身体表現性障害とは?身体表現性障害の症状と診断基準

アイコン 2016.8.20 身体表現性障害・自律神経失調症

身体表現性障害とは、ストレスが原因となって身体症状にあらわれる病気です。その表れ方は様々です。それによって、様々なタイプに分類されています。

これらはいずれも、心と身体が密接に関係しあっていて、両面から治療を進めていく心身症になります。

この身体表現性障害は、新しい診断基準では身体症状症と変わっています。ここでは身体表現性障害の診断基準がどうして変わったのかも含めて、身体表現性障害の症状と診断基準について詳しくお伝えしていきます。

 

1.身体表現性障害とは?身体表現性障害の症状

身体表現性障害とは、ストレスによって身体症状に表れる心身症になります。

まずは身体表現性障害とはどのような病気なのか、お伝えしていきたいと思います。

身体表現性障害(somatoform disorder)は、ストレスが身体症状として表れてしまう病気です。その表れ方によって、以下の5つのタイプに分かれています。

身体化障害は、身体の様々な症状が慢性的に認められます。それに対して転換性障害では、1つか2つの症状であることがほとんどです。自律神経症状にでてくれば、いわゆる自律神経失調症になります。

心気症は、身体症状よりも「何か重たい病気にかかっているのでは」という病気へのとらわれが特徴的です。身体醜形障害は、自分の容姿に対する誤った思い込みやとらわれが特徴的です。疼痛性障害は、心理的要因による痛みが認められます。

このように、身体表現性障害は様々な形でストレスが身体症状に表れる病気です。実際にストレスから身体疾患が生じていることもありますし、まったく身体疾患は認められていないものの、本人には「間違いなく本当の症状」が認められていることもあります。

このような病気なので、身体表現性障害は内科をはじめとした身体科を受診することが多いです。身体的な治療だけではなかなか良くならず、治療が長引いてしまうことも少なくありません。このように慢性化してしまっている方の中には、身体表現性障害の患者さんも少なくありません。

身体表現性障害は生涯有病率が高く、4~5%といわれています。内科などでは過敏性症候群・機能性ディスペプシア・慢性疲労症候群・線維筋痛症などといった、機能性身体症候群(FSS)と呼ばれる病気が多数提唱されています。

機能性身体症候群とは、原因ははっきりしないものの身体の機能に異常が認められることを意味します。そのような身体の病気と思っている方の中には、身体表現性障害の患者さんも少なくありません。

 

2.身体表現性障害を心理検査でチェック

身体表現性障害として、SSDとSDSCという2つの心理検査があります。

身体表現性障害は心理的な要因が原因ではありますが、身体症状を中心とした病気です。このため、内科などの身体科に受診する患者さんが多いです。

ですが漫然と身体的な治療だけをしていても、なかなかよくなりません。このため身体表現性障害かどうかを判断するために、心理検査が作られました。

ここでは身体表現性障害の心理検査としては、代表的な2つの検査をご紹介します。

①SSD

SSD(Screener for Somatoform Disorders)とは、訳すと「身体表現性障害のためのスクリーニング検査」となります。

WHOで1993年に行われた国際共同研究に基づいてつくられたもので、身体表現性障害でみられる代表的な12の症状を確認していきます。

12の症状があるかどうかを順番に答えていくだけなので、患者さん本人が回答していくことで出来るスクリーニング検査になります。

この12の症状のうち、3つ以上が3か月以上続いている場合は、身体表現性障害が疑われます。

②SDSC

SDSC(Somatoform Disorders Symptom Checklist)は、訳すと「身体表現性障害の症状チェックリスト」になります。

こちらもSSDと同様に、WHOの1993年の共同研究において開発されたものです。身体表現性障害でみられる60の症状に対して、網羅的にチェックしていきます。これにより、症状を余すことなく把握することができます。

これらを踏まえて、

これらを確認して、身体表現性障害を細かく診断していきます。

実際にこれらの心理検査を行ってみたい方は、「身体表現性障害(心身症)をSDSC・SSDでセルフチェック」をお読みください。

 

3.身体表現性障害の診断基準はどう変わったのか

身体表現性障害は、DSM-Ⅴでは病名が身体症状症に変わっています。かつての身体化の考えから、身体症状の有無にかかわらず広く診断できるように身体症状症となりました。

身体表現性障害は、実は最新の診断基準(DSM-Ⅴ)では病名がなくなってしまいました。そのかわりに、もっと広い概念である身体症状症という病気となっています。

身体表現性障害には、診断するにあたって以下のような問題がありました。

身体表現性障害はその症状の表れ方によって、様々な病気に細かく分けられています。この分類は細かすぎて、オーバーラップしてしまうようなケースが少なくありません。こうなってしまうと医師によって診断がかわってしまうことになり、あいまいとなってしまいます。

また、身体表現性障害では、医学的に説明がつかないことを重視していました。「身体化(somataization)」という言葉が昔から使われていて、検査をしても原因は認められず、ストレスによって身体症状が生じることをいいます。

身体表現性障害だけでなく、うつ病や不安障害など様々な精神疾患で認められる精神症状です。身体表現性障害では、身体化症状を中心とする病気と考えられてきました。

ですが身体的な症状があったうえで、心理的な症状が加わっていることはよくあります。身体の症状で説明できるかできないかという考え方は、「身体は身体、心は心」という二元論的な考え方を強くしてしまいます。

身体表現性障害を正しく診断し、かつ心身症として心と身体の両面から治療していくためには、より広くカバーできる病気の概念の方が望ましいと考えられました。こうして「身体症状症」「病気不安症」という病気が作られました。

転換性障害は診断基準自体は変わっていないのですが、変換症と病名が変わりました。そして身体醜形障害は、強迫性障害の関連疾患に位置づけられるようになりました。

 

身体症状症は、

この2つを満たす病気が広く含まれます。身体に症状があって、極端に心配してしまったり不安になったり、病院に何度も受診してしまうような患者さんが診断されます。

つまり身体症状症では、医学的に説明できようができまいが、その症状で苦しんでいれば診断がつけられるようになっています。かつての身体表現障害のうち、身体化障害、疼痛性障害、一部の心気症の患者さんが、身体症状症に含まれます。

身体症状症だけでは、身体症状がないと診断されなくなってしまいます。かつての心気症の患者さんの中では、身体症状は目立たず、「重大な病気へのとらわれ」だけが強い方もいます。このような方は、病気不安症と診断されます。

 

4.身体表現性障害の2つの診断基準

ICD‐10とDSM‐Ⅴの2つの診断基準があります。DSM-Ⅴでは、身体症状症という病名に変わっています。

身体表現性障害の診断基準としては、「DSM-Ⅴ」と「ICD-10」の2つの基準があります。

DSM‐ⅤはAPA(米国精神医学会)による診断基準で、上から順番にチェックしていくと診断がつくようにできています。これに対して ICD-10はWHO(世界保健機関)による診断基準で、典型的な症状を文章で記述しています。

両者には若干の相違がありますが、貫かれている精神は「医師の違いによって起こる診断の差をなくすこと」になります。いずれも症状が当てはまるかどうかで病名を判断するので、「操作的診断基準」と呼ばれています。

身体表現性障害では先ほどお伝えした通り、最新の診断基準であるDSM-Ⅴでは身体症状症という病名にかわりました。ICD-10では、依然として身体表現性障害という表現が使われています。

それぞれの診断基準での病気分類をご紹介していきます。診断基準について詳しく知りたい方は、それぞれの病気のリンクをご覧ください。

<DSM-Ⅳ-TR(ひとつ前のDSM)>

<DSM-Ⅴ(最新のDSM)>

<ICD-10>

 

まとめ

身体表現性障害とは、ストレスによって身体症状に表れる心身症になります。

身体表現性障害は、DSM-Ⅴでは病名が身体症状症に変わっています。かつての身体化の考えから、身体症状の有無にかかわらず広く診断できるように身体症状症となりました。

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