統合失調症の基本症状・特有の症状とは?

アイコン 2015.3.12 統合失調症

統合失調症の症状には様々なものがあります。統合失調症といえば幻覚や妄想といった症状が特徴的ですが、実は統合失調症にだけ幻覚や妄想がみられるわけではありません。

それでは統合失調症に特徴的な症状とはどのようなものでしょうか?そしてどのような症状が、統合失調症の本質的な症状といえるのでしょうか?

ここでは、統合失調症の症状に対する2つの考え方をご紹介していきたいと思います。そして、広く世界で使われている診断基準の中で、どのように反映されているかを考えていきたいと思います。

 

1.統合失調症の基本症状?陰性症状とは?

ブロイラーは、連合弛緩・感情障害・自閉・両価性の4つを基本症状と考えました。

患者さんによってさまざまなケースが見られる統合失調症ですが、経過中必ず生じる基本症状があります。これをスイスの精神科医ブロイラーは“4つのA”で表現しました。

  1. 思考のまとまりがなくなる「連合弛緩(association)」
  2. 感情表現が乏しくなる「感情障害(affection)」
  3. 自分という殻に閉じこもり外界との交わりを避ける「自閉(autism)」
  4. 自らの中に混在する正反対の感情の矛盾に悩む「両価性(ambivalence)」

この4つの症状を、統合失調症に特徴的な基本症状としました。この中でも、とくに「連合弛緩」と「自閉」に重点を置いていました。

幻覚・妄想などの目立つ陽性症状は、統合失調症に必ず現れるものではありません。単純型統合失調症では、陽性症状が目立たずに病気がすすんでいきます。このため、これらの目立つ陽性症状は、統合失調症の副症状と考えました。

つまりブロイラーは、陰性症状こそが統合失調症の基本症状としたのです。

統合失調症の原因はよくわかっていませんが、視床フィルター仮説という考え方があります。

統合失調症では、感覚の量を調整している視床の機能が障害されることで、過度の刺激が大脳に伝わってしまいます。このため、いろいろな情報をうまくまとめることができなくなり、刺激をシャットアウトしようとします。

このように考えると、連合弛緩と自閉が基本症状として矛盾しません。

 

2.統合失調症に特有の症状-陽性症状とは?

シュナイダーは、自我障害を統合失調症の特有な症状と考えました。

ドイツの精神医学研究科シュナイダーは、自我障害を統合失調症に特有なものとして捉え、統合失調症に特有の症状をまとめました。

「これらの症状が確認され、身体の基礎疾患が認められないときには統合失調症の診断を下すことができる」とシュナイダーは考えました。これをシュナイダーの一級症状といいます。

また彼は、上記の一級症状ほど特徴的ではありませんが、統合失調症の経過の中で頻繁に現れる症状を二級症状と呼びました。ここには、幻覚、困惑、気分変調、感情欠如などが含まれます。

 

3.統合失調症の診断基準との関係

ICDは特有の症状である陽性症状、DSMは基本症状である陰性症状にウエイトをおいた診断基準となっています。

統合失調症の診断基準としては、ICDとDSMの2つの診断基準がよく使われます。これらの診断基準は、統合失調症を正確に診断できるように意識されて作られたものです。上述した、ブロイラーとシュナイダーの考え方は、この診断基準にどのように反映されているでしょうか。

ICDの診断基準は、シュナイダーの一級症状を重視しています。考想化声・考想吹入・考想奪取・考想伝播・被影響体験・妄想知覚・注釈性の幻聴・対話式の幻聴が、1つ以上あれば統合失調症として診断されます。

一方でDSMは、ブロイラーの4Aを重視しています。妄想が明らかに奇妙であったり、幻聴が特徴的であれば統合失調症と診断できるとしています。ですが、陽性症状がそこまで特徴的でない場合、陰性症状も確認できなければ診断がつきません。

また、6か月以上何らかの障害が続いているという条件もついています。これは、時間経過の中で認められる陰性症状や認知機能障害などを重視しているためです。

このように、ICDは特有の症状である陽性症状、DSMは基本症状である陰性症状にウエイトをおいた診断基準となっています。

 

まとめ

ブロイラーは、連合弛緩・感情障害・自閉・両価性の4つを統合失調症の基本症状と考えました。

シュナイダーは、自我障害を統合失調症の特有な症状と考えました。

国際的な2つの診断基準では、ICDは特有の症状である陽性症状、DSMは基本症状である陰性症状にウエイトをおいた診断基準となっています。