気分循環性障害はどのように診断されるのか

アイコン 2015.6.30 気分循環症/気分循環性障害

気分循環性障害とは、気分が不安定で、軽いうつと躁の状態をいったりきたりする病気です。

本人がなかなか自覚しにくい病気で、生きづらさを抱えているのですが、自分の性格のせいだと思いこんでしまいます。うまくいく時期もあるのですが、気分の変化に振り回されて、安定した仕事や家庭生活を過ごせないことがあります。

どのようにして気分循環性障害の診断につなげていけばよいのでしょうか?ここでは、気分循環性障害の診断について考えていきたいと思います。

 

1.気分循環性障害が診断されるまで

病気として自覚しにくいですが、気分の波に生きづらさを抱えているのでしたら、病院に相談してみてください。

気分循環性障害は、なかなか病気として自覚しにくいです。自分からこの病気を疑って病院に来られる方は、みたことがありません。落ち込みが強くなっている時に受診されて、治療をしていく中で気分の波が大きいことがわかってきます。その波の大きさが躁うつ病(双極性障害)とまではいかないと判断した時に、気分循環性障害を考えます。

ですから、年単位での治療の中で少しずつわかってくる病気といえます。本人はつらい思いを抱えていたり、社会生活で損をすることも多いです。ですが日常生活は何とかやっていけるので、本人も周りも「性格」と考えてしまうことが多いのです。

もしも気分の波が大きすぎて生きづらさを抱えているのでしたら、この病気のことを疑ってみてください。特に大きな理由もなく気分がよくなったり悪くなったりするような方は、気分循環性障害かもしれません。病院で付き合い方を相談していきましょう。

 

2.気分循環性障害の診断基準

気分循環性障害の診断は血液検査の結果のように、目で見てわかるものではありません。このため、「一定の診断基準を設けてそれに当てはまるか当てはまらないか」といった観点から診断を行っていくことで、診断に客観性をもたせようとしました。

このような診断基準には、アメリカの精神医学会が作成した「DSM」とWHOが作成した「ICD」のふたつが存在します。

 

2-1.気分循環性障害の診断基準(DSM‐Ⅴ)

程度は軽いものの、うつや軽躁の症状が長期間にわたって続いていると診断されます。

アメリカの診断基準であるDSMを紹介します。DSMは、順番にチェックしていくと誰でも同じように診断ができるように意識した診断基準になります。つい最近まで、DSM‐Ⅳ‐TRが使われてきましたが、2013年にDSM‐Ⅴが発表されました。ここでは、DSM-Ⅴの診断基準を紹介します。

※子供や青年は1年間

この診断基準によると、気分循環性障害の生涯有病率は約0.4~1%と報告されています。

 

2-2.気分循環性障害の診断基準(ICD-10)

気分の不安定性という本質を大切にして、病気の典型的なイメージから診断していきます。

WHOの診断基準としてICD‐10があります。この診断基準も症状のチェックができるようになっていますが、典型的なケースを意識して症状が記述してあります。病気のイメージも大切にしている診断基準といえます。

「本質的な特徴は持続的な気分の不安定さであり、軽い抑うつや軽い高揚の期間が何回もみられるが、いずれも双極性障害や反復性うつ病性障害の診断基準をみたすほど重症であったり遷延したりしない」

というのが、ICDでの気分循環性障害の病気の特徴になります。

 

3.気分循環性障害とスペクトラムという考え方

気分循環性障害は双極性スペクトラムの中の一つと考えられています。

従来、気分障害は単純に、うつ病か双極性障害かに分けて考えられてきました。この両極端の状態で分類していくことに疑問を呈したのがアキスカルです。その両極端の状態には連続性があって、より細かくとらえる必要があると考えました。これが双極性スペクトラムという考え方です。気分循環性障害もこの双極性スペクトラムの中に組み込まれています。

重要なのは、気分循環症も気分の波がある病気として治療を進めていく必要があるということです。双極性障害の症状の軽いものというとらえ方もできます。ここでは、アキスカルの分類した双極性スペクトラム障害に関して、参考までにまとめておきます。気分循環性障害は、Ⅱ1/2型に分類されています。

 

まとめ

病気と認識しにくいですが、気分の波に生きづらさを抱えているのでしたら、病院で相談してみてください。

程度は軽いものの、うつや軽躁の症状が長期間にわたって続いていると診断されています。気分の不安定性が病気の本質です。

気分循環性障害は双極性スペクトラムの中の一つと考えられています。