うつ病の種類(メランコリー親和型と新型うつ病)とは?

アイコン 2016.1.28 非定型うつ病・新型うつ病

かつてはうつ病というと、真面目で几帳面な方が無理をし続けた結果かかる心の病と考えられていました。ですから、しっかりと休まなければいけないし、励ましは逆効果といわれてきました。

しかしながら現代のうつ病は、様相が変わってきています。「本当にうつ病なのか?」と周囲が思うような方が、「うつ病のため休職を要する」という診断書をもってくる・・・なんてこともあるかと思います。

このようなうつ病の方を、社会的には「新型うつ病」と呼ばれています。新型うつ病とは、今の時代に特有のうつ病という意味ですが、正式な診断基準ではありません。そして新型うつ病といっても、実に多様な特徴があります。

ここでは、古典的なうつ病であるメランコリー親和型うつ病についてご紹介し、新型うつ病に含められる逃避型うつ病・現代型うつ病・未熟型うつ病・ディスチミア親和型うつ病・非定型うつ病について考えてみましょう。

 

1.従来のうつ病であるメランコリー親和型うつ病

一般的にイメージする従来のうつ病です。今ある秩序の中で生きている方が、環境や状況の変化などで秩序が崩れた時に、破綻してうつ病を発症します。

うつ病は、従来は「まじめな人がなる病気」と認識されていました。ドイツの精神科医のテレンバッハは、うつ病になりやすい性格傾向としてメランコリー親和型性格を提唱しています。

秩序愛が基本にあって、良心的で義務を意識し、決まり事をきっちりと守る性格です。保守的で消極的な傾向があって、自分が所属している会社や地域などに対して密着しています。社会的な役割に合わせることで生活していて、自我が上手く育っていないともいえます。秩序が保たれている時はよいのですが、そこに変化が生まれると破綻してしまって病気に発展します。

このようなメランコリー親和型性格は、うつ病発症の状況要因となると考えられました。そしてこのようなうつ病の方は、「内因性うつ病」と呼ばれる脳の機能的異常によるうつ病になることが多かったのです。

内因性うつ病とは、一般的に広く知られているうつ病の症状です。気分が落ち込み、何事にも興味が失われてしまいます。身体はだるくて疲れを感じ、意欲もわきません。不眠や食欲低下が目立ち、状況にかかわらず朝に調子が悪くなります。そして過剰なまでの罪責感がみられます。

 

2.内因性うつ病と心因性うつ病という考え方

日本では伝統的に、原因の分け方によって内因性と心因性の2つにわけて考えていました。

うつ病の診断は、現在は操作的診断という方法で行われています。操作的診断とは、一定の診断基準をつくって、それを満たせば「うつ病」と診断をつけるということです。誰が診断をしても同じ診断となるように、診断の信頼性を確保するための方法です。

このため、客観的に見られる症状だけをもとに、その原因は問われず、人格などの内面的な問題は、「うつ病」の診断には関係がありません。ですから、メランコリー親和型うつ病も新型うつ病も、同じ「うつ病」なのです。

 

日本では、伝統的に原因を意識した診断がおこなわれてきました。「外因性うつ病・内因性うつ病・心因性うつ病」の3つに分けて考えられていました。このうちの「内因性」と「心因性」について考えていきましょう。

内因性うつ病では、何らかの体調の変化が気分の変化となり、感情もかわっていきます。自分自身の「内」から発展するうつ病です。何らかの脳の機能的な異常があることが多いです。症状としても、心だけでなくて身体もあわさった不調となります。

これに対して心因性うつ病では、環境や状況から生まれた感情の変化が気分の変化、体調の変化に及んでいきます。

 

3.新型うつ病とは?

新型うつ病は内因性うつ病としての症状が認められますが、明らかに社会に不適応な心理的・人格的課題があるうつ病です。

うつ病というと、いわゆるメランコリー親和型うつ病がその典型的で、内因性うつ病と考えられてきました。しかしながら現代では、いわゆる新型うつ病という多彩なうつ病がみられるようになりました。

新型うつ病とはメディアが作りだした言葉で、正式な病気の概念ではありません。診断基準に従えば、後述する非定型うつ病に含まれることが多いですが、新型うつ病≠非定型うつ病です。

新型うつ病という概念は非常にあいまいで、「従来のうつ病とは異なるタイプ」という意味で使われることもあれば、「最近になってみられるうつ病のタイプ」という意味で使われることもあります。

いずれにしても新型うつ病は、病気の原因などで厳密にわけられたものではなく、「様々なうつ病」が混在しているといえます。そして新型うつ病は、言葉を使う人によっても概念がかわっているのです。

 

いわゆる新型うつ病では、何かきっかけに反応して気分の変化がみられます。このため従来は心因性うつ病とみなされてきました。ですが新型うつ病も、その症状をみると基本的には内因性であることが多いです。ただ、社会的に不適応となる心理的・人格的な課題があるうつ病なのです。

新型うつ病は、決して現代病ではありません。昔からあった病気です。もちろん、生活様式の変化、ゆとり教育などによる変化、世代での価値観の変化などによって増加しているという側面はあるでしょう。ですがそれだけでなく、うつ病診断の考え方の変化、うつ病に対する社会の認知の高まりなどから、最近になって目立ってきた病気なのです。

そして、一見すると新型うつ病にみえる方の中には、双極性障害Ⅱ型などの病気が隠れていることがあります。双極性障害という病気も、双極性スペクトラム障害として広がっていて、新型うつ病とオーバラップする部分も多いのです。

 

新型うつ病は、まだまだ概念もはっきりと定まっていない病気です。メランコリー親和型でないものをひっくるめて新型うつ病ととらえるならば、その背景や特徴には様々な種類があります。新型うつ病として、逃避型うつ病・現代型うつ病・未熟型うつ病・ディスチミア親和型うつ病などといった概念が提唱されています。

 

4.新型うつ病―逃避型うつ病

自己愛や自尊心が強く、演技的で逃避的で、等身大の自分と向き合えずに逃げてしまううつ病です。

逃避型うつ病は、1977年に提唱された新型うつ病の先駆けとなる概念です。新型うつ病は今に始まったものではなく、以前から存在していたことがお分かりいただけるかと思います。

例えば、仕事もある程度できてエリートに見える方ですが、困難があるとすぐに逃げたり挫折してしまって、追い込まれてしまうとうつ状態になってしまいます。

自己愛が強くて自尊心が強いです。現実認識が甘くて自信過剰で、等身大の自分と向き合うことができずに逃げてしまいます。失敗することから逃げることで、自分自身を守っているのです。自分の正当性やつらさなどを周囲に分かってもらおうと演技的になる傾向があります。

基本的には内因性うつ病と考えられていますが、慢性的なうつ状態が続き、抗うつ剤は効きにくいです。患者さんにとって手厚く配慮をしていくことでよくなることもあれば、反対に厳しさをつきつけられて内省が深まることもあります。

 

5.新型うつ病―現代型うつ病

自己中心的でマイペース、社会的な責任感が感じられず、自責感も乏しいです。典型的な新型うつ病のイメージです。早めに病院に受診します。

現代型うつ病は、「内因性うつ病が時代の流れの中で性質がかわっていった」という考え方で提唱された概念です。従来でいえば軽症の内因性うつ病にあたる患者さんが、軽症であるために症状が多彩になって、現代型うつ病の特徴となるとされています。

職場などの社会的な役割に対して合わせようとせず、几帳面さもなく、自己中心的でマイペースです。仕事に対しても目標を高く持つことを避けて、締め切りなどの制約に弱いです。

このような方が調子を崩すと、症状が出そろわない早い時期に受診します。自責感が乏しく、本人としても戸惑いを訴えます。「身体が動かない」「頭が働かない」という身体や思考の制止が強く、身体の不定愁訴がみられます。社会的に問題となっている、いわゆる新型うつ病と呼ばれるイメージのうつ病です。

まずは内因性の要素である身体の症状に関してしっかりと治療し、少しずつ心理的な課題に向き合わせていく必要があります。生活リズムを整わせることからはじめて、治療には長い年月がかかります。

 

6.新型うつ病―未熟型うつ病

高いエネルギーを制御するほどに人格が成熟しておらず、攻撃性や衝動性という形で現れる重症のうつ病です。

未熟型ときくと、人格が未熟で、自分勝手で幼稚な性格の人がおちいるうつ病というイメージになるかと思います。厳密にいうと、未熟型うつ病は少し異なります。うつ病ほどまでに人格が成熟していないという意味で未熟と表現されているのです。

そうはいっても、わがままで自己中心的であったり、反対に人に依存的で他人の目を気にしたりもします。このような方は、もともともっているエネルギーは高いにもかかわらず、それをコントロールするための人格が未熟と考えられています。そのエネルギーが攻撃性や行動化という方向に出てしまうのが未熟型うつ病です。

身体や思考が働かないという制止が強い一方で不安焦燥感が非常に強く、衝動性も強く重症です。躁うつ混合状態や激越型うつ病とよばれる状態になります。他者への攻撃性が強く、他責的なことが多いです。

まずは内因性の要素である身体の症状に関してしっかりと治療し、少しずつ心理的な成熟を促していく治療になります。

 

7.新型うつ病―ディスチミア親和型うつ病

気分変調症に近しい状態で、漠然とした抑うつ症状が認められ、ボヤっとしているけれどもうつ病の基準を満たすような状態です。

ディスチミア親和型うつ病は、新しい新型うつ病のタイプというよりは逃避型うつ病や現代型うつ病といった、ネガティブなイメージを少し弱めるために作られた概念ともいえます。

やや自己愛が強いことが多く、自責感に乏しくて他罰的なこともあります。うつ病の診断基準を満たすけれども制止症状がハッキリせず、症状が全体的にボヤっとしています。「やる気が出ない」といった漠然とした内容で抑うつ症状を訴えますが、深刻さはあまりなくて疲労感が中心です。

気分変調症(ディスチミア)に似ていますが、2年もの期間は続いていない状態をディスチミア親和型うつ病と呼んでいます。

薬でのサポートもしながら、本人の主体性を尊重しながら褒めて適度に背中をおしていくことで少しずつよくなっていきます。

 

8.非定型うつ病とは?

うつ病の診断基準は満たしますが典型的な症状を認めない場合、非定型うつ病と診断されます。

非定型うつ病は、アメリカの診断基準であるDSM‐Ⅳから登場した概念です。うつ病や双極性障害、気分変調症といった診断基準を満たす気分障害に、典型的でない(非定型)症状を認める場合につけられます。

これまでの4つの新型うつ病は、現代社会の中での人格や心理の変化と結び付けて考えられた概念でした。これに対して非定型うつ病は、あくまで診断基準を満たす症状のある時につけられる病名です。

非定型うつ病の症状は、いわゆる多くの方がイメージしている新型うつ病の患者さんに多い特徴になります。ですから現代型うつ病は、多くが非定型うつ病に含まれるでしょう。その他にも様々なタイプの新型うつ病が、症状を満たせば非定型うつ病として診断されます。

本来の非定型うつ病はもっと限定的な病気でしたが、診断基準をもとにした非定型うつ病は、いろいろなものが混在したあいまいな疾患概念になっている感があります。

非定型うつ病は、気分の反応性が認められます。つまり、何か嫌なことがあると調子が悪くなるのです。その上で、以下の症状のうち2つ以上が認められます。

 

まとめ

メランコリー親和型うつ病とは、一般的にイメージする従来のうつ病です。今ある秩序の中で生きている方が、環境や状況の変化などで秩序が崩れた時に、破綻してうつ病を発症します。

日本では伝統的に、原因の分け方によって内因性と心因性の2つにわけて考えていました。新型うつ病でも内因性うつ病としての症状が認められますが、明らかに社会に不適応な心理的・人格的課題があるうつ病です。

新型うつ病としては、逃避型うつ病、現代型うつ病、未熟型うつ病、ディスチミア親和型うつ病、非定型うつ病などの概念があります。