自律神経とは?交感神経と副交感神経の働き

アイコン 2016.9.5 身体表現性障害・自律神経失調症

自律神経失調症という病気は、みなさんも耳なじみのある言葉だと思います。「自律神経」という言葉は知っていても、自律神経とはどのような神経なのか、正しく理解できている方は少ないかと思います。

自律神経とは、自分の意思とは関係なく働いてくれている神経のことです。私たちが生活しているときに、息を吸ったり、心臓を動かしたりといったことは無意識に行われているはずです。このように勝手に体で調整してくれている神経を自律神経といいます。

自律神経には、大きく分けて交感神経と副交感神経の2種類があります。それぞれアクセルとブレーキの働きがあり、この2つの神経がバランスを取り合うことで、身体の様々なバランスが保たれています。

これが崩れてしまうのが自律神経失調症です。自律神経は全身の様々な臓器や器官に分布しているので、自律神経のバランスが崩れてしまうと全身に症状が認められます。

自律神経失調症を理解するためにも、ここでは自律神経について詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.自律神経とはどういう神経なのか

自律神経とは、私たちの意思にかかわらずに働いている神経のことです。意識することもありませんが、意識してコントロールすることも非常に難しいです。

人の体には、無数の神経が走っています。それらの神経が情報を伝え合うことで、私たちは生きていくことができます。身体の外からの情報を集め、それに基づいて判断し、そして行動することができます。

安定して生きていくためには、身体の中の状態は一定に保つ必要があります。このことをホメオスタシス(生体恒常性)といいます。このホメオスタシスには、自律神経とホルモンが重要な役割を果たしています。

自律神経は、私たちの意思にかかわらずに働いてくれる神経です。身体の外からの刺激や内部からの情報によって、自動的に調整してくれる神経になります。

心臓は勝手に動いていて、止めることはできませんね。食事をすると腸が勝手に動いてくれますが、腸の動きはコントロールできませんね。自律神経は、私たちが意識しなくても働いていますし、意識して調整することは非常に困難なのです。

このように自律神経は、循環・消化・代謝・体温調整といった生命を維持するために不可欠な機能をコントロールしてくれる神経なのです。

自律神経は、植物神経と呼ばれたりもします。植物は意思をもって行動することはありませんが、生きていくための活動を続けていきます。生きてはいるけれども意識が戻らないことを植物状態といったりしますが、これは植物神経(自律神経)だけが生き残っている状態を意味するのです。

 

2.神経の種類と自律神経の位置づけ

神経は、中枢神経と末梢神経に分けられます。自律神経とは、末梢神経のうち自分でコントロールのできない神経のことを指します。

自律神経は、神経の一種になります。それでは神経にはどのような種類があるのでしょうか。それを踏まえて、自律神経とはどういう神経なのか、理解を深めていきましょう。

膨大に神経がありますが、大きく2つの神経に分けることができます。

中枢神経とは、脳や脊髄の神経になります。脳には膨大な神経がネットワークを作っていて、様々な情報を処理し、それをもとに身体の様々な指令を下しています。脊髄にも神経核が集まっており、脳と脊髄をあわせて中枢神経といいます。

それに対して末梢神経とは、中枢神経に出入りする神経です。末梢神経には、末梢から中枢に様々な情報を送ったり、中枢から末梢(臓器・器官・筋肉など)に伝えたりする神経です。

よく誤解されるのが脳神経で、名前からは中枢神経のようですが末梢神経に分類されます。脳神経とは脳に出入りしている神経のことで、その働きは脳に情報を伝えたり、脳からの指令を伝える末梢神経なのです。

末梢神経はさらに、2つの種類に分けられます。

自律神経と体性神経の違いは、意思によってコントロールできるかどうかです。自律神経はコントロールできず、体性神経はコントロールできます。

自律神経はさらに、

の2つに分けることができます。交感神経はアクセルに当たる神経で、副交感神経はブレーキに当たる神経です。この2つがバランスを取り合っています。おもに臓器や血管などに分布しています。

体性神経は、

感覚神経は、温覚・痛覚・触覚・深部覚といった一般的な感覚や、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・平衡覚といった特有の感覚を感知して、それを中枢に伝える働きがあります。中枢を求めて向かうので、求心性神経に分類されます。

運動神経は、手足などを動かすために骨格筋に向かって指令を下す神経です。中心から遠ざかる神経なので、遠心性神経とよばれます。

 

3.交感神経と副交感神経、2つの自律神経の働き

交感神経は「戦うモード」、副交感神経は「リラックスモード」にする神経と考えると、その作用がわかりやすいです。

交感神経と副交感神経は、よくアクセルとブレーキにたとえられます。交感神経がアクセルだとしたら、副交感神経がブレーキです。交感神経は身体を「戦うモード」にし、副交感神経は身体を「リラックスモード」にします。

例えば、お化け屋敷でビックリした時を思い出してください。この時には交感神経が優位となり、副交感神経の働きは弱まります。

心臓がバクバクして血圧があがり、瞳孔は見開いて身体はこわばります。このように、心機能が高まって動悸や頻脈となり、呼吸が早くなり、筋肉は緊張してこわばります。その一方で消化は抑えられ、胃腸の働きや唾液分泌などが悪くなります。

副交感神経が優位な場合はその反対です。リラックスしている状況を考えると、その役割が理解しやすいです。例えば、ソファーでゆっくり寝そべっている時を想像してみましょう。

活動をしていないので、酸素や栄養などは身体はそこまで必要ではありません。このため呼吸はゆったりとして、脈もゆっくりとなります。

このようにリラックスしているときは、食べ物の消化がすすみます。唾液の分泌は増えて、胃腸の働きも活発になります。そして脳の覚醒度が落ちていき、眠気が感じられることもあります。

このように交感神経と副交感神経は、それぞれ正反対の作用があります。身体の状況に合わせて自動的に調整されて、バランスを取り合っているのです。

自律神経系である交感神経と副交感神経の作用について一覧にしました。

 

4.自律神経のバランスが崩れたときの症状

自律神経のバランスが崩れると、全身にあらゆる症状が認められます。

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。このどちらがよいというものではなく、状況に合わせて交感神経と副交感神経がバランスよく働くことが大切です。

この交感神経や副交感神経のバランスは、私たちの意思とは関係ないところで調整されています。このバランスが崩れてしまうと、自律神経失調症の症状が認められます。

自律神経を乱す原因としては、大きく3つがあげられます。

ストレスがかかると、身体はストレスに抵抗して交感神経を活性化させます。このストレスが過剰にかかってしまうと、身体は交感神経が過剰に緊張した状態となってしまいます。

生活リズムの乱れも自律神経を乱します。活動する時間帯の日中は交感神経が優位となり、心身を休める夜は副交感神経が優位になります。夜更かしなどをすることで、自律神経のリズムが乱れてしまうことがあります。

また、女性ホルモンや甲状腺ホルモンも自律神経に影響を及ぼします。女性であれば、女性ホルモンは変動しています。甲状腺疾患にかかってしまうと、甲状腺ホルモンによって自律神経のバランスが崩れてしまうこともあります。

このように自律神経のバランスが崩れてしまうと、全身に様々な症状が認められます。自律神経は全身の臓器や血管に分布しているためです。

身体症状だけでなく、精神症状も認められることもあります。そして自律神経失調症の症状が続くことで、二次的にうつ病や不安障害につながることもあります。

自律神経失調症で認められる症状について、臓器・器官ごとに以下の表でまとめていますのでご覧ください。

自律神経失調症(心身症)の症状について

 

5.自律神経に関係する物質(神経伝達物質)

交感神経と副交感神経で、神経伝達物質と受容体のタイプが異なります。

最後に、自律神経にはどのような物質が関係しているのかについてお伝えしていきます。

自律神経は、中枢から2本の神経によって情報を末梢に伝えています。節前線維と節後線維という2本の神経があって、臓器や器官に作用します。つまり、

節前線維→節後線維→臓器・器官

このように作用します。このため、2つの中継地点があります。この中継地点はシナプスと呼ばれていて、神経伝達物質と呼ばれる物質が橋渡しをして、受容体に作用することで情報が伝えられます。

運動神経は、1つの神経が骨格筋まで伸びていて、中継地点であるシナプスは1つしかありません。

この神経伝達物質と受容体の種類は、以下のように神経によって異なっています。

自律神経と運動神経の神経伝達物質と受容体について一覧にしました。

 

まとめ

自律神経とは、私たちの意思にかかわらずに働いている神経のことです。意識することもありませんが、意識してコントロールすることも非常に難しいです。

自律神経とは、末梢神経に分類されます。交感神経と副交感神経で、神経伝達物質と受容体のタイプが異なります。