桂枝茯苓丸の効果と副作用

アイコン 2016.9.8 身体に効く漢方薬
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漢方の世界では、血の巡りの滞りを「瘀血(おけつ)」という考え方でとらえます。こおような瘀血を改善し、主に女性の生理関連のトラブルに有効とされているのが「桂枝茯苓丸」です。

桂枝茯苓丸は、体内で気が上半身に滞ることで発生する「ほてり」を改善します。また血の巡りが滞ることで、体内の隅々に暖かさがゆき渡らず、それによる「冷え」を改善します。つまり気と血の巡りを整えることで、桂枝茯苓丸は体内の熱のバランスを整えてくれます。

ほてりと冷えというと女性に多い症状で、とくに月経による体の不調がある女性によく使われます。具体的には、月経困難、子宮内膜炎、卵巣炎、月経過多などに有効です。

それだけでなく桂皮茯苓丸は、血流を改善して全身の熱のバランスを整え、のぼせや冷えを改善し、イライラなどの精神不穏も鎮めます。

このように桂枝茯苓丸は、いわゆる「血の道症」とよばれる女性ホルモンの変動による心身の症状によく使われます。

ここでは、病院で処方される桂枝茯苓丸の効果と副作用についてお伝え していきます。

 

1.桂枝茯苓丸の生薬成分の効能

桂枝茯苓丸は、体を温め、気と血の流れを良くすることが主な効能です。鎮静作用のある成分も配合されることで、精神も落ち着きます。

漢方は、何種類かの生薬を合わせて作られています。生薬は自然界にある天然のものが由来です。天然のものといっても、生薬それぞれに作用が認められます。ですから、漢方薬は生薬の合剤といえるのです。

桂枝茯苓丸は、5つの生薬から有効成分を抽出して作られています。まずはそれぞれの生薬成分の作用をみていきましょう。

※カッコ内は、ツムラの製剤1日量7.5gに含まれる生薬の乾燥エキスの混合割合です。

成分中、桂皮は体を温めて発汗することで新陳代謝を高めるとともに、解熱効果が認められます。芍薬には血管拡張作用によって血の巡りを促進し、結果として筋弛緩作用により肩こりが改善され、冷えにも効果が期待できます。

茯苓には利尿作用があり、桂皮の発汗作用と合わせて、体内の余分な水分を排出して、むくみを解消させます。また、鎮静作用も認められ、イライラなど、精神不穏に効果をあらわします。

桃仁と牡丹皮は駆血作用があり、芍薬の血管拡張作用と合わせて血行を促します。

桂枝茯苓丸の生薬の由来について。

 

2.桂枝茯苓丸の証

陰陽(陽証)・虚実(実証)・寒熱(中間)・気血水(気逆・瘀血)

漢方では、患者さん一人ひとりの身体の状態をあらわした「証」を考えながら薬を選んでいきます。証には色々な考え方があり、その奥はとても深いです。

漢方薬を選ぶに当たって、患者さんの体格や体質、身体の抵抗力やバランスの崩れ方などにあわせて「証」をあわせていく必要があります。証を見定めていくには、四診という伝統的な診察方法を行っていくのですが、そこまでは病院ではできません。

このため、患者さんの全体像から「証」を推測して判断していきます。「陰陽(いんよう)」「虚実(きょじつ)」「寒熱(かんねつ)」など、証には様々な捉え方があります。

このうち医者が参考にする薬の本には、たいてい「陰陽」と「虚実」しかのっていません。陰陽は身体全体の反応が活動的かどうかをみて、虚実は身体の抵抗力や病気の勢いをみます。つまり病院では、以下の2点をみています。

さらに漢方では、「気血水」という3つの要素にわけて病気の原因を考えていきます。身体のバランスの崩れ方をみていくのです。

漢方の証について詳しく知りたい方は、「漢方の証とは?」をお読みください。

桂枝茯苓丸が合っている方は、以下のような証になります。

桂枝茯苓丸は、中間証の人に向いている漢方薬になります。

 

3.桂枝茯苓丸の漢方としての効果

桂枝茯苓丸は、上半身から下半身へ「気」を下降させる「降気剤」として使われます。滞った「瘀血」を巡らせる「駆瘀血剤」として用いられます。

桂枝茯苓丸は、漢時代の「金匱要略」という古典書をもとに、生薬の成分を配合しています。それぞれの生薬成分の効果があわさって、ひとつの漢方薬としての効果がみられます。

漢方では、「気・血・水」の3つが体内を巡っているという考え方をします。この流れに異常が起きてバランスが崩れたとき、体の各部位に症状が起こるとされます。

桂枝茯苓丸は、気逆と瘀血という状態を改善してくれる漢方薬になります。気逆とは、本来は下降するべき「気」が逆流し、上半身には詰まってしまった状態です。症状としては、「下腹部から突き上げる感じ」と、「のぼせ」があります。

瘀血とは血の巡りが滞ってしまっている状態で、「血」は「気」の作用によって体内をめぐっています。ですから気の異状によって、血の巡りが妨げられてしまうのです。

桂枝茯苓丸は、「気逆」の病態に対し、上半身から下半身へ「気」を下降させる「降気剤」として使われます。また、滞った「瘀血」を巡らせる「駆瘀血剤」として用いられます。「気」と「血」を体内にゆき渡らせてバランスを整えてくれる漢方薬なのです。

 

4.桂枝茯苓丸の効果と適応

桂枝茯苓丸がもっともよく使われるのは、「血の道証」と呼ばれる女性ホルモンの変動による症状です。

身体症状だけでなく精神症状にも有効で、月経前後で不安定になる月経前緊張症(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)、閉経が近づいてくると認められる更年期障害などに使われます。イライラやうつ、不安や不眠などを改善してくれます。

桂枝茯苓丸は「気」と「血」を体内にゆき渡らせてくれてバランスを整えてくれるので、上半身のほてりと下半身の冷えが同時に起こる、「冷えのぼせ」の改善が期待できます。

血の巡りがよくなることで、血液がうっ滞することによる病気である痔にも効果が期待できます。筋肉の血流もよくなり、肩こりにも効果がみられます。

それだけでなく、皮膚の血流もよくなり、鎮静作用によりストレスが軽減することから皮膚疾患にもプラスに作用します。ニキビやシミ、湿疹やじんましん、皮膚炎や火傷などにも効果が認められることがあります。

なお、添付文章に記載されている桂枝茯苓丸の適応は以下のようになっています。

比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える次の諸症:
月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ

 

5.桂枝茯苓丸の使い方

1日2~3回に分けて、空腹時(食前・食間)が基本です。なお、年齢や体重、症状によって、量は増減します。

桂枝茯苓丸は、ツムラやコタロー、クラシエなどから発売されています。1日量は、ツムラは7.5g、コタローは6g、クラシエは6gとなっています。クラシエからは錠剤も発売されていますが、1日18錠にも上ります。

桂枝茯苓丸は、1日2~3回に分けて服用します。漢方薬は空腹時に服用することを想定して配合されています。ですから、食前(食事の30分前)または食間(食事の2時間後)に服用します。量については、年齢や体重、症状によって適宜調整します。

漢方薬を空腹時に服用するのは、吸収スピードの問題です。麻黄や附子などの効果の強い生薬は、胃酸によって効果が穏やかになります。その他の生薬は、早く腸に到達することで吸収がよくなります。桂枝茯苓丸を食前に服用するのは、吸収をよくするためです。

とはいっても、空腹時はどうしても飲み忘れてしまいますよね。現実的には食後に服用しても問題はありません。ただし、保険適応は用法が食前のみなので、形式上は変更できません。

桂枝茯苓丸は、体力、体格ともにある程度しっかりした人に向く処方です。弱っている人、体力のない人には向かず、また、5歳未満には処方しません。

 

6.桂枝茯苓丸の効き目とは?

効果は2週間以上かけてゆっくりと認められることが多いです。

それでは、桂枝茯苓丸の効き目はどのような形でしょうか。

桂枝茯苓丸の効果は、症状にぴったり合っていれば、速やかに効果をあらわすこともあります。特に、月経痛や生理不順、冷え性には比較的早い効果が認められることもあります。

しかしながら一般的には、2週間から1か月かけて少しずつ効果が認められることが多いです。ニキビやシミなどの皮膚への効果は新陳代謝の期間を必要とするので、最低でも1ヶ月間の服用が必要です。

何よりも、体質改善をし、症状を根本的に治癒することを目的とした処方なので、副作用がない限り、焦らずに服用を続けることが大切です。

漢方薬の効果について詳しく知りたい方は、「病院で処方される漢方薬の効果とは?」をお読みください。

 

7.桂枝茯苓丸の副作用

桂枝茯苓丸では、誤治や生薬固有の副作用が中心です。

漢方薬は一般的に安全性が高いと思われています。しかしながら、生薬は自然のものだから副作用は全くないというのは間違いです。

漢方薬の副作用としては、大きくわけて3つのものがあります。

漢方薬の副作用として最も多いのが誤治です。漢方では、その人の状態に対して「漢方薬」が処方されます。ですから状態を見誤って処方してしまうと、調子が悪くなってしまったり、効果が期待できません。このことを誤治といいます。

誤治では、さまざまな症状が認められます。これを副作用といえばそうなるのですが、その原因は証の見定めを間違えたことにあります。あらためて証を見直して、適切な漢方薬をみつけていきます。

桂枝茯苓丸比較的体力がある人に向いており、弱っている人には適さない処方であるため、証の見きわめが大切です。

また、食べ物でもアレルギーがあるように、生薬にもアレルギーがあります。アレルギーはどんな生薬にでも起こりえるもので、体質に合わないとアレルギー反応 が生じることがあります。鼻炎や咳といった上気道症状や薬疹や口内炎といった皮膚症状、下痢などの消化器症状などが見られることがあります。飲み始めに明らかにアレルギー症状が出ていたら、服用を中止してください。

そして、生薬自体の作用による副作用も認められます。生薬の中には、その作用が悪い方に転じて「副作用」となってしまうものもあります。

桂枝茯苓丸の副作用は、重篤なものは滅多に起こらないとされています。肝臓に負担をかけて肝機能障害を生じることがあるので、採血などで定期的にチェックしていくことが必要です。

生薬成分である桃仁と牡丹皮は、駆血作用が強く出ると妊娠中の女性にはよくない影響が出る可能性があります。大量でなければ心配はないとされていますが、妊娠中の服用については、必ず医師に相談しましょう。

漢方薬の副作用について詳しく知りたい方は、「漢方薬で見られる副作用とは?」をお読みください。

 

まとめ

体をあたためて血流を促進して、体内の熱のバランスをとります。気逆と瘀血に効果があります。桂皮が体をあたためて芍薬が血流を促進させ、体に血と熱を巡らせます。茯苓は鎮静作用を持ち、精神不穏を鎮め、ストレスから起こる皮膚トラブルも改善します。桃仁、牡丹皮は血液をきれいにし、皮膚の炎症をおさえます。

陰陽(陽)・虚実(中間〜実証)・寒熱(中間)・気血水(気逆・瘀血)

桂枝茯苓丸は、以下のような方に使われます。