桔梗湯の効果と副作用

アイコン 2017.1.10 身体に効く漢方薬

風邪のひき始めを、喉の痛みで気づくことは多いですね。冬場は乾燥・風邪対策からマスクやうがいをする人も多いですが、もしも扁桃腺の腫れ、のどのいがらっぽさがあらわれてきたら、風邪のひき始めの対処として、桔梗湯が有効かもしれません。

漢方の世界では、喉が痛くなる症状の風邪は「風熱の邪」によるものとして考えられ、風邪が肺に入り込み、熱が喉の方に上がってくることによって炎症や腫れが起こります。

喉の痛みにはさまざまな原因がありますが、桔梗湯は喉の腫れや軽い寒気があり、ときおり咳や痰を伴うような風邪のひき始めに適しています。

桔梗湯は体質をほとんど選ばずに使えるので、子供から高齢者まで幅広い年代の患者さんに使うことができ、風邪の悪化を防ぎます。生薬の桔梗は、のど飴にも含まれていることが多いです。

ここでは、病院で処方される桔梗湯の効果と副作用についてお伝え していきます。

 

1.桔梗湯の生薬成分の効能

桔梗のサポニンが主成分となり、解熱・抗炎症・鎮咳去痰作用をもって喉の熱をとり、炎症を鎮めて腫れを治します。甘草の鎮咳・抗炎症作用が桔梗の効能を助け、相乗効果で喉からくる風邪の初期症状を和らげます。

漢方は、何種類かの生薬を合わせて作られています。生薬は自然界にある天然のものが由来です。天然のものといっても、生薬それぞれに作用が認められます。ですから、漢方薬は生薬の合剤といえるのです。

桔梗湯は、2つの生薬から有効成分を抽出して作られています。まずはそれぞれの生薬成分の作用をみていきましょう。

※カッコ内は、1日量7.5gに含まれる生薬の乾燥エキスの混合割合です。

桔梗湯は、桔梗と甘草の組み合わせでできた、シンプルな組成です。桔梗にはサポニンが含まれ、このサポニンが去痰作用をもち、主成分として症状にはたらきます。サポニンを含む生薬は数多くありますが、桔梗は熱をとって炎症を抑える作用も併せてもっているので、喉の腫れに効果が期待できます。

甘草は、それ自体でも喉の痛みを抑える効果はありますが、甘草の効果は「体表」の痛みを抑えるにとどまります。風邪が肺に入ったことが原因で喉が痛み、軽い寒気などの症状もある場合、十分な対処とはなりません。生薬には「性味」という性質の区分があり、桔梗の「辛味」は肺に作用すると考えられており、症状に適合するのです。

桔梗と甘草が一緒になることで、痛みの根本となる炎症自体を抑え、初期の風邪自体を治していく漢方薬になります。

桔梗湯の生薬の由来についてまとめました。

 

2.桔梗湯の証

陰陽(中)・虚実(中)・寒熱(熱)

漢方では、患者さん一人ひとりの身体の状態をあらわした「証」を考えながら薬を選んでいきます。証には色々な考え方があり、その奥はとても深いです。

漢方薬を選ぶに当たって、患者さんの体格や体質、身体の抵抗力やバランスの崩れ方などにあわせて「証」をあわせていく必要があります。証を見定めていくには、四診という伝統的な診察方法を行っていくのですが、そこまでは病院ではできません。

このため、患者さんの全体像から「証」を推測して判断していきます。「陰陽(いんよう)」「虚実(きょじつ)」「寒熱(かんねつ)」など、証には様々な捉え方があります。

このうち医者が参考にする薬の本には、たいてい「陰陽」と「虚実」しかのっていません。陰陽は身体全体の反応が活動的かどうかをみて、虚実は身体の抵抗力や病気の勢いをみます。つまり病院では、以下の2点をみています。

さらに漢方では、「気血水」という3つの要素にわけて病気の原因を考えていきます。身体のバランスの崩れ方をみていくのです。

漢方の証について詳しく知りたい方は、「漢方の証とは?」をお読みください。

桔梗湯が合っている方は、以下のような証になります。

 

桔梗湯は、喉の炎症に効果があるので「熱証」に適していますが、体質については特に偏りがなく、急性・慢性症状も両方に使用可能です。副作用に気をつければ、ほとんどの人が使うことができます。

 

3.桔梗湯の効果と適応

桔梗湯は、漢時代に書かれた「傷寒論」という漢方の古典書をもとに生薬の成分を配合しています。それぞれの生薬成分の効果があわさって、ひとつの漢方薬としての効果がみられます。

喉に症状がでる原因はさまざまで、乾燥や風邪など、また体の水分がうまく代謝されないときにも、痛みはなくとも痰が出ることがあります。

水分の代謝が原因の場合は痛みが伴わないこともあるので対処は別になりますが、痛みがある場合、はじめに甘草湯を処方される場合があります。

単なる乾燥により喉に痛みが出る場合、喉を潤す処方も併せておこなうことが大事ですが、風邪が原因の場合は甘草湯では十分な効果を得られません。また乾燥による喉の痛みは、そのまま風邪へと進行していくことも多いので、甘草湯で治りが悪ければ桔梗湯を使います。

風邪による喉の痛みは風邪が肺に入ったことによりますので、咳や痰も伴い、軽い熱が出ることもあります。

こうなると、甘草湯が得意とする「体表」の痛みへの対処では治らなくなり、炎症部位から熱をとる「清熱解毒」が必要になります。熱をもって腫れるのは喉なので、薬が喉を通るときに炎症部位に直接触れる桔梗湯はその抗炎症作用が高く、また肺に作用することで、風邪が進行していくことも防ぎます。

なお、添付文章に記載されている桔梗湯の適応は以下になります。

咽喉がはれて痛む次の諸症:扁桃炎、扁桃周囲炎

[参考]

使用目標:咽・喉部の炎症で、疼痛、腫脹、発赤がある場合に用いる。

1)軽度の発熱、咳嗽、喀痰、嚥下困難などを伴うことが多い。

 

4.桔梗湯の使い方

1日2~3回に分けて、空腹時(食前・食間)が基本です。飲み忘れが多くなる方は食後でも構いません。

桔梗湯は、ツムラから発売されています。1日量は、ツムラは7.5gになっています。

桔梗湯は、1日2~3回に分けて服用します。漢方薬は空腹時に服用することを想定して配合されています。ですから、食前(食事の30分前)または食間(食事の2時間後)に服用します。量については、年齢や体重、症状によって適宜調整します。

漢方薬を空腹時に服用するのは、吸収スピードの問題です。麻黄や附子などの効果の強い生薬は、胃酸によって効果が穏やかになります。その他の生薬は、早く腸に到達することで吸収がよくなります。桔梗湯を食前に服用するのは、吸収をよくするためです。

とはいっても、空腹時はどうしても飲み忘れてしまいますよね。現実的には食後に服用しても問題はありません。ただし、保険適応は用法が食前のみなので、形式上は変更できません。

また、薬をお湯で溶いて冷ましておき、都度、それで喉を潤すように飲むことも効果的です。腫れがある患部に何度も薬が触れるため、効きがよいとされているのです。

 

5.桔梗湯の効き目とは?

効果は、軽度の咽頭炎であれば2日ほど。慢性の症状であれば、2〜3ヶ月かけてゆっくりと認められることが多いです。

それでは、桔梗湯の効き目はどのような形でしょうか。

体質を選ばない漢方薬なので、喉からくる風邪の初期症状という証に合っていれば、2日ほどで痛みと腫れが治まることが多いです。

慢性的な症状には体質の改善の必要があるので、2〜3ヶ月という期間が目安となります。

漢方薬の効果について詳しく知りたい方は、「病院で処方される漢方薬の効果とは?」をお読みください。

 

6.桔梗湯の副作用

桔梗湯では、誤治や生薬固有の副作用が中心です。

漢方薬は一般的に安全性が高いと思われています。しかしながら、生薬は自然のものだから副作用は全くないというのは間違いです。

漢方薬の副作用としては、大きくわけて3つのものがあります。

漢方薬の副作用として最も多いのが誤治です。漢方では、その人の状態に対して「漢方薬」が処方されます。ですから状態を見誤って処方してしまうと、調子が悪くなってしまったり、効果が期待できません。このことを誤治といいます。

誤治では、さまざまな症状が認められます。これを副作用といえばそうなるのですが、その原因は証の見定めを間違えたことにあります。あらためて証を見直して、適切な漢方薬をみつけていきます。

ま た、食べ物でもアレルギーがあるように、生薬にもアレルギーがあります。アレルギーはどんな生薬にでも起こりえるもので、体質に合わないとアレルギー反応 が生じることがあります。鼻炎や咳といった上気道症状や薬疹や口内炎といった皮膚症状、下痢などの消化器症状などが見られることがあります。飲み始めに明 らかにアレルギー症状が出ていたら、服用を中止してください。

そして、生薬自体の作用による副作用も認められます。生薬の中には、その作用が悪い方に転じて「副作用」となってしまうものもあります。

桔梗湯の生薬成分には甘草が含まれており、これを大量に服用すると「偽アルドステロン症」と呼ばれるだるさや浮腫(むくみ)、血圧上昇、低カリウム血症が生じたりすることがあります。複数の漢方薬を併用する際には、とくに注意が必要です。

漢方薬の副作用について詳しく知りたい方は、「漢方薬で見られる副作用とは?」をお読みください。

 

まとめ

桔梗に含まれるサポニンが主成分となり、炎症を抑えて熱をとり、痰を除去して腫れを鎮めます。甘草は痛みをとり、桔梗の作用を高めるはたらきをします。

寒熱について、熱証に適応しますが、体質は問いません。

桔梗湯は、以下のような方に使われます。