カロナールの副作用と安全性

アイコン 2016.11.12 カロナール
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カロナール(一般名:アセトアミノフェン)は、解熱鎮痛剤として多くの人に使用されています。カロナールは昔はNSAIDsに属していましたが、今は全く別の機序で痛みや発熱を抑えていることが分かってきています。

カロナールは、多くの点で見直されているお薬になります。カロナールは安全性が高いお薬と考えられていていますが、効果もマイルドといわれてきました。しかしながら十分量使えば、しっかりとした効果も期待できるお薬です。

日本の添付文章では少ない用量までしか使えませんが、これはカロナールの肝機能への悪影響を考えてのことです。近年ではカロナールの肝機能障害についての考え方も見直されてきて、定期的に採血をして確認をすれば、高用量でも問題がないのではという考えになりつつあります。

ここでは、カロナールを正しく使用するために、カロナールにどのような副作用があり、どのような方が使えないのかみていきましょう。

 

1.カロナールの副作用の特徴

カロナールの副作用として気を付けるべきものとして、肝機能障害があります。

カロナールの添付文章では、細かい副作用は記載されていません。実臨床でもほとんどカロナールの副作用は経験したことがありません。カロナールを使用していて最も心配なのは一番多いのは、

です。カロナールは主に肝臓で代謝されるために、肝臓を傷めることがあります。肝臓にダメージが加わると軽度であれば症状は出ないのですが、肝障害が進むと、

などの症状が起こります。ただしこれらはカロナールの副作用だけでなく、体調が悪くても起こりえるため注意が必要です。さらに重篤になると、

などが生じ、最悪命に危険が及びます。カロナールの添付文章では、肝機能障害の頻度は不明とされています。さらにカロナールの添付文章の警告文で、

1.カロナールにより重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し、1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には、定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与すること

2.カロナールとアセトアミノフェンを含む他の薬剤との併用により、アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現するおそれがある。

と肝臓のことが警告されていることから、昔は過度にカロナールの副作用を恐れていました。特に①で1500mgと投与量が具体的に記載されていたため、

というのが通例になっていました。しかし近年は、肝機能障害がない人は4000mg内服しても、ほぼ副作用がないことが分かってきました。そのため今では、

を1錠から2錠ずつ処方する機会も多くなっています。ただし、肝機能障害が決して起こらないわけではありません。1~2日程度しかカロナールを内服しない場合は問題ないですが、長期間カロナールを内服する場合は、定期的に採血するよう心がけましょう。

なおNSAIDsに属さないカロナールは、NSAIDsでよくみられる胃腸障害はほぼ起こりません。(添付文章では、カロナールを高用量投与したとき起こり得ると記載されています。)

ロキソニンなどのNSAIDsは、アラキドン酸カスケードのCOXという物質を阻害するため胃腸障害起こります。しかしカロナールは、近年このアラキドン酸カスケードにほぼ関与しないことが分かってきたため、一般的には胃腸障害は起こらないと考えられています。

 

2.カロナールが使用できない疾患は?

カロナールは、重篤な肝機能障害がある人には通例は使用できません。また、アスピリン喘息は注意が必要です。

カロナールの添付文章では、

  1. 消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍が悪化することがある。]
  2. 重篤な血液の異常のある患者[血小板機能障害を起こし、悪化するおそれがある。]
  3. 重篤な肝障害のある患者[副作用として肝障害が報告 されており、悪化するおそれがある。]
  4. 重篤な腎障害のある患者[急性腎不全、ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある。]
  5. 重篤な心機能不全のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 重篤な高血圧症のある患者[血圧を更に上昇させるおそれがある。]
  7. 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
  8. アスピリン喘息[喘息発作を誘発することがある。]

となっています。この中で注意が必要なのは、

の2つです。まず消化性潰瘍に関しては、完全にNSAIDsに属していた名残で禁忌に記載されています。先ほどの副作用でも記載したように、カロナールが潰瘍を引き起こす可能性は少ないです。むしろ現場では、NSAIDsが使えない代わりにカロナールを処方することが多いです。

また他の「重篤な」という一言がついている病気も、NSAIDsの名残です。「ロキソニンの安全性は大丈夫?ロキソニンの飲み合わせと妊娠への影響」で禁忌を見比べてみてください。カロナールとまったく同じ文言となっています。このように添付文章には、カロナールがNSAIDsと考えられていたころの名残が色濃く残っています。

実際に現場で気を付けるとしたら、

の患者さんに使用する場合です。先ほどの副作用で記載したように、肝機能障害が最も起こりやすい副作用です。様々なデータでも肝障害がない患者さんには比較的に安全に投与できるとありますが、肝機能障害がある方は話は変わります。

重篤な肝機能障害がある方は、痛み止めを使いづらいのです。お薬はほとんどが、

のどちらかで代謝されます。

「かんじんな時に頼りになる」などと使われる「かんじん」は、漢字では「肝心」となります。このことからも、肝臓は昔から非常に重要な臓器とされてきたことがわかるかと思います。つまり重篤な肝臓の障害があっても使用できるお薬と言うのは、実はほとんどありません。

そのため実臨床では、

など踏まえて、肝障害がある方でもカロナールが投与されることがあります。特に肝臓は採血で、

などで評価します。AST・ALTの数値が非常に目安になります。(本当に肝臓が悪くなった時はむしろ上がらなくなりますが、ここでは説明を割愛します。)

そのため痛みや発熱など辛い症状がある肝機能障害の患者さんは、肝臓の専門医と相談しながらカロナールを投与しますが、定期的に採血して肝臓がさらに悪くならないかみていくことは大切です。

 

もう一つ気を付ける病気としては、アスピリン喘息です。アスピリン喘息は、喘息の中でもかなり特殊な病態です。喘息は、もともとは気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。一般的には、Ⅰ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーは、好酸球やIgEが関与するアレルギー疾患で、他には花粉症や蕁麻疹などが挙げられます。

しかし最近、アレルギー以外が原因となる喘息があることが分かってきました。実はこの非アレルギー性の喘息の方が、対策もしづらく難治性といわれています。アレルギーではないということは分かっているのですが、細かい機序までは解明できていないためです。アスピリン喘息は、この非アレルギー性の喘息のひとつになります。

アスピリン喘息について詳しく知りたい方は、「痛み止めで喘息に?アスピリン喘息の症状と特徴」を一読してみてください。

実は以前では、NSAIDsを中心にこのアスピリン喘息は起きると言われており、カロナールは安全と考えられて処方されてきました。しかし近年の研究で、カロナール1回1000~1500mg投与したアスピリン喘息の方の33%の方で呼吸状態が悪化したと報告されています。

そのためカロナールは、アスピリン喘息の方は300mg以下に抑えるように喘息のガイドラインでは記載されています。絶対に使ってはいけないわけではないですが、カロナールでもアスピリン喘息が悪化することがあることを念頭においておきましょう。

 

3.カロナールで注意するべき疾患は?

軽度の肝機能障害がある人、肝臓の病気がある人はやはり注意が必要です。

上記の状態の方は、添付文章上では使用してはいけないとされている方です。ただし上記以外の方でも、添付文章には以下の疾患の方は気を付けるように記載されています。

  1. 消化性潰瘍の既往歴のある患者[潰瘍を再発させることが ある。]
  2. 血液の異常又はその既往歴のある患者[溶血性貧血等の‌副作用が起こりやすくなる。]
  3. 肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させることがある。]
  4. 腎障害又はその既往歴のある患者[浮腫、蛋白尿、血清‌ クレアチニン上昇、高カリウム血症等の副作用が起こることがある。]
  5. 心機能異常のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 過敏症の既往歴のある患者
  7. 気管支喘息の患者[病態を悪化させることがある。]
  8. アルコール多量常飲者[肝障害があらわれやすくなる。]
  9. 絶食・低栄養状態・摂食障害等によるグルタチオン欠乏、脱水症状のある患者[肝臓が悪くなることがある]

ここでも、NSAIDsと同じような内容が記載されています。しかし一般的なNSAIDsの添付文章にないのが、⑧と⑨になります。これは、カロナールが肝機能障害を生じるために記載されています。

特にアルコールを飲んでる人は、非常に注意が必要です。このことに関しては、次の項目で詳しくみていきましょう。

の病気がある人も、添付文章では悪化した事例があると記載されています。このため完全に油断はできないのですが、やはり最も注意するべきなのは肝機能障害です。

などの人は、症状が無いから大丈夫と自己判断せずに必ず医師に相談しましょう。場合によってはカロナールを使用する前に、肝機能をみておく必要があるかもしれません。

またカロナールを長期間内服する場合は、定期的に採血で肝機能の状態をみておいた方が安全でしょう。

 

4.カロナールと併用してはいけない薬はないの?

カロナールは、肝機能障害を起こすお薬との併用は注意しましょう。

カロナールの添付文章では、いっしょに併用したらいけないお薬は記載されていません。ただし他にも併用するのに注意が必要なお薬はあります。

  1. ワルファリン(抗凝血作用を増強するおそれがあるため)
  2. 炭酸リチウム(リチウムの濃度が上昇しやすくなるため)
  3. チアジド系利尿薬 (利尿・降圧作用を減弱するため)
  4. カルバマゼピン(肝機能障害が起きやすくなる)
  5. フェノバルビタール(肝機能障害が起きやすくなる)
  6. フェニトイン(肝機能障害が起きやすくなる)
  7. プリミドン(肝機能障害が起きやすくなる)
  8. リファンピシン(肝機能障害が起きやすくなる)
  9. イソニアジド (肝機能障害が起きやすくなる)

の⑨つが挙げられています。特に④~⑨は単独で使用した場合でも、肝機能障害が起こりやすいお薬です。このほか、肝臓にダメージを与えるお薬は沢山あります。カロナールを含めて薬剤性肝機能障害を引き起こした場合、どれが犯人か特定するのは非常に難しいです。

一般的には、「疑わしきは罰する」でカロナールも含めてすべて中止にしてしまいます。しかしカロナールは、代わりになるお薬は非常に少ないです。そのためカロナールを内服中の方は、お薬手帳で必ずどのお薬をいつからどれくらい投与したかきちんと管理するようにしましょう。

肝機能障害が薬剤で起きた場合、この情報は非常に重要になります。カロナールがいつから飲んでたか分からないとなると、医師側としてはカロナールを犯人として扱わなければいけなくなるので、ぜひカロナールも含めて複数のお薬を内服している人はお薬手帳を完備するようにしましょう。

 

5.カロナールとアルコールは一緒に摂取して良いの?

カロナールは肝臓を悪くするお薬です。アルコール自体が肝臓を悪くするため、カロナールと一緒に内服するのは、勧められません。

カロナールで一番怖い副作用が肝障害になります。そのため肝臓にダメージを与えるものは極力避ける必要があります。日常生活で最も肝臓にダメージを与えるのがアルコールになります。実際にアルコールだけでもアルコール肝障害が起こります。

カロナールの添付文章でも、

など複数に渡って、アルコールとカロナールの併用を注意する文章が散見されます。そのためカロナールとアルコールの併用はしないようにしましょう。

アルコールを飲みながら、カロナールを内服していた人が肝機能障害が出現したときは、カロナール自体が悪さをしていなくても、医師側はカロナールを疑います。

そして一回でもカロナールで薬剤性肝障害が出現した疑いがあるとなると、医師はカロナールの処方を避けるようになります。しかし安全性が高いカロナールがダメとなると、痛みや発熱をコントロールするのが非常に難しくなります。

場合によっては、「薬は使いづらいから我慢しましょう」とせざるを得なくなってしまいます。このように、安全性が高いカロナールを使うことができなくなってしまいます。

そもそもどんな病気も、基本は安静にして休むことが一番になります。カロナールを飲むくらい体調が悪いのであれば、アルコール自体絶対にやめましょう。

 

6.カロナールは高齢者、小児、妊婦には使用できるの?

カロナールは、高齢者には慎重に投与するように記載されています。小児でも積極的に選択されています。カロナールは妊娠の方にも投与できるお薬です。

まずご高齢の方ですが、カロナールは高齢者に対しては慎重に投与するように記載されています。理由としては、副作用が出やすいためとあります。特に上の文章をもう一度見て欲しいのですが、

などに注意するように記載されています。高齢者は今まで指摘されていなくとも、上記のどれか悪いことはしばしばあるため注意が必要です。

特にカロナールは、熱を出してる原因を治療するものではありません。どうしても若年者よりも免疫機能も落ちているため、カロナールで様子を見ていたらあっという間に状態が悪くなったということが多々あります。

高齢者でカロナールを使用する場合は長期にわたって様子をみず必ず定期的に医療機関を受診するようにしましょう。

また小児に関しては、添付文章には、

低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児に対する使用経験が少なく、安全性は確立していない。

と記載されています。逆にいえば3か月以上の乳幼児には安全性がある程度確立されていることになります。実際にカロナールは小児用にシロップも発売されており非常に多くの場面で使用されています。

ただし高齢者の時と同様に痛みや熱の原因を治すわけではないので、使用している時は病態の悪化に注意しながら使用しましょう。

妊婦の方でもカロナールは良く使用されます。NSAIDsは逆にお腹の赤ちゃんへ血液を介して移行するため、「動脈管閉塞」が生じることが報告されています。特に動脈管の働きが重要になるのが妊娠後期です。そのため妊娠後半には、大部分のNSAIDsが禁忌とされています。

そのため普段はNSAIDsで頭痛などコントロールしていた方も妊娠が分かったらカロナールに切り替えることが多々あります。ただし、

妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

の一文が添付文章では記載されています。軽症であればカロナールを飲まないに越したことはないので、注意しましょう。

 

まとめ