自律神経失調症を改善させる治し方とは?自律神経失調症を完治させる治療法

アイコン 2016.9.23 身体表現性障害・自律神経失調症
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自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまうことで、心身に症状が生じてしまう状態のことを言います。

実はハッキリとした病気ではなく、自律神経失調症は広く見ると様々な病気を含んでいます。うつ病や不安障害などをはじめとした様々な病気が原因となりますし、それらの病気の要因も人それぞれなのです。

ですから同じ自律神経失調症と診断された患者さんの中でも、治療法は人それぞれで大きく異なります。「自律神経失調症を改善するにはこの治療法!」という決まったものがあるわけではなく、患者さんにあわせた治療法をしていくことが必要になります。

ただ一つ言えることは、自律神経失調症はストレスや生活習慣と関係しているということです。日々の生活と自律神経失調症は大きく関係しているので、自律神経失調症をしっかりと改善していくためには、お薬にだけに頼っていては完治はしません。

ここでは、自律神経失調症を改善していくための治し方と、完治を目指す治療法について詳しくお伝えしていきます。

 

1.自律神経失調症を完治させる治し方とは?

自律神経失調症の治療では、まずは生活習慣やストレスについて見直すことが大切です。そして薬物療法によって「心⇔身」の悪循環をとめて、ストレスをうまく処理できるように精神療法を積み重ねていきます。

自律神経失調症は、本来はほかの精神疾患とは診断がつかないけれども、自律神経のバランスが崩れてしまっている状態のことをいいます。

しかしながら実際には、うつ病や不安障害などの精神疾患がある患者さんも、精神症状が目立たなければ自律神経失調症と診断されることもあります。

このように幅広い病気を含んでいる自律神経失調症なので、患者さんによって適切な治療法は異なります。まずは基本的な自律神経失調症を改善させていく考え方をみていきましょう。

自律神経の働きは、大きく3つの影響を受けます。

このうちのホルモンは、疑わしければ血液検査で確認する必要があります。ホルモンが原因と分かれば、それに応じた治療を行っていくことで自律神経症状は完治していきます。

このため自律神経失調症を改善していくためには、残りの生活習慣とストレスを見直していく必要があります。

生活習慣の乱れは、心身の両面に悪影響があります。生活習慣は自分でも意識しやすい部分なので、心当たりがあれば改善していきましょう。

次に、ストレスについて振り返る必要があります。自律神経失調症の患者さんは、自分のストレスに気づきにくい傾向にあることも多いです。少しずつストレスに気づき、向き合っていけるようにしていくことが必要です。

このように生活習慣やストレスに目を向けていくことが大切なのですが、これらは時間もかかります。そして自分自身と向き合うことには、大きなエネルギーが必要です。

このためまずはお薬によって、できるだけ症状をコントロールしていきます。自律神経失調症では、

という2つの要素があります。ですから「心」のお薬と「身体」のお薬を必要に応じて使い分けることで、「心⇔身体」の悪循環を止めることができます。

こうしてストレスに向き合う余裕が出てきたところで、ストレスの対処法が上手くない方では精神療法に取り組んでいきます。精神療法を積み重ねることで、思考パターンや行動パターンを少しずつ変えていきます。

 

2.自律神経失調症は何科で治療すればよいのか

自律神経失調症の専門は心療内科です。身体症状が中心なら内科医、精神症状が中心なら精神科医のもとで治療していきましょう。精神は精神科・身体は内科と分けて受診しても大丈夫です。

「もしかして自律神経失調症かもしれない」と感じたら、何科で治療してくのがよいでしょうか?自律神経失調症の治療の実際を踏まえてお伝えしていきます。

自律神経失調症の治療は、

どちらかで行っていくことが理想的です。しかしながら現実的に、これらの病院はほとんどありません。

自律神経失調症を専門とするのは、心療内科になります。心療内科を掲げている病院は街中に多いかと思いますが、本当に心療内科を専門に診ている病院はとても少ないです。医学は非常に奥が深く、精神科と内科を両立させることは難しいのです。

精神科医と内科医で連携している病院というのも、ほとんどありません。両方の科がある大きな病院もありますが、中での連携はほとんどありません。

自律神経失調症は、ちょうど精神科と内科の間の領域になります。

このようにしてみているのが実情です。「精神科・心療内科」となっている病院では精神科医、「内科・心療内科」となっている病院では内科医と考えて間違いないです。

もしもあなたが内科などにかかっているのならば、病院を変える必要はありません。内科は引き続き治療していき、「精神科・心療内科」の病院で治療を行っていけば大丈夫です。

詳しく知りたい方は、「自律神経失調症は何科の病気?自律神経失調症が治療できる病院」をお読みください。

 

3.自律神経失調症の治療①-生活習慣を改善

睡眠・食事・運動・カフェイン・アルコールの生活習慣を見直してみましょう。

生活習慣が乱れていると、自律神経の働きも乱れてしまいます。自律神経は生きていくために必要な呼吸や循環・代謝・消化などの機能を自動で調整してくれていますが、体内時計のリズムに合わせて調整されています。

日中は交感神経を優位になって活動的になり、夜間は副交感神経が優位になってリラックスします。これにあわせて身体の働きも行われています。

ですから生活習慣が乱れていると自律神経の働きが乱れてしまうのは、皆さんもイメージしやすいかと思います。

自律神経失調症の治療を始めていくに当たっては、まずは生活習慣から見直していく必要があります。

生活習慣は「習慣」ですから、なかなか変えるのは難しいです。だからこそ生活習慣を変えていくことは大切です。少しずつ効果が現れますし、健康な習慣が続いていくので再発を防ぐことにもなります。そういう意味では、自律神経失調症を完治させるためにはとても重要です。

以下のような生活習慣を見直して、できることから改善していきましょう。

①睡眠不足や起床時間のずれ

睡眠時間をしっかりと確保することは、もちろん大切です。もうひとつ注意すべきは生活リズムです。日によって起きる時間が違うと、体内時計のリズムが乱れてしまいます。

自律神経失調症の患者さんでは、ストレスから不眠が認められることもあります。不眠を悪化させないためにも、生活リズムを意識することが大切です。

②不規則な食生活

不規則な食生活は、心身の調子を崩します。腸は第二の脳とも呼ばれているほどで、食事による刺激が身体のリズムを作っています。3食をできるだけ、規則正しくとるようにしましょう。

朝食をとらない方が多いですが、少しでもよいので食べ物を胃に入れるようにしましょう。胃腸への刺激となって、体内時計のリズムにメリハリがつきます。

③運動習慣

適度な運動習慣は、心身の健康にとても効果的です。できるだけ階段を使うなど、まずは身の回りでできることから体を動かしていきましょう。運動が習慣になればセロトニン神経の働きが活発になり、精神状態が安定します。

④カフェイン

不安が強い方で注意しなければいけないものがカフェインです。カフェインは眠気覚ましに使われるように、興奮物質の一種です。

コーヒーを良く飲まれる方は、コーヒーのせいで動悸が生じた経験をされたこともあると思います。カフェインを制限することで、不安や緊張は生じにくくなります。カフェインをできるだけ控えるようにしましょう。

⑤飲酒

不安やツラさを紛らわすためにアルコールに頼ることが多いです。飲酒が習慣化してくると、少しずつ身体がアルコールに依存していくようになります。依存が進むと、シラフでいると何だかイライラしたり不安になったりします。

また、精神科のお薬とお酒は飲み合わせがよくありません。相互作用が報告されているお薬も多いので、このような意味でも飲酒はできるだけ控えた方がよいでしょう。お酒の量が多かったり、飲酒が習慣化している場合は、主治医としっかりと相談しましょう。

⑥喫煙

タバコが身体に害であることは、広く世間で知られています。自律神経失調症に含まれる病気の中にも、タバコが原因や要因となることはたくさんあります。喫煙の影響は身体だけでなく、心にもあります。

タバコの成分として有名なニコチンは、身体に慣れていくと依存が形成されていきます。ニコチンが切れてしまうと落ちつかなくなり、イライラしたり不安になりやすくなってしまいます。

 

4.自律神経失調症の治療②-ストレスを振り返る

自分が気づけていないストレスに意識を向けて言語化することで、少しずつ整理されてストレスが軽減します。ストレスは減らせばよいというものではなく、上手い付き合い方を見つけていくことが大切です。

自律神経失調症は、ストレスが大きな要因となります。ですから、このストレスについて振り返ってみる必要があります。

自律神経失調症の患者さんでは、自分のストレスに気づきにくい傾向がある方が多いです。このような性格傾向をアレキシサイミアといいますが、自分のストレスを意識にのぼらないように抑え込んでしまって、それが身体の症状として表れていることが多いのです。

まずは自分のストレスに気づけるようになっていく必要があります。自律神経失調症の患者さんでは、無意識のレベルまでに抑圧していることは少なく、前意識とよばれる部分で抑制していることが多いです。少し意識を向けていけば、明らかにできることも多いです。

このためには、自分の感情や身体の感覚を言葉にしていくことが大切です。言語化していくことで、漠然としたものが形となって整理されていきます。こうして一つずつストレスを整理していくことが大切です。つまり、「話をするだけでスッキリする」ということです。

男性であれば職場での問題が多く、女性であれば家庭内の問題が多いです。多くの場合は人間関係であることが多いです。

これらのストレスの中には、どうしても解決できないものもあるかと思います。例えば、上司や夫との人間関係は放り出すことはできません。しかしながら、意識できていない部分を言語化して意識できるようにするだけでも、ストレスは大きく軽減します。

もし可能であれば、現実的にストレスを軽減します。ですが、ストレスはただ減らせばよいというものではありません。確かに自律神経失調症の症状があまりにひどい時はストレスを軽減した方がよいですが、ストレスと上手く付き合っていけるようになるのが理想です。それでなければ、またストレスがかかると再発してしまいます。

 

5.自律神経失調症の治療③-薬物療法

自律神経失調症では、心の薬と身体の薬を上手く組み合わせていくことで治療をしていきます。

自律神経失調症の治療では、お薬の治療も重要になります。

自律神経失調症では、心と身体が双方向に影響することによって症状が引き起こされています。ストレスが身体症状を引き起こすだけでなく、身体症状がストレスとなって悪循環を引き起こしていることも多いのです。このため自律神経失調症では、

このように2つのお薬を使っていきます。

ストレスをお薬でなくすことはできませんが、その影響をお薬で和らげることはできます。ストレスは自律神経のバランスを崩し、それによって身体症状を生じます。ですから、ストレスを和らげることで自律神経症状も改善していきます。

明らかに身体に異常があれば、それを治療するお薬も使っていきます。身体症状がストレスとなり、自律神経失調症をさらに悪化させていることもあります。

このように自律神経失調症では、心の薬と身体の薬を上手く組み合わせて使っていくことで、自律神経失調症の悪循環をなくしていきます。

詳しく知りたい方は、「自律神経失調症に有効な薬とは?自律神経失調症の薬物療法」をお読みください。

 

6.自律神経失調症の治療④-精神療法

時間をかけて、少しずつ精神療法を積み重ねていくことが必要です。

自律神経失調症はストレスが大きな原因となりますが、ストレスの影響は2つの側面から考えていく必要があります。

ちょっと乱暴な表現になってしまいますが、バケツ(本人の器)と水(ストレス)を考えるとシンプルです。

バケツがいくら大きくても、とんでもない水の量が注がれれば溢れてしまいます。あふれた水が自律神経失調症となります。それに対して、バケツが小さければ、ちょっとした水の量でも溢れてしまいます。

現実的なストレスの要素が強い場合は、ストレスを改善していけば自律神経失調症もおさまっていきます。それに対して本人の要素が強い場合、バケツを少しずつ広げていく必要があります。

人それぞれ様々な問題点があります。ストレスの対処法が苦手な人もいれば、ストレスに感じやすい思考パターンを持っている人もいます。過去に何らかのトラウマをかかえている人もいれば、もって生まれた性格傾向などもあります。

これらは長年かけて培われてきたものなので、すぐには変えることができません。じっくりと時間をかけて、少しずつ紐解いていく必要があります。

こういった精神療法は、様々なアプローチがあります。患者さんごとに、どういったアプローチが向いているのかも異なります。

患者さん自身の内面を見つめていく洞察療法的なアプローチが向いている人もいれば、認知や行動を扱っていく認知行動療法がみている人もいます。とくに人間関係に焦点をあてた対人関係療法や、「とらわれ」からの解放を目指す森田療法などがあります。

精神療法について詳しく知りたい方は、「心理療法のカテゴリー」「カウンセリングはどうして高いのか?カウンセリングの実情と選び方」をお読みください

 

7.自律神経失調症の治療⑤-薬を使わないリラックス法

呼吸法・漸進的筋弛緩法・自律訓練法など、自分自身をリラックスさせる方法も有効です。

自分自身でリラックスする方法もあります。これらの方法は自律神経を意識するものもあるため、自律神経失調症でも効果が期待できます。その代表的な方法としては、以下の3つがあります。

リラックスする呼吸法とは、吐く時間を意識した腹式呼吸法です。上手になってくると、呼吸を整えることで不安や緊張を和らげることができます。苦手な社会的状況に直面した時に、呼吸法で乗り切れれば大きな自信になります。

漸進的筋弛緩法とは、リラクゼーションとも呼ばれている方法です。筋肉の緊張状態を知り、それを和らげていく練習をします。慣れてくると、自分自身の緊張状態に気づけるようになってきます。

自律訓練法とは、リラックス状態を自己暗示で作れるようになっていく方法です。リラックス状態をイメージして、それを身体にしみこませていきます。上手になってくると、リラックス状態をすぐに作れるようになっていきます。

いずれの方法も、繰り返し続けていくことで少しずつ上手になっていきます。いわば筋トレのようなもので、すぐには効果が出ないけれども継続していくことで少しずつ効果が出てきます。

詳しく知りたい方は、「薬に頼らずに不安を解消する4つの方法」をお読みください。

 

まとめ

自律神経失調症の治療では、心と身体の両面から治療していくことが必要です。まずは、以下のことから始めていきます。

それと合わせて、お薬による治療もすすめていきます。自律神経失調症では、身体の薬と心の薬を組み合わせて使っていきます。これによって、心と身体の双方向の悪循環を断ち切っていきます。

症状がコントロールされてきたら、精神療法を積み重ねていくことでストレス耐性を高めていく必要があります。

自立訓練法などといった薬を使わずにリラックスする方法も、自律神経失調症の治療には有効です。