クリニックの役割とは?まずはクリニックを受診した方が良い理由

アイコン 2016.8.24 内科について

クリニックと聞くとみなさんどのようなイメージを持たれますか?

といったところでしょうか?一方でクリニックと大きな総合病院を比較するとどう思うでしょうか?

このように、クリニック<総合病院と考えている人もいらっしゃるかもしれません。クリニックよりも総合病院の方が進んでいるというイメージから、総合病院での治療を希望する患者さんは少なくありません。

ですがクリニックの方が向いている患者さんはとても多いです。総合病院では、むしろ丁寧に診察してもらえないこともあります。

そして現在の日本の医療は、クリニックと総合病院の連携で診療を行うように国も推奨しています。ここではクリニックの役割を踏まえたうえで、クリニックを受診した方が良いケースを考えていきたいと思います。

 

1.クリニックのメリット、デメリットは?

<メリット>

<デメリット>

クリニックのメリット・デメリットを考える前に、クリニックと総合病院の違いを考える必要があります。クリニックと総合病院の線引きは、そもそもどこなのでしょうか?医療法では、

となっています。つまり入院できるかどうかが大きな分かれ目です。規模の大きい総合病院では、100床以上のベッドがあります。そして、内科や外科、産婦人科や眼科といった複数の科があることが条件となります。

さらに、

これらを満たしたうえで、都道府県知事の承認を得て始めて「総合病院」と名乗ることが出来ます。

ちなみに総合病院は看護師や薬剤師の数も最低人数がありますが、クリニックは医師1人いれば成り立ちます。そのためクリニックとは、入院設備がない(もしくは少ない)医療機関というのが法律上の定義です。

このためクリニックのデメリットは、入院が必要な場合や特殊な検査が必要な場合は、総合病院へ転院する必要があることです。

一方で、クリニックにはメリットもたくさんあります。まず一つ目が、クリニックは外来に特化しているため、患者さんの都合に合わせて受診しやすい点です。総合病院は外来以外にも、

など多くの役割があります。そのため外来は、何曜日何時から何時までと決まってることがほとんどです。一方でクリニックの場合は、開業時間であればいつ受診しても対応してもらえます。そのため患者さんの生活リズムを変える負担が少なくなります。

さらに総合病院は様々な科があるため、一つの病気はそれぞれの専門科で診てもらうようにします。専門的な治療が受けられる一方で、軽症の患者さんの治療はクリニックと変わりません。複数病気がある人はそれだけ受診回数も増え、治療費も上がってしまいます。

クリニックは基本的に複数の疾患があっても一人の先生で見ることが多いです。これをかかりつけ医といいます。

軽症であれば、かかりつけ医の方が色々な疾患を一人で管理するため、全体的なコントロールが良い場合が多いです。総合病院ではいろいろな科で薬が出されるので、多剤になってしまうこともあります。

さらに風邪などの一般的な病気では、クリニックの方が素早く対応できることが多いです。総合病院は、クリニックからの紹介患者さんの対応が主です。重症例や難治性の病気の患者さんに重きを置きます。

そのため重症か軽症かを見極めるのは、クリニックの方が慣れています。もし重症の場合は、総合病院へ紹介状を作成して精査してもらうこともできます。

このようにクリニックの役割は、

  1. 軽症か重症かを見極める最初の窓口
  2. かかりつけ医としてずっと患者さんを診ていく役割

の2つがあります。それぞれの役割について確認していきましょう。

 

2.軽症か重症かを見極める最初の窓口の役割とは?

クリニックで最初に診てもらい、重症であれば紹介状を作成してから総合病院へ受診するのが日本医療の流れになっています。

一昔前までは、最初の窓口は総合病院が担うことがとても多かったのです。最初に総合病院で色々検査をして、診断をつけて治療が安定すればクリニックへ紹介するという流れです。

その結果、総合病院は患者さんであふれかえってパンクしてしまいました。そのため重症患者さんの治療は遅れてしまい、軽症患者さんは何時間も待っても呼ばれない・・・そういったことが日常茶飯事でした。

この状態を国も問題視し、平成12年度の診療報酬の改正で、

このような方針を明確にするため、総合病院を受診するにはクリニックの紹介状が必要となる流れを作りました。紹介状を持って行かないで総合病院を受診すると、2000円程度の選定療養費が初診代に別途かかるようになっています。(そもそも紹介状がないと受診できない総合病院も多いです。)

初診代は270点(1点10円)=2700円で、自己負担3割の方は810円です。この初診代はクリニックでも総合病院でも変わりません。選定医療費を払えば丁寧に診てもらえるのかというと、そんなことはありません。

大きな病院は、緊急性が高い病気や癌など命にかかわる病気の方が大勢います。どうしてもそちらに時間を割くことになるため、軽症患者さんは後回し、場合によってはクリニックに行くように指示されることもあります。

一方でクリニックで最初に診てもらって、

となった時は、大きな病院に紹介してもらえます。このお墨付きがあれば、「クリニックの医療設備では対応できない=大きな病院の医療設備が必要」ということになるので、色々な検査をしてしっかりと調べてくれます。

この時に気を付けなければいけないのが、紹介状を必ずクリニックに書いてもらうようにすることです。クリニックの紹介状がないまま受診しても、今までの治療経過が分からないので医師側も困ることが多いです。場合によっては、前医からの紹介状をもらってくるようにといわれて帰されてしまうこともあります。

詳しく知りたい方は、「自分の症状はクリニック?大きな病院?どちらを受診すれば良いのか」を一読してみてください。

 

3.かかりつけ医としての役割は?

1つのクリニックが複数の疾患をコントロールすることで、患者さん一人一人の健康を維持します。また疾患がない人でも何かあった時のクリニックを同じにすることで、データの蓄積および比較ができるようになります。

アメリカでは一人の患者さんが複数の科を受診することが増えた際に、これが人にとって本当に良いのかと問題になりました。そんな背景で1969年に、「家庭医学科」が専門科として設立されました。

この家庭医学科は、以下の5つの事が重要視されました。

  1. Accessibility(近接性)
  2. Comprehensiveness(包括性)
  3. Coordination(協調性)
  4. Continuity(継続性)
  5. Accountability(責任性)

それぞれを詳しくみてみましょう。

①Accessibility(近接性)

常に身近な存在としていることです。距離的も近く通いやすい、経済的な負担が軽いなどの面だけでなく、医師と患者さんが気持ちも近く、気兼ねなく話せるなどの内面の近接性も含みます。

②Comprehensiveness(包括性)

高血圧、糖尿病など細かく専門科を分けずに、一人の患者さんの疾患全てを診ます。これは継続的な薬の処方だけでなく、それぞれの病気の予防や、新しく発症した病気の対応まで含みます。

③Coordination(協調性)

今まで診てきた病気が悪化したり、新しく発病した際に専門家と協力して診ていくことです。その時大切なのは他の先生にバトンタッチというよりも、患者さんと一緒に協力して診ていくという姿勢です。専門家で診断がついた、治療が落ち着いた際は、また家庭医学科として診ていきます。

④Continuity(継続性)

年齢は関係なく、受診したらいつまでも診ていくことを示します。「ゆりかごから墓場まで」という言葉を目標に、寄り添える限り治療を継続して、さらには病気が良くなったとしても続けて診ていくことを目指します。

⑤Accountability(責任性)

以上4つの事を、医師が責任を持って医療に努めることを示します。患者さんに分かりやすく診療し、医師と患者の二人で診ていく責務を果たします。

この5つを柱に、アメリカは家庭医学科を総合内科として確立した科として機能しています。まず総合内科で診てもらわないと保険が下りないことから、アメリカは非常に総合内科が発達しております。一方で日本は国民皆保険制度のため、家庭医学科はそこまで周知されていません。

総合内科について詳しく知りたい方は「総合内科ってどんな内科?」を一読してみてください。

家庭医学科とは、日本でいうところのクリニックのかかりつけ医となります。かかりつけでは病気になってから診てもらうだけでなく、病気になる前から定期的に診ていくことになります。

これらは生活習慣病といわれていますが、症状がすぐ出てくるわけではありません。一方で放置すると、

などの致命的な病気のリスクになります。これらは病気になってからでは遅くなってしまうことも多いです。病気になってから後悔する前に、このかかりつけ医に定期的にかかって健康状態を診てもらうことが必要です。

さらにかかりつけ医は、軽症な病気を複数持っている人こそお勧めしたいです。例えば糖尿病、高血圧、喘息、脳梗塞後の後遺症の4つの病気を持っている人がいたとしましょう。大きな総合病院ですと、

と専門の科がそれぞれの病気を診ていきます。しかしこれは、非効率なうえに事故のもとにもなります。お互いの科が何をしているか見えづらいため、一緒に飲んではいけない薬がごっちゃになったり、同じ検査を何回も受けたりします。お薬の量も多剤になりがちで、受診回数も複数になってしまいます。

一方でクリニックであれば、これら4つの病気を一緒に診ていくことができます。さらに4つの病気を診る前に、全体のバランスを考えてトータルで患者さんを診ることがとても大切になります。

このように1つの体で4つの病気がある場合、4つの病気がお互いの病気に関連するのです。そのため4つの病気を一つのかかりつけ医でコントロールしていき、どれかの病気が悪化した場合に総合病院で詳しく診てもらうようにした方が非常に効率が良いです。

一方で何も病気がない人でも、かかりつけ医の意識を持った方が良いです。ひとつのクリニックで継続的にみてもらえば、情報は長期間保存されます。そのため風邪をひくたびに違うクリニックにいくより、毎回同じかかりつけの先生に診てもらった方が過去のデータと比較ができます。(紙カルテよりも電子カルテを導入しているところの方がメリットがあるかと思います。)

医療の世界では、比較というのはとても大切です。

このように同じ検査を同じクリニックですることで、あなた自身のデータが蓄積されます。この蓄積されたデータは、症状が重症化して総合病院に行くときにも引き継がれて、非常に有意義になることが多いです。

このように病気がない人でも、同じ窓口のかかりつけ医を決めておくだけで、非常に有意義な治療が受けられるのです。

 

まとめ

<メリット>

<デメリット>