ほど低下して測定されます。PSAは、前立腺癌の腫瘍マーカーです。

PSAは、最も感度が高い腫瘍マーカーとして知られています。他の腫瘍マーカーは少しくらい高くても、画像上異常が無ければ経過観察になりますが、PSAは4.0ng以上であれば画像の異常の有無に関わらず、前立生検が推奨されています。

そのため、PSAのわずかな値な違いで積極的に精査した方が良いか決まります。プロペシアは、このPSAの値を50%ほど低下させる作用があります。これは決して前立腺癌を抑えてPSAが低いわけではありません。検査値が間違って出てきてしまうのです。

そのため、PSAの値を2倍して計算する必要があります。プロペシアを内服している方は、40~50代の男性が多いと思います。この年代の男性は、定期的にPSAを測定して前立腺癌のチェックをする機会も多いと思います。

プロペシアを内服しているのを伝えるのをためらう人もいるかもしれないですが、前立腺癌は初期であれば手術で完全に治すことができる病気です。ぜひ医師に事前にお話ししてください。

 

まとめ