回避性パーソナリティ障害を克服する治療法とは?

アイコン 2016.11.14 回避性パーソナリティ障害
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私たちの社会生活の中では、必ず何らかの人間関係があります。人間関係や組織と関わりは避けることはできず、そのことを苦痛に感じる方も少なくありません。

苦手というレベルでとどまり、何とかやり過ごしている方が多いかと思いますが、恥や傷つきへの恐れが強いため対人接触が苦痛になり、様々な社会的場面を避けてしまうこともあります。このようになって社会生活に影響が及ぶと、回避性パーソナリティ障害(回避性人格障害)と診断されます。

引っ込み思案が病的に極まったような状態で、重度になると、幅広い範囲で生活や精神状態に影響を与えてしまうのが回避性パーソナリティ障害になります。

長年放置すると引きこもりになってしまう恐れもありますが、一方で治療によって克服し、社会生活が送れるようになる方、人生の方向性が回避から挑戦に変化していく方もいます。

その克服のポイントはどこにあるのでしょうか?ここでは、回避性パーソナリティ障害を克服する治療法についてご紹介します。

 

 

1.回避性パーソナリティ障害の治療とは?

回避性パーソナリティ障害の治療は、ただ性格の問題というわけではなく、専門家といっしょに治療していくべき病気です。まずは症状を落ち着けて、少しずつ主体的に心理療法を行っていくことが大切です。

精神科で行える回避性パーソナリティ障害の方への治療は、主に3つアプローチがあります。

  1. 薬による苦しい精神状態や不眠の緩和
  2. 医師の診療範囲内での心理的アプローチ
  3. 臨床心理士さんが行うカウンセリング

まずは合う薬を調整して、精神や身体を楽にすることが大切です。心身の体調が悪いときに、いきなり自分の苦手なことと向き合うことはできません。落ち着いて考える余裕を持てるようにしていくことが必要です。

次に、根本の改善のために心理療法を検討する必要があります。心理療法は、医師の診察の中で短時間で積み重ねていき、できたら心理療法の専門家である臨床心理士と一緒に行っていきます。臨床心理士によるカウンセリングは自費になるため、金銭面でネックになってしまうことが多いです。

心理療法にもいろいろな手法がありますが、回避性パーソナリティ障害の患者さんでは、現実的な目標を持って実際に行動していくことも大切になります。これが、回避性パーソナリティ障害の基本的な克服への流れとなります。

回避性パーソナリティ障害の心理療法には、様々な方法があります。ひとつの方法で行っていくこともあれば、様々な方法を組み合わせていくこともあります。

  1. 認知行動療法
  2. 暴露療法(エクスポージャー)
  3. ソーシャルスキルトレーニング(SST)
  4. 森田療法

ソーシャルスキルトレーニングはその名の通り、社会技能を学んでいくことです。個人の状態や希望により、複数の治療を組み合わせて行うことになりますが、最終の目標としては、現実の生活の中で少しずつ自分の行動を変化させていくことにあります。

病院で行う治療はそのための補助で、ただ病院に通って薬を飲み、何となく受け身で心理療法を受けていても、根本的な改善にはつながりません。

現実の生活における具体的な目標を持って、足元のことからコツコツと積み上げていく必要があります。

反対に薬や専門家による助けを借りず、ただやみくもに現状や行動を変えようと頑張っても、かえって自分を追いつめてしまう可能性があります。

回避性パーソナリティ障害は、単なる性格のレベルの問題ではなく、病院での治療対象となるものです。原因があって対人や社会生活が困難になってしまっている状態です。患者さんが感じている精神的な苦痛は、根性や頑張りだけで何とかなるようなものではありません。

そのため、専門家による適切な治療や助言を受けながら、段階を踏んで現実の問題と取り組んでいくことが大切です。

 

2.回避性パーソナリティ障害の治療目的

回避性パーソナリティ障害の目指すところは、患者さん自身の行動する力を妨げてしまっている病的な恐怖やとらわれを和らげ、現実での行動がしやすいようにアドバイスやフォローをしたり、助けになる薬を調整したりすることになります。

目に見える怪我や検査数値ではかれるような病気と異なり、精神疾患の治療では、「何を目指して治療をするか」というのがとても重要になります。

とくにパーソナリティ障害は、ある日突然発症するものではなく、長年の成育過程や元々の性格などが積み重なっているケースがほとんどなので、治療も行えばすぐに劇的な変化がおこるというわけではありません。

恥や傷つきを恐れたり、他人からの評価が気になったりすることは、健康な人でもある程度は持っている感情で、それをまったく無くすのは無理です。恐れや不安が完全に無くなることを目指して治療を求めても、残念ながら期待に沿える治療法は存在しないでしょう。

治療で可能なのは、必要以上に強くなってしまった恐れやとらわれを和らげ、行動しやすい状態にするということです。病的な部分は治療で取り除けたとしても、元々の性格の部分や長年の間に培われた思考や行動のパターンは、自分自身の地道な努力で克服したり、上手く付き合っていく方法を探したりしなければなりません。

薬や心理療法である程度落ち着いた状態になってきたら、後は現実の生活の中で実際に行動し、失敗も経験しながら少しずつ自信を積み重ねていくことになります。

 

治療を行わないままで現実の問題に立ち向かうのは、未経験者が骨折をしたまま富士山の頂上を目指すようなものです。頑張れば頑張るほど傷が深くなってしまいます。

まずは専門家の指示に従い怪我を治し、ギプスを使って骨がくっついてきたら、杖も使って筋力や体力を培うトレーニングをする必要があります。そして、ある程度歩ける状態になったら実際の山道を1歩ずつ登り、まずは2合目次は5合目と、順番に目標を立てて進みます。

回避性パーソナリティ障害の克服も同じことで、病院で行う治療の進度に合わせ、できる範囲での行動を順番にくり返していきます。

どのレベルまでを求めるかはその人次第ですが、具体的で現実的な目標を持って治療に臨むと、治療の選択や方向性が見えやすくなります。

病院における回避性パーソナリティ障害の目指すところは、患者さん自身の行動する力を妨げてしまっている病的な恐怖やとらわれを和らげ、現実での行動がしやすいように、専門家の立場でアドバイスやフォローをしたり、助けになる薬を調整したりすることです。それが、回避性パーソナリティ障害の治療の目的ということになります。

 

3.回避性パーソナリティ障害の治療効果

パーソナリティ障害の中では比較的お薬の実感を持ちやすく、医療機関に受診された患者さんは問題意識を持っていることが多いです。パーソナリティ障害の中では、比較的治療効果が認められる病気です。

回避性パーソナリティ障害は、治療の難航しやすい傾向のあるパーソナリティ障害群の中では、比較的治療効果が出やすいと言われています。

その理由は、恥や傷つきへの極度のとらわれというメインの症状に対し、薬が上手く緩和させられることがあるからです。

また最近では、多くの精神疾患の治療に使われている認知行動療法が向いているケースがあるということもわかってきています。

そして何より医療機関に受診される患者さんは、患者さん自身に問題意識があり、現状を改善したいという意志を持って診察に訪れている場合が多いということがあげられます。その一方で回避が強まって、医療機関への受診もためらってしまう患者さんも多いと思われます。

一般にパーソナリティ障害の治療が難航しやすいと言われるのは、あくまでお薬はごく補助的にしか使えず、効果が見られない傾向が強いからです。

また、患者さん自身に病気の認識や治療への意欲を持ってもらうことが難しく、パーソナリティ障害の種類によっては、治療者や周囲とのトラブルが巻き起こりやすいケースもあり、落ち着いて治療を受けられる状態にはなかなか至りません。上手く治療へつなげたとしても、長い期間に及ぶ治療に通い続けられる人は少ないです。

その点、回避性パーソナリティ障害の方の治療では、薬が大きな助けになりやすく、患者さん本人が改善の意志を持って心理療法に臨むケースも多いです。このため、パーソナリティ障害の中では比較的治療効果が出やすいとされています。

ただ、これには大きな個人差があります。比較的軽度な方はそのような傾向にありますが、重度で長い期間ほとんど対人接触が無かった方や依存心のとても強いタイプの方は、病院に来ること自体が困難というケースもあり、上手く治療につなげたとしても、治療には長い時間が必要になります

ですが、薬が上手く合った場合、かなりの変化を感じられる方もいます。先々の根本的な改善はさておき、病院に行って自分の苦しみを相談し、少しでも気持ちが楽になれる可能性のある薬を試してみることが、回避性パーソナリティ障害の方の治療では大きな第一歩と言えます。

変化を感じられることで人生に前向きな意欲がわき、治療へ積極的な姿勢が生まれてくると、ますますいい循環につながります。

 

4.回避性パーソナリティ障害の薬物治療

まずは不安や落ち込みといった症状を和らげることから始めます。抗うつ剤を中心に、抗不安薬を組み合わせて使っていくことが多いです。

これまでお伝えしてきたように、回避性パーソナリティ障害の方の治療においては、薬が強い味方になることがあります。根本の改善は薬だけでは難しいですが、薬を使うことで頑なになった心をやわらげ、後の治療へ効果的につなげられる可能性があります。

回避性パーソナリティ障害の方は、慢性的に頭の中が恐怖や不安や劣等感などの感情に占められ、かなり苦しい状態にあります。そのような状態のまま行動しようとしても困難なのが当たり前です。

まずは疲れた自分の心と体を休ませてあげるために、病院に相談してみることを検討してみてください。疲れ切った状態であれこれ悩んでいても、いい考えは浮かんできません。

回避していれば不安を感じないで済むため、失っている現実から目を背けてしまっている人もいます。そのような場合は、本来の自分の姿をよく考えてみてください。お薬は、その姿を取り戻していくサポートになります。まずは専門家に相談する第一歩を踏み出してください。

実際によく使われる薬としては、SSRIと呼ばれる抗うつ剤があげられます。これらは、選択的セロトニン再取込み阻害薬と呼ばれ、脳内のセロトニンの働きを強めてくれるお薬です。これによって不安や落ち込みをやわらげてくれる効果が期待できます。SSRIとしては、日本で4種類のお薬が発売されています。

これ以外の抗うつ剤が使われることもあります。それに加えて、

抗不安薬も使われることが多いです。回避性パーソナリティ障害の治療は長期間に及ぶことが多いため、抗不安薬にはなるべく頼らないことが多いです。抗不安薬について詳しく知りたい方は、「精神安定剤・抗不安薬の選び方(効果と強さの比較)」をお読みください。

できるだけ抗不安薬は、不安が高まった時だけに服用する頓服としての使い方が理想です。いざとなったら頼れる薬があると思えるだけでも、精神状態や行動のしやすさが違ってくる場合があります。

 

5.回避性パーソナリティ障害の精神療法

認知行動療法・暴露療法・ソーシャルスキルトレーニング・森田療法などのうち、患者さんにあった精神療法を行っていきます。

薬物治療で心理状態に少し余裕がでてきたら、それぞれの段階に合った精神療法の併用を検討します。専門家による心理的なサポートやアドバイスを受けながら、回避していた場面に少しずつ慣れていき、現実生活で困っていることを改善していくことが一番の治療となります。

ただ、臨床心理士さんが行うカウンセリングはほとんど健康保険外の自費診療なので、経済的に限界がある方もいます。自費診療での心理療法が難しい場合には、医師が診察内にできる範囲での心理アプローチをくり返していくことになります。

精神療法には様々なアプローチがあります。ここでは、回避性パーソナリティ障害の患者さんによく行われるアプローチをお伝えしていきます。

 

①認知行動療法

様々な経験を経ていくことで、人はそれぞれの思考パターンや行動パターンが作られていきます。このような頭の中にあるパターンのうち、苦しい取り決めや考え方のクセを少しずつ改善していく治療法が認知行動療法です。患者さん自らがそれに気づけるようにうながし、自分を楽にできるような考え方を身につけていきます。

例えば回避性パーソナリティ障害の人は、おこった出来事や他人からの言葉に対する反応は人それぞれですが、すべてを悲観的にに受け取ってしまう傾向があります。

冗談のような軽口を自分への強い批判のように受け取ってしまったり、ほんのささいな失敗がすべてを台無しにしてしまうような重大事に感じられてしまったりします。

周囲から見ると「たかがそんな事で?」と理解できないかもしれませんが、苦しんでいる当人にとっては、その大げさな受け取りの方が真実なのです。言ってみれば、歪みのひどいメガネや感度の良すぎる補聴器をつけているようなものですが、多くの場合はそれを自覚できていません。

そして、それに気づけたとしても、長年頭に染み付いた考え方のクセは、なかなか変化してはくれません。いくら「こう考えた方が楽」と教えてもらっても、「わかっているけど自分には無理」と感じる場合も多いと思います。

そこでのポイントは、やみくもに変えようとしないことです。そういう極端に自分を追いこむ考え方をしてしまうのは、何かの理由があります。幼い頃から親に言われてきた厳しい言葉や自分を否定されるような辛い経験が影響していることもありますし、自信の無さや罪悪感の裏返しということもあります。

いずれにしても、そういう考え方や回避の行動は、自分自身の心を守る防衛策にもなっています。

その考え方を敵視して無理やり別の考え方に変えようとするのではなく、「何かの事情があって極端な考え方になってしまっている」ことを理解し、それに巻き込まれずに優しい目線で眺めることを練習していきます。そして、「できればこのように考えた方が自分は楽だ」ということを、頭に置いておくようにします。

最初は難しいと感じるかもしれませんが、運動などと同じで慣れです。くり返しているうちに少しずつ、苦しい考え方や極端なとらえ方を自分で調整できるようになっていきます。それが現実で応用できるようになると、感じている過ごしづらさや苦痛がだいぶ違ってきます。

 

②暴露療法(エクスポージャー)

認知行動療法をより行動を重視して行うことを、暴露療法(エクスポージャー)といいます。つまり、「習う=認知」よりも「慣れる=行動」を行っていくのです。

この2つのアプローチがあるわけですが、回避性パーソナリティ障害では行動療法としてのアプローチのほうがうまくいきやすいことが多いです。

暴露療法とは、ざっくり言ってしまうと不安に慣らせていく治療法です。この治療法の原理としては、苦手なものに暴露された時に感じる不安の「2つの慣れ」があります。

あえて自分を苦手なものにさらしていき、その不安が時間と共に薄れていくことを身体で理解して学習していきます。そうはいっても、いきなり無理をしてはいけません。不安階層表というものを作り、取りくみやすいものを課題として順番に行っていきます。

ここで大事なのは、不安や不快感が生じることに慣れることです。自分の内面に出てくる感情を言葉にしながら、それに慣れていくことが大切です。内面の感情を慣らさずに表面的に耐えてしまうと、良くなったと思っていたら急に不安がよみがえってしまいます。

いきなり暴露するのが難しい方は、誰かに付き添ってもらったり、イメージから始めてみても大丈夫です。できることから少しずつ始めていきましょう。このようにして、少しずつ行動から変えていくのが暴露療法です。

 

③ソーシャルスキルトレーニング(SST)

社会生活をおくる上で必要なマナー、会話力、言葉の伝え方や受け取り方などを学ぶトレーニングです。

回避性パーソナリティ障害の方は、自信の無さからコミュニケーションを避け、避けることでさらに自信を無くす悪循環におちいってしまいます。

薬物療法や心理療法で状態が落ち着き、いざ現実の社会に向かおうとしたときには、このトレーニングによってある程度の自信をつけておくと、より精神を安定させることができます。

 

④森田療法

日本で考案された神経症の治療法です。主に不安障害、恐怖症などの神経症に適応されます。恐怖や不安で感情本意になっている行動を、行動本意に変えていくことを目指します。

感情本意とは、感情によって行動が左右されている状態です。「回避性パーソナリティ障害の方を例にとると、恥や傷つきが怖い→だから、必要な人との接触を避ける」これが感情本意です。

一方で行動本意とは、「恥や傷つきが怖い→怖いけれど、やるべきことややりたいことはする(この場合は人との接触)」といったことです。

森田療法では、怖いという感情をあるがまま抱えながら、それに左右されず行動ができるように訓練していく方法です。神経症の治療において一定の効果が認められている方法ですが、専門に指導できる人の元で行う必要があります。

また、ある程度社会生活が保たれている状態でないと取り組むのは難しく、抑うつや不安が重度の方、引きこもりやそれに近い状態の方などには適さないといわれています。

 

6.回避性パーソナリティ障害の治療での心がまえ

回避性パーソナリティ障害の治療には、患者さん自身の心構えも大切になります。主体的に治療に取り組んでいくことが重要です。

パーソナリティ障害の治療においては、もちろん医師や心理士さんの腕というのもありますが、患者さん自身の心がまえも非常に重要な要素です。どのような姿勢で治療に取り組むかどうかで、同じ治療法でも得られる効果が違ってきます。

ここでは、回避性パーソナリティ障害の方が治療に臨む際に、頭に置いておくといいポイントをご紹介します。

 

①自分の段階に合わせた治療目標を持つ

治療の際には自分なりの治療目標を持つことが大切ですが、回避性パーソナリティ障害の方の場合、その程度にはかなりの差があります。

完全な引きこもり状態の方と、苦痛を感じながらも仕事はできていたり親しい友人となら交遊もできていたりする方とでは、治療目標は大きく異なり、自分の段階に合わせた治療目標というのが大きなポイントになります。

引きこもり状態の方であっても、最終的には社会に出て働くことが目標だと思いますが、最初からそれを目指してしまうとハードルが上がり過ぎて、ますます動きがとれなくなってしまいます。

まずは、病院の診察に来るというだけで十分です。定期的に通えるようになれば、今度は医師とのコミュニケーションを上達させる、診察の日のことをメモにとってみるなど、自分にできそうな治療目標を少しずつ積み重ねてみましょう。

 

②自分をほめる練習をする

回避性パーソナリティ障害の方は、自分に厳しく自己評価が極端に低い傾向にあります。そのことがますます自分の行動を制限し、人からの評価が怖くなってしまう要因となっています。

それは何らかの原因があってそうなってしまっているのですが、だからこそ、自分をほめる練習が大切になってきます。

初めのうちは、自分では「この程度ではダメだ、もっと頑張らなければ」という気持ちは当然わいてきますが、わいてきているままでいいので、声に出して、紙に書いて、その日の自分の行動を何でもいいからほめるようにします。

ほめることがないんです…と落ち込むことはありません。物事には2面性があります。「引っ込み思案」は、言い方をかえれば「謙虚」になります。「心配性」も、言い方を変えれば「気配りができる」になります。

できなかったことの一歩手前を探すのも方法です。病院に行ったなら行けたことを評価し、行けなかったなら行ってみようと努力したことを評価します。何もできていないと感じてほめるところがないと思えば、ほめるべきところを探してみようとした努力をほめます。

そして評価をした後は、明日にできそうな低いハードルの目標をたててみます。次の日にそれができれば、次の目標を立て、できなければやろうとした努力をほめ、次の日にまた再挑戦をします。

そうやって、結果よりも自分の行動そのものをほめる練習をしていくと、少しずつ低かった自己肯定感が育っていきます。治療に関わらず、日常における様々な場面で行ってみましょう。

 

③小さないい変化を探してみる

治療が始まると早く効果が出て欲しいと焦ってしまいますが、できる限り小さないい変化を探してみるようにしましょう。

回避性パーソナリティ障害の方は真面目な頑張り屋さんも多いですが、自分への要求が高く、「治療の効果が出せない自分はダメだ、もっと良くならなければ効果が出ているとはいえない」のような思考におちいり、悪い部分ばかりを見てしまう傾向があります。

自分をほめる練習と同時に、自分の小さないい変化を探す練習をしてみましょう。初めは見つからないかもしれませんが、諦めずにやっていると、少しずついい部分を見つける目線が養われていきます。

回避性パーソナリティ障害の方が極端に恥や傷つきや他人の評価を恐れるのは、自分自身が自分のフォローをしたり、自分のいい部分を探してほめることが苦手なせいもあります。

その部分を育てていくことができれば、過度なとらわれをゆるめていくことができます。

 

④自分の主体的な視線を持つ

回避性パーソナリティ障害の方は、価値観や感情がすべて相手目線になってしまい、自分本来の主体性が失われてしまう傾向が強い人も多いです。

治療の際にも、医師や心理士さんによく思われようとして行動や言動を合わせてしまったり、すべての決断を相手任せにしてしまったりする場合もあります。

それも障害の一部と言えますが、そればかりになってしまうと、なかなか治療が進展していきません。

難しいかもしれませんが、「相手がどう思うか」という目線を意識的に変え、「自分はどうしたいか」という考え方にシフトするよう心がけてみましょう。

 

⑤薬の飲み忘れや不安などは正直に伝える

処方通りに薬を飲めなかったり、薬に不安が湧いて飲めなくなってしまったりしたときには、医師へ正直に伝えましょう。

隠してしまうと、医師と患者さんの間に認識のズレができてしまい、治療が混乱してしまいます。医師との信頼関係を築いていくためにも、できるだけ自分の状況や気持ちを正直に伝えましょう。

できるだけ効果的に治療を進めるためには、自分の状況をきちんと伝えておくことが大切です。

 

⑥治療日記をつける

日記というほど大げさなもので無くても構いませんが、その日の診察で感じたこと、伝え忘れたこと、薬などの変更点、印象に残った出来事、体調の変化などを書き留めておきましょう。

最近はスマホに日記やメモのアプリがあるのでそれを利用したり、ひと言ふた言でもいいから手帳に書いてみたりと、続けやすい方法で行ってみて下さい。

人の記憶は曖昧で、一週間前のことであっても忘れているものです。メモを後で振り返ってみると、自分で考えていた以上に変化をしてきていることに気づける場合もあります。

それに、次の診察やカウンセリングの際に伝えるべきことや聞きたいこと、自分への課題などを整理することができ、より効果的に治療を受けることができます。

 

まとめ

回避性パーソナリティ障害を克服する治療法についてご紹介しました。

まずは合う薬を調整してもらって精神や体を楽にすること、根本の改善のために心理療法を検討すること、ある程度状態が落ち着いたら、現実的な目標を持って行動していくこと、それが基本的な克服への流れとなります。

苦しんでいるまま放置していると、本来の自分の希望や能力に見合わない人生の選択をしてしまう可能性があります。悩んでいるときは、パーソナリティ障害を扱っている病院を訪れてみてください。