自律神経失調症が女性に多いのはなぜ?女性に特有の症状とは?

アイコン 2016.9.13 身体表現性障害・自律神経失調症

自律神経失調症は正式な病名というわけではなく、全身に分布している自律神経のバランスが崩れてしまったことによって心身に症状が認められる状態のことをいいます。

ですから自律神経失調症は、様々な精神疾患や身体疾患で認められることがあります。自律神経失調症は男女ともに多くの方に認められますが、女性のほうが明らかに多いです。

女性に多い理由としては、「ホルモン」の影響が大きいです。女性ホルモンはもちろんですが、甲状腺ホルモンも忘れてはいけません。

女性に自律神経失調症が認められたときには、この2つのホルモンのことを念頭に置く必要があります。

ここでは、自律神経失調症の女性に多い症状と女性に多い理由について、詳しく見ていきたいと思います。

 

1.自律神経失調症が女性に多い理由

自律神経失調症が女性に多い理由としては、①女性ホルモンの影響②甲状腺ホルモンの影響③気分障害や不安障害などが女性に多いこと、が原因として考えられます。

自律神経失調症は、男女で比べると明らかに女性のほうが多いです。どうして女性のほうが多いのでしょうか。その理由について考えていきましょう。

自律神経失調症が女性に多い理由としては、以下の3つがあげられます。

それぞれ見ていきましょう。

 

①女性ホルモンの影響

自律神経失調症が女性に多い原因として、もっともイメージしやすいのが女性ホルモンの影響かと思います。男性は女性に比べて、性ホルモンの変動が大きいことは言うまでもありませんね。

女性では周期的に月経があり、それによって女性ホルモンは変動しています。妊娠や出産といった大きなライフイベントもあり、更年期になり閉経することで、女性ホルモンは急激に減少してしまいます。こういった女性ホルモンの影響を受けて、自律神経失調症は発症しやすくなります。

それではどうして、女性ホルモンの変動が自律神経失調症を発症させるのでしょうか。

女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部とよばれる部分が中枢となっています。

視床下部→下垂体→卵巣→女性ホルモン

といった形で指令が伝えられ、女性ホルモンが分泌されています。実は自律神経系も、視床下部が中枢になっています。同じ視床下部でコントロールをしているので、女性ホルモンの乱れが自律神経系にも影響を及ぼすのです。

 

②甲状腺ホルモンの影響

甲状腺ホルモンは、喉のあたりにある器官です。ここから分泌される甲状腺ホルモンは、身体の代謝を高める働きがあります。このため交感神経を活性化され、過剰に作用すると動悸やふるえ、下痢などの症状が認められます。

甲状腺ホルモンは、通常は適切な量で調整されるようなネガティブフィードバック機構があります。甲状腺ホルモンの効果が発揮されると、それがモニターされて分泌が抑制されるようになっています。

甲状腺ホルモンのバランスが乱れてしまうのは、甲状腺疾患にかかってしまった時です。バセドウ病や橋本病などによって甲状腺機能が乱れると、自律神経失調症の症状がみられることがあります。

バセドー病は200~400人に1人、橋本病にいたっては5~10人に1人と非常に多い疾患です。しかも男性よりも女性のほうが、圧倒的に甲状腺疾患は多いです。

 

③女性の方が気分障害や不安障害などが多い

これまで自律神経失調症が女性に多い理由として、ホルモンの影響についてみてきました。

それ以外にも自律神経失調症は、ストレスや生活習慣の乱れが大きな原因としてあげられます。ストレスや生活習慣の乱れが続くと、気分障害や不安障害になってしまうこともあります。

気分障害や不安障害では、全体的に女性の方が男性よりも明らかに多いのです。このように精神疾患とまでいかなくても、ストレスや生活習慣の乱れから自律神経失調症が認められることも多いです。

その理由としては、

こういったことがあげられます。

 

2.自律神経失調症の女性ホルモンによる症状

女性のライフサイクルに従って、女性ホルモンは変動していきます。それによって自律神経失調症の症状が認められることがあります。

自律神経失調症にみられる女性特有の症状として、女性ホルモンによるものを見ていきたいと思います。

女性ホルモンは、女性のライフサイクルに従って変動しています。月経周期や妊娠のような比較的短期間での変動と、思春期や更年期といった長期間での変動があります。

ここでは、女性のライフサイクルに従ってどのような自律神経失調症の症状が認められるのか、みていきましょう。自律神経失調症の原因が女性ホルモンによるものだとわかれば、それに対する対策も立てやすくなります。

 

①月経

女性は妊娠して子供を産むために、周期的に月経が生じます。それには女性ホルモンが大きく影響していて、周期的に変動しているのです。

女性ホルモンには、2つの種類のホルモンがあります。

エストロゲンは排卵まで上昇し、排卵後に急激に下がります。それに対して黄体ホルモンは、排卵後に上昇して、月経がはじまると急激に下がります。

生理前に体調が悪くなったり、精神的に不安定になることは多くの方が経験されているかと思います。この2つのホルモンの影響が考えられていて、とくに黄体ホルモンとの関係が考えられてきました。(最近は黄体ホルモンの重要性は疑問符がついてきています)

こういったホルモンのバランスの変化で、自律神経失調症の症状が認められます。これらの症状がさらに悪化すると、PMS(月経前緊張症)となります。

PMSでは、

これらの精神症状か身体症状が少なくとも1つ認められます。精神症状が顕著で生活に支障がでるほどまでになると、PMDD(月経前気分不快障害)と診断されます。

 

②思春期

思春期とは、月経がはじまって安定するまでの10代をさすことが多いです。この時期は、女性ホルモンのエストロゲンが少しずつ分泌されることで、体が女性らしくなっていきます。

卵巣機能や子宮が成熟していくにつれて、少しずつ月経が安定していきます。

このような身体的な変化に対して、精神面での成長が追い付けないこともあります。女性性が受け入れられないことが、摂食障害の原因となることもあります。

思春期にはこれ以外にも、様々な発達上の課題があります。それらを乗り越えていく過程で、精神状態が不安定になることがあります。その症状として、自律神経失調症が認められることもあります。

 

③妊娠・出産

妊娠すると、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌は増加していきます。そして出産すると、一気に女性ホルモンの分泌が低下してしまいます。

この急激な女性ホルモンの変動に、生活の変化が加わります。出産はうれしいことに違いありませんが、母になるという大きな変化なのです。生活は一変しますし、精神状態が不安定になります。

悲しい気持ちに突然襲われたり、涙が出たり、不安や不眠、気力が出ないといった症状が認められることがあります。これをマタニティーブルーといいます。

しばらくしても精神症状が改善せず、うつ病の診断基準を満たすほどにまでなると、産褥うつ病と診断されます。産後は、精神症状が中心の自律神経失調症を生じる傾向にあります。

 

④更年期

45歳~55歳ころになると、女性は卵巣機能が衰えていき、閉経を迎えていきます。

おもにエストロゲンの分泌が低下することで、様々な症状が認められていきます。自律神経失調症の症状も、その一つになります。

これらの症状が強い場合、更年期障害と呼ばれます。

 

3.自律神経失調症の甲状腺ホルモンによる症状

自律神経失調症の原因として、甲状腺ホルモンには注意が必要です。甲状腺疾患が原因であれば、それを治療することでよくなっていきます。

女性の自律神経失調症で忘れてはいけないのが、甲状腺ホルモンの影響による可能性です。女性だからといって、安易に女性ホルモンのせいにしていると甲状腺疾患を見落としてしまいます。

甲状腺ホルモンは普通の採血では測定しません。このため、甲状腺機能異常が疑われる場合には、意識的に測定する必要があります。

甲状腺機能低下症の原因としては、橋本病が代表的です。自己免疫疾患で、自分の免疫細胞が抗体を作って甲状腺を攻撃していて、慢性的に炎症が生じている病気です。

こういった症状が認められます。

一方で甲状腺機能亢進症としては、バセドー病が有名です。橋本病と同じく自己免疫疾患で、抗体が甲状腺ホルモンを刺激してしまいます。その結果として、以下のような症状が認められます。

このように、甲状腺機能異常は女性ではよく認められます。自律神経症状が認められた場合、とくに中年女性では甲状腺機能をチェックしたほうがよいです。

 

まとめ

自律神経失調症が女性に多い理由としては、①女性ホルモンの影響②甲状腺ホルモンの影響③気分障害や不安障害などが女性に多いこと、が原因として考えられます。

女性のライフサイクルに従って、女性ホルモンは変動していきます。それによって自律神経失調症の症状が認められることがあります。

自律神経失調症の原因として、甲状腺ホルモンには注意が必要です。甲状腺疾患が原因であれば、それを治療することでよくなっていきます。