統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害の特徴とは?症状・診断・治療

アイコン 2016.9.26 その他のパーソナリティ障害
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統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害とは、統合失調症に近い状態が見られ、社会適応に困難が目立つパーソナリティ障害になります。

外的関心の薄い統合失調質(スキゾイド)パーソナリティ障害、疑いが深すぎる妄想性パーソナリティ障害と並び、統合失調症を発症しやすいパーソナリティであるといわれています。

そんな統合失調型パーソナリティ障害の症状や診断、治療はどのような特徴があるのでしょうか。家族などの周囲の対応策も含めて、ご紹介していきます。

 

1.統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害の特徴とは?

統合失調型パーソナリティ障害の方は、一見して風変わりにうつります。社会にうまく適応している方も多く、芸能人などにも見受けられます。

統合失調型パーソナリティ障害は、一般的には奇異な振る舞いや恰好など、目に見えて「変わり者」とされる特徴が目立つとされています。

しかし、自分のパーソナリティを無理に曲げて一見普通の社会生活をおくる人も多く、パーソナリティ障害としての問題が深くなりやすいのは、むしろそちらのタイプと言われています。

また、一般社会から奇異な振る舞いに見えたとしても、それを生かした職業についている場合、むしろそれは一種の才能となり、パーソナリティ障害としては扱われません。強い勘や独自の世界観を生かして人気の占い師になっていたり、創作活動で開花していたりする例などがそうです。

その場合、恰好やライフスタイルが一般社会からかけ離れていても、「個性」として広く世間に受け入れられることにもなります。芸能人として活躍されている方も多く、そういわれれば…と頭に浮かぶ方もいらっしゃるかと思います。

 

2.統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害の症状

統合失調型パーソナリティ障害は他人に関して無関心というよりは、むしろ過敏になっています。非現実的な思考や感覚を特徴として、現実社会と遮断されて社会適応がうまくいかなくなると精神症状が生じます。

統合失調型パーソナリティ障害は、うまく社会に適応できれば障害とはなりません。ですが多くの場合、社会からは風変わりで奇異にうつってしまうので、うまく適応できません。それによって不安や抑うつといった症状が認められることがあります。

統合失調型パーソナリティ障害では、どのような思考や行動の特徴があるのでしょうか。それによってどのような症状につながっていくのでしょうか。

統合失調型パーソナリティ障害の思考・行動とそれによる症状をみていきましょう。

偶然おこった出来事を自分と結び付けて考える

一般的によくある偶然の出来事に対し、「あの人は自分をつけ狙っている」「自分を監視しているスパイだ」のように、自分と関連づけた非現実的な考えを持つ場合があります。

霊感・魔力・呪術・超能力など不思議な力を固く信じている

統合失調型パーソナリティの人は、科学的には証明されていない不思議で特別な力の存在を、固く信じている傾向が強いとされています。

趣味の範囲で信じて興味を持っているだけなら珍しいことではありませんし、それ自体が悪いわけではありませんが、かたくなに信じすぎて人の言葉を聞き入れないような状態になると、社会適応が困難になりやすくなります。

③年齢や社会状況にそぐわない目立つ格好をしている場合がある

自分自身の独自の感性に基づき、かなり個性の強い格好をしている場合があります。上にも書いた通り、占い師や芸術家などの場合は、職業とマッチングするのでむしろプラスの要素と受け取られますが、一般社会で暮らすにあたっては、周囲から浮いてしまう原因になりがちです。

ただ、それによって本人や周囲が支障を感じなければ、とくに問題はありません。また、そのような自分をおさえ、無理に社会規範に沿った格好をしている人も多いとされています。この場合、本人がそのギャップを割り切り上手く付き合えているなら問題になりませんが、無理をすることが強いストレスとなっている場合もあります。

感情の表現がわかりにくい

統合失調症の特徴として、感情表現が乏しくなり、感情のヒダがなくなっていきます。統合失調型パーソナリティ障害でも、それに近い状態が見られる場合があります。認知の仕方や感情の持ち方に障害があり、不適切な感情表現となってしまいます。

別におかしくもないシーンで笑ってしまったり、楽しいはずの話題に無表情だったり、周囲との波長がうまくかみあわず、孤独におちいりやすくなります。

独り言が多い

統合失調型パーソナリティ障害の人は内面活動が活発で、独自の内面世界があったり、様々な言葉が常に頭を飛び交っていたりする場合があります。

そのため、一人で会話をしているような独り言が多かったり、急に声を発したりして周囲を驚かせるときがあります。

原因不明の逸脱行動がおこる場合がある

過食、過食嘔吐、薬物乱用、性的逸脱、アルコール依存などが急におこる場合があります。

同じく逸脱行為の見られやすい境界性パーソナリティ障害の人の場合、対人関係のつまずき、家庭や恋愛の問題、周囲の関心を引くためなど、ある程度のきっかけがわかるケースも多いです。しかしながら統合失調型パーソナリティ障害の人の逸脱行為は、ある日突然始まり、本人にもその原因やきっかけがわからない傾向が強いです。

一過性の精神病状態におちいりやすい

統合失調型パーソナリティの人は、強いストレスがかかると妄想や幻聴を発症することがあります。しかし、統合失調症のようにそれが継続せず、一過性のもので終わります。

統合失調症を発症はしていないけれど、それに近い状態、そこに至りやすい要素を元々持っているとされています。

⑧他人に警戒心を抱きやすい

統合失調型パーソナリティ障害の人は、自分独自の世界に踏み込まれ、それを侵されたり否定されたりすることを非常に嫌う傾向があります。

悪気なく自分に関心を寄せて近づいてくる人に対しても、強い警戒心を抱く場合があります。周囲と打ち解けづらく、身近な人が好意を持っても仲良くなるのが難しいと言われています。基本的に友人関係はほとんど築きません。

統合失調質パーソナリティ障害のような無関心さではなく、統合失調型パーソナリティ障害ではむしろ、敏感に相手の反応を見ている傾向があります。

 

3.統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害の診断基準

統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害の診断基準は、DSM-Ⅴではパーソナリティ障害、ICD-10では統合失調症のカテゴリーとなっています。

国際的な診断基準として、アメリカ精神医学会(APA)による「DSM-Ⅴ」と、世界保健機関(WHO)による「ICD-10」があります。

統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害は、DSM-Ⅴではパーソナリティ障害、ICD-10では統合失調症のカテゴリーに含まれています。統合失調症との関連が深いパーソナリティと考えられています。

どのような診断基準となっているのでしょうか?ご紹介していきます。

3-1.DSM-Ⅴ

A.以下のうち5つ以上の特徴が成人期早期までに始まり、広い範囲で見られる。(親密な関係では急に気楽でいられなくこと・そうした関係を形成する能力がたいないこと・認知的または知覚的歪曲と風変わりな行動)

  1. 関係念慮(本来自分とは関係のない出来事が、自分と関係があるように思えたり、自分にとって特別な意味を持つように感じたりする症状)
  2. 奇異な信念・魔術的思考があり、それが行動に影響する。
  3. 本来無いはずのものが見えたり感じられたりするといった普通でない知覚体験
  4. 奇異な考え方と話し方(曖昧、まわりくどい、細部にこだわる、内容が乏しいなど)
  5. 疑い深さ・妄想的観念
  6. 不適切、または収縮した感情
  7. 奇妙で風変わりな行動や外観
  8. 第一度親族(親・子・兄弟)以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。
  9. 社会に対して過剰な不安があり、その不安は妄想的傾向が強く、慣れによって軽減しない。

B.統合失調症、気分障害による精神病症状、自閉症スペクトラム障害の経過中ではなく、ほかの精神病性障害でない。

3-2.ICD-10

  1. 不適切な感情
  2. 奇異な行動や容姿
  3. 疎通性が乏しく、引きこもっている
  4. 奇妙な信念や神秘的考え
  5. 疑い深さ、妄想的観念
  6. 強迫的な反復思考
  7. 現実感喪失や離人症などの異常近く体験
  8. 曖昧で回りくどい常同的な思考
  9. 幻覚や妄想様観念がきっかけなく生じる

 

4.統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害の治療

統合失調型パーソナリティ障害では、抗精神病薬が有効なこともあります。薬で症状を緩和しながら、少しずつ現実的な生活の仕方を話し合い、必要最小限の社会・対人スキルを身に着ける必要があります。

このパーソナリティ障害の人は、全体的にエネルギーが希薄な統合失調質(スキゾイド)パーソナリティ障害とは反対に、統合失調症の妄想や幻覚などの陽性症状に傾向が近く、常に頭がせわしなく活動し、心身が疲労してしまうことが多いとされています。

また、こだわりが強いわりに繊細な神経や勘の強さを合わせ持ち、周囲の気配を敏感に察知していることも多いです。このためストレスを感じやすく、お薬によって症状を緩和させられることもあります。

統合失調症と重なる部分が多いため、抗精神病薬が有効な場合もあります。そのほか、不安や抑うつ、興奮などの症状に合わせてお薬を使っていくことで、症状を軽減を目指します。

 

根本的な改善策としては、いかに本人が無理をしないで現実的な生活がおくれるかというところにポイントがあります。

できるだけ自分のペースを尊重しやすい職場や生活環境を探し、自分自身のパーソナリティと現実生活との折り合いを上手くつけられるような工夫が必要です。あるがままの自分を解放できる場として、定期的に理解ある医師や心理士さんの元を訪れるようにすることも、有効な対策です。

治療者との信頼関係が培われ、他人への警戒心が少しずつ緩んできたら、必要最低限の社会・対人スキルを身に着けていく必要があります。

自由度の高いデイケアなどで他人と触れ合う練習をしたり、コミュニケーションやものの見方など社会スキルを身につける訓練(SST)を行うこともあります。

 

5.統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害に対する接し方

本人のパーソナリティを尊重しながら接し、適度な距離感をもって接していくのが理想です。

周囲に統合失調型パーソナリティ障害の人がいる場合、無理に距離を縮めようとするのは避けた方がよいといわれています。本人の常識はずれの言動や思いこみを否定せず、かといって無理に同調もせず、適度な距離を保つようにしましょう。

独自の世界観に興味が湧き、突っ込んであれこれ聞いてみたいと感じる場合もあるかもしれませんが、内面に触れられるのを嫌がり警戒する場合も多いので注意しましょう。

 

仕事や生活上最低限のマナーや社会スキルは身につける必要がありますが、その際にも可能な限り本人のパーソナリティ自体は尊重するようにすると、本人のストレスや摩擦を軽減することができます。

「ひとりの大人として社会生活を送り、生産的な活動や職業に従事し、自立するための社会スキルを身につける」といった、常識的なことに縛られすぎると変わっていきません。

多少非常識であっても、患者さん自身の生き方や考え方を認めてください。本人のパーソナリティを尊重したうえで、少しずつ本人が理解していくことが必要です。

 

6.隠れ統合失調型(スキゾタイパル)パーソナリティ障害とは?

自分自身のパーソナリティの特性に無自覚で、過剰に社会に適応しようとしていることがあります。この場合はストレスがかかり、統合失調症やその他の精神疾患を合併しやすいです。

見るからに目立った言動や格好のある人の場合は、周囲には「変わり者」と扱われるとしても、本人がとくにそれを気にせず過ごしていて、それによって生活が妨げられていないようなら問題はありません。

かなり奇異な振る舞いをしていても、意外と周囲もそれに慣れ、個性として地域社会に受け入れられているケースもあります。

しかし実際には、統合失調型パーソナリティの傾向を強く持ちながら、一方ではそのような自分を否定し周囲や社会に適応しようとする隠れ患者さんもいます。日常の生活で無理をしやすく、大きなストレスがかかることで統合失調症や他の精神疾患を併発する可能性も高くなります。

生活自体に特別な問題はないはずなのに、なぜか違和感や強い虚しさを感じる、人と過ごした後に疲れすぎてしまうということがある場合、自分のパーソナリティの特徴に無自覚で、無理をしていることも考えられます。

社会の常識から外れた考えや世界観があったり、人と接するのを好まなかったりすることは、決して悪いことではありません。どのような自分があっても、仕事や生活上最低限の社会マナーが守れて暮らせていれば問題はないはずが、必要以上に適応することで無理がいき、自分を追いつめてしまう人も多いとされています。

 

まとめ

統合失調型パーソナリティ障害の方は、一見して風変わりにうつります。社会にうまく適応している方も多く、芸能人などにも見受けられます。

統合失調型パーソナリティ障害は他人に関して無関心というよりは、むしろ過敏になっています。非現実的な思考や感覚を特徴として、現実社会と遮断されて社会適応がうまくいかなくなると精神症状が生じます。

統合失調型パーソナリティ障害では、抗精神病薬が有効なこともあります。薬で症状を緩和しながら、少しずつ現実的な生活の仕方を話し合い、必要最小限の社会・対人スキルを身に着ける必要があります。